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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2014)シンポジウム

セッション 1E  ヘルスケア・医療
日時: 2014年7月9日(水) 13:20 - 15:00
部屋: 石庭・松風
座長: 新井 イスマイル (明石工業高等専門学校)

1E-1 (時間: 13:20 - 13:40)
題名医師不在地域における機械学習を用いた遠隔医療相談のプロセス改善に関する研究
著者*谷口 敦 (九州工業大学大学院先端機能システム工学専攻), 甲斐 瑛子 (九州大学大学院システム情報科学研究院), 井上 創造 (九州工業大学), 野原 康伸 (九州大学病院), Ashir Ahmed (九州大学), 中島 直樹 (九州大学病院)
Pagepp. 115 - 125
Keywordヘルスケア, 機械学習, 電子健康記録, 遠隔医療, 医師不在地域
Abstract現在,バングラデシュで遠隔医療を取り入れた大規模集約的健康診断,Portable Health Clinic を行っ ている.通信付き検査機器を使用し健診を行い,その健診結果を基に患者の選別を行った後,医師との遠 隔医療を受けてもらう生活習慣病の予防,または医師との遠隔相談を通した治療をするプロジェクトであ る.しかしながら,そういったプロジェクトの中でもリスクの高い患者が多く,以前として遠隔地の医師 の時間はとても貴重であることが分かった.本研究ではそのようなPortable Health Clinic の問診プロセス を改善する為に,医師が自然言語で書く患者の訴えなどを言語処理し,活用し健康診断および遠隔医療の プロセスを改善することを目的とする.

1E-2 (時間: 13:40 - 14:00)
題名ウェアラブル加速度センサを利用した姿勢改善補助システム
著者*森 祐馬, 榎堀 優, 間瀬 健二 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 126 - 130
Keyword姿勢改善, ウェアラブル, 加速度
Abstractスマートフォンの利用やコンピュータ上での作業などに集中してしまった結果,身体負荷の高い姿勢を継続してしまい,肩凝りや腰痛などを訴える人が増加している.そこで我々は姿勢が悪化した際に,その事を通知し,姿勢の修正を促す補助システムを提案する. 本システムは,身体特性を利用して姿勢をモデル化し,基準となる姿勢との乖離度で姿勢悪化を検出する.通知は音を利用し,種類やテンポを変化させることで姿勢悪化の状況を特定可能とし,適切な姿勢への修正を助ける設計とした. 提案システムを使ったタイピング作業中の姿勢維持実験の結果として,被験者全体で姿勢悪化時間が平均34.37±30.10%短縮できるという結果が得られた.システム有効時に通知音が鳴った場合は姿勢を修正する動作が見られたが,システム無効時は修正する動作は見られず,姿勢は悪化したままだった.システム有効時でも無効時と比べてミスタイプ率やタイピング速度の変化が見られなかったことから,システム利用による集中度低下は有意には認められないと考える.実験後のアンケート調査から,多くのユーザが通知音の変化から姿勢悪化の部位や程度を判別できていなかった.しかし,姿勢の修正が見られたことから,姿勢悪化の詳細まで通知する必要はなく,姿勢悪化を通知するだけでよい可能性も示唆された.

1E-3 (時間: 14:00 - 14:20)
題名音声からのストレス状態検出システムの開発
著者*松尾 直司, 早川 昭二, 原田 将治 (富士通), 武田 一哉 (名古屋大学), 降籏 喜和男 (警察大学校)
Pagepp. 131 - 137
Keywordユビキタス情報処理, ストレス, 非言語情報, 音声認識, 端末とセンター連携
Abstract音声信号処理を用いた見守り技術として,会話音声からのストレス状態の検出技術を開発し,更に,パソコンや普及が進んでいるスマートフォンなどを利用した端末-センター連携システムのプロトタイプを開発した.本開発は,振り込め詐欺誘引通話検出といった安心安全のための独居高齢者の見守りや,顧客満足度向上のための顧客と従業員間のトラブルの早期検出や,走行中のドライバーの見守りなどの実現を目指している.本ストレス状態検出技術では,人がストレスを受けた時にのどが渇いて声の調子の変化,すなわち,音声のピッチとレベルが通常の状態から変わることを基に,ストレス状態らしさを推定する.更に,通常の会話からストレス状態を検出しないように,詐欺やトラブルなどに関連する特徴的なキーワードの検出を行い,これらの結果を統合して最終判定を行う.被験者にストレスを与える模擬会話を行って検出精度を評価した結果,90%以上の精度でストレス状態を検出できることが分かった.また,主に端末で検出処理を行う場合と,端末とセンターで連携して検出処理を行う場合のプロトタイプシステムを開発して動作確認を行った.

1E-4 (時間: 14:20 - 14:40)
題名KINECTを用いたベッド上の人体認識
著者*古橋 知大, 大村 廉 (豊橋技術科学大学 情報・知能工学系)
Pagepp. 138 - 143
KeywordKincet, RANSAC, 医療
Abstract看護や介護において,ベッド上での患者の状態を把握することは非常に重要である.例えば,ベッド上で長時間同じ姿勢でいることは褥瘡を発生させる原因となり,一日のうち長時間をベッド上で過ごさなければならない患者にとって非常に大きな問題となる.また,医療の質の向上には,ベッド上での異常な動きの検出による迅速な対応や,患者の動作の支援などが必要不可欠である.本研究では,Microsoft Kinectセンサを用いて患者の姿勢を取得するシステムの開発を行い,医療分野へ応用していくことを目的とする.本システムでは外れ値にロバストなモデルフィッティング手法として知られるRANSAC法(Random Sampling Consensus)によってベッド平面を推定し,距離画像から除去して,そこから人体認識を行う手法を提案し,ベッド上の患者の姿勢を取得する手法を提案する.実装したシステムについて,4名の被験者を対象に,仰臥位,側臥位,腹臥位の姿勢で実験を行った.出力から,すべての姿勢においてベッド平面の推定,除去,人体骨格の抽出に成功したことを確認した.

1E-5 (時間: 14:40 - 15:00)
題名行動認識に基づく自律回診支援ロボットシステムの実現
著者*岩本 真司 (豊橋技術科学大学情報・知能工学専攻), 大村 廉 (豊橋技術科学大学)
Pagepp. 144 - 151
Keyword行動認識, ロボット制御, 医療介護
Abstract少子高齢化社会においては,医療サービスを受ける人数が増加する一方,医療サービスを行う医療従事者の数が減少することで,医療従事者の負担の増加が問題となる.そこで,本研究では,行動認識技術と無線通信技術を活用し,回診補助ロボット単体による自律回診業務の実現を目指す.ロボットは,体温や血圧など複数のバイタル測定について個別にタスクフローを持ち,患者の両手首に装着された加速度センサからの行動認識結果に基づいて個別にタスクフローを進行させることで,複数測定の並列実行も考慮に入れながら患者の状況や行動を把握する. 本研究では,まず具体例として回診業務の一つである「血圧測定」をとりあげ,血圧測定について一連の作業を補助する手法を構築し,その後,一般化することで任意のバイタル測定に適用できる手法を検討する. 提案システムの有用性の検証のため,5人の被験者に対して,作成したタスクフローに沿って観測された行動の精度を測る実験を行った.実験の結果,適合率は平均で約80.0 %,再現率は約89.2 %となった.さらに,タスクフローの進行トリガとなる行動の認識精度からタスクフローの成功率を算出したところ,約95 %の確率でタスクフローが正しく遂行されることを確認した.