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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2013)シンポジウム
プログラム

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セッション表

表内のセッション名はそのセッション情報にリンクしています.

2013年7月10日(水)

ハルニレ・アカシア柏・ポプラ白樺紅葉・大扇銀鱗竹・梅エトワール
開会式 (大会場)
12:25 - 12:55
1A  統一テーマセッション-分散処理システム
12:55 - 14:35
1B  災害時通信
12:55 - 14:35
1C  マイクロブログとSNS
12:55 - 14:35
1D  センサネットワーク
12:55 - 14:35
1E  ITSプロービング
12:55 - 14:35
1F  コンテンツ提示
12:55 - 14:35
1G  位置推定
12:55 - 14:35
1H  認証と暗号
12:55 - 14:35
2A  統一テーマセッション-参加型センシング
14:50 - 16:50
2B  モバイルアプリケーション
14:50 - 16:50
2C  グループウェアとネットワークサービス
14:50 - 16:50
2D  コンテンツ制作
14:50 - 16:50
2E  車々間通信とセキュリティ
14:50 - 16:50
2F  ネットワーキング
14:50 - 16:50
2G  コンシューマデバイス
14:50 - 16:50
2H  ネットワークセキュリティ1
14:50 - 16:50
3A  統一テーマセッション-モバイルネットワーク
17:05 - 19:05
3B  アドホックネットワークとP2P
17:05 - 19:05
3C  実空間・拡張現実
17:05 - 19:05
3D  行動認識基礎
17:05 - 19:05
3E  ナビゲーション
17:05 - 19:05
3F  ネットワークセキュリティ2
17:05 - 19:05
3G  コンシューマネットワーク
17:05 - 19:05
3H  リスクコミュニケーションとセキュリティ運用支援
17:05 - 19:05
夕食 (大会場)
19:30 - 21:30



2013年7月11日(木)

ハルニレ・アカシア柏・ポプラ白樺紅葉・大扇銀鱗竹・梅エトワール
朝食 (大会場)
7:00 - 8:45
4A  統一テーマセッション-災害と信頼できるソーシャルメディア
8:45 - 10:25
4B  交通情報配信
8:45 - 10:25
4C  マルチメディアネットワーク
8:45 - 10:25
4D  屋外モニタリング
8:45 - 10:25
4E  教育とオノマトペ
8:45 - 10:25
4F  コンテンツ構成と配信
8:45 - 10:25
4G  ナビゲーション
8:45 - 10:25
4H  Web・応用システム
8:45 - 10:25
5A  統一テーマセッション-スマートITS
10:40 - 12:20
5B  位置情報システム
10:40 - 12:20
5C  クラウドと分散処理
10:40 - 12:20
5D  生体計測システム
10:40 - 12:20
5E  インシデント対策とトラスト
10:40 - 12:20
5F  コンシューマ・インタフェース
10:40 - 12:20
5G  センシング・センサネットワーク
10:40 - 12:20
5H  セキュリティとユーザビリティ
10:40 - 12:20
昼食・アウトドアセッション (セッション会場他)
12:20 - 14:30
6A  統一テーマセッション-UX
14:30 - 16:10
6B  位置情報システム2
14:30 - 16:10
6C  コンシューマデバイスと応用
14:30 - 16:10
6D  行動認識応用
14:30 - 16:10
6E  車両間情報共有
14:30 - 16:10
6F  コミュニケーション
14:30 - 16:10
6G  アドホックルーティング
14:30 - 16:10

SP  (大会場)
特別講演

16:25 - 17:25
DS  (エトワール)
デモセッション/企業展示

17:35 - 19:15
夕食 (大会場)
19:25 - 21:10
NS  (大会場)
ナイトテクニカルセッション
21:30 - 23:00



2013年7月12日(金)

ハルニレ・アカシア柏・ポプラ白樺紅葉・大扇銀鱗竹・梅エトワール
朝食 (大会場)
7:00 - 8:30
7A  統一テーマセッション-センサシステム
8:55 - 10:15
7B  無線LAN
8:55 - 10:15
7C  基盤システム
8:55 - 10:15
7D  ホームネットワーク
8:55 - 10:15
7E  OSSとプログラミング
8:55 - 10:15
7F  電力制御
8:55 - 10:15
7G  MAC層プロトコル
8:55 - 10:15
7H  ネットワークプロトコル
8:55 - 10:15
8A  統一テーマセッション-マルチメディアシステム
10:30 - 12:10
8B  QoS制御
10:30 - 12:10
8C  分散処理と仮想化
10:30 - 12:10
8D  ユビキタスアプリケーション
10:30 - 12:10
8E  災害時支援
10:30 - 12:10
8F  認証技術
10:30 - 12:10
8G  リソース最適化
10:30 - 12:10
8H  位置情報システム3
10:30 - 12:10
昼食 (セッション会場他)
12:10 - 13:10
閉会式・表彰式 (大会場)
13:10 - 14:00


論文一覧

(「*」印は講演予定者を表す)

2013年7月10日(水)

セッション 1A  統一テーマセッション-分散処理システム
日時: 2013年7月10日(水) 12:55 - 14:35
部屋: ハルニレ・アカシア
座長: 勝本 道哲 (勝本総合研究所)

1A-1 (時間: 12:55 - 13:35)
題名(招待講演) 分散処理の技術と実用化
著者*谷口 秀夫 (岡山大学大学院自然科学研究科)
Pagepp. 1 - 2
Keyword分散処理
Abstract処理を複数の箇所に分散して動作するシステムは、処理を分散させたシステム(分散処理システム)、および分散している処理を連携させたシステム(協調処理システム)に分類できる。これらの分散処理の主な目的は、負荷分散、機能分散、および処理連携(サービス連携)である。これらを支える技術について述べ、システムとして実用化する際の要件を述べる。また、今後の分散処理についても概観を述べる。

1A-2 (時間: 13:35 - 13:55)
題名クラウドロボティクスにおけるロボットの消費電力を考慮したタスク分散処理
著者*中川 幸子, 成田 雅彦, 土屋 陽介, 加藤 由花 (産業技術大学院大学)
Pagepp. 3 - 10
Keywordロボットサービス, WEBサービス, インターネット, タスク分散
Abstract近年,インターネット分野とロボット分野の融合が加速しており,クラウド環境への適用を前提とした様々なプラットフォームが提案されている.ただし,アクチュエーションを伴うロボットサービスを対象とした場合,実世界に発生する仮想環境との不整合の吸収や,同期タイミング,タスク実行中の別タスク発生などの不確実な実環境をクラウド側で考慮する仕組みが必要である.本稿では,ロボットサービス向けプロトコル仕様であるRSNP(Robot Service Network Protocol)を利用し,ケアサービス分野へのロボットサービス適用をめざした複数ロボットでのタスク分散処理によるケアロボットサービスを提案する.サービスではロボットの消費電力を考慮し,ユーザによるロボット遠隔操作を可能にしながら,複数ロボットの連携によるサービス継続を行う.さらにプロトタイプシステムを実装し,その有効性を検証する.

1A-3 (時間: 13:55 - 14:15)
題名ダミーの広範囲な分散を考慮したユーザ位置曖昧化手法
著者*加藤 諒, 岩田 麻佑, 原 隆浩 (大阪大学 大学院情報科学研究科), 荒瀬 由紀, Xing Xie (マイクロソフトリサーチアジア), 西尾 章治郎 (大阪大学 大学院情報科学研究科)
Pagepp. 11 - 18
Keyword位置情報サービス, 位置プライバシ, GPS, ダミー
Abstract近年注目を集めている位置情報サービスでは,サービス利用時にユーザの位置情報をサービスプロバイダへ送信する必要があり,位置情報が第三者に流出することで,ユーザの個人情報が漏洩する可能性がある.このようなプライバシを保護するために,筆者らの研究グループでは,先行研究において,実環境における制約条件を考慮し,停止しながら移動するダミーの位置情報を生成するユーザ位置曖昧化手法を提案した.しかし,この手法で生成されたダミーは,時間の経過にしたがって狭い範囲に密集してしまい,ユーザの位置を十分に曖昧化できていないことがわかった.そこで本稿では,定期的にダミーをユーザや他のダミーの存在数が少ない位置に移動させることで,時間に依らず,ダミーを広範囲に分散させるユーザの位置曖昧化手法を提案する.地図上でユーザの動きをシミュレートし,先行研究の手法と比較した結果,提案手法の方が十分にユーザの位置を曖昧化できていることを確認した.

1A-4 (時間: 14:15 - 14:35)
題名ダイナミックな環境変化を考慮したデータ転送制御を可能とする低トラフィック型分散処理システムの提案
著者*佐々木 靖彦, 寺西 裕一 (情報通信研究機構/ネットワーク研究本部), 村田 正幸 (大阪大学/大学院情報科学研究科/情報ネットワーク学専攻)
Pagepp. 19 - 25
Keyword分散処理, Internet of Things, トラフィック制御
Abstract従来に比較して圧倒的に大量・多量なモノ,センサー,ヒトがつながれるInternet of Things(IoT)の時代に向けて,著しく増加するトラフィックに起因する種々の問題を解決できる新しいネットワークシステムが求められている.これに対し,我々は,アプリケーションセマンティクスを考慮して“変化”や“違い”を柔軟かつ論理的に定義・表現・処理し,必要な情報のみを厳選して転送可能とすることでシステム中を流れる総トラフィックが抑制できるような分散処理システム技術(デルタエンベデッドネットワークシステム,NS)を開発してきた.本稿では,このような従来のNSに対する機能拡張として、データ転送の選別を行う際にアプリケーションの重要度に応じた優先度付けを与える方式について提案する.ダイナミックな環境変化をも考慮することが可能なきめ細かいトラフィック制御を行うために,特権DDとユーザDDよりなる階層化DDを用いたデータ転送制御手法を活用する.提案システムの効果を確認するために行った実験では,バッテリ駆動の処理ノードにおける残存電力が時間とともに変化する仮想ノード環境において,提案手法を用いた処理ノードが,重要度の高いアプリケーションにおいて従来より長時間の動作を可能とすることをシミュレーションにより機能確認する.


セッション 1B  災害時通信
日時: 2013年7月10日(水) 12:55 - 14:35
部屋: 柏・ポプラ
座長: 中村 嘉隆 (公立はこだて未来大学)

1B-1 (時間: 12:55 - 13:15)
題名大規模災害時の3G通信不可能エリアにおける情報発信および収集を可能とするDTNベースメッセージ中継法の提案と評価
著者小山 由 (奈良先端科学技術大学院大学), *水本 旭洋 (奈良先端科学技術大学院大学,日本学術振興会特別研究員DC), 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 26 - 33
Keyword災害時通信, DTN, Social Networking Service, すれ違い通信, ルーティング
Abstract本稿では,大規模災害発生によりセルラ通信が利用不可能になった地域においても,スマートフォンを用いて安否確認情報の送信および取得を可能にするDTN(Disruption/ Delay Tolerant Networking)に基づいたメッセージ中継法を提案する.提案手法では各ユーザのセルラ通信状況と時刻を含めた移動履歴に加え,他ユーザ端末との遭遇履歴を記録し経路表を作成する.この経路表を利用し,より短い時間で到達する可能性の高いユーザへメッセージを中継することでセルラ通信が可能なエリアおよび特定ユーザに向けて効率よくメッセージを配送する.現実的なマップおよびモビリティモデルを用いた計算機シミュレーションを行い,メッセージ到達率などに関してエピデミックルーティングと比較を行った結果,通信可能なエリアと通信不可能なエリアのユーザへのメッセージ中継において,それぞれ到達率が80%,70%と,エピデミックルーティングに匹敵する性能を達成した上で,交換された総メッセージ数を,エピデミックルーティングに比べ,それぞれ30%,45%削減することができた.

1B-2 (時間: 13:15 - 13:35)
題名耐災害NDNベース分散型アプリケーションの情報伝達性能に対するユーザ移動モデルの影響評価
著者*小河原 健生, 川原 圭博, 浅見 徹 (東京大学大学院情報理工学系研究科)
Pagepp. 34 - 42
KeywordP2P, Named Data Networking, 階層型IDベース暗号, 耐災害アプリケーション
Abstract災害時においては,安否確認や被災状況など周囲状況の的確な把握が被害拡大を防ぐ上で重要となる.しかしながら,そのような情報の伝達を担う携帯電話網などの通信インフラは大規模な災害時には機能しないことが多い.その原因の一つは,現在の情報インフラは,サービスを提供および管理するサーバが利用できなくなると,基地局といった末端設備が健在でも機能しなくなる,センター集中型の構造をとっていることである.本研究では,災害時に断線などによりサーバ類が利用できなくなった場合にも,基地局など残存した設備を利用して局所的なネットワークを構築し,サービスを継続させることを目指す.そのために,Named Data Networking(NDN)により自立分散型ネットワークを構築し,Hierarchical ID-Based Encryption(HIDE)による自律認証を行うことで,災害時にも通常時同様に利用できるサービスおよびアプリケーションを構成した. 本稿では,ユーザの行動モデルがアプリケーションの情報伝達性能へ与える影響についてシミュレーションにより調査した.

1B-3 (時間: 13:35 - 13:55)
題名災害によるネットワーク不接続時のDelay/Disruption Tolerant Network接続を用いた安否情報送信法
著者*山下 諒馬, 高見 一正 (創価大学 工学部 情報システム工学科)
Pagepp. 43 - 48
KeywordDelay/Desruption Tolerant Network, 無線通信, 情報運搬者, 災害, 安否確認
Abstract広域災害では,設備障害,電力不足のため携帯電話等の公共性の高い通信は,いつものようには利用できなくなり,被災地域内の安否確認に支障をきたすことが予想される.本稿では,被災者が携帯端末を保持していることを想定し,それらの端末と救助者の携帯端末及び避難所サーバがDTN(Delay/Disruption Tolerant Network)を構築し,安否情報を集約するための被災者と情報運搬者の各端末間及び情報運搬者と避難所の端末とサーバ間の各プロトコルを明確化した.また,ネットワークシミュレータに提案プロトコルを実装して,1. 2km2の被災地域に被災者をランダムに分布させたモデルを構築した.被災者数,情報運搬者数,等を変化させ,安否情報の避難所までの到達率とデータ集約過程を評価し,被災者数の1/5程度の情報運搬者を配備すれば,安否情報を95%以上集約できることを確認した.

1B-4 (時間: 13:55 - 14:15)
題名孤立LANからのHTTP通信によるインターネット接続のためのMANET中継方式
著者*清水 正明, 等々力 宏之, 高見 一正 (創価大学 工学部 情報システム工学科)
Pagepp. 49 - 55
KeywordMANET, 孤立LAN, HTTP, ルーティング, アドレス変換
Abstract近年,固定インフラを必要とせず,移動端末同士の直接通信により,一時的に自律型のネットワークを構成するモバイル・アドホック・ネットワーク(Mobile Ad-hoc Network : MANET)が注目されており,災害時などへの応用方法や,MANETとインターネットとの相互接続に関する検討も行われている.本稿では,災害時の広域ネットワーク障害、等によりインターネットに接続不能な状態に陥ったLAN(以下,孤立LAN)を,MANETを経由してインターネットに接続するための所要機能について検討した.具体的には,孤立LANとインターネット接続点にMANET経由機能を具備したアクセスポイント(Access Point : AP)を配置し,MACアドレスルーティング,MAC/IPアドレス変換,AP間フロー制御の各機能を提案した.また,MANETエミュレータに提案機能を実装してHTTP通信により提案機能の有効性を評価した.


セッション 1C  マイクロブログとSNS
日時: 2013年7月10日(水) 12:55 - 14:35
部屋: 白樺
座長: 大平 雅雄 (和歌山大学)

1C-1 (時間: 12:55 - 13:15)
題名イベント開催前から開催後まで一連の流れに沿ってコミュニケーションを支援するシステム
著者*閑野 伊織, 田中 二郎 (筑波大学大学院 システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻)
Pagepp. 56 - 63
Keywordコミュニケーション支援, 共通点, スマートフォン, SNS, ライフログ
Abstract初対面の相手とコミュニケーションを行う場面は誰もが直面することであるが,誰もが円滑なコミュニケーションを行えるとは限らない. 円滑なコミュニケーションが行えなかった場合,相手に対して良い印象が残らず,その後の関係が気まずくなってしまう問題がある. この問題を解決するために,我々は初対面の相手とのコミュニケーションにおいて共通点が見つかると途端に親近感が湧き,より密なコミュニケーションが行えるという点に着目した. 本研究では,この「共通点」をイベントの開催前,開催中,開催後のそれぞれにおいて提示することで,初対面の相手とのコミュニケーションを支援することを目的として,共通点を提示するシステムを開発した. 共通点の取得にはSNSから取得したプロフィール情報とスマートフォンから取得した位置情報を用いている. 本研究では特に,イベントの一連の流れに沿って支援することを目標として,イベント開催前に予め参加予定者の中から話してみたい人を探し,イベント開催時に実際に会ってコミュニケーションを行い,イベン開催後に誰といつどこでコミュニケーションしたのか振り返ることができるよう配慮した.

1C-2 (時間: 13:15 - 13:35)
題名二段階抽出法を用いた実生活Tweetのマルチラベル分類
著者*山本 修平 (筑波大学大学院図書館情報メディア研究科), 佐藤 哲司 (筑波大学図書館情報メディア系)
Pagepp. 64 - 71
Keyword実生活, Twitter, LDA, 二段階抽出法, マルチラベリング
Abstract身近な出来事や感心事を投稿し共有するTwitter 上には,食事や交通,災害,気象など,様々な生活の局面で有益なTweet が数多く投稿されている.本研究では,これらのような有益なTweet を抽出するために,二段階抽出法を用いたマルチラベリングを提案する.第一段階では,大量のTweet に対して教師データを必要としないLDAを用いてトピックを抽出し,第二段階では,ラベル付けされた少量のTweet を用いてトピックと局面の対応関係を構築する.未知のTweet に対して局面毎にスコアを算出し,スコアの分布の平均と標準偏差を用いて閾値を決定し,スコアが閾値を超えた複数の局面を動的に付与する.プロトタイプシステムを実装・評価を行い,未知のTweet に対して複数の局面を柔軟に付与できることを明らかにした.

1C-3 (時間: 13:35 - 13:55)
題名投稿活動の変化に着目したマイクロブログユーザの可視化手法の提案
著者*山口 裕太郎, 山本 修平 (筑波大学図書館情報メディア研究科), 佐藤 哲司 (筑波大学図書館情報メディア系)
Pagepp. 72 - 79
Keywordマイクロブログ, 投稿活動, 時系列, 可視化
Abstract近年Twitterに代表されるマイクロブログが注目を集めている.2006年にサービスを開始したTwitterは,2012年には5億ユーザを突破している.Twitterでは,ユーザは,ツイートと呼ばれる長さが140文字に制限された記事を投稿できる.本論文では,ユーザがマイクロブログに記事を投稿する時間帯や頻度,リプライやリツイートなどの機能,ツイートの文字数といった,投稿を構成する要素を投稿活動と定義し,ユーザがアカウントを作成した時点から利用を続けていく過程における投稿活動の変化を明らかにすることを試みる.そのために,一定期間におけるユーザの投稿活動を,投稿頻度や投稿文字数などの特徴量でクラスタリングし,クラスタ間の遷移確率を用いて時間縦断分析を行う手法を提案する.提案手法を用いて1年間の日本語のTwitter記事を対象とした分析を行い,分析で得られた結果を踏まえマイクロブログユーザの可視化システムを実装したので報告する.

1C-4 (時間: 13:55 - 14:15)
題名同一ツイートをリツイートしたユーザ群の情報を用いたユーザ推薦アルゴリズムの提案
著者*黒柳 智士, 鈴木 浩 (神奈川工科大学大学院工学研究科), 服部 哲, 速水 治夫 (神奈川工科大学)
Pagepp. 80 - 83
KeywordTwitter, ユーザ推薦, リツイート, 話題傾向, 潜在的興味

1C-5 (時間: 14:15 - 14:35)
題名Pixiv におけるキャラクタータグを検出する手法の検討
著者*竹渕 瑛一, 山田 泰宏 (神奈川工科大学大学院博士前期), 猪狩 知也, 鈴木 浩, 服部 哲, 速水 治夫 (神奈川工科大学大学院)
Pagepp. 84 - 88
Keywordフォークソノミー, タグ, タグ検出, コンテンツ分類
Abstractイラスト投稿型SNS の一つであるPixiv では,多くの二次創作イラストが投稿されている.Pixiv では,ユーザがイラストに対し自由にタグ付けできる.また,二次創作イラストが多いため,タグの特徴 として作品タイトルを表すジャンルタグと,そのキャラクターを表すキャラクタータグがよく付けられる. 一方で,Pixiv ではこの2 種類のタグについて区別を行なっていない.本研究では,与えられたイラスト のタグ群からキャラクタータグを検出する手法(キャラクタータグ分類法)について検討を行った.提案 手法は与えられたタグ群のジャンルタグに対して,よく付けられやすいタグをキャラクタータグとする. 実験では提案手法の適合率と再現率,F 尺度について求め,評価を行った.


セッション 1D  センサネットワーク
日時: 2013年7月10日(水) 12:55 - 14:35
部屋: 紅葉・大扇
座長: 大村 廉 (豊橋技術科学大学)

1D-1 (時間: 12:55 - 13:15)
題名太陽光発電を用いた可動式WSNの海上フィールドの半永久被覆のための配置ノード数最少化手法
著者*上野 弘考, 勝間 亮 (大阪府立大学)
Pagepp. 89 - 94
Keyword無線センサネットワーク, エナジーハーベスティング, 半永久稼働
Abstract近年,無線通信機能を備えた多数のセンサノードからなる無線センサネットワーク(以下,WSN)の研究が盛んに行われている.センサノードが移動する可動式WSNに関する研究も多く,その代表例として海上モニタリングWSNが挙げられる.可動式WSNでは各ノードへの電力供給が困難で,有限のバッテリのもとでのWSN稼働時間の延長が大きな課題となっている.そこで,太陽光発電に代表される光や熱などの自然現象からエネルギーを取り出して再利用するエナジーハーベスティング技術を用いたWSNが注目され,WSNの半永久稼動が期待されている.本研究では,海上の環境をモニタリングするWSNを想定する.各ノードはスリープ時に太陽光発電によってのみ充電し,海流によって流され移動する.この海上可動式WSNを半永久稼働させるには配置ノード数を増やせば簡単に解決できるが,配置コストが高くなってしまう.本研究では,最少ノード数で海上可動式WSNの半永久稼働と対象領域全体のセンシングの維持を達成するために,各ノードによる分散計算によりセンシング/スリープのスケジューリングを行い,必要に応じてノードを移動させる手法を提案する.

1D-2 (時間: 13:15 - 13:35)
題名クラスタツリー無線センサネットワークのための適応的同期制御による低遅延化方式
著者*甲斐 成美, 小室 信喜, 阪田 史郎 (千葉大学大学院 融合科学研究科)
Pagepp. 95 - 100
KeywordIEEE 802.15.4, マルチホップ, 低遅延化, クラスタリング, ビーコンスケジューリング
Abstract無線センサネットワークにおいて,低消費電力化は重要な課題である.また,防犯・防災など,アプリケーションによっては低遅延,高配信率化も同じく重要である. 無線センサネットワーク向けの標準通信プロトコルであるIEEE 802.15.4 のビーコンモードでは,低消費電力化を達成するためにビーコンという同期信号と,BO, SO というDuty Cycle に関するパラメータを用い,同期とスリープ制御を行なっている.このビーコンによる同期のタイミングと,Duty Cycle によって,電力,遅延,配信率に関する性能は大きく影響を受ける. 本稿では,IEEE 802.15.4ビーコンモードにおいて,トポロジに応じた適切なクラスタリングと,アクティブ期間のスケジューリングを行うことにより,低消費電力,低遅延,高配信率を実現する方式を提案する.シミュレーションによる性能評価を行い,提案方式の有効性を示す.

1D-3 (時間: 13:35 - 13:55)
題名エナジーハーベストによって駆動する無線センサネットワークのためのレートレス符号化
著者*稲葉 友紀, 猿渡 俊介 (静岡大学大学院情報学研究科), 渡辺 尚 (大阪大学情報科学研究科)
Pagepp. 101 - 108
Keywordエナジーハーベスト, レートレス符号化, 無線センサネットワーク
Abstract環境発電型無線センサネットワークでは,得られる電力が環境に依存して不安定であるという問題が存在する. 本稿では,電源が不安定である環境下でも高いデータ収集率を実現するレートレス符号化を用いたデータ収集プロトコル「Burnet」を提案する. Burnetでは,過去に発生したセンサデータや他ノードから受信したセンサデータを複数選択してXOR演算することにより符号化パケットを生成して送信する. シンクノードへの経路の途中のノードにおいて電力の変動により,一部のセンサデータが損失したとしても, シンクノードでは,受信した複数の符号化パケットから損失したセンサデータを復元する. 計算機シミュレーションによってBurnetを評価した結果として, 既存の環境発電型無線センサネットワーク向けのデータ収集プロトコルよりも高いデータ収集率を達成できることを示す.

1D-4 (時間: 13:55 - 14:15)
題名ソースルーティングを用いた双方向通信型geocastの実現
著者*小林 弘輝 (公立はこだて未来大学大学院), 中村 嘉隆, 高橋 修 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 109 - 115
Keywordネットワークアーキテクチャ, アドホックネットワーク, ルーティングアルゴリズム, geocast
Abstract近年,無線通信を行うことのできる機器の低価格化が進み,様々な機器で通信を行うことができるようになってきている.その際の近距離通信や通信のインフラストラクチャの整っていない場所での通信の場合,通信機器のアドホックモードを利用した端末間での無線通信が行われている.このようなネットワーク形態をMANETと呼び,近年注目を集めている.またこのMANETにおいては,このような通信機器を複数端末利用して行うマルチホップ通信技術も研究されており,通信のインフラストラクチャのない場所でも遠隔地同士で通信を行うことができる.しかし,このマルチホップ通信ではビットエラーや干渉等により,頻繁にリンクの切断や再送の問題が発生することがわかっている.このため,通信が安定した有線ネットワークを前提に提案された信頼性のあるトランスポートプロトコルをMANET環境に適用すると,性能の低下が著しいことになる.本研究では,電界強度や位置情報に着目して,電波干渉を軽減するため迂回経路を用いてマルチパス通信を行う方式の性能確認を行う.また,ネットワークシミュレータ上で実験・評価を行うことにより本方式の性能を考察する.


セッション 1E  ITSプロービング
日時: 2013年7月10日(水) 12:55 - 14:35
部屋: 銀鱗
座長: 小口 正人 (お茶の水女子大学)

1E-1 (時間: 12:55 - 13:15)
題名クラウドを利用した周辺環境情報にもとづく高速自車位置推定手法の提案
著者*林 宗佑, 楊 世偉 (同志社大学大学院理工学研究科), 島田 秀輝 (同志社大学理工学部), 佐藤 健哉 (同志社大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 116 - 123
KeywordGPS, SIFT, SURF, MapReduce

1E-2 (時間: 13:15 - 13:35)
題名車載スマートフォンにおけるプローブデータ圧縮方式
著者*柿澤 浩仁, 中瀬 裕多 (神奈川工科大学情報学部情報工学科), 北上 眞二, 寺島 美昭, 齋藤 正史 (三菱電機(株)), 清原 良三 (神奈川工科大学情報学部情報工学科)
Pagepp. 124 - 130
KeywordITS, データ削減, テレマティクス
Abstractスマートフォンの普及により,無料で利用できる通信機能を活用したカーナビゲーションシステムとしての利用が爆発的に増えることが想定される. 即ち,携帯電話網を活用したテレマティクスサービスが爆発的に普及する.現在は通信費を気にせずに利用できる定額制が導入されているが、今後従量制なることも想定されるテレマティスクスサービスにおいてはアップリンク,ダウンリンクともに大量のデータ送受信が行われる.コスト面を考えた場合,ユーザ,キャリア,サービス提供者のいずれかの負担が大きくなるためこれらのデータ通信量を如何に減らすかが重要な課題となる.通信回線に余裕があるときにはそれほどデータサイズを気にする必要はないが、多数のスマートフォン利用者が集中してデータ通信を行った場合に本研究の圧縮アルゴリズムに有用性があると評価できる.本論文では,アップリンクのデータ通信に着目し,その削減方式を提案し,効果があることを確認した.

1E-3 (時間: 13:35 - 13:55)
題名スマートフォンを用いた路面状況変化の検知手法
著者*野村 智洋, 牧野 友哉 (公立はこだて未来大学大学院システム情報科学研究科), 白石 陽 (公立はこだて未来大学システム情報科学部)
Pagepp. 131 - 138
Keywordスマートフォン, ログデータ, 路面状況推定, モバイルセンシング, プローブ情報システム
Abstract近年,携帯端末の中でも,GPSや加速度センサなどの様々なセンサを搭載したスマートフォンの普及が進んでいる.そのような携帯端末を利用することで,粒度が高く多種多様な情報を大量かつ容易に収集することが可能となってきた.このような情報をネットワークを介して共有し,新たな情報を生成するプローブ情報システムが注目されており,現在,交通情報や環境情報の共有に活用されている.本稿ではこのように共有される環境情報の中でも,自動車の快適な運転や乗り心地に関わるものとして,路面状況に着目する.路面状況は変化するものであるため,特に冬期においては「轍が発生した」などという事実も共有する必要がある.既存研究として,固定カメラや車載カメラ,加速度センサを利用した研究が存在するが,導入コストの削減やロバスト性の向上,路面状況の変化の検知ができないなどの課題がある.そこで,本稿ではスマートフォンを用いて路面状況を推定し,路面状況変化を検知する手法を提案する.提案手法では,自動車に設置したスマートフォンのセンサを用いて路面状況を推定し,過去の推定結果と比較することで路面状況の変化を検知する.

1E-4 (時間: 13:55 - 14:15)
題名車載カメラ画像を用いた対向車線の渋滞状況の把握手法
著者*進藤 瞭 (公立はこだて未来大学大学院 システム情報科学研究科), 白石 陽 (公立はこだて未来大学 システム情報科学部)
Pagepp. 139 - 146
Keywordセンシング, 車載カメラ, 渋滞把握, 対向車検知, 車速推定
Abstract近年,走行中の車両にセンサデバイスを搭載し,交通状況を取得するプローブ情報システムが注目されている.プローブ情報システムの例として,渋滞の原因や渋滞の範囲などの渋滞状況を共有するVICS(Vehicle Information and Communication System)が普及している.しかし,VICSでは,情報を取得したい道路にセンサを設置する必要がある.さらに,VICSが提供する交通事故や道路工事といった渋滞の原因は簡易的なアイコンで表示されており,運転手にとって直感的な提示方法ではない.運転手が渋滞の原因を直感的に把握するためには,カメラ画像の利用提示が有効であると考える.また,走行車線の前方をカメラで撮影する際,実際にその箇所まで近づかなければ渋滞の原因を把握できないため,事前に回避行動を取ることができない.一方,対向車から自車の走行車線の前方の情報を受け取ることができれば,事前に渋滞の原因を把握することができる.そこで本稿では,渋滞している対向車線を車載カメラで撮影して渋滞の原因を取得し,渋滞中の車両とカメラ画像を共有することで,渋滞状況を把握する手法を提案する.実際の対向車線の渋滞画像を用いた実験を行い,提案手法の有効性について検討する.

1E-5 (時間: 14:15 - 14:35)
題名高速道路における勾配影響を受ける場合の渋滞回避システムの提案と評価
著者*畔柳 英健, 井手口 哲夫, 奥田 隆史, 田 学軍 (愛知県立大学情報科学研究科)
Pagepp. 147 - 152
KeywordITS, 路車間通信, 渋滞


セッション 1F  コンテンツ提示
日時: 2013年7月10日(水) 12:55 - 14:35
部屋: 竹・梅
座長: 義久 智樹 (大阪大学)

1F-1 (時間: 12:55 - 13:15)
題名有向グラフを用いたVCSのバージョン間におけるレイヤファイルの差分の可視化方式
著者*山田 泰宏, 竹渕 瑛一, 鈴木 浩, 服部 哲, 速水 治夫 (神奈川工科大学大学院)
Pagepp. 153 - 156
Keyword有向グラフ, 可視化, ラスタ画像, PSD, バージョン管理システム
Abstract画像情報の制作に用いられるレイヤファイルのバージョン管理を行うことにより,制作の効率の向上を図ることができる.レイヤファイルのバージョン管理をするための試みは近年いくつか見られるが,過去のバージョンのリストアが煩雑である.従来のレイヤファイル間の差分表示方式では,特定のレイヤのみの変遷を閲覧することが難しい.加えて,特定のレイヤのみのリストアを支援する技術は存在しない.そこで本研究では,複数のバージョンのレイヤファイル間の差分の可視化方式および,その可視化方式をUIとして活用する,レイヤのリストア支援システムを提案する.

