題名 | 多数の近接する無線LANにおけるスループット向上を目指す伝送レート制御とトラヒック量制御 |
著者 | *磯村 美友, 熊谷 菜津美, 森内 彩加 (お茶の水女子大学), 村瀬 勉 (NEC), 小口 正人 (お茶の水女子大学) |
Page | pp. 589 - 594 |
Keyword | 無線LAN, QoS, キャプチャエフェクト, 伝送レート, Performance Anomaly |
Abstract | 近年,モバイルルータやテザリングなどの普及により個人が移動無線LANを持ち歩き,会議の場やカフェなど外出先で利用する機会が増えている.その結果,会議の場やカフェなど人が多く集まる場所で,一カ所に多くの無線LANが集中する場合がある.また,個人が持つような移動WLANにおいては,1つのWLANの構成にも変化がある.移動WLANのAPと端末の距離は,天井や壁に固定されたAPを使用する従来のWLANのAPと端末の距離より近い.すると,無線LAN 同士の電波が非常に多く重なってしまうことで,互いに干渉を及ぼし合い,全ての無線LANのスループットなど通信品質を大きく低下させてしまう恐れがある.多数のWLANが近接して存在する場合には,干渉を避けたチャネルのみを使用する事は難しく,近隣チャネルもしくは同一チャネルの使用が避けられない.すると, Performance Anomalyが全WLANに及ぼす影響が大きくなり,大幅な性能劣化が避けられなくなる.また,従来よりもキャプチャエフェクトやWLAN組数の影響が大きくなると考えられる.そこで,多数の無線LAN が近接する場合の,キャプチャエフェクトの働きとPerformance Anomalyの影響度を実機にて評価し,レート自動調整機能が性能劣化の主要因であることを示す.また,その性能劣化に対する対策として,伝送レートを固定する制御とトラヒック量を制限する制御を提案する. |
題名 | 都市部における無線LANチャネルの相対的な干渉レベルの推定手法 |
著者 | *梶田 宗吾 (大阪大学 情報科学研究科), 山口 弘純, 廣森 聡仁, 東野 輝夫 (大阪大学 情報科学研究科 モバイルコンピューティング講座), 梅原 茂樹, 齊藤 文哉, 浦山 博史, 山田 雅也 (住友電気工業株式会社), 前野 誉, 金田 茂 (スペースタイムエンジニアリング), 高井 峰生 (大阪大学/カリフォルニア大学ロサンゼルス校) |
Page | pp. 595 - 604 |
Keyword | 無線LAN, 都市環境, 干渉, チャネル選択, フレーム監視 |
Abstract | 近年,都市部においては,ホットスポットやオフィスのアクセスポイントなど多様な2.4GHz帯無線LAN基地局が密に設置されつつあり,またモバイルルータなどの移動アクセスポイントを保有するユーザも増加している.しかし,2.4GHz帯においてそのように多数の基地局が限られた周波数帯を用いる場合,無線信号の干渉の影響によるフレーム誤りや空間利用率の低下が懸念される.そこで本研究では,基地局が密に設置されているような都市環境における,無線LANのチャネルで予想される被干渉の程度を,フレーム監視により得られる各チャネルでの干渉トラフィック量とRSSに基づき相対的に予測する手法を提案する.これにより,絶対的な性能を推測するのではなく13チャネルの中から相対的に良好なチャネルを選択可能とすることを目的とする.予測は事前に代表値を用いた網羅的シミュレーションとその重回帰分析によって得た性能影響予測モデルを用いて行う.提案手法を評価するため,アクセスポイントとそのクライアントが,面的に存在するアクセスポイント群およびそのクライアントから干渉を受ける都市部の状況を想定したシミュレーション実験を行なった結果,最もフレーム到達率が高いチャネルを,観測フレームのみから予測することができた. |
題名 | 動物を利用した環境調査のための遭遇検知による効率的なデータ転送手法の提案 |
著者 | *伊藤 昌毅, 中川 慶次郎, 小林 博樹, 瀬崎 薫 (東京大学) |
Page | pp. 605 - 612 |
