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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2014)シンポジウム

セッション 1B  ITSとセンシング
日時: 2014年7月9日(水) 13:20 - 15:00
部屋: 安土・桃山
座長: 澤野 弘明 (愛知工業大学)

1B-1 (時間: 13:20 - 13:40)
題名傾斜したスマートフォンによる自動車の3軸加速度算出手法
著者*木山 昇, 高橋 利光, 祖父江 恒夫 (日立製作所 横浜研究所), 相川 哲盛 (日立製作所 情報・通信システム社)
Pagepp. 16 - 23
Keywordスマートフォン, 加速度, オイラー角, ITS, 運転特性診断
Abstract近年,自動車のCAN情報を利用せず,スマートフォンに搭載されるセンサのみを活用するテレマティクスサービスの普及が進んでいる.しかし,例えば安全運転診断などの加速度情報を活用するサービスでは,スマートフォンの加速度センサの軸を車両の向きと一致させる必要がある.そのため,他のアプリケーションを並行して利用する場合には,画面の視認性が低いという問題点があった.そこで本稿では,任意の角度に傾斜して固定されたスマートフォンを利用して,自動車の3軸加速度を算出する手法を提案する.提案手法では,まず加速度及び方位角の変化量から,自動車の静止状態及び直進状態を検出する.そして,両状態を検出した時の加速度データを用いて,スマートフォン基準の座標軸を自動車基準の座標軸に変換する回転行列を算出する.これにより,両状態検出以降は,スマートフォンの加速度センサ値から自動車の3軸加速度を算出することができる.評価実験の結果,提案手法による自動車の進行方向加速度の算出値は,従来手法と比較して96%の確率で±0.05G以下の誤差分布であり,急加減速(±0.5G)を検出する運転特性診断機能などに活用可能な精度で加速度を算出できることが確認できた.

1B-2 (時間: 13:40 - 14:00)
題名脈拍センサを用いた眠気警報システムの開発
著者*佐野 聡 (富士通研究所メディサービス研究部), 冨森 英樹, 増田 裕太, 小田切 淳一, 加藤 秀雄 (富士通研究所イメージコンピューティング研究部), 中野 泰彦 (富士通研究所メディサービス研究部)
Pagepp. 24 - 29
Keyword眠気検知, 心拍ゆらぎ, 脈拍センサ, 運行管理, 自律神経
Abstract交通事故の低減を目指し,ドライバの眠気発生を検知するシステムを開発した.眠気を推定する指標として心拍変動に注目し,ドライバに固有のスペクトルのピーク値の変化から眠気レベルを算出する.今回,トラックドライバ運行管理向けの眠気検知システムとして,心電計に比較して負荷の少ないイヤクリップ型の脈拍センサを開発した.運転環境下の外乱の影響を低減し,センサの装着不良やデータ異常値を判別除去することで,脈拍計測の信頼性を高めた.心電計と比較して,ピーク間隔において誤差率±3%以内で,99.7%の一致率を確認した.開発したセンサを用いて心拍変動を利用した眠気推定の実験を行い,顔面表情からの眠気正解値と比較した結果,従来,心電計を利用していた方法と同等の正解率78.2%が得られ,眠気検知システムに適用できることを確認した.

1B-3 (時間: 14:00 - 14:20)
題名シミュレーションによる超音波測位システムの測位誤差要因の検証
著者*屋良 朝克, 五百蔵 重典, 田中 博 (神奈川工科大学 大学院 工学研究科 情報工学専攻)
Pagepp. 30 - 35
Keyword超音波測位, シミュレーション, 測位誤差
Abstract筆者らは高精度な測位を実現させるため,電波などを用いたものより細かく測距分解能とれる超音波を用いた測位システムを構築した.その測位システムの測位精度は,水平方向で30mm,垂直方向で150mm程度の測位が可能であり,電波を用いたものより高精度である.しかし,現在使用しているマイコンの動作周波数による測距分解能から,シミュレーション上では,水平方向0.21mm,垂直方向0.72mmで測位が可能である事が分かった.本論文では,実際に発生している測位誤差要因の検証を行うため,超音波センサの取り付け誤差による影響,受信機と送信機の口径の寸法による影響,マイコンの水晶発振器の発振誤差による影響,温度測定誤差による影響を検証し,検証した測距誤差原因による測位誤差をシミュレーションにより検証する.

1B-4 (時間: 14:20 - 14:40)
題名二輪車の車体運動解析および二輪車による道路路面調査のためのセンシング機器の設計と試作
著者*木谷 友哉, 久保田 恭輔, 高田 宏輝, 神村 吏 (静岡大学)
Pagepp. 36 - 43
Keyword二輪車, 車体運動, センシング, 組込みシステム, リアルタイムシステム
Abstract本稿では,二輪車に車載するセンシングデバイスを設計し,試作を行った結果を報告する. このセンシングデバイスは,二輪車の車体運動のダイナミクスモデルを解析・検証すること,および,二輪車を用いて道路路面調査をするために使用される. そこで,それぞれの目的に対して取得が必要なセンシングデータの項目について考察し,それらを取得するための構成要素の設計を行った. 設計するセンシングデバイスは,市販の機器を用いて構成できることを目標とする. またユーザ参加型センシング向けのデバイスとして手軽に利用できるようにユーザビリティも考慮する. 最後に実際にセンシングデバイスを試作した結果を示す.

1B-5 (時間: 14:40 - 15:00)
題名SVMを用いた二輪車の運転挙動分類の基礎検討
著者*神村 吏, 木谷 友哉 (静岡大学大学院)
Pagepp. 44 - 52
Keyword二輪車, 機械学習, ITS
AbstractITS(Intelligent Transportation System)において,二輪車向けの安全運転支援システムは, 二輪車特有の車体運動の複雑さから開発されていないのが現状である. そのため我々は, 二輪車のITSサービスの創出のために, 二輪車の車体挙動に関するデータを収集し二輪車運動を解明するためのコーパスを作成している. このコーパスでは,後に機械学習で挙動を解析するために, データに挙動の種類などをラベル付けする必要がある. 大規模なコーパスを作成することを目標にするため, 取得したデータに自動的に正解のラベルが付けられることが望まれる. モーションデータへの自動ラベル付けは, 対象が人間の行動の場合は複雑で困難だが, 二輪車は道に沿って走行する, 可動部が少ないなどの制約が多いためラベル付けが自動化できると考える. GPSによる位置情報を使用し, 移動の曲率があるしきい値より大きかった地点を抜き出すことで,右左旋回の正解ラベルをつけることが可能となる. また,この位置情報によって作成されたラベル付きデータを使用し, SVM(Support Vector Machine)を用いることでより詳細なラベル付けを行う. 本稿では,コーパスを作成するために, 機械学習とGPSによる位置情報を用いて正解ラベルを取り付けるための分類方法を提案する. 二輪車にセンシングデバイスを取り付け収集したデータを, SVMの解析によって分類する実験を行った. SVMでの解析では特徴量の次元数の削減が問題となったが,200次元の特徴量を6次元に削減し良好な結果を得た. 6次元の特徴量で学習させたSVMで,90%を超える正確度で分類ができることを示し, 詳細な動作のラベル付けが可能であることを示した.