1F-2 (時間: 13:15 - 13:35)
題名2面L型立体表示システムにおける視点とオブジェクト位置間の最適制御
著者*渡邉 優太 (湘南工科大学 工学研究科 電気情報工学専攻), 坂下 善彦 (湘南工科大学 工学部 情報工学科)
Pagepp. 157 - 162
Keywordマルチスクリーン, 没入空間, カメラ視点, オブジェクト
Abstract本研究では従来から行われている没入型ディスプレイのディスプレイ数よりも、少ない2面のディスプレイで没入感のある立体映像システムの構築を目指した。2面のディスプレイは正面と床面に設置されており、真横から見るとL字に見えるため以降はL型ディスプレイとする。しかし、このL型ディスプレイは従来の没入型ディスプレイと比べると、ディスプレイの数が少ないため仮想空間内に存在するモデルの上面と正面のみ捉えることが可能であり、他のデバイスによる操作を行わない限り、モデルの左右情報を得ることは不可能である。そこで加速度センサーとジャイロセンサーを利用して、利用者の位置や向きを検出することにより視野の狭いディスプレイ環境であっても、直感的な操作で視点変更を行え、仮想空間内での視野の狭さを補えるシステムの開発を行った。 この装置を用いたシステムには上記のような問題があり、仮想空間内で左右情報を得る際には現実空間上ではL型ディスプレイの横に移動する必要があるが、画角(視野角)が広がるに連れ映像が歪み、正しい形状の情報を得ることが不可能であるため、現状では実用的ではない。 そこで我々は、視点(カメラ)と仮想空間内に存在するオブジェクト位置関係から、世界座標(ワールド座標)を制御し最適化することにより、少ない移動量や旋回角でも、左右情報を得ることが可能となるシステムの検討を行った。また、世界座標の最適な移動量を得るため、実験を行った。

1F-3 (時間: 13:35 - 13:55)
題名浮世絵の3次元CG化による創造的鑑賞体験の実現
著者*角 康之, 名生 圭佑, 松村 耕平 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 163 - 169
Keyword3次元CG, 絵画鑑賞, モーションキャプチャ
Abstract本稿では、2次元の絵画作品をコンピュータグラフィクスによって3次元可視化することで、絵画作品の新たな鑑賞方法の可能性を提案する。対象とする絵画作品として浮世絵、具体的には歌川国芳の「みかけはこはゐがとんだいい人だ」を題材にする。この作品は、一見すると一人の男性を描いたように見えるが、よく見ると10数名の男性が寄り集まって大きな大人物を表現しているだまし絵になっている。本研究では、この作品を複数人物の登場する3次元CGアニメーションにする。そうすることで、ひとつのスナップショットとして残っている浮世絵作品を異なる視点から見てみたり、作品スナップショットの前後の物語を想像したり、また、登場人物の一人に乗り移ってみたり、という参加型の鑑賞が可能になると考えられる。本稿では、登場人物のCGモデルの作成、モーションキャプチャシステムを用いたモーションの取得、複数モデルが登場するアニメーションの時空間編集などの一連の作品制作のプロセスを説明する。そして、作成されたCG作品のバリエーションとして、作品鑑賞のための視点変化や、重力シミュレーションの導入、登場人物のモデル変更などの例を紹介する。

1F-4 (時間: 13:55 - 14:15)
題名バブルディスプレイにおける水の特性を考慮したインタラクション手法
著者*佐川 俊介 (東京大学大学院学際情報学府学際情報学専攻), 小川 剛史 (東京大学情報基盤センター)
Pagepp. 170 - 174
Keyword透過型ディスプレイ, 気泡, インタラクション, 動体検出
Abstract筆者らは,水中に発生させた気泡に映像を投影する新しい水ディスプレイであるバブルディスプレイを提案している.バブルディスプレイは,かき混ぜる,波を起こすといった水に対する特有の動作をユーザが行い,気泡の動きや形状を変化させることで投影される映像が切り替える.これにより,ユーザと映像とのインタラクションを可能にするシステムである.これまでに,遮蔽板を用いて水中の気泡群の形状を任意に変化させる操作である「変形」を実装し,気泡群内で動くボールの移動範囲を制御するプロトタイプを構築した.本稿では,想定される複数のインタラクションの中から,新たに実装した「切断」,「かき混ぜ」について,その実現方法を述べる.「変形」,「切断」,「かき混ぜ」の三操作を組み合わせることで,さまざまなインタラクションが可能となり,バブルディスプレイのインタラクティブ性を向上できる.


セッション 1G  位置推定
日時: 2013年7月10日(水) 12:55 - 14:35
部屋: 松
座長: 西尾 信彦 (立命館大学)

1G-1 (時間: 12:55 - 13:15)
題名モバイル端末におけるセンサ利用型現在位置測位の精度評価
著者*藤田 博 (早稲田大学大学院 基幹理工学研究科 情報理工学専攻), 柳澤 政生 (早稲田大学大学院 基幹理工学研究科 電子光システム学専攻), 戸川 望 (早稲田大学大学院 基幹理工学研究科 情報理工学専攻)
Pagepp. 175 - 181
Keywordナビゲーションシステム, 屋内環境, 加速度センサ, 地磁気センサ, 歩行動作
Abstract本稿では,モバイル端末を手に持つユーザを対象としたセンサ 利用型現在位置測位について,評価実験に基づきその精度を検 証する.モバイル端末に搭載される加速度センサと地磁気セン サを利用し,ユーザの歩行動作を検出し移動方位を推定するこ とで基準位置からの相対移動量を算出する.センサから得られ る加速度値の鉛直成分に,歩行動作による特徴を検出した場合 に歩行動作が行われたものとみなし,固定値としたユーザの歩 幅と歩行動作検出回数を積算することにより移動距離を推定す る.加速度センサと地磁気センサから得る値からモバイル端末 の方位を算出し,初期方位と初期方位以降の方位との差分をと ることで移動方位を推定する.評価実験により,実際の移動距 離に対する推定移動距離との間の誤差は7.7% となった.実際 の移動方位と推定移動方位の間には不規則に大きな誤差が現れ るが,最大でも90 度以内に収まることを確認した.

1G-2 (時間: 13:15 - 13:35)
題名特定の移動経路を対象とした行動イベント系列に基づく位置推定手法
著者*渡辺 穂高, 渡邉 翔太, 梶 克彦, 河口 信夫 (名古屋大学大学院 工学研究科)
Pagepp. 182 - 187
Keyword位置推定, 行動センシング, 経路移動
Abstract本研究では,特定の移動経路を対象とした行動イベント系列に基づく位置推定手法を提案する. 本稿では行動イベント系列とは,右折・左折といったイベント行動によるノード情報と, 歩行・階段昇降・エレベータといったイベントノード間の移動行動によるリンク情報からなる,ノード・リンク情報をさす. 提案手法では,特定の移動経路において,経路移動中のユーザの行動イベント系列を抽出し,同じ経路を移動したユーザの行動イベント系列と比較することにより,ユーザの位置推定を行う. 経路移動において,特に屋内では,ユーザがイベント行動を行う場所は限られており,歩数・時間情報のみを用いるより高い精度が期待できる. また,携帯端末から得られる加速度・角速度などの行動センシング情報のみを用いるため,使用場所の限定や設置コストが必要ない. 本手法の研究・評価を行うにあたり,我々は特定の移動経路を対象とする行動センシング情報収集フレームワークを構築した. 同一経路における34名のユーザの経路移動情報を収集し,このデータを用いて位置推定精度の評価実験を行った.

1G-3 (時間: 13:35 - 13:55)
題名複数のセンサを組み合わせた屋内歩行者位置推定
著者*遠藤 巌 (法政大学大学院 情報科学研究科), 藤田 悟 (法政大学 情報科学部)
Pagepp. 188 - 195
Keyword屋内位置推定, デッドレコニング, スマートフォン
Abstract近年, 歩行者の位置情報を利用したナビゲーションサービスや拡張現実サービスの実用化が進められており, これらのサービスの機能向上のためにも, より正確な歩行者位置推定技術が求められている. 本研究では, 携帯端末に搭載されているセンサを用いて歩行者の位置を推定するデッドレコニング技術を改良することにより, 歩行者の位置の推定をより正確に行う事を試みる. デッドレコニングを用いる事により, GPSセンサが利用できない屋内の歩行者位置の推定が可能になる他, 同じ屋内歩行者位置推定手法の1つである無線LANアクセスポイントを利用した手法に比べ, インフラに依存しない安価なシステムの構築が可能になるという利点が生まれる. 従来のデッドレコニング手法の研究では, 携帯端末に搭載されている各センサを単独で用いる事が多く, それぞれのセンサに発生する誤差が位置推定精度に影響を与えていた. そこで本研究では, 端末内の各センサの性質を明らかにし, それらの異なる性質を持ったセンサを組み合わせる事によって, より高精度な歩行者デッドレコニング手法の構築を試みる.

1G-4 (時間: 13:55 - 14:15)
題名群衆の中の歩行者の位置推定
著者*藤田 悟, 森田 晴香 (法政大学情報科学部)
Pagepp. 196 - 203
Keyword位置推定, 群衆, 歩行者
Abstract本論文では,街中の歩行者を観測し,個々の歩行者の詳細な歩行行動と,群衆の粒子モデルに働く斥力を比較し,個人ごとに異なる斥力のパラメータ推定を行った.そして,各人に適切なパラメータを設定することで,群衆をより現実に近い形で再現することを目標にした.実際の群衆の観測結果からは,それぞれの個人により,歩行パラメータの偏りが大きいことが示された.すなわち,近くにいる人との距離の取り方,避ける時の斥力のかけ方,歩行速度を調整する時定数などが,それぞれに異なることが示された.以上のように,群衆の中の人の特徴的な歩行パラメータを同定することで,個人の行動をセンサで観測して位置推定を行うだけでなく,周囲の歩行者の行動推定結果を利用して,相互に位置推定精度を高め合うことが期待できると考える.

1G-5 (時間: 14:15 - 14:35)
題名近距離無線電波強度とグループ行動知識モデルを用いた測位手法の提案
著者*伊藤 翼 (青山学院大学大学院理工学研究科理工学専攻), 八木 佑侑季 (青山学院大学理工学部情報テクノロジー学科), 斉藤 裕樹 (明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科), 狐崎 直文, 戸辺 義人 (青山学院大学理工学部情報テクノロジー学科)
Pagepp. 204 - 207
Keyword近距離無線, 行動知識, 屋内無線測位, スマートフォン
Abstract近年,利用者が増加しつつあるスマートフォンにはGPS機能が備わっており,位置情報をメタ情報として付与する動きが広まっており,位置情報の利用は拡大の一途をたどっている.屋外に関してはGPSによって確立されているが,屋内測位に関しては精度とコストはトレードオフの関係にあり,確立された手法がない.我々はこの問題に対処するため,スマートフォンに標準搭載されるBluetoothと特定の行動に対する知識を組み合わせた手法を提案し,RelLocAと名付け,これを提案する.


セッション 1H  認証と暗号
日時: 2013年7月10日(水) 12:55 - 14:35
部屋: エトワール
座長: 金岡 晃 (東邦大学)

1H-1 (時間: 12:55 - 13:15)
題名アクセス制御機能付き検索可能暗号のIDベース暗号からの構成
著者*冨田 幸嗣, 宮嵜 仁志 (名古屋工業大学), 毛利 公美 (岐阜大学), 白石 善明 (名古屋工業大学)
Pagepp. 208 - 214
Keyword検索可能暗号, アクセス制御, IDベース暗号
Abstract運用コストが低く,利便性が優れている点からクラウドストレージが活用されている.機密性の高いデータを第三者に預ける場合,意図しない人にデータを見られないようにデータを暗号化する手段が用いられる.そこで暗号文を復号することなく検索ができる技術として検索可能暗号が注目されている.用途に応じた検索可能暗号方式が提案されており,暗号文の検索者を限定することのできるアクセス制御機能付き検索可能暗号方式も提案されている.これまでに提案されている公開鍵暗号ベースの検索可能暗号はIDベース暗号を基に構成されている.また,IDベース暗号から公開鍵暗号ベースの検索可能暗号(PEKS)を一般的に構成する方法が提案されている.もとにするIDベース暗号を変更できるようになれば,利用する場面でのセキュリティ基準に応じた検索可能暗号を柔軟に構成することができる.本稿では,アクセス制御機能付き検索可能暗号(SEAC)を定義し,任意のIDベース暗号からSEACへの変換 (ibe-2-seac変換)する手法を提案する.提案手法により構成されるアクセス制御機能付き検索可能暗号の安全性はIDベース暗号の安全性に帰着する.

1H-2 (時間: 13:15 - 13:35)
題名前方秘匿性を満たす属性失効機能付き属性ベース暗号
著者*成瀬 猛 (名古屋工業大学), 毛利 公美 (岐阜大学), 白石 善明 (名古屋工業大学)
Pagepp. 215 - 221
KeywordCryptographicCloudStorage, 暗号文ポリシー属性ベース暗号, プロキシ再暗号化, 属性の失効
Abstractクラウドストレージに保存した共有データのアクセス制御に適した暗号として,暗号文ポリシー属性ベース暗号(Ciphertext-Policy Attribute-Based Encryption : CP-ABE)がある.CP-ABEでは,秘密鍵に関連付けられている属性集合が,暗号文に関連付けられているアクセス構造を満たす場合のみ,その秘密鍵によって暗号文を復号することができる.属性ベース暗号ではユーザの属性を失効させるには,そのユーザが暗号文を復号できないようにしなければならない.効率良くユーザの属性を失効させることができるCP-ABEの提案がなされているが,属性失効ユーザに対する厳密な安全性証明が与えられていない,もしくは,ジェネリック群モデルという強い仮定のモデルのもとで証明されている. 本稿では,前方秘匿性(Forward Secrecy)を満たす属性失効機能付き属性ベース暗号を提案する.属性ベース暗号における前方秘匿性は,一度属性を失効したユーザはそこから先は暗号文を復号できないことを意味する.提案方式は不正ユーザ,クラウドサーバ,属性失効ユーザの攻撃に対して,標準モデルのもとDBDH仮定においてIND-CPA安全である.

1H-3 (時間: 13:35 - 13:55)
題名ランダム妨害図形を用いた画像ベースCAPTCHA方式の提案
著者*田村 拓己, 菅井 文郎 (宮崎大学大学院工学研究科), 朴 美娘 (神奈川工科大学情報学部), 岡崎 直宣 (宮崎大学工学部)
Pagepp. 222 - 229
KeywordCAPTCHA, Bot, 反転チューリングテスト, 画像認証
Abstract近年,WEBサービスが急激に普及する中で,それらのWEBサービスに対してボットと呼ばれる自動プログラムを使用し,不正にサービスを利用するという悪質な行為が問題となっている. このような問題を防止するために,CAPTCHAと呼ばれる反転チューリングテストが広く利用されている. CAPTCHAはチャレンジ/レスポンス型テストの一種であり,人間には容易に解けるがコンピュータには正しい答えを導き出すことが困難な問題を出題し,回答の正否により,対象が人間であるか機械であるかを判別する. しかし,近年,CAPTCHAを自動的に突破する技術が発達し,その脆弱性が多くの研究者に指摘されている. 例えば,文字列CAPTCHAにおいては,すでに高機能なOCR(自動文字認識)機能を備えるボットが出現している. そこで本論文では,画像ベースの新たなCAPTCHA方式を提案し評価する. 本提案手法では,機械では実現することが難しい人特有の画像認識能力を利用し,高いユーザビリティと同時に,提示画像の中に答えとなる文字を全く表示しないことでOCR機能を利用するボットと人間の高い判別率を実現する.

1H-4 (時間: 13:55 - 14:15)
題名覗き見攻撃耐性を考慮したスマートフォンにおけるリズム認証手法 - 楽曲の主旋律を用いた際の認証精度評価 -
著者*市村 亮太, 納富 一宏 (神奈川工科大学大学院工学研究科情報工学専攻), 斎藤 恵一 (国際医療福祉大学情報教育室)
Pagepp. 230 - 233
Keywordスマートフォン, 覗き見攻撃, リズム, 認証, 自己組織化マップ
Abstract本研究では,スマートフォンにおける覗き見攻撃耐性を考慮したうえで,安全性,利便性を兼ねた認証手法について提案を行っている.先行研究では,覗き見攻撃耐性を考慮した入力方法として,画面を見ている状態で入力を行う「通常入力」に,本手法ならではの入力方法,画面を見ていない状態で入力を行う「覗き見防止入力」を提案し,実用可能であることを示した.次に,音楽経験年数で2つのグループに分け,認証精度に差が生じるか検証実験を行った.結果,認証精度には4.0%の差ができた.音楽経験年数により認証精度に差が生じることは,利用者を限定してしまうことに繋がるため,この差をなくす必要がある.そこで本稿では,指定した楽曲の主旋律を用いリズムを作成した際に,先行研究に比べ認証精度が向上するかを検証するためのリズム認証実験を行った.指定楽曲(long)と指定楽曲(short)の2パターン計測し,特徴を自己組織化マップにより学習・分類し,分析を行った結果について述べる.指定楽曲(long)では認証精度96.2%,指定楽曲(short)では認証精度98.3%が得られ,どちらも先行研究に比べ認証精度は向上した.

1H-5 (時間: 14:15 - 14:35)
題名スマートフォンにおけるキー操作熟練度の違いによるキーストローク認証手法の検討
著者*山田 健一朗, 納富 一宏 (神奈川工科大学大学院工学研究科情報工学専攻), 斎藤 恵一 (国際医療福祉大学情報教育室)
Pagepp. 234 - 237
Keywordキーストローク認証, 自己組織化マップ, マルチタッチ, フリック, スマートフォン
Abstract近年,スマートフォンやコンピュータを利用したオンラインゲームが流行している.それに伴い,不正アクセス被害も多発している.ログイン時の認証動作を突破できれば,その後は誰でも自由に操作できることから,不正アクセスの被害が減らないと考えられる.本研究では,オンラインゲームにおける不正アクセス被害の対策として,ゲーム操作情報を使用したキーストローク認証手法を提案している.先行研究では,マルチタッチやフリック操作といったスマートフォン独自のキー操作を用い,最高86.39%の認証精度が確認された.また,検証結果から高い認証精度を得るためにはキー操作の安定性が必要であることも確認された.本稿では,継続的にキー操作実験を行い,被験者のキー操作熟練度を高めた状態でキー操作実験を行った結果について述べる.具体的には,キー操作実験を行う期間を変更した3グループで実験を行い,分析結果からキー操作熟練度の違いによる認証精度の変化について比較検証を行った.結果,高い確率で2日目以降の認証精度が向上し,最高98.89%の認証精度を確認した.キー操作熟練度を高めることにより,認証精度の向上を期待できることが確認された.


セッション 2A  統一テーマセッション-参加型センシング
日時: 2013年7月10日(水) 14:50 - 16:50
部屋: ハルニレ・アカシア
座長: 中澤 仁 (慶應義塾大学)

2A-1 (時間: 14:50 - 15:30)
題名(招待講演) ユーザ参加型都市環境センシングとその課題
著者*瀬崎 薫 (東京大学空間情報科学研究センター)
Pagepp. 238 - 239
Keywordユーザ参加型センシング, センサネットワーク, プライバシー保護, 都市環境

2A-2 (時間: 15:30 - 15:50)
題名参加型センシングにおけるセンシング誤差を考慮したサンプリングレート制御手法
著者倉沢 央, *佐藤 浩史, 山本 淳, 川崎 仁史, 中村 元紀 (日本電信電話株式会社 NTT未来ねっと研究所), 松村 一 (NTTアドバンステクノロジ株式会社), 山下 靖貴, 鈴木 誠, 森川 博之 (東京大学)
Pagepp. 240 - 248
Keyword参加型センシング, サンプリングレート制御, 誤差
Abstractユーザ参加型センシングは,ユーザが集う時空間領域において必要以上に測定値が集まってトラフィックが大きくなってしまうことや,測定の誤差や多様なセンサの混在によって個々の測定値の信頼性が低いことが懸念される.測定値の信頼性を考慮せずにトラフィック抑制を行うと,誤差が大きく精度の低い移動型センサノードの影響によって,測定結果が不正確になりうる問題があった.これに対して,我々は,センサデータの収集トラフィックを抑制しつつ,時空間領域における測定値の母平均の信頼区間幅を狭めて測定結果の信頼性を確保する,サンプリングレート制御手法を提案する.提案手法は,時空間領域における測定値の信頼区間幅を基準に分布の推定に十分なセンサデータの量を算出し,すべての移動型センサノードに均一な低いサンプリングレートを設定して,集めるセンサデータの量を削減する.実験では,収集対象の移動型センサノードを間引く手法よりも,誤差の影響を抑えられることを確認した.また,測定値の信頼区間幅を指定した大きさ以下にする条件下で,常に一定のサンプリングレートで収集するよりも9分の1にまでトラフィックを抑制できることを確認した.

2A-3 (時間: 15:50 - 16:10)
題名モバイル端末を用いたユーザ参加型環境センシングにおける誤計測地点の検知・修正手法
著者*重田 航平 (東京電機大学未来科学部情報メディア学科), 青木 俊介, 劉 広文 (東京大学生産技術研究所), 岩井 将行 (東京電機大学未来科学部情報メディア学科), 瀬崎 薫 (東京大学生産技術研究所)
Pagepp. 249 - 256
Keyword騒音センシング, 誤計測検知, モバイル端末, ユーザ参加型センシング, ヒューマンエラー
Abstract我々は広域の地域騒音計測を行うため,世田谷区全域という範囲で,実際にユーザ参加型騒音センシングの実装,運用に当たり,総計2,700箇所の目標地点を設けた.エリアを60のクラスタに分け,のべ40人の調査員に分担し4日間に渡る調査を行った.その際調査員には、目標該当地点にてモバイル端末を使い主観的に周辺環境の調査を行った.調査する内容は騒音とその発生源,及び調査員の主観的判断に基づく3段階評価の臭気調査,さらに同時に自動で明るさや気圧、平均騒音レベルなども計測した.更にポイントごとの計測に加えて,その区間すべてのGPSの記録および連続的な自動データの習得による記録も行った.しかしながら,計測地点の間違いが発生しないため特別なソフトウエアを準備したにも関わらず,今回のセンシングを行った結果,調査前には想定できなかった問題が発生した.見かけ,想定以上に高頻度で目標地点の計測を欠損している場合や,調査するポイントを冗長に計測してしまうなどの多く種類の人為的なミスが発生した.本研究では人為的なミスを分類する.さらに実計測点と目標計測点との距離、計測時間の時間的な間隔,同一計測回数などを考慮した多次元の評価ベクトルを構築し,各計測レコードの「疑わしさ」の資料を定義し誤計測のデータの地点を取り除く手法について説明と評価を述べる.

2A-4 (時間: 16:10 - 16:30)
題名参加型センシングにおける協調制御機構の設計
著者*尾崎 凌介 (青山学院大学理工学研究科理工学専攻), 小川 亮二 (青山学院大学理工学部情報テクノロジー学科), Niwat Thepvilojanapong (三重大学工学部情報工学科), Teemu Leppänen (Department of Computer Science and Engineering, University of Oulu), 狐崎 直文, 戸辺 義人 (青山学院大学理工学部情報テクノロジー学科)
Pagepp. 257 - 263
Keywordスマートフォン, 参加型, センシング
Abstract多彩なセンサを内蔵するスマートフォンの普及が近年進んできている.これらのセンサを用いてデータを取得し,サーバに送信する参加型センシングの試みが広がりつつある.しかし,参加型センシングでは全体の調停がないため取得データに過不足が生じ,加えてデータの重複は過剰な消費電力につながる.そこで,本研究では参加者全体の省電力化を達成するために,周囲のクライアントの数に応じてデータ取得・送信間隔を動的に変更する参加型センシングにおける協調制御機構CSSP (Cooperative Sensor-data Stream Protocol)を提案する.CSSPにおいて,サーバがサーバ・クライアント間の全てのセッションを管理し,それぞれのクライアントのデータ取得・送信間隔を決定する.CSSPクライアントは送信間隔の情報を受け取り,通知された送信間隔を元にデータを送信する.CSSPメッセージはHTTP階層の上に実装し、クライアントソフトウェアはAndroidアプリケーションとして実装した。実験において,CSSPを用いることによって参加クライアント同士の協調,参加クライアント一人あたりのバッテリ消費レートの減少,全体としての省電力化を行えることが明らかとなった.


セッション 2B  モバイルアプリケーション
日時: 2013年7月10日(水) 14:50 - 16:50
部屋: 柏・ポプラ
座長: 村尾 和哉 (神戸大学)

2B-1 (時間: 14:50 - 15:10)
題名暗号プロトコルの実装を支援するためのアプリケーションフレームワーク
著者*宮嵜 仁志 (名古屋工業大学), 毛利 公美 (岐阜大学), 白石 善明 (名古屋工業大学)
Pagepp. 264 - 270
Keyword暗号プロトコル, フレームワーク, ネットワークアプリケーション
Abstractネットワーク上で第三者に知られてはいけない秘匿情報をやりとりする際に暗号プロトコルが使われる.安全性が理論の上で証明されている暗号プロトコルでも,実装上の脆弱性により認証処理を迂回されてしまうこともある.秘匿情報を安全に活用するには,暗号プロトコルの実装を一定以上の安全品質で容易にできるような開発環境が提供されることが望ましい.一定以上の品質のアプリケーションを開発したいという要求を実現するためにアプリケーションフレームワークが利用される.ソフトウェアの構造を決め,処理の流れを制御するフレームワークならば,実装上の脆弱性を作ってしまう危険性を軽減できる. 本稿では状態遷移モデルに基づいて設計した暗号プロトコルの実装を支援するためのアプリケーションフレームワークを提案し,再利用性を評価する.提案したフレームワークを利用して暗号プロトコルアプリケーションを試作したところ,アプリケーションコード中のフレームワークコードが占める割合は7割程度であった.提案したフレームワークが高い再利用性を持ち,暗号プロトコルアプリケーションの開発を支援できることを確認した.

2B-2 (時間: 15:10 - 15:30)
題名移動データに基づいた地図変形による生活パターンの可視化
著者*横井 逸人, 松村 耕平, 角 康之 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 271 - 277
Keyword移動データ, 変形, 地図, 生活パターン, 可視化
Abstract本稿では,人々が生活している街の中で,徒歩や車などの異なった手段で移動したデータを蓄積し,その滞在時間や移動時間によって変形された地図「行動マップ」を生成するシステムを提案する.特定の場所へ移動した際の滞在時間や移動時間を基準にすることで,我々は行動マップが個人の動きが可視化できる地図になると考えた.具体的には,GPSによる移動データを利用することで,ユーザ自身の生活感覚やユーザにとっての新しい気付きを可視化できる時間地図を生成するシステムを試作した.例えば,同じ道のりでも,歩いて移動している時や車で移動している時では,移動にかかる時間は異なる.あるいは,家から職場への道のりを想像した時,人によって異なった場所に家や職場を持っているため,想像する道のりは異なる.上記により,行動マップは人々の生活に依存している,と言える.このことから,行動マップを見ることで,人が自分の住んでいる街をどのように考えているかを知ることによって新たな気付きがあったり,異なる背景を持つ人同士の地図を互いに見比べてみる事で新たな対話が生まれたりする,と考えている.

2B-3 (時間: 15:30 - 15:50)
題名モバイルセンサデータの取得支援のためのデータの時空間分布可視化について
著者*佐崎 悠, 神崎 映光, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 マルチメディアデータ工学講座)
Pagepp. 278 - 285
Keywordモバイルセンサデータ, 時空間分布, 可視化
Abstract近年のセンサ技術の発展に伴い,スマートフォンなどのモバイルセンサ端末が普及しており,これら の端末から収集したモバイルセンサデータを活用する研究に注目が集まっている.ここで,モバイルセン サデータは時空間的に偏って存在する傾向があるため,その時空間的な分布を考慮して,ユーザのデータ 取得を支援する機構が必要である.本稿では,モバイルセンサデータの取得支援を目的として,データの 時空間的分布を可視化する機構を設計,実装した.提案機構では,地図インタフェースを等間隔のグリッ ド状に分割し,センサデータ数の分布を示すヒストグラムを重畳する.また,地図インタフェース上の描 画領域におけるセンサデータ数の時間的な分布をグラフとして提供する.これにより,データの時空間的 分布の直感的な理解を支援し,ユーザが求めるデータの取得を容易にする.

2B-4 (時間: 15:50 - 16:10)
題名電力モデルに基づくアプリ消費電力可視化ツールの評価
著者*神山 剛, 稲村 浩, 太田 賢 (NTTドコモ 先進技術研究所)
Pagepp. 286 - 292
Keywordスマートフォン, 消費電力, アプリケーション, 開発ツール, Android
Abstract本稿はAndroid アプリケーションの実利用環境において利用可能なアプリ消費電力の評価手法を提案する.本手法では,スマートフォンを構成する各ハードウェアコンポーネントの特性と消費電力の関係から生成した端末の消費電力モデルを用いることで,アプリ消費電力の推定を可能にする.本稿では,近年の端末の消費電力を妥当な精度で推定できること,推定に必要なログ収集の負荷が低いことを要件とした評価手法を実現するため,マルチコアCPU やモバイル無線インタフェースとその特徴を考慮したモデル拡張を行う.提案本手法において,一般的なアプリ利用のシナリオを対象に10%前後の誤差で電力推定できること,3.8%程度の低いオーバヘッドでログ収集が実現できることを確認した.

2B-5 (時間: 16:10 - 16:30)
題名アプリケーションを見つけやすくするためのユーザ主観度を用いた提示手法
著者*菊地 悠, 川崎 仁嗣, 大久保 信三, 太田 賢, 稲村 浩 (株式会社NTTドコモ 先進技術研究所)
Pagepp. 293 - 299
Keywordスマートフォン, モバイルアプリケーション, UI, ユーザ主観, Android
Abstractスマートフォンのアプリ一覧画面に表示された多数のアプリから,目的のアプリの選択に要する時間を短縮するため,よく利用するアプリを強調表示し,目的のアプリを見つけやすくする手法を提案する. 本手法が有効に機能するためには,ユーザ本人が主観的によく利用すると考えているアプリがすべて強調表示されていることが必要である.本論文ではこの主観利用モデルの推定について,アプリの利用回数に加え,利用時間を組み合わせた方式により実現した.Android 端末上で被験者 7 名から収集したアプリ利用ログを用いて評価した結果,提案手法は利用回数または利用時間のみを用いた方式よりも主観利用アプリとよく一致し,全インストールアプリのうち 28%のアプリを強調表示することで十分であることを示した.

2B-6 (時間: 16:30 - 16:50)
題名スマートメイちゃん:スマートフォンの機能を有するモバイル音声対話エージェント
著者*山本 大介, 西村 良太, 打矢 隆弘, 内匠 逸 (名古屋工業大学)
Pagepp. 300 - 304
Keyword音声対話エージェント, スマートフォン, モバイル
Abstract本稿では,音声対話システム構築ツールキットMMDAgentを拡張し,GPSやNFC・GUI等のAndroidスマートフォンの機能を効果的に活用するための仕組みを提案する.具体的には,全てのAndroid OSの機能を利用するためにはJava言語で開発する必要があるが,MMDAgentはC++言語での開発が想定されており,異なる言語間での連携は容易ではないという問題があった.そこで,JavaとC++の連携を実現するブリッジモジュールを開発し,容易にMMDAgentの各モジュールとAndroidの機能とを連携可能なJavaプラグイン開発プラットフォームを提案した.また,本プラットフォームに基づく様々なJavaプラグインの開発も行った.


