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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2014)シンポジウム

セッション 7B  省電力
日時: 2014年7月11日(金) 9:00 - 10:40
部屋: 安土・桃山
座長: 間 博人 (同志社大学)

7B-1 (時間: 9:00 - 9:20)
題名無線センサネットワークにおけるデータ属性ごとの観測粒度と残余電力を考慮したトポロジ構築について
著者*小路 直紀, 松尾 和哉 (大阪大学 大学院情報科学研究科), 神崎 映光 (島根大学 大学院総合理工学研究科), 西尾 章治郎 (大阪大学 大学院情報科学研究科)
Pagepp. 1539 - 1546
Keyword無線センサネットワーク, トポロジ構築, データ属性, 観測粒度, 残余電力
Abstract観測領域全体における複数の属性の環境情報を観測する環境モニタリングでは,属性ごとに設定した地理的な観測粒度を保証するように観測領域を分割し, 分割された各領域(セル)ごとのデータを要求する場合が考えられる. 本稿では,データ属性ごとの観測粒度と残余電力を考慮し,すべての属性のデータを長期間収集できるトポロジの構築手法を提案する. 提案手法では,データ属性ごとに要求された観測粒度を基に分割されたセルごとに一台のセンサ端末からデータを収集する. このとき,稼働させる端末をネットワーク全体の接続性を考慮して決定することで,データ収集のための接続性を長期的に保証する. また,各属性に対応したセル内に存在するセンサ端末の残余電力の合計値を考慮し, この値を平滑化させる木構造ネットワークを構築することで,アプリケーションが要求する観測粒度を長期的に保証する.

7B-2 (時間: 9:20 - 9:40)
題名災害時における携帯電話基地局の電池残量を考慮したカバレッジ最大化のためのセルサイズ制御手法
著者*北田 和将, 内山 彰, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 1547 - 1556
Keyword携帯電話基地局, セルサイズ, 省電力, 耐災害, 最適制御
Abstract災害などによる停電時においても携帯通信網を維持するため,多くの携帯電話基地局にはバッテリが搭載されている.24 時間駆動可能な大容量バッテリの設置も進められているが,設置可能な場所が限られるため,全ての基地局に設置することは難しい.したがって,適切に消費電力制御を行うことで被災地域内に存在する基地局の限られたバッテリ残量をできる限り有効に利用することが求められる.そこで本研究では,与えられたユーザ分布の予測に基づき時空間的なユーザカバレッジを最大化するための基地局のセルサイズ制御法を提案する.本問題は整数線形計画問題として定式化可能であるが,ユーザ数や基地局数が増加すると実時間で解くことができない.このため,消費電力あたりのユーザ数を基準とした貪欲法に基づくヒューリスティックなアルゴリズムを考案した.提案手法の性能を評価するため2.4km2 の領域に約 5700 人のユーザが存在する都市部を想定したシミュレーションを行った.その結果,平均 348.25秒で解の導出が可能であり,セルサイズの調整を行わない場合と比較してカバレッジを平均 11.5%増加させることができた.