Keyword | 環境調査, DTN, センサネットワーク, 動物間通信, 行動認識 |
Abstract | 本研究では,DTNを用いた動物間マルチホップ転送方式による調査手法の「動物間ネットワーク」の実現のために,動物の個体間遭遇時のデータ運搬に着目する.従来の手法と技術的な課題を整理し,動物の習性行動を逆利用した効率的かつ長期的な調査が可能なデータ運搬手法の提案を行う.具体的には,動物同士が接近した際に生じる習性行動を3軸加速度センサーで解析し,動物間通信の引き金とすることで動物の習性を利用したデータ転送を実現する.また動物同士の接近回数から個体ごとの最大行動域を推定し,データ交換の優先度を変えることでより拡散しやすいデータの中継を行う.これにより通信時間の省電力化を行い,立入れない森林地域の長期的な環境調査を実現させる.本研究では福島第一原子力発電所周辺地域を対象に想定し,森林地域で調査員が行っていたセンシングやデータ運搬の役割を動物に移管させることで,人が立ち入ることが出来ない場所における長期的な環境調査の手法を確立をめざしている.本稿では,提案手法を実装し,イヌを利用した実験において遭遇の認識や送受信の可否,消費電力の評価などを通して提案手法の有効性を実証した. |
題名 | モバイルデータオフローディングプロトコル(MDOP)の提案 |
著者 | *西岡 哲朗, 木谷 友哉, 太田 剛, 峰野 博史 (静岡大学) |
Page | pp. 613 - 620 |
Keyword | モバイルデータオフローディング, 遅延耐性通信 |
Abstract | 近年の様々なモバイル端末の普及によって,携帯電話回線の基地局を使うモバイルデータ通信の需要が急激に増加しており,今後も継続してモバイルデータ通信の需要は指数関数的に増加すると予想される. 携帯電話キャリアはWi-Fi アクセスポイントを公共施設などに設置することでモバイルデータ通信量を固定回線へと迂回させてモバイルデータオフローディングを行っているが,Wi-Fiアクセスポイントの接続可能範囲が狭く,屋外などWi-Fi アクセスポイントから離れたモバイル端末はオフローディングの対象に含まれない. そこで遅延耐性のあるモバイルデータを対象とし,遅延耐性通信(DTN:Delay Torelant Network)を用いてモバイルデータオフローディングを実現するモバイルデータオフローディングプロトコル(MDOP:Mobile Data Offloading Protocol)を提案する. MDOPはモバイルデータ通信の負荷を通信路,空間,時間の三つの次元で分散する特徴を持ち,それぞれ時間的オフローディング,空間的オフローディング,通信路的オフローディングを実現する. 本稿では,移動端末や基地局の状況に応じてどのように各オフローディング手法を切り替えるかを検討した. |
題名 | 災害時DTN通信でのハンドシェイク型マルチホップメッセージの転送方式 |
著者 | *山下 諒馬, 高見 一正 (創価大学大学院 工学研究科 情報システム工学専攻) |
Page | pp. 621 - 626 |
Keyword | Delay/Desruption Tolerant Network, 災害時無線通信, 電池消費, マルチホップ, ハンドシェイク型プロトコル |
Abstract | 広域災害では,設備障害,電力不足のため携帯電話等の公共性の高い通信は,いつものようには利用できなくなり,被災地域内の安否確認に支障をきたすことが予想される.そのような場合に,被災者が携帯端末を保持していることを想定し,それらの端末と救助者の携帯端末及び避難所サーバがDTN(Delay/Disruption Tolerant Network)を構築する.安否情報を集約するための被災者と情報運搬者の各端末間及び,情報運搬者と避難所の端末とサーバ間の通信の各プロトコルを提案し,ネットワークシミュレータに提案プロトコルを実装して,新宿をモデルとした被災地域に被災者をランダムに分布させたモデルを構築した.Epidemic Routingと比較し、安否情報の避難所までの到達率とデータ集約過程を評価し,既存方式と提案手法の電池の消費量を算出した.. |