セッション 2C  グループウェアとネットワークサービス
日時: 2013年7月10日(水) 14:50 - 16:50
部屋: 白樺
座長: 梶 克彦 (名古屋大学)

2C-1 (時間: 14:50 - 15:10)
題名ICT演用環境における投票による集団的意思決定アルゴリズムの提案と評価-期待効用モデルにおける投票行動を考慮した-
著者*池谷 健吾, 奥田 隆史, 井手口 哲夫, 田 学軍 (愛知県立大学大学院 情報科学研究科 情報システム専攻)
Pagepp. 305 - 311
Keyword集団的意思決定, 選挙, マルチエージェント, 社会情報システム
Abstract現在,社会のあらゆる分野においてICT(情報通信技術)は演用されている.ICTとは,時間や場 所に関係なく人間同士,人間と機器,機器同士がリアルタイムで情報交換をすることが容易となる技術で あり,現在の日本における高度情報社会の基盤となっている.一方,現行のICTを演用していない我が国 の選挙では,多様化する個々の意志が,反映できないという問題が生じている.この民意非反映問題を解 決するために,本稿では,シミュレーション上でICTを演用した環境における投票による集団的意思決定 のシーン,すなわちICTを演用した選挙を想定し,ICT演用による投票者および候補者への影響を調査し 検討する.そして,そのような環境に適した集団的意思決定アルゴリズムを提案し評価する.

2C-2 (時間: 15:10 - 15:30)
題名Social-MRCにおける一般関与者への情報提供システムの提案
著者*市川 恵一, 吉原 正寛, 矢島 敬士, 増田 英孝, 佐々木 良一 (東京電機大学)
Pagepp. 312 - 315
Keywordリスク・コミュニケーション, 集団意思決定, 情報提示, 可視化, 情報体系化
Abstract近年の情報社会において,情報フィルタリング問題など多重リスクが絡んだ社会的合意形成の問題が重要視され,解決するためにリスクコミュニケーション(以下RC)が必要となっている.特に「情報フィルタリング問題」や「国民ID問題」などの社会的合意形成問題が数多く存在し,その合意形成支援方式の必要性が高まっている.そこで,現在社会的合意形成を支援するシステムであるSocial-MRCを開発している.Social-MRCはMRC-StudioとMRC-Plazaの2つのシステムから成り立っている.MRC-Studioは専門家であるオピニオンリーダ間の合意形成を支援し,MRC-Plazaは一般関与者のRCへの参加と意思表示を支援する. Social-MRCの運用実験を行った結果、問題点として一般関与者への動的な情報の提供支援不足が明らかになった.この課題を解決するために,RCの議論中に発生する情報を一般関与者に提供するシステムを提案する. 本稿では,情報提供機能群について提案し,開発を行った.開発機能に関する検証実験,評価について説明すると同時に,今後の展望について述べる.

2C-3 (時間: 15:30 - 15:50)
題名利用者からの提供情報を積極的に活用した在室管理システムの提案
著者*田中 優斗 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 福島 拓 (静岡大学大学院工学研究科), 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 316 - 321
Keyword在室管理, 情報共有, コミュニケーション支援, 協調作業支援, パーソナルデータマイニング
Abstract現在,様々な手法を用いて在室管理が行われている.これまでの在室管理に関する研究では,「現時点」の在室情報を提示している場合が多い.しかし,訪問者は目的の人物が不在の場合,次回の訪問日時の把握が困難であると考えられる.そこで我々は,「現在」と「未来」の在室情報を提示し,訪問の支援を目的とした在室管理システム「Docoitter」を開発している.これまでの評価実験の結果,未来の在室情報の提示により,訪問者が研究室メンバの訪問日時の手掛かりを得る可能性を示した.しかし,現在の在室情報は,外れることがあり,現在の在室情報の精度向上が課題点として挙げられた.そこで本稿では,利用者から手動で提供された情報を活用して,精度向上を目指す手法について述べる.また,手動による提供を継続的に得るために,利用者のモチベーション維持支援の検討も行う.

2C-4 (時間: 15:50 - 16:10)
題名製造業のグローバル設計を支援するクラウドの開発
著者*塩野谷 友隆, 勝 康夫, 上原 敬太郎 (日立製作所中央研究所)
Pagepp. 322 - 329
Keyword産業向けクラウド, 設計業務, 回路検証, グローバル業務, ネットワーク高速化
Abstract近年,製造業において市場のグローバル化が進んでいる.グローバル市場における製品シェア獲得には,現地ニーズを踏まえた製品の短期間での投入が不可欠であるため,開発設計業務は海外現地へシフトされている.海外設計製品における信頼性確保に向け,高度検証環境の活用が求められているが,海外拠点間においては,ネットワーク転送速度が非常に小さいため,検証環境を共用できないという問題がある.本研究では,製造業向け設計検証環境の海外共用の実現を目的に,大規模データの高速転送機能を有し,Web アクセスベースで検証環境の共有を実現する,グローバル設計向けクラウドサービスを開発している.本稿では,本サービスのフィージビリティ実証を目的に,ネットワーク高速化装置及びデータ抽出ソルバを用いたデータ転送時間の削減効果と,自動車向け制御ソフトウェアの開発における検証作業の効率化効果の試算について述べる.前者に関しては,自動車向け制御ソフトウェア検証環境で実際に用いられる解析ログの転送時間を100 倍以上短縮できることを実証し,後者に関しては,実機を用いる場合の検証業務に要する時間と比較し,30%工数短縮できる見込みを得た.

2C-5 (時間: 16:10 - 16:30)
題名自己組織化マップを用いた診断群分類番号データの分析と医療情報システムへの応用
著者*仲濱 正大, 納富 一宏 (神奈川工科大学大学院情報工学専攻), 斎藤 恵一 (国際医療福祉大学情報教育室), 外山 比南子 (国際医療福祉大学大学院)
Pagepp. 330 - 333
Keyword医療情報システム, インターネット, グループウェア
Abstract2003年より始まった急性期入院医療を対象とした診療報酬の包括評価制度(DPC/PDPS:Diagnosis Procedure Combination / Per-Diem Payment System)により,患者の疾病別医療行為等の診療情報が標準化され,分析可能な全国統一形式の患者臨床情報であるDPCデータが収集可能となった.我々は過去のDPCデータを対象に,自己組織化マップ(SOM:Self-Organizing Maps)を用いた新しい患者の在院日数予測を試みている.本稿ではDPCコードと合併症数を属性ベクトルに変換し,SOMを用いて分析を行った.その結果,DPCコード別に在院日数が分かれていることが確認できた.また,SOMによる分析結果を利用した医療情報システムへの応用についても検討した.

2C-6 (時間: 16:30 - 16:50)
題名確率的訪問POI分析: 時空間行動軌跡からのユーザモデリング
著者*西田 京介, 戸田 浩之, 倉島 健, 内山 匡 (日本電信電話株式会社 NTTサービスエボリューション研究所)
Pagepp. 334 - 345
Keywordユーザモデリング, 位置情報, POI(Point of Interest), 階層ベイズモデル, クラスタリング
AbstractGPSやネットワーク位置情報源(携帯基地局やWi-Fiなど)により得られるユーザの時空間行動軌跡から,そのユーザが訪問した場所(Point of Interest; POI)を推定する確率的訪問POI分析技術を提案する.提案技術は(1)時空間カーネルを用いたMean-shiftクラスタリングによる滞留点抽出法(2)ユーザの真の訪問POIを潜在変数とした,滞留点の位置とその滞留時間に関する確率的生成モデル,から構成され,真の訪問POIが未知の滞留データも学習に利用することで訪問POIを高精度に推定できる.本技術が実現する訪問POIを基にした個々のユーザの行動・嗜好の理解は,情報提供や生活支援などパーソナルアシスタントサービスの品質向上に貢献できる.本論文では,GPS/Wi-FIにより得られた実データによる実験を行い,提案技術が従来手法に比べて滞留点の抽出と訪問POIの推定を精度良く行えたことを示す.


セッション 2D  コンテンツ制作
日時: 2013年7月10日(水) 14:50 - 16:50
部屋: 紅葉・大扇
座長: 高橋 光輝 (デジタルハリウッド大学)

2D-1 (時間: 14:50 - 15:10)
題名2ch映像の同期編集機能を特徴とするデジタルコンテンツ制作ツールとその評価
著者*峯 慎吾, 阿倍 博信, 川浦 健央 (三菱電機 情報技術総合研究所 映像情報処理技術部), 中島 宏一, 奥村 誠司 (三菱電機 情報技術総合研究所 監視メディアシステム技術部), 國澤 理人 (三菱電機 情報システム技術センター 業務改革推進部)
Pagepp. 346 - 352
Keyword技能継承, オーサリングツール, デジタルコンテンツ, マルチメディアシステム, アノテーション
Abstract団塊世代の大量退職による労働者不足への対策や,国内生産拠点の海外移転による現地技術者への教育の必要性増加などを背景に,製造現場では,熟練技術者の保有する技術やノウハウを,他の技術者に伝える技能継承が重要な課題となっている.従来,技能継承のための教育はドキュメント教材によって行われていたが,技能が伝わりづらいという問題があった.その解決策の1つとして,映像・音声・テキストなどを含むデジタルコンテンツを活用する技能教育がある.しかし,ビデオ教材などの単純なデジタルコンテンツでは,製造現場における熟練技術者の複雑な技能を表現できない.そこで,我々は,2ch映像の同期編集機能を特徴とするデジタルコンテンツ制作ツールを開発している.本開発では,制作作業の簡易化と多彩なメディア活用を設計指針とし,マウス中心の簡単操作で2ch映像を同期編集する機能などを開発した.本ツールを,社内の製造現場10拠点で利用してもらい,製造現場の技能教育に有効であることを確認した.本ツールは,技能継承用途だけでなく,海外での教育や,新人研修,日々の作業マニュアルなどの用途で,広く利用されている.

2D-2 (時間: 15:10 - 15:30)
題名映像に同期させた香りデザインツールの構築
著者*鈴木 理沙, 深澤 彩, 岡田 謙一 (慶應義塾大学)
Pagepp. 353 - 360
Keyword香り, 嗅覚ディスプレイ, マルチメディアシステム, 字幕
Abstract近年,情報通信分野において人間の五感を用いる取り組みが注目されている.五感の中でも嗅覚を通して得られた情報は人間の情動や記憶へ直接作用するため,視覚や聴覚情報とともに嗅覚情報を提示する香り付き映像の研究が行われている.実際に映画館などで香り付き映像を視聴することも可能になりつつあり,映像の再生と香りの発生を同時に実現させる方法は多く提案されている.しかし映像に対してどのような香りを発生させるかに関してはあまり着目されていない.香りにより映像の臨場感を高めるためには映像の内容に合致した香りを提示する必要があり,香り付き映像の制作ではシーンに合わせて変化する動的な香りをデザインすることになる.本研究では香り付き映像の制作側に焦点を当て,映像に付加する香りのデザインツールを構築する.映像を見ながら香りをデザインすることができ,設定した香りは映像の視聴時に同期して発生させることが可能となる.これにより香り付き映像が容易に実現でき,香りを用いた新たな演出方法が可能になると期待される.

2D-3 (時間: 15:30 - 15:50)
題名料理レシピサイトのレシピごとに自動的に栄養素を計算するシステムの提案
著者*小河 千了, 鈴木 浩, 服部 哲, 速水 治夫 (神奈川工科大学大学院 工学研究科 情報工学専攻)
Pagepp. 361 - 364
Keywordレシピ, レシピサイト, 栄養素, 自動計算

2D-4 (時間: 15:50 - 16:10)
題名日本語発話時の口形変化量の分析と発話映像自動生成への適用
著者*宮崎 剛 (神奈川工科大学情報学部情報工学科), 中島 豊四郎 (椙山女学園大学文化情報学部文化情報学科)
Pagepp. 365 - 370
Keyword聴覚障害者支援, 動画像処理, コンピュータ・グラフィックス, 学習教材
Abstract著者らは,これまで機械読唇に関する研究を進めてきた.その中で,日本語語句の仮名表記からその語句を発話する際の発話映像を再現する方法を提案した.この方法では,まず,仮名表記から口形順序コードと呼ぶ口形記号の順列を生成する.口形順序コードは,語句発話時に形成される口形の順を表現している.発話映像の生成は,この口形順序コードに対応する口形を表示させながら,CG技術のモーフィングを利用して口形間の口形変化を実現する.ただし,これまでの方法では,口形の変化量を実際の発話映像を参考にしながら実験的に決定していた.そのため,口形の変化に違和感のある映像が生成される場合もあった.そこで本論文では,高いフレームレートで撮影した実際の発話映像から口形の変化量を分析し,その結果に基づいて発話映像を生成する方法を提案する.そして,生成された映像について,被験者による主観評価の結果を示し,提案手法の有効性を評価する.

2D-5 (時間: 16:10 - 16:30)
題名誘目性を考慮したモバイル学習用コンテンツ自動生成システム
著者*中村 亮太 (湘北短期大学情報メディア学科)
Pagepp. 371 - 374
Keyword学習コンテンツ, モバイル


セッション 2E  車々間通信とセキュリティ
日時: 2013年7月10日(水) 14:50 - 16:50
部屋: 銀鱗
座長: 屋代 智之 (千葉工業大学)

2E-1 (時間: 14:50 - 15:10)
題名車々間通信における周期的なビーコン送信電力増減による車両位置情報通知の信頼性向上
著者*岡本 圭右 (静岡大学大学院 工学研究科 数理システム工学専攻), 金原 辰典 (静岡大学大学院 工学研究科 システム工学専攻), 石原 進 (静岡大学大学院 工学研究科 数理システム工学専攻)
Pagepp. 375 - 382
Keyword安全運転支援, 送信電力制御, ITS, 車々間通信, ビーコン送信
Abstract周辺車両と協調し車両同士の衝突を回避する安全運転支援システムを車々間通信を用いて実現するために は,各車両が自身の位置,速度等を記載したビーコンパケット配信し,それを受信することによって互いの 位置を正確に把握することが重要となる.特に,近接する車両同士は衝突の危険性が高いため,高頻度に 高精度な位置情報が必要となる.本稿では,各車両が衝突リスクに応じて適切な頻度で周辺車両の位置情 報を把握することに重点を置き,一定周期でビーコン送信電力を増減させるビーコン送信電力動的変更手 法を提案する.本手法を用いることで,遠距離に位置する車両に関しては少ないものの十分な頻度でビー コンを到達させ,また,他通信への干渉を減少させる.一方,近距離に位置する車両には高頻度にビーコ ンを到達させることができると期待される.本稿では,提案手法を用いた場合のビーコン送受信間の距離 とビーコン受信率の関係をシミュレーションにより評価した.シミュレーション結果より,車両密度が高 い場合において,固定送信電力や動的送信電力制御手法の一つDCC を用いてビーコンを送信するより, 提案手法を用いた場合の受信率が高くなることを確認した.

2E-2 (時間: 15:10 - 15:30)
題名無線LANを利用した車車間無線ネットワークの検討
著者*松本 真紀子, 大西 亮吉, 吉岡 顕 (株式会社トヨタIT開発センター), 眞野 浩 (株式会社アライドテレシス開発センター)
Pagepp. 383 - 388
KeywordIEEE802.11ai, マルチホップ, 車車間通信
Abstract近年,自動車への無線LANの搭載が進められている.他の車両やホットスポットとすれ違う一瞬の機会を利用した通信を可能とし,車両同士の中継によって車両のセンシングしたデータを情報センタへ集めるための情報収集インフラの実現に向けて,本論文では無線LANを利用した車載通信システムを提案する.システムは2つの技術で構成されており,ひとつは無線LANアクセスポイント(AP)の仮想化,もう一つは無線LANの初期接続高速化である.仮想APにおいては,ESSID切替やIPアドレス割当を独自の手法で行うことにより,車車間無線ネットワークを構築する.無線LANの初期接続の高速化のために,認証やIPアドレス割当用のサーバをシステムに内包し,すれ違いの機会でのデータ送信を実現する.プロトタイプシステムを試作し,無線LAN APの仮想化によって車車間無線ネットワークが構成されることを確認した.また無線LANの初期接続高速化の評価のために,無線インタフェースの開放時間を変化させ,各開放時間内に転送される通常接続と高速接続のメッセージ数を測定した.その結果,通常接続は無線インタフェースの開放からメッセージ伝送開始まで5秒程度要するのに対して,高速接続は1秒目で既に伝送が開始されており,高速接続によってすれ違いの通信機会を効率的に利用できることを確認した.

2E-3 (時間: 15:30 - 15:50)
題名道路交通網上でパケット配送を実現する距離ベクトルルーティング
著者*阪口 紘生 (奈良先端科学技術大学院大学), 吉廣 卓哉 (和歌山大学システム工学部), 柴田 直樹 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 389 - 397
Keyword高度交通システム(ITS), VANET, 経路制御プロトコル, プロトコル設計
Abstract近年,車社会の発展に向けて車同士が自律的にネットワークを構築するVANETに関する研究が盛んに行われている.VANETでは位置情報を利用しルーティングを行うジオメトリックルーティングが多く利用されるが,ジオメトリックルーティングでは通信を確立するために一定以上の車両密度が必要であり,車両密度の低い郊外での使用は難しい.しかし,広い範囲の道路での通信を実現するためには都市部であっても郊外であっても一様に動作するシームレスなルーティングプロトコルが望まれる.本研究では,車両密度に影響を受けずにパケットを配送するため,路上に設定された無線基地局間で車両を伝送媒体としてパケットを転送する新たなネットワーク形態を提案し,そのネットワーク上でルーティングを行う距離ベクトルルーティング手法を提案する.

2E-4 (時間: 15:50 - 16:10)
題名自動車システムのセキュリティ・セイフティポリシに基づくパケット破棄攻撃への対策
著者*加藤 平成, 井手口 哲夫, 奥田 隆史, 田 学軍 (愛知県立大学 大学院情報科学研究科)
Pagepp. 398 - 403
KeywordITS, 車車間通信, IVC, マルチホップ通信, セキュリティ
Abstract本稿では、自動車システムの内部と外部の情報の連携の安全性と信頼性を実現するために、これらの情報の連携を行う自動車システムに対して、セキュリティ・セイフティポリシを策定する。 また、ポリシの策定に関して、特に車車間通信を利用した自動車システムにおいて予測される脅威と、それらの対策方法を示し、車車間通信環境においては既存の方法では対策困難な脅威の一つであるパケット破棄攻撃に対する方策として、既存のwatchdogを用いて周辺ノードの中継監視する方式に、攻撃が疑われる車両に関して周辺の車両の監視記録に対して問い合わせを行う機能を追加することで、誤検出を抑え、パケット破棄を行う攻撃者を検出・特定できる方策を提案し、提案した手法に対し、シミュレーションを行い、検出率・誤検出率・オーバーヘッドといった項目を既存方法と比較する。

2E-5 (時間: 16:10 - 16:30)
題名高速道路における車々間通信システムへのIDベース暗号の適用とその評価
著者*レスアン ヒウ, 井手口 哲夫, 奥田 隆史, 田 学軍 (愛知県立大学情報科学研究科)
Pagepp. 404 - 409
Keyword車々間通信システム, IDベース暗号, 車々間認証


セッション 2F  ネットワーキング
日時: 2013年7月10日(水) 14:50 - 16:50
部屋: 竹・梅
座長: 山井 成良 (岡山大学)

2F-1 (時間: 14:50 - 15:10)
題名Underwater Sensor Networkにおけるルーティングプロトコルの性能比較
著者*加藤 凌, 高野 敦弘 (早稲田大学 大学院 基幹理工学研究科 情報理工学専攻), 大木 哲史 (早稲田大学理工学研究所研究員 次席研究員), 甲藤 二郎 (早稲田大学 大学院 基幹理工学研究科 情報理工学専攻)
Pagepp. 410 - 414
Keywordセンサーネットワーク, 水中音波通信, ルーティングプロトコル, Geographicalルーティング, 消費電力
Abstract本稿では、水中環境での音波通信を前提として、Geographical型のルーティング手法の1つとして提案されているDBRの欠点の克服を目的としてノードの配置方法とネットワーク性能の関係についての調査実験を行なった後、ルーティングプロトコル(AODV、DSDV、DBR)によるネットワーク性能比較実験を行なった。実験には、ネットワークシミュレータns-3を利用した。また評価項目はパケット到着率、end-to-end遅延、ネットワーク全体のエネルギー消費量とした。本実験よりDBRの欠点の1つである冗長パケットの多さは、ノードの配置方法を工夫することにより、軽減することができることを確認した。さらにルーティングプロトコルによるネットワーク性能の差も確認することができた。パケット到着率とend-to-end遅延の面では、ノード移動がない場合や移動速度が小さい場合はAODVが良い性能を示し、ノード移動が大きい場合は、DBRが良い性能を示すことを確認した。またエネルギー消費の面からはノードの移動速度に関わらずAODVが最も良い性能を示すことを確認した。

2F-2 (時間: 15:10 - 15:30)
題名ユーザ間協調と異種無線メディア連携を特徴とするWi-Fi Access Point発見方式
著者*大島 浩太 (埼玉工業大学), 中井 悠人, 堤 智昭, 寺田 松昭 (東京農工大学)
Pagepp. 415 - 422
Keyword異種無線メディア連携, スマートフォンネットワーク, 無線LAN
Abstractスマートフォンに代表されるモバイル端末の普及に伴い、屋外で無線LANを用いたインターネット接続を利用する機会が増加している。無線LANは携帯電話網に比べ高速にインターネットに接続が可能であるが、電波が物理的に届く無線LANアクセスポイント(AP)のみ検知可能で、それ以外のAPの把握が難しいという課題がある。本論文では、スマートフォンユーザ同士の連携と異種無線メディアの連携モデルにより、無線LAN APの発見を支援する方式を提案し、提案方式を備えたプロトタイプシステムを開発する。提案システムは、APのインターネット接続性能など従来方式では提供が難しい有益な情報のユーザ間協調による共有、無線LAN APに接続していない端末に対する近距離無線通信を利用したAP情報の提供、ユーザにとって意味のある情報のみを提供するためのユーザ選択型フィルタリングと位置情報解析型フィルタリング、地図インタフェースを用いた情報の提示を特徴としている。プロトタイプシステムを用いた評価の結果、フィルタリングによる情報の表示速度の高速化、ユーザにとって有益なAP情報の提供率72.1\%、発見率78.6\%を達成し、提案方式の有効性と利便性を示した。

2F-3 (時間: 15:30 - 15:50)
題名Rackインターフェースに対応した高速なウェブサーバの実装・評価
著者*野田 弘毅, 沼尾 雅之 (電気通信大学大学院情報理工学研究科情報・通信工学専攻沼尾研究室)
Pagepp. 423 - 428
Keywordネットワークアーキテクチャ, ウェブサーバ
Abstractオブジェクト指向プログラミング言語Rubyは,近年その使いやすさから様々な用途で広く使われている.現在は,その応用事例としてRuby on RailsをはじめとしたWebアプリケーションフレームワークの充実によってウェブアプリケーション開発に広く利用されている. RubyではサーバとアプリケーションフレームワークをつなぐインターフェースとしてRackと呼ばれる規格が存在する.RackはHTTPリクエスト/HTTPレスポンスをRubyのオブジェクトに置き換える際に抽象化の仕組みを共通化するための統一規格である.Rackのような統一のインターフェースを用いることのメリットとして,サーバとフレームワークが規格を守っているものであれば自由に載せ替えが可能である点があげられる.これらのRackの仕様に対応したウェブサーバは既にいくつか存在するが,いずれもパフォーマンス的な部分で問題を抱えている.これは既存のサーバが移植性を重視していることに起因する. しかし実用の現場ではウェブアプリケーションスタックとしてLAMP(Linux, Apache, MySQL, PHP)というものが広く使われており,Linux以外の環境でウェブアプリケーションを構築するケースが少ない.そこで本論文ではLinux環境のみに特化することで高速なサーバを実現することを目的として実装し、実際にapache benchを用いたベンチマーク計測を行って既存のRubyウェブサーバと比較実験を行った結果,既存のRuby製ウェブサーバに比べ約200%のリクエスト/レスポンス性能を実現した.

2F-4 (時間: 15:50 - 16:10)
題名デスクトップ画像共有システムのための、トーナメントアルゴリズムを使った負荷分散機構
著者*山之上 卓, 杉田 裕次郎, 小荒田 裕理, 小田 謙太郎, 下園 幸一 (鹿児島大学)
Pagepp. 429 - 434
KeywordP2P, Binary tree, Load balancing, tournament algorithm
AbstractHTML5を使ったデスクトップ画像共有システムにおいて, 大量のWebクライアント間で短い遅延を保ったまま, 画像共有を実現するための, 負荷分散機構について述べる. この画像共有システムは複数のWebサーバと大量のWebクライアントによって実現されている. この負荷分散機構はトーナメントアルゴリズムを用いて実現している. 80台の端末を用いて本システムおよびアルゴリズムの有効性を確認した.

2F-5 (時間: 16:10 - 16:30)
題名東大寺内におけるネットワーク整備について
著者*辻井 高浩 (奈良先端科学技術大学院大学 総合情報基盤センター), 山内 正人, 秋山 寛子 (慶應義塾大学 メディアデザイン研究科), 猪俣 敦夫, 藤川 和利 (奈良先端科学技術大学院大学 総合情報基盤センター), 砂原 秀樹 (慶應義塾大学 メディアデザイン研究科)
Pagepp. 435 - 441
Keyword東大寺, 世界遺産, WiFi, メッシュネットワーク, 偏波
Abstract東大寺は,奈良県奈良市雑司町にある華厳宗大本山の寺であり,金光明四天王護国之寺ともいい,奈良時代(8世紀)に聖武天皇が建立した寺である.「奈良の大仏」とし盧舎那仏を本尊とし,「奈良の大仏」として有名である.1998年に古都奈良の文化財の一部として,ユネスコより世界遺産に登録されている. NAIST情報科学研究科とKMDが開催したシンポジウム「歴史・文化と情報学」では,現在の東大寺境内の様子を撮影した映像上に,過去に存在した東塔のCGモデルを合成提示し,体験者はHMDを装着することで,東塔が合成された遠隔地の映像を自由に見回すことができるデモ等を実施した.このようなデモを実施するには,ネットワークの利用は不可欠である.一方で,世界遺産である東大寺のように歴史的価値がある建物や境内にネットワーク整備をすることは慎重に行わなければいけない. 本論文では,世界遺産である東大寺のような環境でのネットワークを整備するために必要な歴史的事情・景観への配慮,およびネットワーク構築における技術的対応や問題点等について報告する.

2F-6 (時間: 16:30 - 16:50)
題名映像配信サービス向けメモリ常駐型メタデータ管理システムの設計と実現
著者*柿沼 弘員 (NTTぷらら(元:NTTサービスエボリューション研究所)), 堀口 恭太郎 (NTTソフトウェアイノベーションセンタ), 深津 真二, 大橋 盛徳, 阿久津 明人, 鈴木 英夫 (NTTサービスエボリューション研究所)
Pagepp. 442 - 448
KeywordIPTV, TV-Anytime, メタデータ, メモリ常駐型データベース


セッション 2G  コンシューマデバイス
日時: 2013年7月10日(水) 14:50 - 16:50
部屋: 松
座長: 清原 良三 (神奈川工科大学)

2G-1 (時間: 14:50 - 15:10)
題名常駐起動アプリケーションの監視モジュールを組み込んだAndroid OSの提案
著者*猪狩 知也, 鈴木 浩, 服部 哲, 速水 治夫 (神奈川工科大学)
Pagepp. 449 - 452
KeywordAndroid, OS, 常駐起動アプリケーション
Abstract近年,Androidにおいて常時起動しているアプリケーションが増加している.例えばセキュリティ,盗難対策アプリケーションやTwitterクライアントの通知機能やRSSリーダーアプリケーションで常に最新情報を収集しているアプリケーション等が挙げられる. しかし一方で,常時起動を妨げる要因は多く存在する.問題が発生してアプリケーションが常時起動しなかった場合常駐起動アプリケーションの恩恵をユーザは受けられなくなる. Androidではアプリケーションの終了は使用しているユーザに通知されない.すなわち,特定のアプリケーションが常時起動していると思っていたにも関わらず終了していた場合はその常時起動の停止を発見する事が困難である. また,アプリケーションがどのような処理を持っているのかはアプリケーションの利用ユーザは知る事が出来ず,アプリケーションの終了の際に適切な処理を行うようなプログラムが書かれているかどうかを知ることが出来ない. 上記の問題を解決する為に,あらかじめ常駐起動させておきたいアプリケーションをユーザが選択し登録しておき,アプリケーションの起動確認やアプリケーションの常駐維持支援,アンインストール防止を行い第三者による意図的な停止を防ぐことができる機能を持ったモジュールを試作した. 本論文では,これらのモジュールをAndroid OSへの追加モジュールとして試作し評価した結果を報告する.

2G-2 (時間: 15:10 - 15:30)
題名カーネルトレース機構を利用したシステムトレース機能の設計と実装
著者*攝津 敦, 増田 大樹, 落合 真一 (三菱電機(株)情報技術総合研究所リアルタイムプラットフォーム技術部)
Pagepp. 453 - 459
KeywordTRACE, LINUX
Abstract情報通信システムの高度化、複雑化に伴い、そこで発生する不具合は、OS、ミドルウェア、およびアプリケーションが複雑に絡み、解析を困難にしている。ソフトウェアの振る舞いを時系列に記録するイベントトレース機能は、従来、アプリケーション(およびミドルウェア)とOS(カーネル)のイベント情報が別々に記録されていたため、アプリケーションとカーネルとが連動するソフトウェア全体の振る舞い解析が容易ではなかった。そこで今回、アプリケーションの関数実行イベントをカーネルのイベントトレース機構にて記録するシステムトレース機能の設計を行い、LinuxOSにて実装を行った。また、本方式におけるアプリケーションの実行遅延について評価を行った。評価の結果、本方式は、同様な機能を持つSystemTapの1/5の処理時間であり、アプリケーションの実行に対し1%程度の遅延で済むことが判明した。

2G-3 (時間: 15:30 - 15:50)
題名証拠性確保を重視したケース指向電子記録管理のためのパッケージ構造の業務適用評価
著者*宮崎 一哉 (三菱電機株式会社/情報技術総合研究所), 木村 道弘, 前田 陽二 (一般財団法人日本情報経済社会推進協会), 辻 秀一 (東海大学)
Pagepp. 460 - 465
Keyword記録管理, パッケージ, ケース管理, 長期署名, ASiC
Abstract電子記録管理とは,組織による事業継続,発展,リスク回避,権利保護,説明責任などを達成し,それを長期間維持することを目的とした,電子記録の取得,維持,活用等の仕組みであり実践であり,電子化の進展する社会におけるこれからの組織運営にとって極めて重要となると目されている. パッケージとは記録とメタデータを一体化するためのデータ構造である.パッケージは記録とメタデータとの関係を維持した状態で流通あるいは移管されるときに用いられる. 我々は電子記録管理において最も重視される要件を証拠性の確保であると捉え,更に,個々の電子記録のみでなく複数の電子記録が含まれる"ケース"を対象としたパッケージ構造の標準形式を提案する.提案形式をソフトウェアシステム請負製作業務に適用し,既存技術との比較による机上評価を行った結果,提案形式の定性的な有効性が確認できた.

2G-4 (時間: 15:50 - 16:10)
題名マルチディスプレイ・レスポンシブウェブシステム
著者*坂井 成道, 峰松 美佳, 川添 博史, 会津 宏幸 (東芝 研究開発センター)
Pagepp. 466 - 470
KeywordWeb, HTML5, マルチディスプレイ, 分散協調, プロキシ
Abstractスマートフォンやスマートテレビをはじめ,ネットワークに接続可能なディスプレイ搭載機器が普及し,ユーザはそれらを複数種類所持するようになった.今後,ユーザがそれぞれの機器の特色を活かしながら同時に組み合わせて利用することが想定される.一般に,複数の機器を連携させるアプリケーションは単体の機器上で動作するアプリケーションよりも設計や実装が難しい.我々は,複数の機器のブラウザが連携して動作する新しいWeb体験「マルチディスプレイ・レスポンシブウェブ」を提案する.本稿では,マルチディスプレイ・レスポンシブウェブシステムの実現における課題と解決を示し,試作したシステムについて述べる.

