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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2014)シンポジウム

セッション 8C  ファイルシステムとストレージ
日時: 2014年7月11日(金) 11:00 - 12:40
部屋: 鶴・亀
座長: 原 隆浩 (大阪大学)

8C-1 (時間: 11:00 - 11:20)
題名シミュレーションを用いたHDFSのレプリカ再配置手法の性能評価
著者*日開 朝美 (お茶の水女子大学), 竹房 あつ子, 中田 秀基 (産業技術総合研究所), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1800 - 1805
KeywordHDFS, レプリカ再配置, ノード削除
Abstract大規模データに対応した処理システムとして,汎用ハードウェアを用いて高度な集約処理を行う分散ファイルシステムに注目が集まっている.分散ファイルシステムの一つであるHDFSは耐障害性を維持するためにデータのレプリカを複数のノードに分散配置し,ノード故障時には不足レプリカを残りのノード間で補うレプリカ再配置処理を行う.我々はこれまで,シングルラックからなる小規模実環境において,HDFSではレプリカ再配置時のデータ移動に偏りが発生し非効率な処理が行われていることを明らかにし,この問題を解消するためにリング構造に基づく一方向のデータ転送によって負荷分散を行うレプリカ再配置の制御手法を提案し,その有効性を示してきた. 本稿では,シングルラック及びマルチラックで構成したより大規模な環境を想定し,シミュレーションを用いてレプリカ再配置に関する提案手法の有効性を評価する.評価実験より,シングルラック環境ではノード数が増加するにつれて再配置のスループットが向上し,提案手法が有効であることが示された.マルチラック環境では,拡張した制御手法を用いた評価を行った.ラック間帯域幅が十分大きい場合は,提案手法によりレプリカ再配置のスループットが大幅に改善され,提案手法の有効性が示された.

8C-2 (時間: 11:20 - 11:40)
題名セキュアプロセッシングにおけるファイル分散配置による通信負荷改善の効果に関する研究
著者平田 智紀 (愛媛大学工学部), *稲元 勉, 樋上 喜信, 小林 真也 (愛媛大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1806 - 1817
Keywordエクスターナルグリッド, 秘密分散法, 多重化, 通信量, 処理の信頼性
Abstract本稿は,グリッドコンピューティングにおける信頼性の向上を目指す手法である処理の多重化における問題点の一つである,処理の依頼を行う計算機に集中する通信負荷の軽減を目的とする. 処理の多重化は,同一の処理内容を複数の計算機に依頼し,その処理結果を比較することで,不正な処理結果を正しいものとして受け入れてしまう確率の減少を図る手法である. この手法では,プログラムや入力データを配布するためにグリッド上の計算機と繰り返し通信する必要から,処理を依頼する計算機に多大な通信負荷がかかる. ここで,プログラムや入力データを秘密分散法によってシェアへと変換し,処理を依頼するものとは異なる計算機へシェアを一時的に保管し,それらから処理を行う計算機へ配布することを考える. このようにすることで,シェア保管用の計算機に対するプログラムや入力データを秘匿性を保ちつつ,処理の依頼を行う計算機の通信負荷を軽減できると期待される. 性能評価では,処理の依頼を行う計算機,シェアを保管する計算機,処理を行う計算機ごとに通信負荷を定式化ののち比較することで,通信負荷が改善されたことを示す.

8C-3 (時間: 11:40 - 12:00)
題名システム性能とストレージ省電力を考慮したTPC-H実行時におけるデータ配置法の評価
著者*飯村 奈穂 (お茶の水女子大学), 西川 記史 (日立製作所 横浜研究所), 中野 美由紀 (芝浦工業大学), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1818 - 1825
Keyword省電力, ストレージ, TPC-H, データ配置
Abstract近年のデジタル情報量の爆発的な増加により,ストレージの出荷容量台数も急増している.これによるストレージの管理運用コストは見過ごせないものとなっており,データの効率的管理に注目が集まっている. データセンタのエネルギー消費量は2050年には2010年度の日本の発電電力量の約3倍になると予測されており,社会全体での節電が求められる中でデータセンタの消費電力を削減することは急務である.また,データセンタの消費電力割合の中でストレージの消費電力は約13%であることから,ストレージの消費電力を削減することにより,データセンタ全体を一定量省電力化することが可能であると言える. そこで本研究ではデータの効率的管理という点からクラウド上のデータベースの省電力化を考える. 我々はこれまで,アプリケーション実行時におけるディスクに対するI/O発行間隔とディスクの省電力状態を利用することにより,ストレージの省電力化が可能であることを示している. 本論文では,業界標準のデータベースベンチマークであるTPC-Hの実行時省電力化に向けて,データ配置制御を用いたストレージ省電力手法の提案およびシステム性能の評価を行い,本研究で提案したデータ配置制御がストレージ省電力化に有効であることを示した.

8C-4 (時間: 12:00 - 12:20)
題名録画クラウド向け高効率ストレージシステムに関する研究
著者*成田 佳介, 知念 賢一, 篠田 陽一 (北陸先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 1826 - 1831
KeywordTV, クラウド, ストレージシステム, MPEG2-TS, 映像データの重複判別
Abstractインターネットを活用したテレビ視聴サービスの一つとして、我々は録画クラウドサービスの構想を進めている。クラウド化すると、ハードウェアの構成に囚われない録画サービスが可能となるが、ユーザ毎に大容量のストレージが必要となってしまう。 想定では、放送波は限られたチャンネル数しかなく、コンテンツの種類が限られるため、クラウド上で録画コンテンツは重複すると考えられる。 本研究では録画コンテンツの重複部分を判別し、マージすることでストレージ容量の節約が可能な機構を提案する。 ストレージシステムが扱う全てのデータを対象とした重複排除手法と比較して、放送データの重複排除に特化しているため、ストレージの高効率化が期待できる。 本手法を用いることにより、ストレージ容量を抑えた録画クラウドサービスを実現に一歩近づけることができる。

8C-5 (時間: 12:20 - 12:40)
題名ハイブリッドクラウドにおけるデータベース同期に関する考察と提案
著者*細谷 柚子 (お茶の水女子大学), 三島 健 (NTTソフトウェアイノベーションセンタ), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1832 - 1836
Keywordハイブリッドクラウド, データベース同期
Abstract近年、クラウドコンピューティングモデルの出現に伴いパブリッククラウドやプライベートクラウドが普及しつつあり、その両者をシームレスに結合するハイブリッドクラウドが注目されつつある。しかし、実社会においてはデータの一貫性を保たなければならず、そういった技術的な問題によりハイブリッドクラウドの導入はあまり進んでいない。 他方で、データベースサーバは企業の基幹を構成しているため、クラウドで動作させるべき重要度の高いシステムである。そこで、本研究ではハイブリッドクラウド環境でデータベースを同期させることに注目した。 LAN環境を前提としてデータベースサーバを同期するPangeaという既存のミドルウェアがある。これをハイブリッドクラウドに適用し、TPC-Wベンチマークを用いて評価実験を行った。データセンタが遠隔地にあることを想定して、Dummynetを使って人工的に遅延を挿入した。近隣の街にバックアップを置く場合と、海外のような遠隔にバックアップを置く場合を想定し、遅延はRTT16msとRTT256msで測定した。LAN環境における結果と2つの遅延時間における結果とを比較し、考察を行った。またその結果から性能向上を目指し、Pangeaの修正・拡張を提案する。