7B-3 (時間: 9:40 - 10:00)
題名スマートハウス内センシングを活用した生活行動推薦システム
著者*中村 笙子, 廣森 聡仁, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科), 山口 容平, 下田 吉之 (大阪大学大学院工学研究科エネルギー工学専攻)
Pagepp. 1557 - 1566
Keyword省エネルギー, スマートホーム, 行動検出, 生活パターン, レコメンデーション
Abstract近年,スマートハウスが実用化されつつあるが,現在のスマートハウスは家庭の電力使用量や太陽光発電の発電量,電気自動車の電池残量などを統合的に把握,可視化することで電力ピークシフトや家庭での省エネルギーを目指すものが多い.一方で,センサデバイスの低価格化とコモディティ化により,家庭内の空調環境(温湿度など)や人々の日常生活行動の検出や記録,解析が可能な環境が整ってきているため,スマートハウスに行動検出,解析の機能を保持させ,適切な行動推薦を行わせることで,居住者に対し,省電力を実現しながら健康管理や家族団らんなど生活全体の質を自然に実現することも可能である.本研究では,従来のスマートハウスで計測されている家電の電力使用量や自家発電量,家庭蓄電池の電力残量といったエネルギー関連の情報に加え,居住者の生活行動習慣を計測,把握し,電力コスト,健康,快適度,家族団らんといった複数の生活質基準をなるべく同時に充足するような生活行動を提示するスマートハウス向けの行動検出・解析・推薦システムの設計と評価について述べる.我々の研究グループで開発している人の高精度トラッキングシステムや温湿度センシングシステム,エネルギーセンシングシステム「ひとなび」を活用し,世帯居住者の行動実施頻度や平均実施時間を蓄積・解析し,その結果を元に,現在の生活習慣から大きく逸脱しない範囲で,電力コスト,健康度,快適度,家族団らん度などの評価基準和を最大とする行動基準を提示する.典型的な世帯の生活行動習慣からの行動推薦を導出し,その有効性を確認している.

7B-4 (時間: 10:00 - 10:20)
題名複数携帯端末によるエネルギー消費を考慮した協調受信機構の設計
著者*小川 亮二 (青山学院大学大学院理工学研究科), 斉藤 裕樹 (明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科), 狐崎 直文, 戸辺 義人 (青山学院大学情報テクノロジー学科戸辺研究室)
Pagepp. 1567 - 1574
Keywordモバイル協調, 分散協調, スループット向上, 省電力
Abstractスマートフォンの普及に伴い,携帯通信回線によるデータ通信量が増加し,LTEに代表される次世代移動通信規格が登場した.しかし現状では,使用する携帯電話キャリアや場所によって低速な回線を使用する端末,高速な回線を使用する端末が混在し,情報取得スループットに関して端末毎の格差が生じている.また,携帯端末のエネルギー消費要因として無線通信は無視できない大きさであるため,携帯通信システムのエネルギー消費の低減が求められている.近い将来,個人または複数人で携帯端末を同時に複数使用する場面が増えることを想定し,本研究では,複数の携帯端末同士が協調して通信帯域を共有しWebコンテンツを分散受信する,エネルギー消費を考慮した携帯端末間協調プロトコルMDEL (Multiple-Device Loader) を提案する.本論文では,MDELシステムの設計方針,一部のシステムポリシーに従った実験を目的としたAndroid端末への実装,および評価結果を述べる.

7B-5 (時間: 10:20 - 10:40)
題名複合的なセンシング処理を端末ハードウェアの構成に合わせて最小の電力で行うセンシングミドルウェア
著者*佐藤 卓也, 長谷川 英司, 中尾 学, 上和田 徹, 松本 達郎 (富士通研究所)
Pagepp. 1575 - 1580
Keywordスマートフォン, センシング, 省電力
Abstract現在のスマートフォンには様々なセンサが搭載されており,センサを使って人の行動や周辺の状況を継続的にとらえてサービスを提供する事例が増えている.しかし,行動や状況を継続的にとらえるためにはセンシングを継続的にする必要があり,消費電力が増える要因となっている.これに対し,センシング処理を省電力なコプロセッサで行い,条件を満たした時だけCPUをwakeすることで消費電力を抑える技術が実現されている.しかし,複数のセンシング結果を活用する場合,それぞれのセンサでイベントが生じるたびに複数のセンシング結果が条件を満たしたかを判定するために消費電力の高いCPUがwakeされてしまう.そこで,複数のセンシング結果の判定を省電力なコプロセッサで行うセンシングサブシステムを提案する.また,アプリ開発者がセンシングサブシステムの有無といった端末のハードウェア構成を意識しなくても,構成に合わせて最小の電力でセンシング処理を行うAPIとミドルウェアを提案する.そして,これらの提案手法を実装し,消費電力を評価した.この消費電力をもとに業務支援での利用を想定した試算を行い,今回の提案手法により4.1%の消費電力が削減されることを確認した.