2G-5 (時間: 16:10 - 16:30)
題名面を返すことにより機能を切り替える多面体スイッチの基礎検討
著者*有賀 玲子, 宮田 章裕, 浦 哲也, 定方 徹, 佐藤 隆, 小林 稔 (NTTサービスエボリューション研究所)
Pagepp. 471 - 476
Keyword操作インタフェース, インタラクション, センサネットワーク
Abstract本研究では,システムを操作するのが簡単で,操作を覚える必要がなく,生活シーンの中に馴染みやすい操作インタフェース「多面体スイッチ」を構築することを目的とする.多面体スイッチでは,システムに与えたい命令が文字や図で筐体に書かれた操作インタフェースを用いて,与えたい命令が表にくるように筐体の面を返すことで対象機器を操作する.システムがどのような状態にあるか明示的なので操作方法を覚える必要がないことと,様々な形状で実装が可能なので,機械らしさがなく生活の中に馴染みやすいことを特徴とする.本稿では,マグネット型の裏表スイッチと,キューブ型の多面体スイッチの提案と実装を行う.

2G-6 (時間: 16:30 - 16:50)
題名双方向インタラクション可能なハンガー型デバイス
著者*羽田 久一 (東京工科大学 メディア学部)
Pagepp. 477 - 482
Keywordモノのインターネット, Webサービス, タンジブルインターフェース
Abstractあらゆる日用品をネットワーク化する Internet of Things(IoT)という言葉の広まりと ともに,従来ではインターネット化することが困難であったモノをネットワーク化する 動きが生じている.このようなネットワーク化によって,さまざまな物体はインターネッ トを介した情報検索,情報提示のためのデバイスとして利用することが可能となる. 本研究では日常だれもが利用するモノとして衣服をとりあげ,衣服のネットワーク化 のためのデバイスとして双方向インタラクション可能なハンガーを提案し実装を行った. 単方向の通信が主であった従来の研究とは異なり,ハンガーを双方向通信を行えるデバ イスとして構成することでハンガーを通して衣服の情報の提示・検索・ログの取得といったさまざまな用途に利用することが可能となる.


セッション 2H  ネットワークセキュリティ1
日時: 2013年7月10日(水) 14:50 - 16:50
部屋: エトワール
座長: 猪俣 敦夫 (奈良先端科学技術大学院大学)

2H-1 (時間: 14:50 - 15:10)
題名OpenFlowを利用したQoS認証サービスプレーン導入に関する基礎的検討
著者*宮田 宏, 並木 美太郎, 佐藤 未来子 (東京農工大学)
Pagepp. 483 - 492
Keywordセキュリティ, QoS, OpenFlow, パケット認証
Abstractプラント等でのプロセス制御においてBackhaulを利用した制御が期待されている.Backhaulを用いたプロセス制御には実時間性を確保するためにQoSの利用が求められるが,QoSには優先度の詐称を防ぐ手段が無い.著者らはこのような詐称を防ぐためにQoS認証機能を提案してきた.本稿では,このQoS認証機能をネットワークレイヤに依存せず,よりスケーラブルで冗長性を持ったものにするための課題を整理し,その解決策を検討した.検討の結果としてルータ以外でのQoS認証機能がないこと,スケーラビリティがないこと,認証機能の更新性がないことを示し,検討に基づきQoS認証技術を,OpenFlowを用いてオフロードする方式を設計した.本稿では,その設計と,最も根幹となるスイッチからQoS認証機能を呼び出すための機能の試作による評価を示す.

2H-2 (時間: 15:10 - 15:30)
題名ネットワーク動的構成による高セキュリティLANシステムとセキュリティレベルの適応制御
著者*十場 裕, 黄 宏軒, 川越 恭二 (立命館大学)
Pagepp. 493 - 500
Keywordセキュリティ, LAN, ネットワーク管理
Abstract安価な高速ネットワークサービスや家庭内ネットワークの普及により, ネットワーク接続可能な電 子機器(ネットワーク情報機器: NW情報機器) が増加している. 一般に, これらのNW 情報機器は既存の OSやミドルウェアをベースに構築されているため, NW情報機器はOSやミドルウェアに存在する脆弱性 の影響を受ける. 脆弱性による被害を防ぐにはセキュリティアップデートが有効であるが, サポートやサー ビス提供期間終了後でアップデートが提供されない場合や, 利用者によるソフトウェアアップデートが実 行されないことがある. この結果, NW情報機器は脆弱性を利用した攻撃によって被害を受ける可能性があ るという問題が存在する. 本論文では, この問題を解決するために, OpenFlowと侵入検知システムを用い た高セキュリティLANシステムを提案する. 本システムは, NW 情報機器をネットワーク内部からの攻撃 から保護し, 保護の度合いを決定するポリシーをNW情報機器やLANの状況にあわせて柔軟に変更する. これによって, LAN内のセキュリティの維持・向上を実現する.

2H-3 (時間: 15:30 - 15:50)
題名Androidアプリケーションにおける情報収集モジュール通信判別手法
著者*葛野 弘樹, 澗潟 謙一 (セコム株式会社 IS 研究所)
Pagepp. 501 - 508
Keywordセキュリティ, プライバシー保護, Android, スマートフォン, グラフ化遺跡
AbstractAndroidを搭載した端末において,第三者の開発したAndroidアプリケーションが幅広く利用されている.アプリケーションのうち,無料アプリケーションの多くは,広告配信や利用統計の利用を目的とした情報収集モジュールを組み込んでいる.この情報収集モジュールは,端末の利用者に関する情報を収集して,利用者の意図しない情報漏えいを起こす可能性があると指摘されている.我々は,1,188個のアプリケーションから収集したHTTP通信を調査し,797個のアプリケーションにおいて,46個の既知の情報収集モジュールの通信が含まれていることを確認した.さらに,情報収集モジュールの通信を解析し,広告画像の取得に至るまでに一連の規則があることが判明した.我々は,アプリケーションの通信に,このような情報収集モジュールによる通信が含まれているかを検出するために,問題があるとされる情報収集モジュールのHTTP通信をグラフ化し,グラフ間の距離に基づく検出手法を提案する.提案手法の評価として,情報収集モジュールのHTTP通信のグラフ4,696個の一部を用いた場合において,情報収集モジュールのHTTP通信に対して 72% の検知精度を示すことを確認した.

2H-4 (時間: 15:50 - 16:10)
題名現実的なインターネットトポロジを考慮した確率的パケットマーキング手法の提案と評価
著者*後藤 成聡 (筑波大学), 金岡 晃 (東邦大学), 岡本 栄司 (筑波大学システム情報系), 岡田 雅之 (日本ネットワークインフォメーションセンター)
Pagepp. 509 - 516
KeywordDoS攻撃, パケットマーキング, IPトレースバック, ネットワークセキュリティ
Abstractサービス不能攻撃は現代のインターネット社会において重大な脅威である.その対策技術であるIPトレースバックの1つに確率的パケットマーキング(PPM)があり,他のIPトレースバック手法に対し多くの利点を有している.しかし実用化を検討する上ではPPM未対応ルータへの対応,パケット収集の効率性,攻撃経路再構成の高速化などの課題が依然残されている.また既存のPPM手法としてマーキングを付与する確率を静的に設定するものと動的に設定するものとがあるが,いずれの手法の評価も理想的なトポロジを用いた効率性の評価であった.そこで本研究では課題のうちの1つである攻撃経路再構成に必要なパケット収集の効率性に焦点を当て,既存手法の課題の解決を目的とし,現実的な実現性をもつと考えられるPPM手法を提案する.本提案手法ではユーザとインターネットの境界に位置するルータでのマーキング確率を任意に設定し,得られるマーキング情報のバラつきを減少させる.またCAIDAのインターネットルータトポロジを利用し,マーキングされたパケットが被害者へ到着する確率の期待値と,同トポロジ上でのシミュレーションによって既存の手法と提案手法の評価を行う.

2H-5 (時間: 16:10 - 16:30)
題名セキュアプロセッシングにおける処理多重化へ共謀が与える影響に関する数値的調査
著者*稲元 勉 (愛媛大学大学院理工学研究科), 島本 将成 (愛媛大学工学部), 樋上 喜信, 小林 真也 (愛媛大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 517 - 520
Keywordエクスターナルグリッド, ランダムネットワーク, 共謀
Abstract本稿は,インターネット上の必ずしも信頼できない計算機を用いて行う分散処理のための処理多重化において,意図的に不正を行う計算機の共謀が処理結果へ与える影響の数値的調査を目的とする. ここで,処理多重化とは,ある同一の処理内容を複数の計算機に分配し,その結果を集約することで計算結果の信頼性向上を企図する手法である. 処理多重化により,少数派であることとして,不正な処理結果を正しい処理結果と区別することが可能となる. しかしこの際,不正な処理結果を返す計算機が共謀すると,不正な結果が多数派となり,処理結果の正・不正を誤って判定してしまう恐れがある. 本稿では,このような誤りの生じる確率を,いくつかのパラメータ設定のもと数値的に算出・調査する.


セッション 3A  統一テーマセッション-モバイルネットワーク
日時: 2013年7月10日(水) 17:05 - 19:05
部屋: ハルニレ・アカシア
座長: 荒川 豊 (奈良先端科学技術大学院大学)

3A-1 (時間: 17:05 - 17:45)
題名(招待講演) 農業ビッグデータをつくる
著者*平藤 雅之 (農業・食品産業技術総合研究機構北海道農業研究センター/筑波大学大学院生命科学研究科)
Pagep. 521
Keyword農業, ビッグデータ, センサネットワーク

3A-2 (時間: 17:45 - 18:05)
題名全二重MIMO通信を用いた無線LANのためのメディアアクセス制御プロトコル
著者*福本 めぐみ (上智大学大学院理工学研究科理工学専攻情報学領域萬代研究室), 萬代 雅希 (上智大学理工学部情報理工学科)
Pagepp. 522 - 529
Keyword全二重無線通信, MACプロトコル, MIMO通信
Abstract本研究では,はじめに全二重 MIMO 通信のためのノードアーキテクチャを提案する.提案ノード アーキテクチャは全二重 n × n MIMO 通信を n 本のアンテナで実現する.次に,提案ノードアーキテク チャのための MAC(Medium Access Control) プロトコルを提案する.提案 MAC プロトコルは wireless local area network(WLAN) 環境において全二重 MIMO 通信が適用される機会を増加させることを目的と する.提案ノードアーキテクチャと提案 MAC プロトコルを理論解析および計算機シミュレーションで評 価する.評価により,WLAN 環境において上りスループットを低下させることなく,下りスループットの 向上を図ることを示す.

3A-3 (時間: 18:05 - 18:25)
題名伝送周期の調整による無線マルチホップネットワーク上での TCP の輻輳の緩和手法
著者*中原 史博, 北須賀 輝明, 有次 正義 (熊本大学大学院自然科学研究科)
Pagepp. 530 - 537
Keywordモバイルネットワーク, 無線LAN, TCP プロトコル, データリンク層, マルチストリーム
Abstract無線マルチホップネットワークにおいて, TCP プロトコルによる双方向通信では, ホップ数の増加に伴いスループットが低下する. 本研究では, 単一および複数の TCP ストリーム を対象に, 輻輳を緩和することを目的とし, 各ノードのデータリンク層で次のノードへのパケット伝送までに待ち時間を入れる手法を提案する. シングルストリームとマルチストリーム上で待ち時間を変化させて, スループットとパケット伝送数をシミュレーションし, その結果を元に待ち時間を設定し, 提案手法による輻輳の緩和とスループットについて評価した. 結果から, 単一および複数の TCP ストリームのすべてのシミュレーションで,スループットは少し減少したものの, パケット伝送を減らし, 輻輳を緩和させることが示された.

3A-4 (時間: 18:25 - 18:45)
題名消費電力量を考慮したプリフェッチに基づくWiFiオフローディング手法の提案
著者*尾上 佳久, 玉井 森彦, 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科ユビキタスコンピューティングシステム研究室)
Pagepp. 538 - 547
Keywordオフローディング, プリフェッチ, 消費電力
Abstract本稿では,Webブラウジング,動画視聴などの実時間性が重要なアプリケーションが 発生するモバイル・データ・トラフィックをWiFiネットワークへオフロードすることを目的に, WiFiを利用可能な間に,ユーザが今後3G回線経由で閲覧する可能性があるコンテンツを 予測し事前にダウンロード(プリフェッチ)するWiFiオフローディング手法を提案する. 提案手法では,移動端末のバッテリの制限を考慮して,オフロードに利用する電力量に制約を設け, その制約の中でオフロード量の最大化を目指す. この目標を実現するために,オフロードに利用可能な電力量の消費スケジューリング方法を提案する. 更に,期待オフロード量という尺度でコンテンツを評価し,オフロード効果が最も期待できる コンテンツの集合をプリフェッチする方法を提案する. WiFiオフローディングに対するプリフェッチの有用性を評価するためにトレース駆動シミュレーション を行った.シミュレーションの結果,ユーザが3G回線のみが利用できる場所で閲覧した全コンテンツのデータ容量の内71% がオフロードされたことを確認し,プリフェッチのWiFiオフローディングに対する有効性を確認した.

3A-5 (時間: 18:45 - 19:05)
題名単方向の直線ページング手法のための端末位置更新法
著者*王 旭, 沼尾 雅之 (電気通信大学情報理工学研究科)
Pagepp. 548 - 552
Keywordセルラーネットワーク, ロケーションマネージメント, ページングコスト, ロケーション更新コスト, 直線ページング
Abstractスマートフォンを代表とする移動端末が普及するに伴い, セルラーネットワーク管理技術がますます重要になっている.今までの研究の中で直線ページング手法のための端末位置更新法と呼ばれるロケーション管理手法はモバイルの移動方向変更により同一直線上の基地局をページングする. しかし、この手法で双方向ページングが使うためコストが高い.本稿では直線ページングを基づく方向変換として左右だけでなく同一直線上逆方向に向きを変える場合追加した単方向直線ページングというロケーションマネジメントを提案する. 評価するために,我々はOMNeTツールを用い,セルラネットワークで正方形の400 個のサービスエリアを配置し, 携帯電話への呼び間隔時間とモバイルがセルで滞在する時間は指数時間でシミュレーションを行った.そして,ランダムフォークモデ及び高速道路モデルを使い, ページングコスト,更新コスト, トータルコストを評価する.本稿では双方向直線ページング手法のための端末位置更新法を改善することで多少ロケーション更新コストが増えるが、ページングコストが半分ほど下がることでロケーションマネジメント全体コストが減少することが確認できた. さらに, ランダムフォークモデルと高速道路モデルの下で従来手法と提案手法はシミュレーションを使ってコストを評価して我々の手法が優れることを確認できた.


セッション 3B  アドホックネットワークとP2P
日時: 2013年7月10日(水) 17:05 - 19:05
部屋: 柏・ポプラ
座長: 吉廣 卓哉 (和歌山大学)

3B-1 (時間: 17:05 - 17:25)
題名アドホックネットワークにおけるデータの複製を考慮したk最近傍データ検索手法
著者*駒井 友香, 佐々木 勇和, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 553 - 560
Keywordアドホックネットワーク, k最近傍検索, 複製配置, 位置依存サービス
Abstractk最近傍検索は,指定された位置(クエリポイント)に対して,その位置から距離の近い上位k個の位置依存データ(k最近傍データ)を取得する検索方法である.本稿ではアドホックネットワークにおいて,データの複製を用いて,トラヒックおよび検索時間の低減を目的とするk最近傍データ検索手法を提案する.提案手法では,クエリポイントをクエリを発行する端末の位置と想定するため,移動時に周辺端末とメッセージの交換を行い,複製を近傍データに更新する.検索時には,検索範囲内の各端末が,自身の保持するデータの複製に関連する地理的範囲と検索範囲の重複が大きいほど早く返信を行い,返信を傍受した端末は,返信済みの範囲のデータを返信しない.これにより,できるだけ少ない端末による重複のないデータの返信を実現する.シミュレーション実験より,提案手法は取得精度を維持しつつ,トラヒックおよび検索時間を低減していることを確認した.

3B-2 (時間: 17:25 - 17:45)
題名モバイルアドホックネットワークにおけるクラスタを用いたTop-k検索のためのルーティング手法
著者*天方 大地, 佐々木 勇和, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 561 - 568
KeywordTop-k検索, クラスタリング, ルーティング
Abstractユーザが指定する検索条件に基づいてデータのスコアを決定し,上位k 個のスコアをもつデータを検索するTop-k 検索への関心が高まっている.本稿では,モバイルアドホックネットワークにおいて,検索結果の取得に必要な端末のみでTop-k 検索を行うことを目指し,クラスタを用いたTop-k 検索のためのルーティング手法,CTR(Cluster-based Top-k query Routing) を提案する.CTR では,スコアが大きいデータをもつ端末がクラスタヘッドとなるクラスタリングを行い,複数のクラスタに属するノード(ゲートウェイノード)を介してクラスタヘッド間で検索クエリのルーティングを行う.各クラスタヘッドは,スコアが大きいデータまでのホップ数を管理し,自身が検索する必要のあるデータを自律的に判断する.これにより,取得精度を維持しつつ,不要な検索クエリの転送を抑止する.シミュレーション実験の結果から,提案手法は,高い取得精度を維持しつつ,低オーバヘッド,および低遅延を達成していることを確認した.

3B-3 (時間: 17:45 - 18:05)
題名アドホックネットワークにおけるデータ差替え攻撃を考慮したTop-k検索手法および攻撃端末特定手法
著者*津田 琢士, 駒井 友香, 佐々木 勇和, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 569 - 576
KeywordTop-k検索, アドホックネットワーク, データ差替え攻撃
Abstractアドホックネットワークでは,通信帯域が限られているため,端末が何らかの値(スコア)によって順序付けられたデータの上位k 個のものを検索するTop-k 検索を用いることが有効である.しかし,外部からの攻撃により,ネットワーク内の端末が攻撃端末となった場合,正確な検索結果の取得を妨害される恐れがある.本稿では,攻撃端末が受信したデータを自身が保持するスコアが低いデータに差し替えて返信(データ差替え攻撃とよぶ)を行うことを想定し,アドホックネットワークにおけるデータ差替え攻撃を考慮したTop-k 検索手法および攻撃端末特定手法を提案する.提案手法では,クエリ応答を複数の経路によって送信することで,取得精度を維持する.また,クエリ応答の転送経路をメッセージに添付して送信することで,クエリ発行端末は,データ差替え攻撃を検知することができる.さらに,この情報を用いて,攻撃端末候補を絞り込み,攻撃端末候補のデータの送信先端末にデータの受信状況を問い合わせることで,攻撃端末を特定する.シミュレーション実験の結果から,提案するTop-k 検索手法は,複数経路でクエリ応答を送信することで取得精度を維持でき,さらに攻撃端末特定手法により,攻撃端末を高い確率で特定できることを確認した.

3B-4 (時間: 18:05 - 18:25)
題名複数の異なる配信周期を扱うP2P型センサデータストリーム配信システムのための負荷均等化手法
著者*川上 朋也 (神戸大学), 石 芳正, 義久 智樹 (大阪大学サイバーメディアセンター), 寺西 裕一 (独立行政法人情報通信研究機構/大阪大学サイバーメディアセンター)
Pagepp. 577 - 584
Keywordセンサデータ, データストリーム, 配信周期, 分散処理, P2P
Abstractライブカメラや環境センサといったセンサデータを周期的に収集して,収集するたびに利用者に対して配信するセンサデータストリーム配信が近年注目されている.センサデータストリーム配信では,配信先は用途によって異なる周期で要求することが考えられる.我々のグループでは,複数の配信先が異なる周期で要求する環境を想定し,配信元の負荷を分散する手法を提案した.これらの手法では,異なる配信周期のセンサデータストリームに含まれる同じ配信時刻のセンサデータを配信先間で送受信することで,配信元および配信先の通信負荷を分散している.しかし,配信先が携帯電話の場合など,配信先がセンサデータを再送信することが困難な状況が考えられる.そこで本研究では,複数の異なる種類のセンサデータストリームが混在する環境での配信システムにおいて,特定の種類および周期を指定する配信先端末に対し,配信にかかる負荷を複数のコンピュータで分散しつつセンサデータストリームを中継する負荷均等化手法を提案する.

3B-5 (時間: 18:25 - 18:45)
題名P2P Live Streamingにおけるインセンティブを考慮したチャンクスケジューリングの提案
著者*酒田 良樹, 畠山 翔, 重野 寛 (慶應義塾大学大学院)
Pagepp. 585 - 592
KeywordP2Pライブストリーミング, インセンティブ, Buffer Map
AbstractP2P ライブストリーミングサービスでは,ピアは受信した動画の他のピアへの送信も行うことにより,サーバの配信負荷を軽減している.動画はチャンクに分割されて配信され,各ピアはチャンクを受 信し元の動画に復元することで視聴できる.ピアに積極的にチャンクを送信させて配信サーバの送信負荷を下げるために,チャンク送信量に応じた量だけチャンク受信を許可するという,Tit-for-tat アルゴリズムが広く導入されている.しかし,既存手法では,隣人のチャンク保持情報の把握のために必要なバッファマップ交換がピアの送信帯域を圧迫し,チャンク転送が行えなくなるという問題点がある.そこで本論文では,インセンティブP2P ライブストリーミングサービスにおいて,バッファマップ交換においてもTit-for-tat を導入しバッファマップ交換数を抑制する手法BEMUT(Buffer Map Exchange Method Using Tit-for-tat)を提案する.提案手法により,ピアの帯域と隣人ピアのチャンク保持情報を考慮し適切 にバッファマップ交換を行うことにより,ピアの送信帯域を有効に活用する.また,シミュレーション評価により,各ピアの動画受信品質の改善を示す.

3B-6 (時間: 18:45 - 19:05)
題名端末特性を考慮したSkipGraph構成方法の提案
著者*安友 洋平 (公立はこだて未来大学大学院), 中村 嘉隆, 高橋 修 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 593 - 598
KeywordP2P, SkipGraph, 端末特性, 離脱率, 通信速度
AbstractSkipGraphはデータ構造であるSkipListをP2Pに適応したオーバーレイネットワークである.SkipGraphはハッシュ値を扱わないためにDHTでは実現が困難な範囲検索などが容易にできる特徴を持つ.従来のSkipGraphは,ピアの性能や通信環境などを考慮しておらず,すべてのピアを一様に扱う.しかし,実環境においては,端末毎に通信環境や性能は異なる.そのために,このような実環境を考慮した際,SkipGraphのトポロジの構成によっては検索効率を悪化させる.本研究では,この様なピアの特性のなかでも通信環境について主に考慮し,通信速度や帯域などの点からそれらを4つに分類し,伝送遅延が小さいピアほど優先的に検索を行うような,SkipGraphを構築する手法を提案する.


セッション 3C  実空間・拡張現実
日時: 2013年7月10日(水) 17:05 - 19:05
部屋: 白樺
座長: 米田 貴雄 (三菱電機)

3C-1 (時間: 17:05 - 17:25)
題名実世界のモノと関連づけたアイデアの共有による発想支援システム「ものぴこん」の開発と評価
著者*吉野 孝, 松原 嘉那子 (和歌山大学/システム工学部)
Pagepp. 599 - 607
Keyword発想支援, 拡張現実感, アイデア共有
Abstract創造能力低下の原因として,日常生活における継続的な創造的思考の機会の減少が挙げられている.本研究では,人は実空間上の「もの」を見ることで視覚刺激を受け,新しいアイデアを発想できるということに着目した.そこで,特定物体認識技術を用いることで,身の回りの「もの」を介してアイデアを日常的に共有するシステム「ものぴこん」の開発を行った.「もの」につけられたアイデアは,不特定多数のユーザと共有することができる.システムの発想への影響を検証するために,既存の発想方法との比較実験を行った.また,長期的なアイデアの記録を継続できるかどうか検証するために,ノートを用いたアイデア記録との比較実験を行った.本研究の知見は以下の4点にまとめられる.(1)本システムを用いて実空間における発想のきっかけを提供することは,発想の助けになる可能性を示した.(2)屋外におけるアイデアの記録は,ノートと比較して本システムの方が容易であった.(3)本システムを用いて,「もの」を介したアイデアの共有を行うことにより,新しいアイデアを発想する傾向があることを明らかにした.(4)本システムはアイデアを発想する機会を増加させ,「もの」が発想のヒントとなり,アイデアの発想を容易にすることがわかった.

3C-2 (時間: 17:25 - 17:45)
題名家具をインテリジェント化するデバイスの実装と評価
著者*宮田 章裕, 有賀 玲子, 宮下 広夢, 柳沢 豊, 佐藤 隆, 井原 雅行, 小林 透 (日本電信電話株式会社)
Pagepp. 608 - 616
Keyword家具, センサ, ホームICT, インタラクション, 加速度
Abstract本論文では,家具をインテリジェント化するデバイスを提案し,検証実験の結果を報告する.家庭内の家具を操作したとき,自動的に機能が実行されると暮らしが便利になると思われる.例えば,玄関のドアを開けたとき,今から間に合う電車の発車時刻をユーザに提示する機能が実行されれば,ユーザはわざわざ電車の発車時刻を調べる手間が省ける.しかし,既存手法では,ユーザが家庭内にも関わらず何らかのデバイスを装着したり,特殊なジェスチャを行ったりしなくてはならない場合が多い.利便性を高めるためには,コンピュータを明示的に意識・操作することなく,普段どおりに家具を操作するだけで済むことが望ましい.我々が提案する小型デバイスは,加速度センサやスピーカなどを内蔵し,ユーザはこれを接着した家具を普段どおりに使うだけで,デバイスから音声出力される機能の実行結果を確認できる.本技術はどの国の一般家庭にも数多く存在する可動家具(引き出し,ドア,郵便受けなど)に広く適用可能である.機能を実行するためのトリガ操作(ドアを開けるなど)をシステムに登録する方法も簡単であり,ユーザはトリガ操作を1回実行するだけでよい.

3C-3 (時間: 17:45 - 18:05)
題名つぶやきを用いた溜まり場でのインフォーマルコミュニケーション支援システム
著者*木下 覚 (筑波大学大学院 システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻), 田中 二郎 (筑波大学 システム情報系)
Pagepp. 617 - 624
Keywordコミュニケーション支援, インフォーマルコミュニケーション, 拡張現実感
Abstract情報技術が発展し, 様々なコミュニケーション手段が用意された現代においても, 雑談, つまりインフォーマルコミュニケーションは主要なコミュニケーション手段の一つである. インフォーマルコミュニケーションを通じて人間関係の維持発展や知識・アイデアの交換をおこない, スムーズな共同作業そして豊かな創作活動をおこなっていると考えられる. また, 私たちの身の回りにはリフレッシュルームや休憩スペースといった, たまり場と呼ばれる場所が存在する. ここでは, しばしば人々が集まりインフォーマルコミュニケーションをおこなっている. 本研究では, このたまり場という空間を利用し, そこでおこなわれるインフォーマルコミュニケーションを触発することを目的としたシステムを提案し実装を行う. システムでは, モバイル端末を用いてたまり場につぶやきの投稿をおこなう. ユーザが投稿したつぶやきはたまり場を介して共有され, 互いに閲覧することができる. システムの利用により,「たまり場に集まること」「インフォーマルコミュニケーションをおこなうこと」の2点が促される.

3C-4 (時間: 18:05 - 18:25)
題名空き時間の有効利用をめざす位置情報と拡張現実を用いた情報共有システムの提案
著者*山口 涼太, 伊藤 淳子, 宗森 純 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 625 - 631
Keyword位置情報, 拡張現実, スマートフォン, カメラ画像, WEBサービス
Abstract近年,iPhone,Androidなどのスマートフォンの普及率は増加傾向にあり,これによりスマートフォン向けの位置情報を用いた拡張現実(AR)アプリケーションが普及し知名度も上がっているが,通常の情報ツールと比べると利用者数の伸びが著しいとは言えない.本研究では,ユーザーが時間の有効利用ができる場所及び方法の発見を促進できることを目指し,カメラ画面に位置情報を付随した情報を重ね合わせて提示し,自動的に周辺情報をまとめた画面に遷移し閲覧するシステムを提案する.このシステムの一連の操作に対し煩わしさを感じさせないようシステムの利用時間を短く済ませることと,外出先で目的地とは別の場所で空き時間が生じた場合,システムを利用し,空き時間を有効利用できる周辺情報を入手するきっかけを提供し,空き時間の有効利用の支援を目指す.

3C-5 (時間: 18:25 - 18:45)
題名ARを用いたコンセントプラグを抜く習慣付け支援システム「ぷらとん」の開発と評価
著者*吉野 孝, 森田 沙奈 (和歌山大学/システム工学部)
Pagepp. 632 - 640
Keyword節電支援, コンセントプラグ, 仮想環境, モチベーション
Abstract現在,東日本大震災の影響で節電が注目されている.一般的な節電方法として,使用していないコンセントプラグを抜き待機電力を減らす方法がある.しかし,この方法はコンセントプラグを抜く習慣を身につける必要がある.そこで,コンセントプラグを抜く習慣を形成するためのシステム「ぷらとん」を開発した.ぷらとんはコンセント上にARでキャラクタを表示し,そのキャラクタを育成するシステムである.コンセントをARマーカとするため,コンセントプラグを抜かなければ利用できない.システムの有用性を検証するために,23日間の実験を行った.本研究の知見は以下の3点にまとめられる.(1)システムの利用によりコンセントプラグを抜く習慣を身につける可能性がある.(2)予測しにくいキャラクタの変化は利用者に「楽しみ」を与え好まれる.(3)情報の共有は競争意識を高め利用意欲となる可能性があるが,活発に情報を交換しなければ利用意欲とはならない.


セッション 3D  行動認識基礎
日時: 2013年7月10日(水) 17:05 - 19:05
部屋: 紅葉・大扇
座長: 須山 敬之 (NTT)

3D-1 (時間: 17:05 - 17:25)
題名携帯端末を用いた行動認識における端末格納場所情報を用いた認識パラメータ構成法に関する一検討
著者*太田 和也, 岩 正裕, 藤波 香織 (東京農工大学)
Pagepp. 641 - 646
Keyword行動認識, モバイルセンシング, ウェアラブルセンシング
Abstract高機能化に伴い各種センサを搭載した携帯電話端末を用いたモバイルセンシングにおいて,端末の格納場所により取得センサ値が異なる問題がある.そのため行動認識において格納場所を考慮せずに機械学習を行うと分類精度の低下が生じる可能性がある.格納場所ごとにチューニングした分類器構成を用いることで分類精度の向上が得られるという仮説を設定し,サンプリング周波数,ウィンドウサイズ,分類器種別,特徴量といった行動認識器(分類器)を構成するパラメータの様々な組み合わせにより精度比較を行った.格納場所ごとに異なる分類器構成を使用した際の精度(F 値)は0.88 を示し,格納場所を考慮しない単一の分類器構成を用いた際と比較して0.05 向上した.格納場所や行動によっては,個別方式で精度が下がるケースも見られたが,端末格納場所情報を用いた分類器変更の一定レベルの有効性が示唆された.

3D-2 (時間: 17:25 - 17:45)
題名加速度ベース行動認識におけるレスポンス時間短縮のためのパラメータ検討
著者*吉澤 実, 高崎 航, 大村 廉 (豊橋技術科学大学)
Pagepp. 647 - 654
Keyword行動認識, レスポンス時間短縮, HASCコーパス, パラメータ検討
Abstract既存のウェアラブルセンサを用いた行動認識技術では,センサデータを一度部分系列に分割して認識処理を行うため,行動の変化に対して認識結果の出力が遅れるという問題があった.そこで我々は行動の変化点に着目し,行動認識技術のレスポンス時間を短縮するための手法を提案している.しかし,提案手法における変化点検出や変化点直後のウィンドウサイズといったパラメータはよく検討されていない,という問題があった.そこで本稿では,人の行動の大規模データであるHASC Corpusを使用して実験を行い,提案手法における各種パラメータの検討を行った結果,並びに,従来手法との比較によって明らかになった提案手法の特徴について報告する.具体的には,変化点検出に使用するIIRバンドパスフィルタバンクについて,適切なフィルタ数およびその周波数を明らかにした.また,変化点検出後に設定する特別なウィンドウのサイズについて,サイズと識別精度の関係を明らかにした.従来手法との比較では,提案手法はウィンドウサイズとシフト幅が同じ場合,従来手法では平均2773msであったレスポンス時間を平均2035msへと短縮することを確認した.また,提案手法は計算量を押さえつつ,レスポンス時間と認識精度の両立し,かつ,レスポンス時間のジッタをおさえて安定した時間で認識結果を出力するという特色を持つことを明らかにした.

