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特別招待講演
講演タイトル
「人間とAIのよき関係 ― 生命と物質をつなぐ不確実性のデザイン」」
講演者
鈴木晶子(すずき・しょうこ)/ 国際高等研究所 主席研究員・京都大学名誉教授・理化学研究所客員主管研究員
略歴
- 上智大学大学院修了、文学博士
- 触覚知性や身体知を通じ人間性の再定義を研究
- 不確実性をテーマにAI、物理、哲学を融合したパラダイム転換プロジェクトを推進
- 独フランクフルト大学国際アドバイザー、Springer Nature『人新世事典』編集委員
人間の振る舞いを模倣し再現するAI関連技術の急速な進展を通じて、これまで人間にのみ可能なものとされてきた様々な性能が、機械によって外挿されつつあります。人間らしさを保持する最後の砦と考えられてきた領域にも機械知性による代替可能性が論じられるようになるなか、人間および人間らしさが改めて問われています。他方、生命と物質の間に潜む不確実性の淵は、これまで以上にその暗さを増しています。予測可能性や予防的介入の可能性が高まるなか、不確実性と向き合う人間のレジリエンスは逆に弱体化しつつあるともいえます。本講演では、人間とAIのよき関係を構築していく上で、生命と物質の間に潜むこの不確実性の闇を再考し、新たな未来デザインの可能性を探ります。不確実性を再定義し、触覚知性や動的知識といった日本的文化資源の視点から、AIが物質と生命をつなぐ役割を考察します。また、不確実性を可能性として捉えることで人間とAIが取り結ぶ新たな関係性について提案します。