題名 | 無線中継局と干渉除去におけるブロードキャスト通信に関する考察 |
著者 | *西田 昇平 (大阪大学大学院情報科学研究科), 山崎 景太, 猿渡 俊介 (静岡大学大学院情報学研究科), 渡辺 尚 (大阪大学大学院情報科学研究科) |
Page | pp. 309 - 317 |
Keyword | 重畳符号化, 逐次干渉除去, マルチホップ通信, Spinal符号 |
Abstract | 無線通信を使用する端末が増加傾向にあることから無線資源の利用効率を高めることが求められている.これに向けて,2つの端末に対する異なる2つの信号を1つの信号に重畳して送信することができる重畳符号化や,2つの端末から送信される異なる2つの信号を1度に受信することができる逐次干渉除去による無線通信のスループット向上が期待されている.本稿では,重畳符号化および逐次干渉除去をマルチホップ通信と組み合わせることにより,基地局が宛先端末まで直接通信するよりも高速に通信できる通信方式について述べる.評価では,計算機シミュレーションを用いて直接送信する場合よりも高速な通信を実現することを示す. |
題名 | 無線通信の高速化に向けた中継全二重通信のための全二重無線通信装置の基礎的実装 |
著者 | *中川 翔 (大阪大学大学院情報科学研究科), 杉山 佑介 (静岡大学大学院情報学研究科), 木崎 一廣 (通菱テクニカ株式会社(TRT)生産技術推進センター), 猿渡 俊介 (静岡大学大学院情報学研究科), 渡辺 尚 (大阪大学大学院情報科学研究科) |
Page | pp. 318 - 330 |
Keyword | 無線高速化, 全二重通信, ソフトウェア無線, マルチホップ |
Abstract | 全二重無線通信をマルチホップネットワークに適用することでマルチホップネットワークのend-to-end のスループットを向上させることができる.マルチホップネットワークに全二重無線通信を適 用したMAC プロトコルとして,筆者らはRelay Full-Duplex MAC (RFD-MAC) を提案している. しかしながら,RFD-MAC では理想的な環境を想定した計算機シミュレーションを用いた評価のみをしており,実環境での特性については明らかにされていない. 本稿では,全二重無線通信装置を実装して,実環境におけるマルチホップ通信を用いた中継全二重通信の特性を明らかにすることを目指す. 全二重無線通信装置はアナログキャンセレーションとしてバラン回路を用いて自己干渉を除去するバランキャンセレーションとソフトウェア無線機としてWireless open-Access Research Platform v3 (WARPv3) を用いて構成した.アナログキャンセレーションの実装・評価の結果,バランキャンセレーションでは約35.6 dB のキャンセレーションを実現できた. |
題名 | 可視光タグシステムによる端末位置検出とアクセスポイントのキャリアセンス閾値制御による無線LANのスループット向上方法の基礎評価 |
著者 | *村上 航大, 伊藤 達哉 (静岡大学大学院 工学研究科 数理システム工学専攻 石原研究室), 石原 進 (静岡大学大学院 工学研究科 数理システム工学専攻) |
Page | pp. 331 - 338 |
Keyword | キャリアセンス閾値, 集約器, 光信号, 位置情報, 無線LAN |
Abstract | IEEE 802.11 Distributed Coordination Function (DCF) はフレームの衝突を回避するためにCarrier Sense Multiple Access (CSMA/CA) 方式を用いている.CSMA/CA 方式では,キャリアセンス閾値を適切な値に設定することで無線LAN の空間利用効率を改善することができる.各無線端末のキャリアセンス閾値をフレームの衝突を生じることなく高くすることができるならば,同一時間における送信可能な無線端末数を増加させ,無線LAN 全体のスループットを向上させることができる.2 台のAccess Point (AP) それぞれの近隣に端末(STA) が存在する場合,各STA は近くのAP から強い電力で信号を受信できるため,たとえ2 台のAP が同時に送信したとしても,各STA は正しくフレームを受信することができる.本稿では,STA の位置に応じてAP のキャリアセンス閾値を制御することで無線LAN のスループットを向上させるシステムを提案する.このシステムでは,複数のAP を集約して制御するコントローラを用いる.コントローラにはSTA の位置を取得するために,カメラが備え付けられているため,取得したSTA の位置に応じて,AP に適切なキャリアセンス閾値を与えることができる.シミュレーションにより,IEEE 802.11gAP2 台を50 m 離して配置し,STA をAP から15 m 以内に配置した場合において,提案システムは従来のDCF 方式よりも86% スループットを向上させることが確かめられた. |
題名 | 多チャンネル無線メッシュ網におけるリンク間干渉を最小化する経路制御法 |
著者 | *西前 太揮, 青木 謙尚 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 吉廣 卓哉 (和歌山大学システム工学部) |
Page | pp. 339 - 344 |
Keyword | 無線通信, 無線メッシュ網, 隠れ端末問題, 経路制御, CSMA/CA |
Abstract | 近年,有線ネットワークに比べ低コストで広範囲のネットワーク接続性を提供できる無線メッシュ網が注目されている.IEEE802.11に用いる無線メッシュ網においては,隠れ端末問題による電波の衝突が発生することで通信性能が大幅に低下する問題がある.複数の周波数チャンネルを用いることで隠れ端末問題による電波干渉を低減する研究も数多くあるが,IEEE802.11が2.4GHz帯において利用できる独立したチャンネル数は3であり,3チャンネル程度の少ないチャンネル数で十分に電波の衝突を低減できる仕組みは実現されていない.本研究では,多チャンネル無線メッシュ網において,電波が衝突するチャンネルの利用を避けながら迂回を許す経路制御により,従来よりも電波の衝突を低減する経路制御手法を実現する.本手法では,電波衝突の可能性があるリンクを経路として利用することを制限すること,及び,CSMA/CAに基づいた電波衝突モデルを導入した最適化問題を用いることによって,衝突の低減を実現する. |
題名 | 無線メッシュ網のための無線LANの時分割による仮想多チャンネル化 |
著者 | *Nenhuangmala Thippavanh, 吉廣 卓哉 (和歌山大学システム工学部) |
Page | pp. 345 - 350 |
Keyword | 無線LAN, 無線メッシュ網, CSMA/CA, 隠れ端末問題, RTS/CTS |
Abstract | 無線メッシュ網は,固定された無線基地局間を無線通信により接続したネットワークであり,活発に研究が進められている.無線メッシュ網では,単一の周波数チャンネルを時分割することで送信フレームの衝突を防ぐSTDMAを用いた研究が多数見られるが,ノード間の正確な同期が必要になり,スケーラビリティの問題が生じる.一方で,広く普及したIEEE802.11を用いた無線メッシュ網は,隠れ端末問題のため十分なスループットを発揮することができない問題がある.本研究では,IEEE802.11を対象として,緩やかに時分割をすることにより,単一周波数を仮想的に多チャンネル化する手法を提案する.提案手法を何らかのスケジューリング法と併用することにより,隠れ端末問題を生じない効率的な通信を実現できる.また,提案手法は緩やかに(ルーズに)同期すれば良いため,スケーラビリティの問題を生じないだけでなく, IEEE802.11との共存が可能である.このため,2.4GHz帯を用いた高効率な無線メッシュ網を実現することができる |