3D-3 (時間: 17:45 - 18:05)
題名加速度センサを用いたジェスチャ操作の早期認識手法の提案
著者*出田 怜, 村尾 和哉 (神戸大学大学院工学研究科), 寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科/科学技術振興機構さきがけ), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科)
Pagepp. 655 - 662
Keywordジェスチャ認識, 早期認識, 加速度センサ, Dynamic Time Warping
Abstract端末に搭載された加速度センサから得られる値を用いて端末の動きを検出することで従来のインタフェースでは困難であった入力が実現できる.一般的に加速度センサを用いたジェスチャ認識では,ジェスチャ終了後に認識処理を開始するため,ジェスチャ入力を行なってからフィードバックの出力までに遅延が生じ,インタフェースの操作性の低下につながる.本研究では,加速度センサを用いたジェスチャ認識において,途中までのジェスチャ入力データと教師データとの距離を逐次的に計算する早期認識アルゴリズムを提案する.提案手法では各教師データとの距離計算において,認識結果の候補が拮抗している場合には,認識結果を出力せずに次サンプルの入力を待ち,確度の高い唯一の候補が決定した時点で認識結果を出力する.タブレット端末使用時を想定した27種類のジェスチャに対して提案手法の性能を評価したところ,提案手法はジェスチャの終了約1秒前に100%の精度で認識できることを確認した.また,提案手法を組み込んだジェスチャベースのフォトビューアを実装した.提案手法を用いることでジェスチャを早期に認識でき,操作性が向上することを確認した.

3D-4 (時間: 18:05 - 18:25)
題名メタ学習に基づく加速度センサからの看護師行動識別
著者*上田 修功 (NTT コミュニケーション科学基礎研究所), 田中 佑典 (NTTサービスサービスエボリューション研究所), 中島 直樹 (九州大学病院メディカルインフォメーションセンタ)
Pagepp. 663 - 667
Keyword行動識別, 加速度センサ, メタ学習, パターン認識
Abstract加速度センサを用いた行動識別手法はこれまで数多く提案されているが,それらの大半は,「歩く,走る,座る」などの識別が容易な少数の行動カテゴリを対象とするか,あるいは,多数の加速度センサを体に装着するなど,実用的な手法とは言い難い.本研究では,現実的な状況下(少数の加速度センサ)で複雑な行動を高精度に識別する手法を確立すべく,問診などの認識困難な対象も含む,病院により既定された看護師行動を識別タスクとし,ベイズモデルの枠組みで,メタ学習法と呼ぶ高精度なパターン識別手法を提案する.メタ学習法では,異なる条件で個別に学習した複数の識別器の識別結果から真のクラスを推定する.実験により,個々の単一の分類器,および従来のアンサンブル分類手法の識別率を顕著に上回る性能を確認した.

3D-5 (時間: 18:25 - 18:45)
題名学習データ量削減のための圧縮センシングを用いた時系列データ解析による指差し呼称時の腕振り動作認識
著者*岩 正裕 (東京農工大学大学院 工学府 情報工学専攻), 藤波 香織 (東京農工大学大学院 工学研究院 先端情報科学部門)
Pagepp. 668 - 674
Keyword労働支援, ジェスチャ認識, 圧縮センシング, ウェアラブルセンシング, 信号処理
Abstract容易な指差し呼称動作評価環境の構築を目的とし,我々は身体装着型センサデバイスを用いた指差し呼称動作認識手法を提案した.しかし,指差し呼称時の腕振り動作認識において本人からのデータ取得はユーザ負担となり,負担の軽減には本人以外から得られたデータを利用しても精度を保つ必要がある課題が残った.一方で,先行研究では,圧縮センシング技術を用いてユーザ間で異なるジェスチャ所要時間の影響に対応し他人のデータを用いた高精度での認識を実現したが,腕振り動作についてはユーザ間で勢いが異なることが認識精度に影響する可能性がある.そこで本稿では他人から得られたデータの利用による学習データ量削減を目的とし,圧縮センシングを用いた腕振り動作認識について検証した.実験の結果では,他人のデータを用いたときに精度が低いユーザを本人からのデータに依存するユーザと定義し,依存性の高いユーザより取得したデータから順に加えて認識モデルを構築・評価したところ,4人分のデータで11人分と同等の精度を得た.これにより,圧縮センシングを用いた腕振り動作認識において他人のデータ利用が学習データ量削減に対して有効であると示唆された.

3D-6 (時間: 18:45 - 19:05)
題名入院病棟における患者センサと環境センサからの室内状況の把握
著者*林田 興祐, 戸田 隆道 (九州工業大学大学院先端機能システム工学専攻), 井上 創造 (九州工業大学), 野原 康伸, 中島 直樹 (九州大学)
Pagepp. 675 - 683
Keyword看護支援, ベッドセンサ, 大規模データ, センサデータマイニング, パターン認識
Abstract本研究では,病室に設置された騒音センサのデータ,照度センサのデータ,ベッドセンサのデータを用いて,看護師の入退室の認識を行った.認識には,実際の病棟において長期間収集した患者の生体データおよび病室の環境データから,看護師の入室時と退室時,在室時,非在室時のデータを200件用いて,特徴量の抽出を行い,さらに抽出した特徴量を用いて,看護師の入退室の認識を行った.その結果,看護師が外にいる状態からの遷移を考慮した場合,昼の時間帯では74[%],夜の時間帯では80[%]の認識精度を得ることが出来た.また,看護師が中にいる状態からの遷移を考慮した場合,昼の時間帯では79[%],夜の時間帯では85[%]の認識精度を得ることができた.また,より大規模な現実のデータで評価するため,最も処理に時間のかかる,センサデータの読み込み処理の部分に,並列分散処理を試みる.


セッション 3E  ナビゲーション
日時: 2013年7月10日(水) 17:05 - 19:05
部屋: 銀鱗
座長: 吉岡 顕 (トヨタIT開発センター)

3E-1 (時間: 17:05 - 17:25)
題名車車間通信による車載映像合成の提案
著者*中村 舜 (愛知工業大学大学院経営情報科学研究科), 橋本 幸二郎 (名古屋大学大学院), 澤野 弘明 (愛知工業大学大学院経営情報科学研究科), 土屋 健 (諏訪東京理科大学), 小柳 恵一 (早稲田大学)
Pagepp. 684 - 687
Keyword車車間通信, 車載カメラ映像, 合成処理, オクルージョン, ナビゲーションシステム
Abstract経路案内の一表示方式として車載カメラを用いたAR表示が利用されている.この表示方式では車載カメラで撮影された視界風景に経路案内情報を重畳して表示する.そのため,視界風景に違和感なく経路案内が可能である.一方で,撮影された視界風景には経路案内情報に不必要である周辺車両,通行人などの動的な情報(遮蔽物) も映しだされている.そこで著者らは車載カメラに加え,クラウドに接続された複数のカメラを利用した画像合成により画像上の前方車両などの遮蔽物の領域を削除する方法を提案している.画像の合成には,画像上の特徴点を画像処理技術により抽出し,特徴点の対応点に基づいた射影変換行列を算出し,後方車両の画像に適用する.そして前方車両,後方車両の画像を合成する.本稿ではオフライン環境における2枚の静止画像の合成処理を行い,評価実験を行った.実験の結果,合成結果において主観的に自然な合成結果が得られた.一方で,前方車両からの画像の領域が大きいという結果が得られた.最後に,本システムを実装するための予想される問題点をまとめ,今後の課題を示す.

3E-2 (時間: 17:25 - 17:45)
題名VNS:可視グラフに基づく屋内環境ナビゲーションシステム
著者*町田 理, 町田 直哉 (早稲田大学大学院基幹理工学研究科情報理工学専攻), 柳澤 政生 (早稲田大学大学院基幹理工学研究科電子光システム学専攻), 戸川 望 (早稲田大学大学院基幹理工学研究科情報理工学専攻)
Pagepp. 688 - 701
Keywordナビゲーションシステム, 可視グラフ, 屋内環境, 経路探索, 経路誘導
Abstract近年,移動通信網の発展や計算機の小型化・高性能化により携帯電話,タブレット端末が普及し,多くの人が外出時にこれらモバイル端末を所持するようになった.モバイル端末はGPSや加速度センサを搭載し,これらによりユーザの位置情報を用いた観光場所やグルメ表示などの情報提供のサービスが普及している.特に,ユーザが未知の場所において周りの情報を得るために利用する地図表示や,目的地への移動を補佐するナビゲーションシステムが普及している.これらのサービスで用いられる位置情報はGPSによる位置測位を使ったものが主である.GPSによる位置測位は屋外では精度が良いが,屋内では極端に悪化する.そのため,屋内で位置情報を用いるサービスは屋外のものに比べて少ない.しかし,空港や駅などの大型の施設上では屋内環境での位置情報を必要とするサービスの需要がある. 現在屋内環境向けのナビゲーションは屋内の複雑な建物構造や位置測位の難しさなどの要因により停滞している.この停滞している原因は,ナビゲーションの構成要素ごとに問題が起因しているためである.ある出発地点からある目的地点までのナビゲーションの構成要素は大きく分けて以下の3項目である. (1)位置測位 (2)経路探索 (3)経路誘導 (1)の位置測位は屋外空間ではGPS衛星を利用する手法が主流であるが,屋内空間では衛星からの電波を受信する際に信号が遮断される場所が多いため,この手法は利用できない.そこで,屋内環境の位置測位ではRFIDを利用する研究や無線LANを利用する研究など様々な研究がなされている.(2)の経路探索は屋外空間では道路ネットワークを利用した研究が行われている.しかし,屋内空間では道路ネットワークは存在せず,空間のモデル化の研究などが行われているが少ない.(3)の経路誘導は,屋外空間では建物名や交差点をランドマークとして利用できるため,案内文やマップがわかりやすい.しかし,屋内空間ではランドマークが少ないため,それらを表示した際にユーザにとって理解しにくいものとなる.理解しやすい案内文の研究が行われている. 本稿では,これら3つのナビゲーションの構成要素を取り入れたトータルなナビゲーションシステムとして屋内環境向けナビゲーションシステムVNS(Visibility-graph-based Navigation System)を提案する.VNSは歩行者に対し屋内環境でモバイル端末を利用して案内することを目的とし,可視グラフによる屋内環境モデルに基づくナビゲーションシステムである.VNSを実環境に適用し,ユーザ評価実験を行った.ユーザ評価実験では2種類の歩行経路を4人の被験者が歩行し,アンケートによってユーザ評価の結果を得た.その結果から位置測位,案内誘導,ユーザ視点の観点からそれぞれ項目ごとにVNSの今後の方針を検討する.

3E-3 (時間: 17:45 - 18:05)
題名ランドマーク表示歩行者向けナビゲーションシステム
著者*岩田 裕樹 (早稲田大学院 基幹理工学研究科 情報理工学専攻), 柳澤 政生 (早稲田大学院 基幹理工学研究科 電子光システム学専攻), 戸川 望 (早稲田大学院 基幹理工学研究科 情報理工学専攻)
Pagepp. 702 - 716
Keywordナビゲーション, 認知科学, モバイルコンピューティング
Abstract未知な場所へ訪れる場合に,地図を用いた経路案内サービスを用いることがある.しかし,地図上の情報を誤認識と,目的地までたどり着けない場合がある.目的地まで迷わずたどり着くために必要な情報を読み取りやすい経路案内サービスが必要である.本稿では経路案内に必要な情報としてランドマークに注目し,どのようなランドマークが有効か事前調査し,その調査結果を用いたナビゲーションシステムを提案する.事前調査から,経路案内に必要な情報は「ランドマークを配置すべき場所」,「見やすいランドマーク」の二項目だと判明した.ランドマークを配置すべき場所に見やすいランドマークがあれば,地図の位置と現実の位置を照合できる.提案システムは,ランドマークを4つの役割に分けそれぞれ配色し,丸で表示する.4つの役割は,事前調査で得られた「ランドマークを配置すべき場所」にそれぞれ対応している.提案したナビゲーションシステムが経路案内に有効であることを,実地調査によって確認した.

3E-4 (時間: 18:05 - 18:25)
題名歩車間通信を利用した歩行者状況に基づく歩行者安全支援システム
著者*鈴木 結香子 (同志社大学理工学部), 松本 江里加 (同志社大学大学院理工学研究科), 島田 秀輝 (同志社大学研究開発推進機構), 佐藤 健哉 (同志社大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 717 - 722
Keyword歩車間通信
Abstract自動車が日常生活に欠かせないものとなる中,ITS(Intelligent Transport System:高度交通システ ム) では車対車や車対人の交通事故を削減するために安全運転支援システムの開発・実用化が進められて きており,情報通信技術や自動車制御システムの進化とともに,信頼性・耐久性の高い交通安全対策のシ ステム構築が進められてきている.しかし,これらの研究技術は車両が主体の交通安全対策システムであ り,歩行者目線に立った安全対策や高齢者や児童を優先的に交通事故から守ることが課題とされる.本研 究では,歩行者目線から高齢者・児童を優先的に交通事故から守る支援ができていないという問題点を解 決するために,歩車間通信を利移用した歩行者安全支援システムを提案する.歩行者端末から位置情報・ 速度・年齢情報をサーバが受け取り,サーバが歩行者の状況を判断し,交通事故の可能性が高い場合,歩 行者に警告を行う.実機評価と既存技術の比較により提案システムは年齢情報を扱うため,高齢者と児童 を優先的に交通事故の危険から支援することが可能であると確認した.

3E-5 (時間: 18:25 - 18:45)
題名スマートフォン内蔵センサーを用いた複数フロアーデッドレコニング
著者*五百蔵 重典, 鈴木 孝幸, 田中 博 (神奈川工科大学/情報工学科)
Pagepp. 723 - 735
Keywordスマートフォン, 加速度センサー, ジャイロセンサー, 気圧センサー, 測位
Abstract我々は,屋内向けナビゲーションのための基礎技術を研究している.本論文では,スマートフォンに内蔵されたセンサーを用いた基礎研究として,加速度センサーを用いた歩数検出,ジャイロセンサーを用いた曲がり検出,および気圧計を用いた在階検出の方法と計測精度について述べる.そして,これらのセンサーによって得られた計測結果とマップマッチング手法を組み合わせて,スマートフォンを用いた複数フロアー移動可能なデッドレコニングを行う.実験結果として,大学研究室があるような建物での複数フロアーのデッドレコニングを行えることを示す.

3E-6 (時間: 18:45 - 19:05)
題名超音波測位と慣性測位による広域屋内測位のための地図情報提示システムの設計と構築
著者*屋良 朝克, 秋山 征己 (神奈川工科大学大学院 工学研究科 情報工学専攻), 鷹野 孝典, 五百蔵 重典, 田中 博 (神奈川工科大学 情報学部 情報工学科)
Pagepp. 736 - 741
KeywordMap Server, 地図情報, スマートフォン, 超音波測位, 慣性測位
Abstract筆者らは,広域で比較的測位精度の高い屋内測位を行うため,Android端末に内蔵されている慣性センサを利用した慣性測位と超音波測位を組み合わせた測位法を検討している.そのため,直観的な測位結果の理解やナビゲーションなどへの応用のために地図情報提示システムが必要となる.これまで筆者らは,超音波測位と慣性測位による広域屋内測位のための地図情報提示システムを構築してきた.その構成は,地図情報及び,ユーザごとの測位結果を格納するデータベース,現在位置や移動履歴を重ね合わせた地図情報画像を生成・出力するサーバとし,3Gネットワークや無線LANを介してスマートフォン上やPCなどどこからでもモニタ可能である.本論文では,筆者らが検討している広域屋内測位手法のための測位結果表示機能を伴った地図情報提示システムの実現を目的とし,システムへの要求条件を整理するとともにシステムの設計,構築を行い,本地図情報提示システムの動作検証,正常動作を確認したことを報告する.


セッション 3F  ネットワークセキュリティ2
日時: 2013年7月10日(水) 17:05 - 19:05
部屋: 竹・梅
座長: 山之上 卓 (鹿児島大学)

3F-1 (時間: 17:05 - 17:25)
題名SSHパスワードクラッキング検知システムとその遮断の効果について
著者*小刀稱 知哉 (大分大学大学院工学研究科知能情報システム工学専攻), 天本 大地, 池部 実 (大分大学工学部知能情報システム工学科), 吉田 和幸 (大分大学学術情報拠点情報基盤センター)
Pagepp. 742 - 748
Keywordパスワードクラッキング, SSH, TCP
Abstractインターネットの普及に伴い,ネットワークを通して様々な情報がやり取りされている.そのため現在では,ネットワークは社会的基盤の一つとして生活に不可欠な存在になっている.しかし,ネット ワークを利用した不正通信も多く存在する.不正通信の中でも,SSH のパスワード認証に対する総当たり攻撃や辞書攻撃への対策は重要である.我々は,22 番ポートのTCP コネクションの接続状態を監視し,各コネクションの確立から,終了までのパケット送受信回数の少ないコネクション数を検出することで,SSH パスワードクラッキング攻撃を検知する「SSH パスワードクラッキング攻撃検知システム」を開発した.また,学内のSSH サーバから,検知した攻撃者IP アドレスへ送信するパケットを破棄することでSSH サーバと攻撃者との通信を遮断する.我々は,攻撃者との通信の遮断の有無によりシステムを2 つの期間運用し,それぞれの期間の1 つの送信元ホストあたりのパスワードクラッキング攻撃検知回数や遮断中の送信パケット数などを調査した.その結果,攻撃者との通信を遮断する場合では,1 つの送信元ホストあたりのパスワードクラッキング攻撃の検知回数が,遮断をしない場合に比べ約4 分の1 に減少していた.しかし,20 件中10 件の攻撃者が,遮断中もSSH サーバにパケットを送信し,遮断解除後180 秒以内に再びパスワードクラッキング攻撃を仕掛けてきていた.

3F-2 (時間: 17:25 - 17:45)
題名脆弱性診断ツールの連携動作によるセキュリティ診断システムの構築
著者*田島 浩一, 岸場 清悟, 近堂 徹, 大東 俊博, 岩田 則和, 西村 浩二, 相原 玲二 (広島大学情報メディア教育研究センター)
Pagepp. 749 - 754
Keyword脆弱性診断, ネットワーク管理, コンピュータセキュリティ
Abstract各種のサーバソフトをはじめとするソフトウェアの不具合等によるシステムの脆弱性と,それを利用した不正アクセスの危険性は現在でも続いており,特に近年ではWEBサービスを提供するWEBサーバ自体の脆弱性をはじめとし,組み込まれる開発環境等フレームワークやミドルウェア,利用される多様なスクリプト言語,データベース等にもアップデート注意喚起が報告されている.著者らの組織では商用のセキュリティ診断ソフトを用いて脆弱性診断を実施しているものの,既に公開されている脆弱性であっても診断時に全てを必ず検出可能ではない.そこで本報告では,脆弱性情報の公開と合わせて公開される確認方法や確認可能なオープンソースのソフトも利用し,複数の脆弱性診断が可能なソフトが有効に機能する診断システムとして構成し,診断により検出した項目について追加で他の診断ソフトを自動実行する事を可能とする試作構した成例等について報告する.

3F-3 (時間: 17:45 - 18:05)
題名CGNを対象としたホストIDを用いたフィルタリング機構の検証
著者*大野 夏希 (北陸先端科学技術大学院大学), 井上 朋哉 (北陸先端科学技術大学院大学 高信頼ネットワークイノベーションセンター/情報通信研究機構 北陸StarBED技術センター), 宮川 晋 (北陸先端科学技術大学院大学 高信頼ネットワークイノベーションセンター/NTTコミュニケーションズ株式会社先端IPアーキテクチャセンタ), 篠田 陽一 (北陸先端科学技術大学院大学 情報社会基盤研究センター 高信頼ネットワークイノベーションセンター)
Pagepp. 755 - 760
KeywordCGN, ホストID, ファイアウォール
AbstractIPv4アドレス枯渇に伴い、インターネット接続サービスを提供する通信事業者は、保有しているIPv4アドレスを有効利用するため、アドレス共有技術の導入を進めている。アドレスを共有する方法として、通信事業者がNATを行うCGNが提案されている。CGNを適用した場合、インターネットにおいてキャリア内ネットワークのホストは、CGNが保有するグローバルIPアドレスによって識別される。インターネット上のサーバがキャリア内ネットワークのホストをフィルタリングした場合、同じアドレスを共有しているホストからの通信が不可能となる。この問題は、インターネット上のサーバにおいて、キャリア内ネットワークのホストを識別したフィルタリングを行うことによって解決する。キャリア内ネットワークのホストを識別する手法として、ホストIDが提案されている。本研究では、ホストIDを扱うCGNとファイアウォールを実装し、ホストID によるフィルタリングについて検証を行った。結果、ホストID を用いることによって、適切なフィルタリングが可能となった。しかし、ホストID を付与した通信は、現状のインターネットで利用することは困難であることが示された。

3F-4 (時間: 18:05 - 18:25)
題名IPv4/v6アドレス混在環境におけるネットワークセキュリティ
著者*村田 大輔, 東 結香, 大平 健司 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科), 猪俣 敦夫, 藤川 和利 (奈良先端科学技術大学院大学 総合情報基盤センター)
Pagepp. 761 - 765
Keywordインターネット, セキュリティ, IPv6, デュアルスタック
Abstract今日においてインターネットは重要な社会基盤となっており, インターネットを構成しているコンピュータなどの機器が悪意ある攻撃を受けてしまうと,その被害は甚大なものとなってしまう。 その影響は金銭トラブルのみならず,社会生命への影響など大きなトラブルへと発展する可能性もある。 現在のインターネットは,様々なデバイス,アプリケーション,サービスが相互にネットワークを介して利用されている。 便利になった反面,IPv4アドレスの枯渇が問題となり,本格的なIPv4/v6共存時代へと動いている。 IPv4は登場とともに長い運用期間を経て技術・経験が確立されてきたが,IPv6ではその知見がほとんど無い。 そのため,本稿では,IPv6の本格的な利用を前に,IPv6環境での脅威の発見と対策を行うことを目的に, 実験環境を構築し,トラフィックを収集・解析することとした。

3F-5 (時間: 18:25 - 18:45)
題名メッセージ中URLに基づくドメイン登録日検索システムを用いた迷惑メール判別機構
著者*松岡 政之, 井上 達貴, 山井 成良, 岡山 聖彦, 河野 圭太 (岡山大学), 中村 素典 (国立情報学研究所), 民田 雅人 (日本レジストリサービス)
Pagepp. 766 - 771
Keyword電子メール, 迷惑メール, URL, DNS
Abstract近年,ワンクリック詐欺やフィッシング詐欺などの悪意あるWebページへの誘導などを目的とした多くの迷惑メールが送信されている.迷惑メール対策の技術的な手法の一つとして,迷惑メール内のURLをブラックリスト化して照合を行う,URLブラックリストと呼ばれる手法が存在する.しかし,攻撃者はドメインを使い捨てとし,新たに取得したドメインを宣伝または攻撃用Webページに用いることによって,メールメッセージ内のURLを変更する手口を使用し始めており,既存のブラックリストでは迷惑メールと判定できないものが現れている.本研究は,迷惑メール本文中のドメイン登録日に注目し,迷惑メール判定手法の判定精度向上を目的とするものである.迷惑メール送信者は頻繁にドメインを取得しているため登録期間の浅いドメインほど迷惑メールに利用される可能性が高いと考えフィルタリングを行う.そこで,本研究では先行研究であるドメインの登録日を収集・記録する機能と検索する機能をもったドメイン登録日検索システムを利用した迷惑メールフィルタの実装を行った.

3F-6 (時間: 18:45 - 19:05)
題名milter managerを用いたメールサーバの運用における導入の効果
著者*松井 一乃, 金 一 (大分大学大学院工学研究科知能情報システム工学専攻), 池部 実 (大分大学工学部知能情報システム工学科), 吉田 和幸 (大分大学学術情報拠点情報基盤センター)
Pagepp. 772 - 778
Keyword電子メール, milter manager, greylisting, S25R
Abstract現在広く利用されているspam対策技術のひとつにgreylistingがある.greylistingは「spam発信MTAは再送をしない」との仮説に基づき送信者に対して一時エラーのレスポンスコードを返し,再送をうながす対策手法である.greylistingはspam排除の効果は高いが,適用する全てのメールに再送要求をするため,通常メールにも大きな遅延が生じる.そこで大分大学ではmilter managerを導入し,S25R,SPFの判定結果によってメールをgreylistingに適用するかを決定している.SPF,S25Rを用いて通常メールとspamを判断することで, SPF,S25Rによる検査のみで受信できるメールが増え,greylistingによる再送遅延を軽減できる.また,SPF,S25Rによって誤検知された通常メールはgreylistingによって救済することが可能となる.milter manager導入後,通常メールのうち約70%はSPF及びS25Rが処理しているため,greylistingを適用せずに受信できるようになった.また,受信した通常メールに対するgreylistingの再送要求割合を比較すると,milter manager導入前と導入後では43.1%から12.4%まで減少していた.このことから,milter managerを導入することで配送遅延がかかる通常メールが減少したといえる.


セッション 3G  コンシューマネットワーク
日時: 2013年7月10日(水) 17:05 - 19:05
部屋: 松
座長: 岡部 寿男 (京都大学)

3G-1 (時間: 17:05 - 17:25)
題名往復遅延時間を考慮した無線LANアクセスにおける複数Android端末間の通信制御ミドルウェア
著者*早川 愛 (お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科小口研究室), 山口 実靖 (工学院大学), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 779 - 786
KeywordAndroid, 無線LAN, RTT, 輻輳制御
Abstract近年,スマートフォンの高機能化が進むにつれて,多くの機能が実現されている. スマートフォンは小型コンピュータという位置付けではあるものの,膨大なデータ管理が必要なアプリケーションにおいては,リソース不足で処理しきれないため,クラウドサーバ上にそのデータを保持し,大容量通信を行うことで対処している. 従ってスマートフォンを利用する上ではこの通信性能が極めて重要であり,本研究では,特に低トラフィックでかつノイズの影響を受けやすい無線通信区間でのクライアント・サーバ間通信において,クライアント側からの発信のパケット転送制御に注目した. 本研究が注目する既存研究では,クライアント・サーバ間通信において,クライアント側からのパケット発信の際に,クライアントのアクセスポイント周りで,互いの通信状況を知らせ合うことにより,輻輳を回避し最適な通信環境を実現する制御を行うという方針の通信制御システムの開発が行われている. 本研究では,この通信制御システムの高機能化を目指した検討を行う. 具体的には各クライアント端末がサーバと通信を行う際の往復遅延時間に着目し,この値を参考にしながらアクセスポイント周りにおける無線通信の最適化を行う手法について,提案と評価を行う.

3G-2 (時間: 17:25 - 17:45)
題名異種規格無線LAN近接時の特性解析
著者*森内 彩加 (お茶の水女子大学 人間文化創成科学研究科), 村瀬 勉 (NEC), 小口 正人 (お茶の水女子大学 人間文化創成科学研究科)
Pagepp. 787 - 791
Keyword特性評価, QoS制御, モバイルルータ, 無線LAN, 実機実験
Abstract近年モバイルホットスポットやスマートフォンのテザリングが普及している.その結果,従来考えてこられなかった,アクセスポイント(AP)が移動する環境についても考慮する必要がある.そこで,移動可能なAPとノートPCやスマートフォンなどの個人の端末(本研究では,これらを併せて“WLANシステム”と呼ぶ)で大量のデータを送受信することが予想される.さらに,モバイル端末の普及や多様な通信端末の登場により,ヘテロジニアスな通信環境についても考慮することが必要不可欠である. モバイルWLANシステムの研究では,端末数やチャネル差に応じた,複数のWLANシステムの近接度に応じた特性評価が行われている.更に,異種WLAN混在時における評価として,IEEE802.11b(11b)とIEEE802.11g(11g)混在時の近接度に応じた特性評価が行われている.しかし,昨今利用が増加しているIEEE802.11n(11n)については,そういった検証が行われていない.さらに11nでは,11bや11gとは異なるフレームアグリゲーション等の特別な設定が可能であることから,これらの混在環境について評価する必要がある.そこで本稿では,11gと11nが混在した環境におけるWLAN間距離に応じた特性評価を行い,さらに,異種WLAN通信時における通信特性改善手法の提案を行った.

3G-3 (時間: 17:45 - 18:05)
題名センサアドホックネットワーク管理のための動作推定方式の検討
著者*寺島 美昭, 川島 佑毅, 河東 晴子, 平田 和史 (三菱電機(株)/情報技術総合研究所)
Pagepp. 792 - 797
Keywordネットワーク管理, センサアドホックネットワーク, トラフィック解析, 動作推定
Abstract近年、被災地に配置した複数のセンサが地形や温度変化等の観測情報を相互交換する事により、観測精度向上や,迅速な観測情報共有による正確な状況把握を実現するセンサアドホックネットワークが期待されている.被災地では劣悪な電波伝搬による狭帯域、帯域変動がある通信となる一方で、利用目的をセンサ情報共有通信に限定しているため、他のトラフィックの影響を考慮せずに、センサを意図的に配置して十分な帯域を確保する計画的な運用が可能である.本稿では通信状況を継続的に監視するセンサアドホックネットワーク運用の課題を分析し、各端末のトラフィック情報からネットワーク動作を推定するブラックボックス管理方式を報告する. 提案方式の実現性を確認するために、OLSR(Optimized Link State Routing)を用いたセンサアドホックネットワークを対象に、シミュレーションにて端末の発信情報を記録し、この情報を観測トラフィックに見立てて動作推定を試行した.この結果、検出した端末毎の2秒周期と5秒周期の制御用トラフィック動作とタイミングの比較から、経路検索を行うフラッティングとTC(Topology Control)パケットを特定し、また、OLSRの特徴であるMPR(MultiPoint Relay)の役割を果たす端末が推定できた.

3G-4 (時間: 18:05 - 18:25)
題名NTMobileによる一般端末向け遠隔DLNA通信システムの実装
著者*清水 皓平, 鈴木 秀和 (名城大学大学院理工学研究科), 内藤 克浩 (三重大学大学院工学研究科), 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 798 - 804
KeywordDLNA, 情報家電, マルチメディアシステム, 移動体通信
Abstract筆者らはIPv4ネットワークにおいて確実な通信接続性と移動透過性を同時に実現する通信アーキテクチャNTMobile(Network Traversal with Mobility)を拡張することにより,移動透過性を有した遠隔DLNA(Digital Living Network Alliance)通信システムを提案してきた.しかし,このシステムではDMP(Digital Media Player)にNTMobileを実装する必要があるため,DMPがLinuxカーネルを搭載した端末であることが前提になっている.そのため,iPhoneや市販のAndroidスマートフォンをはじめとする多くの一般端末では,システムを利用することができないという課題があった.本稿では,従来のシステムに対して,新たにNTMobileの機能を実装したモバイルルータを導入することにより,一般のDMPにおいても移動透過性を満たす遠隔DLNA通信を実現するシステムを提案する.

3G-5 (時間: 18:25 - 18:45)
題名遠隔地にあるBluetooth機器間のシームレス接続手法の実装
著者*津田 一磨, 鈴木 秀和, 旭 健作, 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 805 - 811
KeywordBluetoothデバイス, リモートアクセス, ホームネットワーク
AbstractBluetooth に代表される近距離無線技術の発達により,ホームオートメーションの普及が期待されている. 今後,宅内にある近距離無線通信機器を外出先から操作したいという要求が高まると考えられる. しかし,このような機器には通信可能範囲に制限があり,外出先から直接操作することができない. 我々は,Bluetooth 機器のハードウェアとソフトウェアの間で交換されるコマンド等をインターネット経由で転送することにより,遠隔地の Bluetooth 機器へ接続する手法を提案している. 提案手法により,ユーザは Bluetooth 機器の位置を意識することなく,一般のBluetooth アプリケーションを用いて近傍および遠隔地にある Bluetooth 機器とシームレスに接続することができる. 本稿では,提案手法の検証を行うため,Linuxカーネルへのモジュール実装を行った. これにより,Bluetoothのコマンド等をインターネット経由で転送できることを確認した.


セッション 3H  リスクコミュニケーションとセキュリティ運用支援
日時: 2013年7月10日(水) 17:05 - 19:05
部屋: エトワール
座長: 吉開 範章 (日本大学)

3H-1 (時間: 17:05 - 17:25)
題名社会的合意形成支援システムSocial-MRCにおいて意見の分類を総合的に支援するツールの開発
著者*猪瀬 裕介 (東京電機大学 未来科学部 情報メディア学科 情報セキュリティ研究室), 安藤 駿 (東京電機大学 未来科学研究科 情報メディア学専攻 情報セキュリティ研究室), 増田 英孝, 矢島 敬士, 佐々木 良一 (東京電機大学)
Pagepp. 812 - 819
Keyword情報セキュリティ, リスクコミュニケーション, 合意形成, MRC
Abstract1つのリスクに対する対策が別なリスクを生み出す多重リスク問題に対応するため,多様な価値判断基準を持つ関与者間の合意を得られるリスクコミュニケーションの重要性が高まっている.特に数千人規模の関与者が存在する社会的合意形成が必要な問題が増えており,こうした問題の解決を支援するシステムの必要性が高まっている. そこで,著者らはそれらの問題を解決するために社会的合意形成支援システムSocial-MRCを開発している. Social-MRCは,オピニオンリーダ向けの合意形成を支援するMRC-Studioと一般関与者の議論の参加を支援するMRC-Plazaの二階層で構成されている.Social-MRCを用いて関与者が20人程度の規模の合意形成実験を行ったところ,大きな問題はなかったが,関与者が数千人になると意見の数が膨大になり,投稿された意見の分析及び分類をすることが困難だと判明した. よって新たにSocial-MRCに投稿される意見精査構成の提案に加え,投稿される意見を人の手によって分析,選定し議論によりよい意見を反映するための機能を持つ意見分類ツールの開発を行い,100人規模への実験に対し適用した.本稿ではSocial-MRCの改良点の概要に加え,ツールの開発と評価,実験への適用結果を述べた後,今後の展開について述べる.

3H-2 (時間: 17:25 - 17:45)
題名社会的合意形成支援システムSocial-MRC において意見分析者に与える情報を自動化する機能の開発と評価
著者*安藤 駿, 猪瀬 裕介 (東京電機大学 未来科学研究科 情報メディア学専攻 情報セキュリティ研究室), 増田 英孝, 佐々木 良一 (東京電機大学)
Pagepp. 820 - 829
Keyword情報セキュリティ, MRC, 自然言語処理, 機械学習, 合意形成
Abstract一つのリスクへの対策が別のリスクを生み出す多重リスクの問題が存在する中で,多様な価値基準を持つ利害者関係 との間で,セキュリティ対策選定に関して合意を形成するためのリスクコミュニケーションが重要を増している.特 に,関与者が数千人を超える社会的合意形成が必要な問題が増えており,こうした問題を支援するシステムの必要性 が高まっている.そこで,著者らはそれらの問題を解決するために社会的合意形成支援システム Social-MRC を開発 している. Social-MRC は,オピニオンリーダ向けの合意形成を支援する MRC-Studio と一般関与者の議論の参加を支 援する MRC-Plaza の二階層で構成されており,MRC-Plaza においては一般関与者が投稿した意見を分類及び分析し, 有益な情報を自動的にオピニオンリーダやファシリテータに提示する機能が求められる.本稿では一般関与者の意見 を自動的に分類及び分析する上で必要な Twitter 利用者インタフェースの改善や有益な情報に対して,自然言語処理や 機械学習,特徴語と手がかり表現を用いて半自動的に選定する方法の開発と評価結果について報告する.

3H-3 (時間: 17:45 - 18:05)
題名情報セキュリティ教育のためのセキュろくハイブリッドシステムの開発と評価
著者*市川 智史 (東京電機大学 未来科学部 情報メディア学科 情報セキュリティ研究室), 会田 和弘 (認定NPO法人イーパーツ), 佐々木 良一 (東京電機大学)
Pagepp. 830 - 837
Keyword情報セキュリティ, 教育コンテンツ, すごろく, タブレット端末, 協同学習
Abstractインターネットは利便性の増大の一方で,悪意や不正の目的にも容易に利用できるという二面性を持っている.そのため,各個人が情報セキュリティの脅威を正しく理解し,対応しなければならない.しかし,初心者ユーザは情報セキュリティに対しての意識が低く,適切な対応を取れていない可能性がある.その原因の一端として,身近に学習の場がないことや,用語や内容の難しさからくる情報セキュリティに対する苦手意識が挙げられる.そのため著者らは情報セキュリティに対する敷居を下げ,身近に感じてもらうために楽しみながら学習できる環境が必要であると考えた.そこで,学習者同士がFaceToFaceで楽しみながら学習できるというアナログのメリットと記録や手間の軽減に長けているデジタルのメリットを組み合わせることで誰でも気軽に情報セキュリティの学習ができる「セキュろくハイブリッドシステム」を考案,開発した.これはセキュろくナビゲータとセキュろくデータベース,セキュろくOnlineからなり,それぞれは学習記録保持および,その有効活用,システムの利用促進等の役割を果たしている.また,セキュろくハイブリッドシステムを実際に適用して行った評価ではほとんどの項目で高い評価を得ることができた.本稿では,セキュろくハイブリッドシステムの概要と構成要素各々の詳細を報告するとともに,実際に適用を行った評価結果について報告する.

3H-4 (時間: 18:05 - 18:25)
題名証拠保全作業のためのガイドライン総合支援システムの開発と評価
著者*天野 貴通 (東京電機大学大学院), 高橋 渉 (NECソフト株式会社), 上原 哲太郎 (立命館大学), 佐々木 良一 (東京電機大学)
Pagepp. 838 - 845
Keyword情報セキュリティ, デジタル・フォレンジック, 証拠保全ガイドライン, 電磁的証拠の保全, インシデントレスポンス
Abstract近年,コンピュータの電磁的記録に関する紛争の増加により,デジタルデータの証拠性保全及び調査・分析を適切に行い,それぞれの主体における行動の正当性を検証する「デジタル・フォレンジック」の必要性が高まっている.デジタル・フォレンジックの一連の作業のうち,証拠保全作業の手順を示した「証拠保全ガイドライン」が特定非営利活動法人「デジタル・フォレンジック研究会」により制定されたが,即時性が求められる証拠保全作業の現場で,紙面の証拠保全ガイドラインを参照しながら作業を行うことは困難である.そこで,著者らはAndroid端末を用いて証拠保全ガイドラインの内容を表示し作業の支援を行うための一連のシステムの開発を行ってきたが,実用的な運用を行うには既存のツールでは様々な問題があったため,この度システムを構成するアプリケーションの再検討を行った.本稿では,これまでに開発したツールの問題点を踏まえて,新たに開発したツールと概要及びツールのユーザビリティについての評価結果を報告する.

3H-5 (時間: 18:25 - 18:45)
題名国際標準に基づいたセキュリティ評価プラットフォームの改善とその適用
著者*盒 雄志, 篠宮 紀彦, 勅使河原 可海 (創価大学大学院 工学研究科)
Pagepp. 846 - 853
Keywordセキュリティマネジメント, セキュリティ評価システム, ISMS, ISO/IEC 27000ファミリー, セキュリティ標準
Abstract近年セキュリティのトレンドは外部認証機関によりセキュリティが保たれていることを示す事に移ってきた.認証を取得する際には,国際標準などを基準として対象を評価する.認証取得に向け,セキュリティ評価システムが活用されているが,基準の変化に対応する為には,それに合わせて個別のツールが必要であった.本研究では,評価基準とする基準の変更のみで内容や評価対象の変化に対応した評価を実現するプラットフォームの検討を行ってきた.基準が変わった場合に最初から評価し直さなければならないという問題に対し,基準間のデータ移行機能を提案しその有効性と発展性を示してきた.しかし,この機能を使用するためには基準間の関連性を示す情報が必要であるが定義されているとは限らない.これまで自然言語処理の分野で使われているテキスト間の類似度算出手法を応用し基準の各項目同士の類似度から関連性を導き,関連を示す情報を取得する方法を提案し,その有効性が確認してきた.本稿では更に再現度を高めるべく,標準の文章構成に着目し,専門用語数に基づく重み付けを行った5つの方式の比較を行った.その結果総合的に高い有効性を示す方式を見出すことができた.



2013年7月11日(木)

セッション 4A  統一テーマセッション-災害と信頼できるソーシャルメディア
日時: 2013年7月11日(木) 8:45 - 10:25
部屋: ハルニレ・アカシア
座長: 朴 美娘 (神奈川工科大学)

4A-1 (時間: 8:45 - 9:25)
題名(招待講演) ソーシャルメディアが及ぼす社会的インパクトの考察
著者*沼田 秀穂 (事業創造大学院大学), 池田 佳代 ((有)エクセリードテクノロジー)
Pagepp. 854 - 857
Keywordソーシャルメディア, Open Data, Linked Open Data, ビッグデータ, Open Government
Abstract東日本大震災が我々に多数の教訓や変革を与えたが,その変革のひとつとして,社会システムにおいて「ソーシャルメディア」が大きな役割を担っている点をあげることができる.このソーシャルメディアの動向をOpen Data,LODの観点から概括し,Open Government を始めとした市民参加型地域デザインによるインパクトを考察する.

4A-2 (時間: 9:25 - 9:45)
題名プライバシー情報を登録する利用者の安心感の要因に関する調査
著者*奥村 香保里, 白石 善明, 岩田 彰 (名古屋工業大学大学院工学研究科)
Pagepp. 858 - 864
Keyword安心感, 主観評価, プライバシー情報, 因子分析, 共分散構造分析
Abstractセキュリティ基盤技術やシステム構築・運用技術が高度化しているにも関わらず,個人情報の悪用やプライバシーの侵害への利用者の懸念は高い.従来は安全な技術によって利用者は安心すると考えられていたが,システムが安全なだけでは安心して利用できるとは限らない.利用者の安心感の要因について検討することは,安心して利用できるシステムの開発,およびサービスの提供の助けになると期待できる.そこで,本研究では情報システムにプライバシー情報を登録する利用者の安心感の要因について,質問紙調査と因子分析を行った.その結果,“能力・知識因子”,“ユーザビリティ・プリファレンス因子”,“身近な他者因子”,“主観的な信用因子”,“安全性因子”の5因子が抽出された.抽出された因子は,先行研究の因子と異なり,対象の評判やうわさ,家族や友人などの身近な他者とともに登録することが安心感の要因になることがわかった.また,共分散構造分析の結果から,安心感の因子が“論理的要因”,“主観的要因”の2つに分かれるという構造が解釈できた.このことから,論理的な側面と主観的な側面から安心かどうかを判断していると考えられる.

4A-3 (時間: 9:45 - 10:05)
題名Twitterの表示系を発展させスパム発見機能を強化したアプリケーションLookUpperの開発と評価
著者*若井 一樹 (東京電機大学大学院 未来科学研究科 情報メディア学専攻 情報セキュリティ研究室), 岡田 泰輔, 鎌田 祐輔 (東京電機大学 未来科学部 情報メディア学科 情報セキュリティ研究室), 佐々木 良一 (東京電機大学)
Pagepp. 865 - 872
Keyword情報セキュリティ, Twitter, スパム, 可視化, 検知
Abstractインターネットの普及に伴いWebサービスはその数を増やし,現在では様々な種類のサービスが人々に利用されている.世界中の人々とコミュニケーションが可能となった現代において,ソーシャルメディアは発達し注目されるようになった.例としてTwitterやFacebookなどがあり,現在でも利用者は急激に増えている. 一方でソーシャルメディアを利用した迷惑行為も増えている.その一つとしてスパム行為が挙げられる.スパム行為とは本人の許諾を得ず,一方的に営利目的の情報を送る行為である.スパム行為によってソーシャルメディア利用者は必要としない情報が大量に送られ,本来知りたい情報が埋もれてしまう.そこで,著者らはスパム行為に悩まされることなくソーシャルメディアを活用し,世界中の人々とコミュニケーションを楽しむことを可能とするため,スパム行為を検知する手法およびその機能を持ち合わせたアプリケーションの開発を考案した.本稿では,スパム行為を検知する手法の提案と評価結果を報告するとともに,これらのスパム検知機能に表示系を発展させることによりスパム発見を容易とするように実装したアプリケーションの開発について述べる.

4A-4 (時間: 10:05 - 10:25)
題名緊急時のTwitterにおけるデマ情報拡散を考慮したリツイートの意思決定モデルの提案
著者村山 優子, 向井 未来, *西岡 大, 齊藤 義仰 (岩手県立大学院ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 873 - 879
KeywordTwitter, 災害コミュニケーション, トラスト, 誤信
Abstract2011年3月11日の東日本大震災では、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)による情報交換が活発に行われた。特にTwitterは,行政やマスメディア等の企業が迅速な情報発信のツールとして,ユーザからはリアルタイムな情報収集源として重宝された.しかし,根拠のない噂や悪意のある冗談などのデマ情報のツイートが広く拡散される問題も発生し,ユーザに無用な不安や混乱を招いた.本研究では,ユーザがデマ情報の拡散を防ぐため,リツイートに関する意思決定プロセスのモデル構築を行った.モデルでは,ユーザが興味を持つことがリツイートに非常に大きく関わっていることが示唆された.


セッション 4B  交通情報配信
日時: 2013年7月11日(木) 8:45 - 10:25
部屋: 柏・ポプラ
座長: 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学)

4B-1 (時間: 8:45 - 9:05)
題名ソーシャルメディアを活用した公共交通機関利用に導くモバイルアプリケーション
著者*柴田 博彬, 伊藤 昌毅, 川村 尚生, 菅原 一孔 (鳥取大学大学院 工学研究科 情報エレクトロニクス専攻)
Pagepp. 880 - 886
Keywordソーシャルメディア, モバイルアプリケーション, 公共交通利用促進, 情報共有
Abstract路線バスや鉄道,飛行機といった公共交通機関利用における利便性の向上を目指して,利用を支援するためのシステムが数多く開発,運営されている.従来のシステムの特徴として,既に公共交通機関の利用を決定した者をターゲットとしており,その他の移動手段を決めかねている者や,元々は利用を意識すらしていなかった者に対しては無頓着であることが挙げられる.つまり,既存のユーザに対する利便性の提供は行えても,新規ユーザの積極的勧誘は実現されずにいる.しかし,公共交通機関の利用促進は都市部,地方部においてもそれぞれ環境汚染,地域交通の維持のために重要な課題である.そこで,本研究ではシステムを利用した公共交通機関の利用についてモデル化し,システムをモバイル端末上に実装しソーシャルメディアとリンクすることにより,より多くの人に公共交通機関を身近に感じてもらうこと及び,公共交通機関の利用促進を目指す.また,その検証方法についても述べる.

4B-2 (時間: 9:05 - 9:25)
題名輸送機関網へのデータオフローディングにおける遅延許容可能データのためのデータ配送スケジューリング
著者*樫原 茂 (奈良先端科学技術大学院大学), 高井 峰生 (UCLA/大阪大学), 金田 茂 (Space-Time Engineering, LLC)
Pagepp. 887 - 895
Keywordデータオフローディング, 輸送機関網, 大容量データ, 遅延, データ配送
Abstract本論文では、これまでに提案した輸送機関網を用いたデータオフローディングにおいて、遅延を許容可能な大容量データを要求された遅延時間内に配送するためのデータ配送スケジューリングを提案し評価する。輸送機関網へデータオフローディングするためのデータの蓄積・転送を行うデータポートにおいて、First-Come, First-Serve (FCFS)によりデータ配送を行った場合、ユーザの許容可能な遅延時間内に配送が完了できないデータが発生し、データオフローディングが十分に機能しない。そこで、輸送機関網へのデータオフローディングの通信性能を改善するために、本論文では、アップロードの通信フローを対象とし、許容可能遅延時間内にデータ配送を完了するためのデータ配送スケジューリングを提案する。シミュレーション実験より、データポートにデータ配送スケジューリングを導入することで、バスシステムを対象とした輸送機関網において、バスが運搬したすべてのデータが許容可能遅延時間内に配送が完了することを示した。

4B-3 (時間: 9:25 - 9:45)
題名VANETにおける類似位置指定情報要求の集約に基づく情報配信方法
著者*新美 雄也 (静岡大学 工学研究科 数理システム工学専攻), 中村 暢宏 (静岡大学 工学研究科 システム工学専攻), 石原 進 (静岡大学 大学院 工学研究科)
Pagepp. 896 - 903
KeywordITS, 車々間通信, 情報配信, 経路制御, DTN
Abstract車両間で事故や渋滞などの道路交通情報の共有を行いドライバーへ離れた場所の情報を提供し,運転の負担軽減のための運転支援技術の開発が進められている.筆者らは車載カメラの撮影画像をVANETを用い車両間通信で伝達しドライバーへ提示することで,任意の場所の様子を目視で確認するためのシステムを開発している.このシステムではドライバーがある位置を入力すると,システムは指定位置での撮影画像をVANET を通じて入手し,ドライバーへ提供する.この仕組みをオンデマンドで実現しようとすると,複数ユーザが同様の位置を指定した時,各要求に対して情報が返送される.結果同様の情報が多数配信され,通信資源を消費する.この問題の解決のため本論文では,位置をキーとした要求を集約し,その結果を利用し情報配信を行う手法であるDemand map ベースデータ配信手法を提案する.本手法では各車両は要求元から要求先に発生する情報の需要分布を把握し,これに基づき情報を配信する.要求の集約では実際の要求分布を反映する集約方法の設計が問題となるが,これに対し既存の集約手法であるsoft-state sketch を応用した手法の有効性を示す.

4B-4 (時間: 9:45 - 10:05)
題名無線センサネットワークを用いたバスロケーションシステムの開発
著者*畠 基成, 鈴木 秀和, 足達 元 (名城大学大学院理工学研究科), 北瀬 和之, 大森 昭嗣 (株式会社メイエレック), 松本 幸正, 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 904 - 910
Keywordセンサネットワーク, バスロケーションシステム, IEEE802.15.4
Abstract近年,バスの利便性向上のためのバスロケーションシステムに注目が集まっている.多くの既存システムではバス位置情報や運行情報の送信に携帯電話網を利用しているため,多くの通信コストがかかる.そのため,コミュニティバスにおいてはシステムの継続運用が困難である.そこで筆者らは,通信コストが不要な無線センサネットワークを利用したバスロケーションシステムを提案している.提案システムでは,バス,バス停,バス路線の道沿いにIEEE802.15.4 準拠のセンサノードを設置し,無線センサネットワークを構築する.本発表では,提案システムの試作開発の内容と,実際のコミュニティバス路線を用いた検証実験の結果について報告する.検証実験の結果,実環境に広域無線センサネットワークを構築することにより,携帯電話網を使用せずにバス位置情報の収集,及びバス停への接近情報の配信が可能であることを実証した.


セッション 4C  マルチメディアネットワーク
日時: 2013年7月11日(木) 8:45 - 10:25
部屋: 白樺
座長: 義久 智樹 (大阪大学)

4C-1 (時間: 8:45 - 9:05)
題名低遅延により自然な遠隔コミュニケーションを実現する映像配信システムの提案
著者*徳差 雄太 (慶應義塾大学 環境情報学部), 松谷 健史, 空閑 洋平 (慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究課), 村井 純 (慶應義塾大学 環境情報学部)
Pagepp. 911 - 917
KeywordHDMI, FPGA, マルチメディアネットワー ク, マルチメディアシステム
Abstract遠隔地間における自然な映像コミュニケーションの実現には,終端装置間の総遅延を第一に考えた 映像システムと配信ネットワークが必要になる.本論文では,現在のインターネットを転送インフラとし て最大限に利用した低遅延かつ高解像度映像システムの実現を目指し,現在普及している映像コミュニ ケーションツールのコーデック,ネットワーク,映像インタフェース装置を含む総遅延の計測を行った. その結果,各家庭に普及しているインターネットや,ディスプレイ,ビデオカメラの映像インタフェース を利用することによって,低遅延による自然な映像コミュニケーションが十分実現可能なことが明らかに なった.一方で, 自然な映像コミュニケーションの実現のためには,既存の映像符号化手法および映像伝 送プロトコルには未だ技術課題があることを整理して示した.また,FPGA を用い,フレームを細分化し た単位でパイプライン処理を行低遅延映像配信システム設計を提案し、そのシステム設計を議論した.

4C-2 (時間: 9:05 - 9:25)
題名DTNとMPEG-DASHを用いた無線LAN Streamingの特性評価
著者*松本 光広, 大木 哲史, 甲藤 二郎 (早稲田大学基幹理工学研究科情報理工学専攻 甲藤研究室)
Pagepp. 918 - 922
KeywordDTN, MPEG-DASH, デジタルデバイド, Ad-Hoc, Streaming
AbstractDTNの一つの応用分野として発展途上国におけるデジタルデバイドの解消が現在注目されており、筆者が所属するe-Education Projectはバングラデシュでは都市部・農村部間のデジタルデバイドにより教育も通信も貧弱な同国の農村部に住む高校生達にDVD授業を提供し、教育格差の緩和に努めている。しかし校舎数・生徒数が増えるなか従来のDVDメディアによるコンテンツ運搬に人的・時間的なコストがかかり問題となっている。またDTNの一手法であるMessage Ferryは物理的に移動する端末Ferryをデータ転送の手段として使用するが、多くの研究がバスや電車等の交通機関をFerryとして活用・想定しているため今後通信時のFerryの停留時間が問題となってくる。本稿では、以上の問題を解決するため複数枚のDVDメディアを運搬する作業をDTN型のFerry方式に置き換え、かつStreaming方式としてMPEG-DASHを用いた場合の特性評価と通信時間短縮方式の報告を行う。これによりStreaming方式により短縮可能な通信時間に明らかな違いがあることが分かった。

4C-3 (時間: 9:25 - 9:45)
題名無線環境における異なるTCP上のMPEG-DASH / HTTP Live Streamingの性能比較
著者*武藤 健史, 野崎 寛也, 金井 謙治, 大木 哲史, 甲藤 二郎 (早稲田大学)
Pagepp. 923 - 927
KeywordHTTP Live Streaming, MPEG-DASH, TCP, 無線
Abstractモバイルビデオは2017年までにモバイルデータトラフィックの66%以上を占める見込みであるとCiscoから発表された。このような現状においてストリーミング技術にたくさんの改善が求められる。近年ではHTTP Streamingが主流となっており、ライブ放送を想定したHTTP Live Streamingの報告が行われ、さらに動的かつアダプティブにビットレートを変化させるMPEG Dynamic Adaptive Streaming over HTTP (MPEG-DASH) の国際標準化も完了している。本研究ではモバイル環境を想定し、異なるTCP上(TCP-Reno/ TCP-Vegas/ CUBIC-TCP)でMPEG-DASH/ HTTP Live Streamingの性能比較を行った.アダプティブにビットレートを変化させる新しいストリーミング技術の特性を確認するこができた。

4C-4 (時間: 9:45 - 10:05)
題名マルチビュービデオのクロスレイヤ型伝送方式に関する検討
著者*藤橋 卓也 (静岡大学 情報学研究科), 小寺 志保, 猿渡 俊介 (静岡大学 情報学部), 渡辺 尚 (大阪大学 情報科学研究科)
Pagepp. 928 - 937
Keywordマルチビュービデオ, クロスレイヤ, 水中音響通信
Abstractマルチビュービデオの研究は,従来,有線網などのネットワークを前提として,トラフィックの削減,応答 遅延の削減,映像品質の維持に焦点が当てられてきた.しかしながら,マルチビュービデオをより多くの 場面に応用するため,劣悪な環境を通したマルチビュービデオ伝送が必要となると考えられる.本稿では, 劣悪な環境の例として水中音響通信を想定し,これら3 つの要件を満たすために,MAC 層とアプリケー ション層のクロスレイヤ伝送方式であるSlipped-TDMA および予測伝送方式であるZaoral Streaming を 提案する.Slipped-TDMA では,水中音響通信の帯域を最大限活用するため,水中音響通信における伝搬 遅延およびビデオエンコーダとユーザ間で発生するトラフィックの非対称性を考慮して,タイムスロット の割り当てを行う.Zaoral Streaming では,応答遅延を削減するため,割り当てられたタイムスロットを 利用し,ユーザが次に試聴する可能性が高いカメラを予測することで,ユーザがカメラを切り替える前に 映像を伝送する.予測が失敗した場合は,トラフィックと応答遅延の増加及び映像品質の劣化を抑制する ため,送信済みの映像を用いてユーザが必要とするカメラ映像の符号化を行う.MERL が提供するテスト ビデオシーケンスを利用した計算機シミュレーションにより,提案方式は単純な伝送方式と比較して応答 遅延が大幅に減少することを示す.またZaoral Streaming によって,予測失敗時でも,トラフィックの増 加と映像品質の劣化を抑制することを示す.


セッション 4D  屋外モニタリング
日時: 2013年7月11日(木) 8:45 - 10:25
部屋: 紅葉・大扇
座長: 岩井 将行 (東京電機大学)

4D-1 (時間: 8:45 - 9:05)
題名センサネットワークによるビニールハウス環境センシング
著者*須山 敬之, 納谷 太, 柳沢 豊 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
Pagepp. 938 - 944
Keywordセンサーネットワーク
Abstract近年,センサネットワーク技術の発達により,実環境でセンサネットワークが用いられる実例が増えている.本論文ではセンサネットワークを農業の現場に長期に渡り設置することで栽培環境の測定を行った結果を報告する.まず我々が開発したセンサノードを花卉を栽培しているビニールハウス内に多数設置し,温度,湿度など栽培環境の情報を集めることで,ビニールハウス内の状況を把握する.その結果と作柄と比較することにより,どのような環境が作柄に影響するかを知ることができる.ここでは人手の比較による考察とクラスタリングによって得られた結果を述べる.

4D-2 (時間: 9:05 - 9:25)
題名太陽光電池パネルのクラウドを利用した異常検知システムの開発
著者*秋山 陽平 (東邦大学大学院理学研究科), 河西 勇二, 岩田 昌也, 高橋 栄一 ((独)産業技術総合研究所情報技術研究部門), 佐藤 文明 (東邦大学大学院理学研究科), 村川 正宏 ((独)産業技術総合研究所情報技術研究部門)
Pagepp. 945 - 952
Keyword異常検知, クラウド, 太陽電池パネル, モニタリング
Abstract太陽光電池パネルの寿命は一般的に20年といわれているが、工業製品である以上一定の確率で故障が発生する。しかし、現状での太陽光発電システムでは、パネル単位での異常を検出することが難しい。そのため、パネルの異常を抱えたまま太陽光発電システムが運用され、期待する発電量に達しないケースが発生している。このため、太陽光電池パネルの価格上昇や通信工事費用増加を招くことのない異常検出システムの研究開発が急務である。これまでに、産業技術総合研究所では直流電力線を利用した独自の電力線通信方式を用いて、パネル毎にデータ通信装置子機を実装し、発電情報の状態モニタリングを可能としている。今回我々は、データ通信装置子機において計測された膨大な発電情報をネットワーク上の仮想データベースであるクラウドサーバ上に集約・蓄積させることで、ブラウザ上でパネル単位での発電状況を逐一観測可能な状態モニタリングと早期に異常を検知する異常検知システムを開発した。さらに、一枚のパネルを遮光することにより擬似的に異常パネルを作成し、開発したシステムを用いて評価実験を行った。

4D-3 (時間: 9:25 - 9:45)
題名ソーラーカーのためのリアルタイム遠隔モニタリングシステム
著者*山田 泰宏, 猪狩 知也, 藤澤 徹, 速水 治夫 (神奈川工科大学大学院)
Pagepp. 953 - 963
Keywordソーラーカー, 電気自動車, Android, Arduino, Ajax
Abstractソーラーカーの走行では効率的な走行を行うための走行管理が重要な要素となる.走行管理に用いることができる従来技術は複数存在するが,扱う情報のユビキタス性が皆無であったり,実装のために多くの車載モジュールを伴うものしか存在しない.そこで本研究では,A/D変換モジュールとそれと通信を行うスマートフォンおよび,クライアント/サーバシステムを用いることにより,それらの欠点を改善したモニタリングシステムを試作し,実験によりその高い有用性を確認した.

4D-4 (時間: 9:45 - 10:05)
題名DTNを用いた災害時通信システム構築法の提案
著者*金田 知展 (公立はこだて未来大学大学院), 中村 嘉隆, 高橋 修 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 964 - 969
Keyword災害時通信, アドホックネットワーク, DTN, メッセージフェリー
Abstract広域災害発生時に停電や物理的なダメージにより通信インフラが使用不可となった際の情報通信手法として,遅延耐性ネットワーク(DTN: Delay Tolerant Network)が注目されている.DTNではスマートフォンのようなバッテリーで稼働する端末を利用してデータの中継・転送を行うことで,インフラレスな状況下においても端末間の情報通信を可能としている.しかし,転送の際にバッファやバッテリーなどの端末資源を消費するため,消費量によっては他端末との通信が不可能となる場合も想定される.災害時には,安否情報や被災状況といった重要性の高い情報が要求されるため,より多くの情報を収集できることが望ましいが,通信可能な端末の減少に従って得られる情報も減少する.そこで本研究では,対象とするネットワーク内における全ての端末のバッテリー残量が可能な限り均等になるように,各端末のバッテリー残量を考慮したデータ転送先の動的な選択を行う通信方式の提案を行い,ネットワーク持続時間を長期化させることを目的とする.

4D-5 (時間: 10:05 - 10:25)
題名船舶航行データ可視化のためのPTAMを用いた位置合わせ手法の提案
著者*岸 晃平 (公立はこだて未来大学大学院 システム情報科学研究科), 白石 陽 (公立はこだて未来大学 システム情報科学部)
Pagepp. 970 - 975
Keyword可視化, AR (Augmented Reality), PTAM (Parallel Tracking and Mapping), AIS (Automatic Identification System), 船舶航行データ
Abstract近年,船舶に様々なセンサが搭載され,船舶の位置や速度,船首の方向等の船舶の航行状況が容易に取得できるようになった.大型船舶や旅客船には,センサからの情報を含めた,航行中の船舶に関する情報(船舶航行データ)を自動的に送受信する船舶自動識別装置(Automatic Identification System:AIS)が搭載されるようになった.このAISにより,さらに容易に船舶航行データを取得できるようになり,AISで共有されるデータ(AISデータ)を可視化して船舶の航行を安全にする支援や海上交通・海難事故の分析に関する研究が行われている.本研究では,対象海域を見渡している観光客や船舶に興味のあるユーザに対して,船舶航行データを提供するためにAISデータを活用する.船舶航行データをユーザに提供する場合,AISデータを直感的に分かりやすく可視化することが有効である.しかし,対象の海域を見渡せる場所から船舶の動向を観測する場合,既存システムでは,直感的かつ分かりやすく可視化することはできない.そこで本研究ではAISデータを,拡張現実感(Augmented Reality: AR)を利用して直感的に可視化するシステムを開発する.ARを利用するにあたって現実世界と仮想物体の位置合わせが必要になる.本研究の対象とする屋外環境下でARを利用する場合,既存のセンサベース手法では正確な位置合わせは困難である.そこで,マーカレスARの一つであるPTAM(Parallel Tracking and Mapping)とセンサを併用した,現実世界へのマーカの設置が不要かつ,船舶と仮想物体との高精度な位置合わせが可能な手法の提案を行う.また,提案手法に用いるPTAMの本研究の対象とする屋外環境における課題を明らかにするために,PTAMの動作実験を行った.さらに,提案手法とセンサベース手法を比較するために,センサベース手法の位置合わせの精度に関する実験を行い,その実験結果の考察を行った.


セッション 4E  教育とオノマトペ
日時: 2013年7月11日(木) 8:45 - 10:25
部屋: 銀鱗
座長: 中村 亮太 (東京工科大学)

4E-1 (時間: 8:45 - 9:05)
題名受講者の即時的な反応を記録する授業トラッキングシステムの開発と評価
著者*谷村 祐, 納富 一宏 (神奈川工科大学大学院工学研究科情報工学専攻)
Pagepp. 976 - 979
Keyword教育支援, 授業トラッキング, 教育工学, 授業支援, クリッカー
Abstract本研究では,これまで質を伴った学修時間を確保する手段として課題レポートのやり取りに着目し,それをサポートするシステムの検討,構築を進めてきた.そこで,課題の再提出を支援する機能を持った課題提出システムと個人の能力を考慮した上で,リマインド情報の提示タイミングや頻度を自動的に設定するリマインダを開発した.しかし,教育の支援を行うためには,講義の部分に関しても支援を行うシステムの検討,開発が必要である.本稿では,即時的反応追跡システムとして,授業時にリアルタイムで授業の理解度や難易度などを投票し,即時的な反応を記録することを目的とした Webベースの授業支援システムについて述べる.また,実際の講義での稼働実験を行い,システムの有効性の分析と評価を行った.稼働実験において,ある程度の投票件数を得られたことと,アンケートにおいて,多くの学生から高評価を得られたことから,このシステムが授業支援に有効である可能性が示唆された.

4E-2 (時間: 9:05 - 9:25)
題名リアルタイム/非リアルタイムウェブコミュニケーションをサポートするブラウザ同期方式
著者*田坂 和之, 大岸 智彦, 井戸上 彰 (KDDI研究所)
Pagepp. 980 - 988
KeywordWEBサービス, ブラウザ, 同期制御
Abstract本論文では,ブラウザの表示画面やブラウザ上でのボタン押下などの操作を,複数のユーザ間でリアルタイム/非リアルタイムに共有する,ブラウザ同期方式を提案する.コールセンターや遠隔授業のようなサービスにて,従来方式では,円滑なコミュニケーションを目指し,オペレータがユーザのブラウザ操作を遠隔支援するブラウザ同期を実現する.さらに,提案方式は,オペレータの存在有無に関わらず,サービスを提供可能とする.具体的には,リアルタイムだけでなく,非リアルタイムなウェブコミュニケーションでもブラウザ同期を実現するため,オペレータによる操作内容や操作時刻を含む同期情報を保存し,コンテンツへ自動付与することによって,操作情報の共有時刻を変更する.このタイミングを,音声や映像のストリーミングコンテンツの出力時刻や通信環境(ネットワーク遅延やレンダリング性能)に応じて決定する.さらに,提案方式を評価するため,プロトタイプシステムを実装し,ブラウザ間での出力時刻の差や異種ウェブコンテンツの出力時刻の差を計測した.結果,その出力時刻の差は300-400msとなり,提案方式は同期範囲の目安である時間(400ms)以内を実現できることがわかった.

4E-3 (時間: 9:25 - 9:45)
題名クラウドソーシングを用いた日本語オノマトペの対訳作成手法の提案
著者*福島 拓 (静岡大学大学院工学研究科), 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 989 - 995
Keyword多言語間コミュニケーション, 情報・データ・知識の管理, オノマトペ, クラウドソーシング
Abstract現在,グローバル化による多言語間コミュニケーションの機会が増加している.しかし,多言語間での正確な情報共有は十分に行われていない.正確な多言語支援が求められる場では,多言語用例対訳が多く用いられている.用例対訳の作成には多言語の知識が必要となるが,多言語話者の人数は少なく,大きな負担がかかっている.また,擬音語や擬態語である「オノマトペ」は日本語特有のものが多く存在しているため,翻訳が困難な語である.そこで本稿では,単言語話者のみでオノマトペを含む多言語用例対訳候補の作成を行う,日本語オノマトペ対訳作成手法の提案を行う.本提案では,オノマトペの言い換え表現を作成することで正確な多言語対の作成を目指す.また,クラウドソーシング上の労働者に作業委託を行うことで,安価に用例対訳の作成を目指す.

4E-4 (時間: 9:45 - 10:05)
題名気象センサネットワークを活用した災害情報提供による高校生への防災教育
著者*廣井 慧 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科), 妙中 雄三 (東京大学情報基盤センター), 横山 仁 (東京都環境科学研究所), 中谷 剛, 三隅 良平 (独立行政法人 防災科学技術研究所), 中山 雅哉 (東京大学情報基盤センター), 砂原 秀樹 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)
Pagepp. 996 - 1001
Keyword気象センサネットワーク, 防災教育, 災害情報
Abstract近年、都市部において短時間強雨等、局地的な極端現象の発生が増加傾向にあることが指摘されている。 突発的に発生する短時間強雨は、事前の予測が難しく高い危険回避能力が求められる。 本研究では高校生を例にとり短時間強雨のような水害の危険回避のための情報伝達を行う。 情報伝達には降雨現象を数値化するシステムを活用し、高校生がリアルタイムで情報を入手する環境を構築する。 実際に降雨が発生している状況下で短時間強雨の観測値と被災状況を比較することで、観測値に対する理解と水害の危険に関する認識を高めさせる。 その結果、危険回避をする防災対応能力の向上させ、本研究で目的とする防災教育の実施が可能となる。 本稿では降雨の現象をリアルタイムで数値化するシステムを用いて、高校生が部活動中や帰宅中に数値情報を入手するための受信機器や提示する情報内容、提示方法の検討を行う。 選定した受信機器にリアルタイムで数値情報を送信するためのシステムを構築し、高校生に対する情報提供の影響に関する分析結果を示す。


セッション 4F  コンテンツ構成と配信
日時: 2013年7月11日(木) 8:45 - 10:25
部屋: 竹・梅
座長: 神崎 映光 (大阪大学)

4F-1 (時間: 8:45 - 9:05)
題名感性を反映したコンテンツ構成技術の提案
著者*菊地 由実 (NTTサービスエボリューション研究所), 日高 浩太 (東日本電信電話株式会社), 井原 雅行, 小林 稔 (NTTサービスエボリューション研究所)
Pagepp. 1002 - 1009
Keywordコンテンツ構成, 感性, SD法
Abstractインターネットでの情報取得はユーザ自ら検索するアクティブ性が必要とされ,特に情報低リテラシユーザにとっては負担が大きい.しかし,昨今テレビ番組やCFなどにURLが紹介されるようになってきているように,テレビ放送とインターネットのボーダーレス化が進みあたかもテレビを見るようにインターネットの情報を閲覧するような形態が今後発展することが予想される. また,テレビの情報はそのパッシブ性と共に制作者が意図して視聴者を引きつける工夫が施されている. 本稿では,インターネット上の情報を魅力あるテレビ番組のように見せる新たな情報構成技術を提案したい. まず,映像制作者が施す「演出効果」が実際に視聴者に対してどのような印象を与えるかについて統計的に評価し,その結果を応用してユーザの感性を反映したコンテンツの構成方法を提案する.本技術はユーザの感性を反映することを重視するため分析は人間の主観が反映されるものが適当であると考え,人間がある刺激の認識に伴って表現する観念を直接的に把握する代表的な方法の1つであるSD法を用いて主観評価を行った. また,単にコンテンツを再構成するだけでなくガジェット(∂ロボ)によるコンテンツ構成を提案し,そのガジェットがユーザに与える印象についても同様に評価を行った.

4F-2 (時間: 9:05 - 9:25)
題名マルチタグを用いた関連動画コンテンツ同時視聴システム
著者*中村 和己 (同志社大学大学院理工学研究科情報工学専攻), 谷川 諒 (同志社大学大学院理工学研究科), 島田 秀輝 (同志社大学理工学部), 佐藤 健哉 (同志社大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1010 - 1018
Keywordストリーミング配信, マルチメディア通信, Webサービス
Abstract近年,高速インターネット通信網が全国的に普及したことから,インターネットが広帯域化し,ユーザが享受できるWebサービスが増加している.その例として,YouTube等のストリーミング動画配信サービスが挙げられる.ストリーミング動画配信サービスでは,ユーザは,自身の嗜好に合った内容の動画コンテンツを検索して,視聴を行うことができる.また,現状のストリーミング動画配信サービスでは,タイトルやタグ情報等から所望する動画コンテンツの検索を行うことができる.しかし,利用するユーザの増加に伴い,動画コンテンツの量,及びその内容も多様化しており,動画コンテンツの内容を表す情報が不十分な場合も多く,検索を行ったとしても,類似した内容の動画コンテンツとの差別化を行うことができず,所望する動画コンテンツを探し出すことが困難となる問題も発生している.さらに,現状のストリーミング動画配信サービスでは,企業や芸能人等がプロモーション等の一環で配信している動画コンテンツと比較して,一般のユーザが撮影して,配信している動画コンテンツは検索することが困難になっていることも問題視されている. そこで本研究では,マルチタグを利用した関連動画コンテンツ同時視聴システムの提案を行う.提案システムでは,動画コンテンツの内容を直感的に理解することができる視聴システム,及びパーソナル動画も容易に検索を行えるシステムを提供することで,問題の解決を図る.また,提案システムの概念に基づいて実装,評価を行い,その有効性を示す.

4F-3 (時間: 9:25 - 9:45)
題名スマートフォンを用いた放送者用静止画インターネット放送システムにおける視聴者リクエストに基づいた動的静止画品質制御の評価
著者*中野 裕貴 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科), 齊藤 義仰, 村山 優子 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 1019 - 1026
Keywordインターネット放送, 静止画放送, スマートフォン
Abstract本研究では,スマートフォンを用いた放送者用静止画インターネット放送システムにおける視聴者リクエストに基づいた動的静止画品質制御を提案する.現在,スマートフォンを利用したインターネット生放送が増加している.しかし,スマートフォンを利用した放送では,狭帯域である3G回線を使用するため,帯域を十分に抑える必要性がある.本研究の動的品質制御では,帯域を抑制するために静止画を使用し,さらに視聴者のリクエストによって静止画の品質を制御することで,最大限帯域を抑制する.我々は,動的品質制御アルゴリズムを決定するために,初期に送信すべき視聴者が満足する最低限の画質と高画質化を行う条件である視聴者リクエスト数の割合の調査をした.調査結果を基に,運用実験を行い,(1)視聴者が高画質化したい静止画とそうでない静止画が存在するかを静止画の解像度ごとの視聴者リクエスト数によって詳細にみる.また,(2)帯域を抑制することが可能であるか,(3)視聴者が興味を持ったコンテンツが何か,以上の点を明らかにする.

4F-4 (時間: 9:45 - 10:05)
題名スマートフォンを用いた視聴者用静止画インターネット放送システムの開発と評価
著者*廣田 夏輝, 中野 裕貴, 齊藤 義仰, 村山 優子 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 1027 - 1032
Keywordインターネット放送, スマートフォン, 狭帯域
Abstract近年,スマートフォンの普及率の増加に伴い,スマートフォンを用いて視聴を行うことが可能なインターネット生放送サイトが増加してきている.しかし,現状ではそれらのインターネット生放送サイトをスマートフォン上で視聴するユーザは少ない.その理由として,帯域の不足による映像の乱れや,パケット使用料の従量課金制が海外で始まっていることが挙げられる.そこで,放送を視聴する際に使用する通信トラフィックを抑制しつつ,視聴者が満足する品質の放送を提供する必要性が考えられる.本研究では,スマートフォンを用いて,視聴者リクエストにより動的に画質を調整する視聴者用静止画インターネット放送システムを提案する.動画ではなく,静止画像で放送を視聴することで通信トラフィックの抑制をはかり,視聴者リクエストによる品質制御を行うことで,視聴者自身が満足する品質の放送を視聴することが可能となる.本稿では,提案システムの設計と実装及び,最初に視聴者が見ることができる最低限の画質についての調査概要と結果について述べる.

4F-5 (時間: 10:05 - 10:25)
題名ゲーム動画における視聴者コメントを用いた広告映像挿入手法の調査
著者*鈴木 順也, 齊藤 義仰, 村山 優子 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 1033 - 1038
Keyword動画広告, 視聴者コメント, ゲーム動画
Abstract近年,インターネットの普及とネットワークの広帯域化により,インターネットを介した動画共有サービスに注目が集まり,動画共有サービスを利用するユーザが増加している.動画共有サービスを利用するユーザの増加に伴い,多くの動画共有サービスでは,広告配信を用いたビジネスモデルが取り入れられている.しかし,従来の動画共有サービス内での広告配信では,時報の様に一定時刻に広告が挿入されたり,視動画再生中の一定時間に広告挿入といった様な視聴者の視聴を妨げるタイミングで広告挿入が行われている.そのため,広告に対する煩わしさにより視聴者は快適な動画視聴をできないという問題がある.本研究では,ゲーム動画における視聴者コメントを用いた広告映像挿入手法を提案する.本稿では,ゲーム動画における広告映像挿入手法を作成するための予備調査を行った.予備調査の結果,アクションゲームの動画で特徴が現れた.そこで,アクションゲームの動画における特徴が広告映像挿入箇所として使用できるか調査実験を行い,その結果を基に,アクションゲームの動画における広告映像挿入手法の提案を行った.


セッション 4G  ナビゲーション
日時: 2013年7月11日(木) 8:45 - 10:25
部屋: 松
座長: 河口 信夫 (名古屋大学)

4G-1 (時間: 8:45 - 9:05)
題名PDRを活用した地下街ナビゲーションの進捗適応機構
著者*吉見 駿 (立命館大学情報理工学部), 新田 知之 (立命館大学大学院理工学研究科), 安積 卓也, 西尾 信彦 (立命館大学情報理工学部)
Pagepp. 1039 - 1050
Keywordナビゲーションシステム, PDR, センシング, 屋内測位, 行動認識
Abstract近年,スマートフォンを用いた歩行者向けナビゲーションが注目されている.そこで我々は,システムとユーザがランドマークの視認性確認の対話を行う対話型歩行者ナビゲーションである対話型ナビの開発を進めてきた.実用的な地下街歩行者ナビゲーションして,システムとユーザがランドマークの視認性確認対話を行う対話型ナビの開発を進めてきた.検証実験を行った結果,文字のみの案内ではランドマークを視認が困難で道を間違える場合があり,ユーザに十分な安心感が与えられていないということがわかった. そこで本研究では,ジャイロスコープ・加速度センサによる歩行距離,進行方向を推定するPDR(Pedestrian Dead Reckoning) を用いたランドマークの視認サポート,およびユーザが正しいルートを進めているかの判定を行い,対話型ナビがユーザに与える安心感を向上させる手法を提案した.9 人の被験者に対し,提案手法の有無でユーザに与える安心感にどう影響するかを実証評価した結果,提案手法を用いることで,被験者のナビゲーション中の安心感は,肯定的な意見が45%向上し,その有用性が示された.

4G-2 (時間: 9:05 - 9:25)
題名歩行者ログを用いた移動所要時間推定システムの提案
著者*夏堀 友樹 (公立はこだて未来大学大学院 システム情報科学研究科), 白石 陽 (公立はこだて未来大学 システム情報科学部)
Pagepp. 1051 - 1056
Keyword歩行者ナビゲーション, 移動所要時間, 歩行者ログ, 歩行速度, センサ特徴量
Abstract近年,歩行者ナビゲーション機能の発展により,歩行者は携帯端末から目的地を入力することでいつでも現在地から目的地までの経路や周辺の地図データなどを得ることができるようになった.また,その情報の1つとして現在地から目的地までの移動所要時間を知ることができる.しかし,歩行者の歩行速度は歩行時の身体の状況や歩行経路の周辺環境により変化する.そのことにより,同じ歩行者が同一経路を歩いた場合であっても移動所要時間は一定にならず,推定を行う際にはそれらを考慮した推定手法が必要である.そこで本研究では,歩行者の身体状況とその歩行時の周辺環境を把握することで,より精度の高い移動所要時間を推定する手法を提案する.提案手法では,歩行時の進呈状況をセンサデバイスから取得し特徴量化し,周辺環境データと歩行速度とともに歩行者ログとして記録を行い,データベースに蓄積する.そして,歩行者ログデータベースから現在の状況と最も類似する歩行者ログを参照することで移動所要時間の推定を行う.また,提案システムを実装し,基礎実験を行い,有用性に関する検討を行った.

4G-3 (時間: 9:25 - 9:45)
題名ライフログ生成のための屋外状況推定手法の検討
著者*田中 剛, 鈴木 誠二 (静岡大学大学院情報学研究科), 土井 千章, 中川 智尋, 稲村 浩, 太田 賢 (NTTドコモ先進技術研究所), 峰野 博史 (静岡大学情報学部)
Pagepp. 1057 - 1064
Keywordコンテキストアウェアネス, ライフログ, 行動推定, センサネットワーク, 位置情報
Abstract近年,モバイルデバイスの高度化によりライフログに関するサービスが注目されている.モバイルデバイスを用いてユーザ毎に高精度なライフログを生成することで, ユーザの位置や状況に応じたコンテキストアウェアサービスが創造されていくことが期待される. そこで,本研究ではスマートフォンを用いて屋外におけるユーザの位置や状態だけでなく,停留している場所でのユーザの状況までを推定する手法を検討する. 屋外での状況を推定するためにまず, GPS データから位置の分散・速度を算出してユーザの移動・停留判定を行い,停留と判定された場所の情報を取得する. 次に,停留している場所でどんな状況であったかを推定するために機械学習を用いてモデルを生成する.モデル生成に必要な説明変数は場所によって変更し,重み付けを行う. 説明変数として天気や移動手段,モーションセンサの値などを用いることで,移動・停留判定は約90%,移動手段推定は徒歩,原付,自動車,電車,新幹線において平均約83%, 居酒屋と大学における状況推定はそれぞれ平均約85%,90% の推定精度が得られた.


セッション 4H  Web・応用システム
日時: 2013年7月11日(木) 8:45 - 10:25
部屋: エトワール
座長: 井上 亮文 (東京工科大学)

4H-1 (時間: 8:45 - 9:05)
題名センサーデータマッシュアップのためのウェブアーキテクチャ
著者*清水 智可良, 沼尾 雅之 (電気通信大学大学院 情報理工学研究科 情報・通信工学専攻)
Pagepp. 1065 - 1070
Keywordセンサーウェブ, マッシュアップ, メタデータ, RDF, RSS
Abstract近年様々なセンサーデバイスが登場しており、様々なセンサーデータを取得可能な環境が取得可能な環境が整いつつあり、センサーから様々なストリームデータが得られると考えられる. しかし、センサーデバイスには様々な種類のものが存在し、使用可能なプロトコルやデータフォーマットに差異が存在する. 加えて、ユーザーの用途も多種多様であり,複数のセンサーデータを一つのグラフに表示する, 地図の上にセンサーデータを重ねて表示を行う等様々な要求が存在する. ユーザーがリソースを自由に組み合わせて、新たなサービスを作り出すためのマッシュアップ基盤を提供する事でユーザーの多種多様な要求を満たす事ができると考えられる. マッシュアップを行う際にはデバイスの差異の吸収方法や、他のウェブサービスとの連携方法を検討する必要がある. 本研究では、センサーデータ向けのマッシュアップ基盤のアーキテクチャの検討を行い、実際にマッシュアップを行う事で有効性の検証を行った.

4H-2 (時間: 9:05 - 9:25)
題名イベント会場を自由に視聴できるライブ映像配信システムの一検討
著者*山口 好江, 田中 康暁, 深澤 勝彦 (NTTメディアインテリジェンス研究所), 佐藤 啓之, 土川 仁 (NTTサービスエボリューション研究所), 木全 英明 (NTTメディアインテリジェンス研究所), 下村 道夫 (NTTサービスエボリューション研究所), 小島 明 (NTTメディアインテリジェンス研究所)
Pagepp. 1071 - 1076
Keyword自由, 選択, 拡大, カメラ, 視聴
Abstractイベント会場を自由に視聴できる「インタラクティブ・ライブ映像配信」のプロトタイプシステムを開発した.カメラ1台カメラワーク固定の映像は,人の視覚に比べて視聴範囲が狭いという問題がある.本システムは,ユーザが視聴位置を操作することで視聴範囲を仮想的に広くする機能を有する.この機能の有効性を確認するため,講演会のライブステージ全体の中から見たいところを選択,拡大する視聴について主観評価を行った.視聴対象物の移動範囲が少なくカメラ1台の画角に収まる講演会に対しては,本システムが十分に適用可能であることを確認した.また,本システムでは,イベント会場の複数個所にカメラを設置し,自由にカメラを選択した視聴が可能である.このカメラ選択方法について主観評価を行ったので,その結果についても報告する.

4H-3 (時間: 9:25 - 9:45)
題名遠隔作業支援システムのためのアノテーション自動生成機能の方式検討
著者*大多和 均 (静岡県立大学大学院経営情報イノベーション研究科), 佐野 良樹, 長沼 晶子, 古澤 昌也 (静岡県立大学経営情報学部), 湯瀬 裕昭, 渡邉 貴之 (静岡県立大学大学院経営情報イノベーション研究科)
Pagepp. 1077 - 1082
Keyword遠隔作業支援, 画像認識, マルチメディアシステム, 電子会議, コンテクストウェアネス
Abstract本研究では,遠隔作業支援システムでの作業者⇒指導者型のAR活用について検討を行う.具体的には,作業者が撮影した映像から物体検出によって作業対象物を特定し,あらかじめマーカとラベル番号によるアノテーションを書き込んだ上で,指導者に提示する.これにより,指導者は映像に自らアノテーションを書き込むことも可能だが,あらかじめ書き込まれたアノテーションを活用して音声のみで作業者に指示することも可能となる.一方,物体検出処理は計算負荷が高く,作業者側の機器としてパーソナルコンピュータと比較して性能の低いスマートフォンを用いた場合,システムの動作速度が大幅に低下する可能性がある.筆者らの遠隔作業支援システムでは,作業者のスマートフォンで撮影した映像は中継サーバを介して指導者側に送信される.そこで,物体検出処理をスマートフォン内で行う場合と,中継サーバで行う場合の性能比較を実施する.中継サーバで処理を行うことにより,物体検出処理の速度向上が期待できる.一方,スマートフォンと中継サーバ間のネットワーク遅延等により,作業者側のスマートフォンにおいて表示している映像と,中継サーバから返送されたアノテーションにはタイムラグが生じる.結果的に,作業者側のスマートフォンにおいて作業対象物とアノテーションの表示位置にずれが生じる可能性がある.表示位置のずれは,指示された作業対象物の誤認につながるため,どの程度のタイムラグが生じるかを定量的にモデル化し,評価実験を行う.

4H-4 (時間: 9:45 - 10:05)
題名定番度に基づくレシピ推薦システムの提案
著者*中岡 義貴, 佐藤 哲司 (筑波大学大学院図書館情報メディア研究科)
Pagepp. 1083 - 1089
Keywordレシピ推薦, HITSアルゴリズム, 調理履歴
Abstractインターネット上には多くのレシピサイトが存在し,料理のジャンルや使用する食材などを,様々な条件を指定してレシピを検索できる.しかし,百万件を超えるレシピの中から所望のレシピを検索するのは困難なだけでなく,検索の都度ごとに様々な条件を組み合わせて検索しなければならない.本論文では,レシピを継続的に推薦し,自らが調理できる料理である"レパートリー"を拡大していくレシピ推薦システムを提案する.お薦めのレシピを単体で提示するだけでなく,これまでの調理経験や,扱える食材の種類を増やしたいなどの調理者の要求に応じて,戦略的に"レパートリー"を拡大できるレシピ推薦を目指す.調理者の調理履歴から調理経験値を推定し,調理経験値と調理者の要求とから推薦するレシピを決定する手法を詳述し,実装したプロトタイプの概要を報告する.

4H-5 (時間: 10:05 - 10:25)
題名アニメーションARマーカを用いたアドホック通信の提案
著者*山本 眞也 (山口東京理科大学 工学部 電気工学科), 柴田 直樹 (奈良先端科学技術大学院大学 ソフトウェア基礎学講座)
Pagepp. 1090 - 1096
Keywordアドホック通信, アニメーションARマーカ, GPGPU画像処理
Abstractデータをモザイク状の画像マーカにエンコードし,携帯電話に搭載されたカメラで読み取ることのできるQRコードが普及している.QRコードのような二次元バーコードで大きなデータを扱おうとすると,画像マーカが大きくなってしまい,読み取るために高解像度のカメラと大きなCPU資源が必要になる.また,Micro paymentなどの目的で,目の前にある2つの端末を確実に指定して,その間で暗号による通信を行いたい場合,無線電波通信ではなく,ディスプレイからカメラにデータ送信ができれば有用である.そこで,我々はARマーカの読み取り手法を応用し,送信端末がディスプレイにARマーカをアニメーションさせ,受信端末がカメラを用いてそのアニメーションするARマーカを撮影し,読み取ることによってデータ通信を行うようなアドホック通信を提案する.また,CPU負荷をGPUに分散し,デバイス全体として高いパフォーマンスを実現するための,GPGPUを用いた画像処理アルゴリズムについても合わせて提案する.


セッション 5A  統一テーマセッション-スマートITS
日時: 2013年7月11日(木) 10:40 - 12:20
部屋: ハルニレ・アカシア
座長: 重野 寛 (慶應義塾大学)

5A-1 (時間: 10:40 - 11:20)
題名(招待講演) ビッグデータ時代のITS研究 -メガオーダーの走行車両情報の活用-
著者*東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagep. 1097
KeywordITS, ビッグデータ, 走行車両情報
Abstractビッグ・データ時代の到来に伴い、数百テラバイトからペタバイト級のデータを効率的に蓄積・分析・リアルタイムフィードバックすることで、社会の安全・安心に寄与するシステムの構築や社会システムの効率化が図られている。ITS 分野においても、メガオーダーの走行車両から得られる移動軌跡情報(プローブデータ)を用いて、高度な渋滞回避や災害時の走行可能道路マップを提示するシステムが開発されている。プローブデータと複数の企業や組織が持つセンシング情報(営業車のドライブレコーダー情報やVICS 情報、街頭カメラ情報、気象情報、IC カード情報、スマートフォンなどから得られる人の往来情報など)を複合的に活用することで、都市全体の人やクルマの動きをより正確に把握することができ、都市のスマート化に寄与する社会システムが構築できるようになる。本講演では、メガオーダーの走行車両情報の活用事例を概説すると共に、ITS 関連のビッグ・データ活用研究の今後の方向性などについて述べる。

5A-2 (時間: 11:20 - 11:40)
題名はこだて圏におけるスマートアクセスビークルシステムの構想と現状
著者*白石 陽 (公立はこだて未来大学システム情報科学部), 中島 秀之, 佐野 渉二 (公立はこだて未来大学), 松原 仁, 平田 圭二 (公立はこだて未来大学システム情報科学部)
Pagepp. 1098 - 1101
Keyword公共交通, フルデマンドシステム, スマートシティ, 交通行動調査
Abstract「スマートシティはこだて」プロジェクトとは,函館圏を対象とした情報通信技術の適用により,街の様々な活動やサービスを有機的なシステムとして統合し,全体として住みやすい便利な街の構築を目指すものである.我々は,まず都市のインフラとして重要な公共交通に焦点を当てる.バスやタクシー等の公共交通機関の運行を集中管理し,他の行政,医療,外食,観光等のサービスを連携させることにより,高効率の交通システム(スマートアクセスビークルシステム:SAVシステム)を実現することを目的としている.従来型のバスやタクシーの区別は消え,すべての車両が中央制御で一括管理される.本プロジェクトでは,これらのバスとタクシーの中間的な存在であり,両者の利点を兼ね備えた車両をスマートアクセスビークル(Smart Access Vehicle:SAV)と呼ぶ.交通システムが路線バスからフルデマンド方式のSAVシステムに変わることによって,市民の行動パターンも変わることが予測される.現在,我々は,GPS を内蔵したスマートフォンを各世代や職業の代表例的な被験者に持ってもらい,ある程度長期にわたる交通行動調査を進めている.

5A-3 (時間: 11:40 - 12:00)
題名カーシェアリングに基づいたEVの効率的運用スケジューリング
著者*上田 知幸 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科), 孫 為華 (大阪大学 サイバーメディアセンター), 柴田 直樹, 伊藤 実 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科)
Pagepp. 1102 - 1110
Keyword電気自動車, カーシェアリング, スケジューリング
Abstract近年,環境問題対策として電気自動車(EV)が注目されている.EVは環境負荷の少ない自動車だが,ガソリン車に比べ航続距離が短く,充電時間が長いという欠点がある.本研究ではカーシェアリングの仕組みを利用し,多数のユーザがEVを共同利用する環境で,EVを効率的に運用するスケジューリング手法を提案する.ユーザは,電力残量の少ないEVの乗換・充電を繰り返し,EVによる長距離移動が可能である.提案システムは,ユーザスケジュール算出部と配車スケジュール算出部で構成される.ユーザスケジュール算出部は,ユーザ入力に対し最も満足度(希望通り巡回できたか示す指標)の高い巡回経路,行動(EV乗換・充電)を含むスケジュールを算出し,配車スケジュール算出部では,目的地毎のEV台数を調整するため,各EVが時刻毎に配置される目的地を決定する.また,地図データに劣化係数を定義し渋滞が移動時間や航続距離に与える影響を考慮する.提案手法の有効性を確認するためシミュレータを実装し,ユーザに対して実用的な計算時間でスケジュールを算出ができるか,また前述の満足度を一定以上確保できるか評価する.


セッション 5B  位置情報システム
日時: 2013年7月11日(木) 10:40 - 12:20
部屋: 柏・ポプラ
座長: 岩本 健嗣 (富山県立大学)

5B-1 (時間: 10:40 - 11:00)
題名Wi-Fi を用いた Indoor Fingerprint Localization における精度の検討
著者*小西 秀典 (早稲田大学基幹理工学部情報理工学科), 大木 哲史 (早稲田大学理工学研究所 次席研究員), 金井 謙治, 甲藤 二郎 (早稲田大学 基幹理工学研究科)
Pagepp. 1111 - 1115
KeywordWi-Fi, fingerprint, localization
Abstract人工衛星を利用した位置情報を提供するシステムであるGPSの使用が難しいインドア位置推定に関する研究には、ホップ数を用いた手法、到着時間を利用した手法など、様々な手法がある.コストを掛ければ、より精度の高い位置推定を行うことができるが、これは現実的ではない.身近なもの、または現在普及してきている既存のものを利用することにより、コストは抑えることができる.本稿では、別に検討しているインドア無線マップの作成と並行し、既存のインフラであるWi-Fiアクセスポイントを利用したFingerprint手法の改善を検討する.狭い環境と広い環境の異なる2つの環境下において、Wi-Fi以外の要素も用いた位置推定の評価実験を行い、従来のFingerprint手法と比較し、精度の改善が見られることを確認する.

5B-2 (時間: 11:00 - 11:20)
題名ジオフェンシングサービスのための間隔可変測位による省電力入圏検出方式の評価
著者*中川 智尋, 山田 渉, 土井 千章, 稲村 浩, 太田 賢 (NTTドコモ先進技術研究所), 鈴木 誠, 森川 博之 (東京大学先端科学技術研究センター)
Pagepp. 1116 - 1122
Keywordジオフェンシング, 省電力入圏判定方式, 間隔可変測位
Abstract仮想的に設定した地図上の境界をユーザが越えたことを検知し、予め決められた処理を自動的に実行することで、場所に応じた情報やサービスが提供できる.このようなジオフェンシング技術は,日常生活におけるリマインドや,子供の見守りや盗難防止などの安心安全サービス,ターゲティング広告やモバイル決済など広い応用が期待される.ジオフェンシング技術の実現には,監視対象スポットへの入圏をいかに小さい消費電力で検出するかが課題となる.入圏の検出を省電力化する関連研究として,測位手段切替機能,移動検出機能,間隔可変測位機能が提案されている.間隔可変測位機能では,端末の移動方向や監視対象スポットへの距離に応じて測位回数を削減することで,さらに省電力化を図ることができる.本稿では,距離に基づく移動検出間隔を決定する移動検出機能と,間隔可変測位機能における接近速度の補正アルゴリズムを提案する.シミュレーションにより提案方式を評価した結果,接近速度の補正を行わない既存の間隔可変測位方式と比較して,消費電力を42%から52%削減し,検出漏れ率は既存方式と同水準の5%以下に抑制された.

5B-3 (時間: 11:20 - 11:40)
題名ソーシャル観光マップ -ソーシャルデータからの観光スポット抽出-
著者*荒川 豊 (奈良先端科学技術大学院大学), Tatjana Scheffler (University of Potsdam), Stephan Baumann, Andreas Dengel (DFKI Germany)
Pagepp. 1123 - 1132
Keywordジオタグ, ソーシャル, データマイニング, 観光
Abstract本論文では,位置情報付きのソーシャルデータを分析に基づくソーシャル観光マップの構築に向け,都市の人気スポットをその正確な名前と共に抽出する仕組みを提案する.提案では,人気スポットの名前を推定する手法として,Foursquareなどの複数のチェックインサービスから得られる情報を用いることで,従来のタグ分析手法と比較して,正確な表記の名前を得ることを可能とする.また,分析対象面積に対する十分なデータサイズについて検証し,実際に収集した膨大なデータの中からサンプリングした小さなデータセットからでも,十分な結果が得られることを示す.最後に,従来方式(枚数による順位付け+タグ分析による意味付け)と提案方式(枚数と時間分散による順付け+チェックインサービスを用いた意味付け)による観光スポット上位10件の比較した結果を示す.

5B-4 (時間: 11:40 - 12:00)
題名スマートフォンの気圧センサと気象情報を用いた高度推定手法
著者*並木 渉, 市野 将嗣 (電気通信大学大学院情報理工学研究科総合情報学専攻), 笠原 弘樹 (早稲田大学理工学術院基幹理工学研究科情報理工学専攻), 吉井 英樹 (ソフトバンクテレコム株式会社), 吉浦 裕 (電気通信大学大学院情報理工学研究科総合情報学専攻)
Pagepp. 1133 - 1139
Keyword気圧センサ, 高度, 携帯端末

5B-5 (時間: 12:00 - 12:20)
題名モバイル環境とオフィス環境の差異を考慮した企業向けコミュニケーションシステムの検討
著者*小牧 大治郎, 池本 健太郎, 堀尾 健一, 松井 一樹 (株式会社富士通研究所)
Pagepp. 1140 - 1144
Keywordスマート端末, モバイル環境, コミュニケーション, エンタプライズ
Abstractオフィスにいる少数の専門家と多数の現場で働く社員が協調して一体となって働くことで,現場だけでは解決できない問題を解決できるようになり,企業の顧客との接点であるフロント業務を強化できる.そのためには,現場とオフィスをつなぐコミュニケーションシステムが重要となる.筆者らは,オフィスにいる専門家と複数の現場の社員を常時コミュニケーション可能な状態にしておき,問題があったときに適切なタイミングで支援できるワークスタイルが有効であると考えた.しかし,既存のコミュニケーションツールを用いた場合,オフィスの専門家の業務が阻害される,同時に複数の現場を支援することが難しい等の問題がある.本稿では,「オフィスで働く社員が現場で発生したトラブルなどに気付くことができる」かつ「オフィスで働く社員がひとつの現場の支援に占有されない」を両立させることを目的として,テキスト/音声/映像の各種メディアの違いが1)現場の状況の把握しやすさと2)オフィスでの作業のしやすさに与える影響について調査,検討したことについて報告する.


セッション 5C  クラウドと分散処理
日時: 2013年7月11日(木) 10:40 - 12:20
部屋: 白樺
座長: 寺西 裕一 (情報通信研究機構/大阪大学)

5C-1 (時間: 10:40 - 11:00)
題名Hadoopのノード削除時のレプリカ生成の高速化手法の提案
著者*日開 朝美 (お茶の水女子大学), 竹房 あつ子, 中田 秀基 (産業技術総合研究所), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1145 - 1151
KeywordHDFS, レプリカ生成, ノード削除
Abstract大規模データに対応した処理システムとして,汎用なハードウェアを用いて高度な集約処理を行う分散ファイルシステムに注目が集まっている.本研究では,Apache Hadoopの基盤技術であるHadoop Distributed File System (HDFS)に着目した.Hadoopはスケールアウトするシステムであり,システム規模に応じた運用や故障の発生などにより,ノードを脱退および削除することが想定される.HDFSでは通常複数のDataNode上に複数のレプリカを保持し,ノード脱退時および削除時には他のノードにレプリカを自動的に生成する.この過程が長くなると一部のDataNodeに負荷が掛かりスループットが低下してしまうため,その高速化が重要である.本稿では,ノード削除時に注目して不足分を補うレプリカ生成処理を高速化する制御手法を提案する.予備調査から,レプリカ生成時のデータ移動には偏りが生じ,効率の良い処理が行われていないことが分かった.そこでレプリカ生成先および生成元を制御することでその偏りを解消し,処理を高速化する制御手法を提案する.制御手法により偏りが解消され,スループットが最大59\%向上することを示す.

5C-2 (時間: 11:00 - 11:20)
題名Cassandraによるデータアフィニティを考慮した並列分散処理の実装
著者*菱沼 直子 (お茶の水女子大学), 竹房 あつ子, 中田 秀基 (産業技術総合研究所), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1152 - 1156
KeywordApache Cassandra, 分散KVS, 並列分散処理, データアフィニティ
Abstractクラウドコンピューティングの発展に伴い,大量に生成されるデータを蓄積し,高速に処理することが求められている.このような処理は従来のRDBMSでは難しいことから,大量に生成されるデータの蓄積には分散KVSが,高速な処理にはHDFSなどの分散ファイルシステムが用いられている.しかし,蓄積した大容量データを処理するためには分散KVSから分散ファイルシステムにデータを転送しなければならず,そのコストが問題となる.この問題の解決に向けて,データを蓄積した分散KVS上で直接高速データ処理を行う手法を提案し,実装する.我々は既発表研究において大容量データを扱う分散KVSであるApache Cassandraを拡張し,データアフィニティを考慮した並列データ処理機構を組み込んでいる.本稿では,並列データ処理機構の特性を明らかにするため,データの蓄積を行いつつ,高速データ処理を行った場合の性能と,処理の偏りと性能の相関を調査した.評価より,本実装はWrite中の影響を受けることが確認でき,影響を少なくするためには処理の偏りを小さくし,処理を担当しないノードの発生を防ぐことがより重要であることが分かった.

5C-3 (時間: 11:20 - 11:40)
題名ハードウェアオフロードによるMapReduceの高速化
著者*本庄 利守, 及川 一樹 (日本電信電話(株) NTTソフトウェアイノベーションセンタ)
Pagepp. 1157 - 1162
KeywordMapReduce, ハードウェアオフロード, メニーコア, Hadoop
Abstract大規模データを処理する基盤として、MapReduce と呼ばれる分散処理フレームワークが広く使われてきている. MapReduce は、多数のサーバから並列にデータを読み書きすることで、I/O ボトルネックを克服するアーキテクチャとなっていることが特徴である. しかし、ディスクやネットワークの高速化が進むことで、従来想定していたI/O ボトルネックからCPU ボトルネックに移行することが予想される. そこで、本論文では、将来スタンダードになるであろうSSD やInfinband などの高速なディスクやネットワークを用いたベンチマークを通じて、実際にI/O ボトルネックからCPU ボトルネックとなること示し、このCPU ボトルネックを克服する手法として、ハードウェアオフロードによるMapReduce の高速化を提案する. 今回は、Map 処理におけるデータのデシリアライゼーション、パースおよびキーによるソートを実行する箇所をTilera 社のメニーコアプロセッサボードにオフロードするプロトタイプの実装、評価を通じて、本方式のフィージビリティを示す.

5C-4 (時間: 11:40 - 12:00)
題名高速ストレージ/ネットワークによるHadoop MapReduceのベンチマーク
著者*及川 一樹, 本庄 利守 (日本電信電話(株) NTTソフトウェアイノベーションセンタ)
Pagepp. 1163 - 1170
KeywordHadoop, MapReduce, SSD, Infiniband, 性能評価
Abstractビッグデータの処理基盤としてGoogleにより提案されたMapReduceと呼ばれる分散処理フレームワークが広く利用されている.特に,オープンソースソフトウェア実装であるHadoopはMapReduceのデファクトスタンダードとなりつつある.現行のコモディティサーバー上でのMapReduceの実行では、ディスクやネットワークなどのI/Oがボトルネックとなり、性能が律速されるケースが多かったが,ストレージやネットワークなどのハードウェアの進化が進むことで,I/Oが高速になると,今後はボトルネックはCPUに移行することが考えられる.そこで,本論文では高速なストレージ/ネットワークを利用したMapReduceのベンチマークを行い,ボトルネックがCPUに移行することを示す.さらに,MapReduce内部の各種基本的な処理に関して個別にベンチマークを実施し,現行のCPUが処理できるデータの処理速度を明らかにした.

5C-5 (時間: 12:00 - 12:20)
題名Zipf分布型の処理要求に適したスケールアウト手法における記憶域近似的最小化の拡張
著者*山下 高生, 栗田 弘之, 高田 直樹, 南 拓也, 太田 賢治 (日本電信電話株式会社/NTTネットワークサービスシステム研究所)
Pagepp. 1171 - 1179
Keywordスケールアウト, 負荷分散, コンシステントハッシング, ラウンドロビン
Abstract我々は,これまで,WWWやネットワーク装置の制御に用いられるデータ処理において,少量のデータに大半の処理要求が集中する一方で,処理要求頻度が低いデータが大量に存在するようなZipf分布型の特性を持つ処理要求に対し,サーバ負荷の偏りを一定以下に保ちながら,サーバ全体で必要な記憶域の近似的最小化を実現する方法を提案してきた.これまでの提案方法は,要求頻度の違いに応じて,ラウンドロビン,ラウンドロビンとコンシステントハッシングのハイブリッド型処理,コンシステントハッシングの三通りの処理方法を使い分けるスケールアウト可能な負荷分散方法である.本論文では,最初に,これまで提案してきた方法が,処理要求に応答するために必要なデータのサイズが平均的に同一であるという既提案の条件から,処理要求の頻度に対して任意の変化をする条件に拡張可能であることを示す.次に,処理要求の頻度に比例したデータを管理する必要がある条件下において.シミュレーションによる評価を行い,負荷分散を実現しながら,記憶域近似的最小化により既存技術と比較して大幅に記憶域を削減可能であること,および,サーバ間の記憶域サイズの偏りについても実用上十分な範囲を実現できることを示す.


セッション 5D  生体計測システム
日時: 2013年7月11日(木) 10:40 - 12:20
部屋: 紅葉・大扇
座長: 藤波 香織 (東京農工大学)

5D-1 (時間: 10:40 - 11:00)
題名荷重センサを用いた机上動作の認識システムの設計と実装
著者*今井 淳南, 村尾 和哉 (神戸大学大学院工学研究科), 寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科/科学技術振興機構さきがけ), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科)
Pagepp. 1180 - 1187
Keyword動作認識, 物体認識, 荷重センサ, 机
Abstractマイクロエレクトロニクス技術の発展によるコンピュータの小型化や高性能化,軽量化に伴い,センサを用いてユーザの行動を認識するシステムが数多く提案されている.家庭内ではユーザが常時センサを身につけることは難しいため,天井や壁,床,家具,家電など環境にセンサを設置するアプローチが一般的である.その中でもダイニングテーブルなど机の上にはさまざまな日常動作が集中しており,これらの行動を認識することで家庭内での行動記録や動作に合わせた周辺機器の制御が行える.ユーザの机上での動作を認識する手法としては,カメラによる画像認識を応用したものが提案されているが,家庭内にカメラを導入することはユーザのプライバシ保護の観点から望ましくない.また,感圧センサや電極を机上面全体に設置するシステムが提案されているが,センサを大量に用いて机を加工する必要があり,一般家庭への導入は設置コスト面から難しい.本研究では,机の四隅に荷重センサを設置し,荷重データから机上動作を認識するシステムを提案する.取得する情報は荷重データのみで,机上での動作以外の行動の推定は困難であり,ユーザのプライバシに配慮している.評価実験から,物体の机上面への追加において物体の重量を誤差約0.07kg,位置を誤差約7cmで検出し,動作認識において布巾掛けが64.2%,ノートパソコンの操作が59.2%,筆記動作が67.4%の再現率が得られた.

5D-2 (時間: 11:00 - 11:20)
題名座位状態での心拍測定を用いたリアルタイムなストレス緩和システム
著者*佐久間 大輝, 神田 尚子, 吉見 真聡, 吉永 努, 入江 英嗣 (電気通信大学院情報システム研究科情報ネットワークシステム学専攻)
Pagepp. 1188 - 1195
Keyword心拍変動, フィードバックシステム, ウェーブレット変換
AbstractPCや携帯端末といったVDT機器の普及により、長時間座ってVDT作業を行う状況が増えている。 それらの作業を過度に連続して行うと頭痛、肩こり、イライラ感などが発生し、効率や健康に悪影響を与えることが知られている。これらの蓄積にいち早くユーザが気づくことは難しい。このようなユーザの気づきにくい微妙な体調・心理状態について、例えばストレス状態を心拍変動解析によって推定するような研究が行われている。心拍に関して取得センサの小型化、実時間での解析手法、ストレスを数値化し可視化する研究が行われているが、まだその利用は一般的には浸透していない。小型軽量化した最新のセンサデバイスを用いて心拍変動を常時モニタリング・解析し、ストレス緩和のタイミングをユーザに示唆することができれば、現代社会に有効なライフサポートとなり、健康・仕事効率ともに増進できる。そこで、本論文ではストレス解析アルゴリズムとユーザ通知システムについて提案を行い、その効果を評価する。 実験結果から、ストレスをユーザに可視化し通知することでしないときと比べ、ストレスが減少傾向をとることがわかった。

5D-3 (時間: 11:20 - 11:40)
題名ベッドセンサにおける生体信号分離手法
著者*廣中 遼 (九州工業大学大学院先端機能システム工学専攻), 西田 健 (九州工業大学大学院工学研究院機械知能工学研究系), 井上 創造 (九州工業大学大学院工学研究院基礎科学研究系)
Pagepp. 1196 - 1200
Keywordベッドセンサ, 生体信号, 信号処理
Abstract本研究はベッド上の空気マットの空気圧を測るベッドセンサの信号から,生体信号(心拍数,呼吸数)を分離することを目的としている. バンドパスフィルタを用いる既存手法は,生体信号があらかじめ設定された周波数帯域を外れてしまうと,正確な計測をすることができない. この問題に対して, 我々はベッドセンサからの信号にカルマンフィルタを適用し、計測可能な周波数帯域を動的に変化させる手法を用いて生体信号の分離を試みた.本稿ではカルマンフィルタを用いる方法を2 つ提案している.1 つ目の手法は,動的に推定周波数帯域を変化させる方法,2 つ目は混合正規分布クラスタリングによる方法である.様々に変化する呼吸数の計測を目標とし,それぞれの手法で生体信号計測を試み,周波数の変化に対応できる ことを確認した.

5D-4 (時間: 11:40 - 12:00)
題名視線推定の頭部自由化のための距離画像を利用した頭部姿勢推定
著者*高田 憲一, 北須賀 輝明, 有次 正義 (熊本大学大学院 自然科学研究科)
Pagepp. 1201 - 1206
Keyword頭部姿勢推定, サポートベクター回帰, Kinect for Windows
Abstract本稿では頭部の姿勢を固定しない視線推定のための距離画像を用いた頭部姿勢の推定方法を提案する. 提案手法はハードウェアとしてKinect for Windowsを使用し,距離画像の中から鼻の位置を追跡しながら,その鼻の位置を基準として頭部姿勢を推定する. 鼻の位置を追跡するための特徴は,簡単な処理により現れ,顔の向きが変わっても現れる. 距離動画像を使用するため,カラー画像ではわからないカメラからの距離がピクセルごとにわかり,照明条件による色の変化がないといったメリットがある. また,提案手法による頭部姿勢の推定では機械学習を用いないので学習データを必要としない. 推定した結果として,頭部の垂直方向での回転角度は平均で約3.5度,水平方向の回転角度は平均で約1.65度の誤差となった. また,頭部を固定した状態での視線推定では誤差は約2度となった.

5D-5 (時間: 12:00 - 12:20)
題名動画像と加速度データを用いた行動類似度評価システムMimicMotionの開発と評価
著者*右田 尚人, 服部 祐一, 田中 翔太 (九州工業大学大学院先端機能システム工学専攻), 井上 創造 (九州工業大学)
Pagepp. 1207 - 1216
Keywordスマートフォン, 3軸加速度センサ, ソーシャルwebサービス, 行動認識, 動画像共有
Abstract本研究では,人間の行動解析のために必要な多くの行動情報を集める目的で開発した,行動類似度評価システムMimicMotionについて述べる.MimicMotionでは,ユーザが行った行動の3軸加速度データと,動画像から成るコンテンツをWebサイトで共有できる.また,ユーザ同士が収集した3軸加速度データが,どの程度一致しているのかを表した類似度を評価できる.これらにより,多くのユーザの利用につながり,多くの行動情報の収集につながると期待できる.また,開発したシステムが,正しく類似度を判定できるのか調べるために,評価実験を行った.実験では,動かす部位と,動きの激しさに注目して,6種類のコンテンツを作成し,その点数分布に偏りがないか調べた.実験の結果は,コンテンツ全体の点数分布は,偏りが少なく,正しく類似度を判定できていることがわかった.ただ,コンテンツ別に見ると,動きの激しさの違いで平均点に差があった.この結果を基に,行動の種類別に点数調整を行った.その結果,コンテンツの動きの激しさの違いによる平均点の差を少なくすることができた.


セッション 5E  インシデント対策とトラスト
日時: 2013年7月11日(木) 10:40 - 12:20
部屋: 銀鱗
座長: 岩田 彰 (名古屋工業大学)

5E-1 (時間: 10:40 - 11:00)
題名内部不正インシデント防止対策として有用な職場環境に関する分析と考察
著者*島 成佳 (日本電気株式会社), 小松 文子 (情報処理推進機構/セキュリティセンター), 小川 博久, 岡松 さやか (みずほ情報総研/経営・ITコンサルティング部), 高木 大資 (東京大学大学院/人文社会系研究科)
Pagepp. 1217 - 1222
Keyword内部不正, 社会心理学, 情報漏洩, 職場環境
Abstract組織内部者の不正行為が原因となる情報セキュリティインシデントは,風評被害が発生する恐れがあることや関係者との調整がつかない等の理由から一般的に情報は外部に公開されない.情報が公開されないことで,内部不正の実態が把握できず,内部不正対策を検討することも困難な状況である.しかし,内部不正は発生すると影響が大きいため,組織として取り組むべき課題の1つである.このような背景から独立行政法人情報処理推進機構では組織において内部不正防止を推進するためのガイドラインを作成した.内部不正対策では,正規の権限を持つ内部者が情報や情報システムにアクセスして不正行為を犯す恐れがあり,これまでの技術面と管理面の情報セキュリティ対策では限界がある.このため,ガイドライン作成では,心理的に内部者が内部不正を犯さない職場環境について検討することが新たに必要となった.本論文では,内部不正防止に有用な職場環境の対策を策定した過程において実施したアンケート調査の設計及びアンケート結果の統計的な分析と考察について述べる.

5E-2 (時間: 11:00 - 11:20)
題名コンピュータウィルス対策行動の規定要因に関する検討
著者*浜津 翔 (日本大学 大学院 理工学研究科 吉開研究室), 栗野 俊一, 吉開 範章 (日本大学理工学部 数学科 吉開研究室)
Pagepp. 1223 - 1226
Keyword情報セキュリティ, コンピュータウィルス, 集団的防護動機理論
Abstract我々は,コンピュータウィルスに感染したと通知を受けた時,ヒトがどのように判断し,行動するのかを調査するために,説得心理学を基礎としたアンケート調査と実験を行ってきた.今回,集団的防護動機理論を基礎としたウィルス対策実行意思の説明モデルを作成し,分析を行い,各要因が対策実行意思に与える影響力について調査を行ったので,報告する.

5E-3 (時間: 11:20 - 11:40)
題名ユーザの知識レベルの影響を考慮した情報セキュリティ技術に関する安心感の要因の検証
著者*西岡 大, 齊藤 義仰, 村山 優子 (岩手県立大学 ソフトウェア情報学部)
Pagepp. 1227 - 1232
Keyword安心, トラスト, 因子分析, 質問紙調査
Abstract本研究では,オンラインショッピング利用時における知識のないユーザの情報セキュリティに関する安心感についての調査を実施してきた.しかし,先行研究の,ユーザの情報セキュリティ技術に関する知識レベルの定義は曖昧であり,明らかにした安心感の要因の妥当性が示されたとは言えない.そこで,本稿では,被験者の知識レベルを定義し,オンラインショッピング利用時における情報セキュリティに関する安心感の要因と被験者との知識レベルとの関係について分析した内容について報告する.本調査では,まず被験者の知識レベルを,低知識レベルグループAとB, 高知識レベルグループAとBの4つのグループに分類し安心感の要因の検証を実施した.調査の結果,ユーザの知識レベルにより安心感の要因は異なり,ユーザの知識レベルが高くなれば情報セキュリティ技術に関する知識以外のユーザの属性が影響する可能性があることが示された.

5E-4 (時間: 11:40 - 12:00)
題名インターネット利用における不安の対象とその要因の調査結果に関する一考察
著者*山本 太郎, 関 良明, 高橋 克巳 (NTTセキュアプラットフォーム研究所)
Pagepp. 1233 - 1241
Keyword安心, 不安, インターネット, 社会調査, 社会心理学
Abstract我々は,情報工学と社会科学の学際的アプローチにより,インターネットを利用する際の「安心」に関する研究を行っている.その一環として,不安を制御することによる安心の獲得を実現するための現実的なソリューションを検討しており.それにあたり,不安発生モデルの仮説構築と検証を目指している. 我々は,様々な視点から,仮説の傍証となるデータや,関連する要因候補を収集するための調査を複数実施してきた. 本論文では,そのうちの一つとして,インターネット経由での,a) 金銭取引,b) プライバシー情報の提供・公開,c) 見知らぬ人とのコミュニケーション,において不安を感じる1,059 名を対象として実施したWeb アンケート調査の結果について言及する. この調査における主な質問内容は,a〜c それぞれの局面において,起こると予想するトラブル(問題),そのような問題がより多く発生すると考えさせる要因,そのような問題の影響や恐ろしさを増大させる或いは軽減させる要因,そのことが不明なために漠然とした不安を感じる対象とその不明の理由,である. 本論文では,これら調査結果を提示するとともに,得られた知見と考察について述べるものとする.

5E-5 (時間: 12:00 - 12:20)
題名周辺ユーザ探索による緊急時判断機能を備えた家族間情報共有システム
著者*長谷川 友香, 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1242 - 1247
Keyword災害, 情報共有, クラウド, ライフログ
Abstract東日本大震災のような緊急災害時には通信回線の混雑などの影響で家族と直接連絡をとることが難しい.そこで本研究では,そのような事態に備えて平常時からライフログを蓄積しておき,緊急時には本人以外もそのデータにアクセスできるようにすることで,家族の安否の手掛かりとなるような情報を得ることのできるシステムを提案する.このシステムの構築にあたり,検討課題となるのはどのように緊急時を判断するかということである.既存研究では緊急地震速報などの外部情報を取り入れる手法や,階層型相互認証を用いる手法が提案されてきた.本論文では提案するシステムが多くのユーザに利用されている状況を想定し,多数のユーザの情報から緊急時判断を行う手法を提案する.本提案手法を模擬するシミュレータを作成し,シミュレーション結果から具体的な制御手法を考察する.


セッション 5F  コンシューマ・インタフェース
日時: 2013年7月11日(木) 10:40 - 12:20
部屋: 竹・梅
座長: 峰野 博史 (静岡大学)

5F-1 (時間: 10:40 - 11:00)
題名ペルチェ素子を用いたゲーム向け温度知覚インターフェース
著者*木村 鷹, 伊藤 淳子, 宗森 純 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 1248 - 1254
Keywordペルチェ素子, 温度知覚, ゲーム, インタフェース, センサー
Abstract人とPCとのインタラクティブに重要な役割を果たすものの一つに臨場感があり,臨場感を高めるために触覚情報を伝えることが考えられる.本研究では触覚の特に温度感覚に注目し,温度刺激を用いた温度知覚インターフェース「ペルチェ素子システム」を提案することにより臨場感の向上を図ることを目指した.評価実験としてアクションゲームの「アイテムゲット」という状況に対してさまざまな刺激を提示し,比較評価を行った.結果として温度刺激によるゲームの臨場感の向上に期待できることがわかった.また温度刺激の評価の平均値は高い値であったがばらつきが大きいことがわかった.

5F-2 (時間: 11:00 - 11:20)
題名ユーザ情報を考慮した次世代メニュー提示・注文システム
著者*藤田 琢磨 (同志社大学大学院理工学研究科), 島田 秀輝 (同志社大学研究開発推進機構), 佐藤 健哉 (同志社大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1255 - 1261
Keywordコンシューマシステム, RFID, WEBサービス
Abstract飲食店などのセルフオーダーシステムの普及の一方で,コストが多くかかることにより導入してい ない店舗も多い.また,メニューの情報量の不足から,客の飲食店でのアレルギー事故は無くなっていない.既存のセルフオーダーシステムや紙媒体のメニューは客のユーザ情報が考慮されていないため,全ての客に対して同じメニューを提示している.そこで,本稿では客の所有している情報端末を用いて,客のユーザ情報を用いてパーソナライズしたメニューを提示し,その提示されたメニューを用いて注文をすることが可能であるシステムを提案し,実装を行った.また,実装したシステムをもとにアンケート調査を行い,提案システムの評価をした.その結果,提案システムにおいてメニュー情報に対する付加情報の重畳表示の有用性を示した. また,機能追加により,アレルギー非保持者に対しても有用であることを示した.

5F-3 (時間: 11:20 - 11:40)
題名IP電話とタブレットをクライアントとして利用するプレゼンス表示システムの試作
著者*櫻田 武嗣, 萩原 洋一 (東京農工大学 総合情報メディアセンター)
Pagepp. 1262 - 1266
Keywordプレゼンス表示システム, ユーザインタフェース, タブレットデバイス活用, IP電話活用
Abstract本論文では,これまで我々が構築してきたIP電話を利用したプレゼンスシステムを改良し,タブレット等のタッチパネルデバイスをクライアントとすることで,機種を選ばないプレゼンスシステムの試作について述べる.我々はこれまで離れた場所に居る人物が席にいるかどうかを一覧で確認するシステムとしてクライアントにPCを利用しないプレゼンスシステムをこれまでにいくつか構築し,利用してきた.我々が以前構築したシステムはプレゼンスの変更にPCを利用せず机上のIP電話上のタッチパネル画面でプレゼンスシステムを動作させるもので,IP電話の状況も合わせて表示可能であり頻繁に活用されるようになった.プレゼンスの一覧はPCの他,iPad等のタブレットデバイスで表示する運用を既に行っているが,我々はさらにシステムの改良を行い,IP電話以外のデバイスもプレゼンスシステムのクライアントとして利用することが可能なシステムの試作を行った.各々がプレゼンスを変更するためのクライアントにはHTML5とAjaxが動作するタブレット等のタッチパネルデバイスを利用することで汎用性を高め,機種に依存しない形とした.今後は現在IP電話だけで運用しているプレゼンスシステムを本システムへ切り替えた運用を行っていく予定である.

5F-4 (時間: 11:40 - 12:00)
題名デスクトップ上の画面変化に基づく取り消し操作の可視化手法
著者*坂本 有沙, 片山 拓也 (神戸大学大学院工学研究科), 寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科/科学技術振興機構さきがけ), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科)
Pagepp. 1267 - 1277
Keyword取り消し操作, 可視化
AbstractGUIにおいてユーザの直前の作業内容を取り消す操作は,あらゆるアプリケーションに導入されており,広く普及している.しかし,従来の取り消し操作は,瞬時に操作が実行されるため取り消された部分を見逃したり,作業を一時的に中断した場合や複数の作業を並行して行っている場合に,ユーザが取り消された内容を把握できない状況が生じる.これまでにも取り消し操作を支援する研究が行われているが,それらはいずれもアプリケーションに依存し,汎用的なものは存在しない.そこで本研究では,アプリケーションに依存しない取り消し操作の可視化手法を提案する.提案手法では,取り消し操作に伴う視覚的変化に着目し,デスクトップ上の画面変化から取り消し操作の対象を特定する.本稿では,取り消し範囲と取り消し内容,ディスプレイの表示領域外での取り消し操作の明確化のために強調表示機能と取り消し内容提示機能,取り消し通知機能の実装と評価,考察を行う.また,アプリケーションが保持している過去の UI 操作履歴を用いた,アプリケーションに依存しない Redo 機能の実装を行う.

5F-5 (時間: 12:00 - 12:20)
題名アプリケーションを実世界にマッピングする動的デスクトップ
著者*坂本 拓也, 伊藤 栄信, 二村 和明 ((株)富士通研究所)
Pagepp. 1278 - 1285
Keywordモバイルコンピューティング, ユビキタス, プッシュ配信, Augmented Reality, HTML5
Abstractスマートフォンなどのモバイル機器により,必要に合わせていつでもどこでも情報やサービスにアクセスできるようになった.一方で,アプリケーションやサービスを使用者自身でインストールしたり,キーワードを入力して検索したりするなどの手順を踏む必要がある.そのため,居場所など使用者のコンテキストをもとにアプリケーションを提供する技術が実現されている.しかし,把握可能なコンテキストは限られているため,提供するアプリケーションを完全に絞り込むのは難しい.そこで,カメラ入力した実世界映像にアプリケーションを重畳表示することで,アプリケーションへのアクセスを容易にするデスクトップシステムを開発した.本システムでは,その時々に得られる実世界の情報とアプリケーションの関連性を算出して対応付けることで,アクセスしたいアプリケーションを見つけやすくなると同時に,提示するアプリケーションを動的に変更することを実現する.本論文では,本システムのアーキテクチャーを示すとともに,実装および評価結果について報告する.


セッション 5G  センシング・センサネットワーク
日時: 2013年7月11日(木) 10:40 - 12:20
部屋: 松
座長: 大西 真晶 (独立行政法人情報通信研究機構)

5G-1 (時間: 10:40 - 11:00)
題名作物の生育に伴う太陽光発電量変化を予測したモバイルセンサノードによるフィールド被覆法
著者*江藤 大 (奈良先端科学技術大学院大学), 勝間 亮 (大阪府立大学), 玉井 森彦, 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 1286 - 1293
Keyword無線センサネットワーク, エナジーハーベスティング, モバイルセンサノード
Abstract近年,多数のセンサノードによって構成される無線センサネットワーク(以下,WSN) が注目されている.WSNには定期的に環境情報を収集するデータ収集型WSNがあり,センシング対象とする領域全体を常に被覆することと,必要な期間以上ネットワークが動作することが求められる.近年,WSNにモバイルノードを利用した研究が盛んに行われている.しかし,モバイルノードは移動するために必要な電力消費が大きいため,稼働時間を著しく短縮させないよう,移動距離は最小にしなければならない. センサノードの稼働時間延長のための技術として,環境エネルギーから電力供給可能なエナジーハーベスティング技術,特に太陽光発電が注目されている.しかし,太陽光発電は日照量によって発電量が変化し,特に日陰の領域では日照量が少なく,十分な発電量が期待できない.そこで本研究では,十分な発電量を獲得し,かつ,対象領域の全被覆を一定期間以上維持するために必要なノード数を最少化するための,モバイルノードの移動スケジュールを決定する方法を提案する.提案手法では,各ノードの現在の位置と日時からセンシングを行う各地点の発電量を予測することによって,電池残量の少ないノードの発電量が大きくなるように各ノードの移動経路を決定する.そして,領域の全被覆を一定期間以上保つことができる最少のノード数を求める.太陽光発電量と駆動機能による消費電力量を測定する予備実験を行い,その結果に基づき提案手法を用いてWSNを運用した場合のシミュレーションを行った.結果,静止ノードのみを用いた場合と比較してノード数を33%抑えることができた.

5G-2 (時間: 11:00 - 11:20)
題名無線センサネットワークにおけるモバイルシンクへのデータ転送効率化のためのプッシュ型およびプル型接続状況共有手法の統合について
著者*吉村 武, 松尾 和哉, 神崎 映光, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 1294 - 1301
Keyword無線センサネットワーク, モバイルシンク, データ転送, 接続状況
Abstract本稿では,観測領域内を自由に移動する多数のモバイルシンクが存在する無線センサネットワークにおいて,モバイルシンクへのデータ転送を効率的に行う手法を提案する.提案手法では,各センサノードにおけるモバイルシンクとの接続状況に基づき,データの転送先を決定する.接続状況に関する情報の共有方法として,筆者らがこれまでに提案したプッシュ型およびプル型の手法を統合し,接続状況が良好なセンサノードからの通知とデータを保持するセンサノードからの情報要求を併用する.ここで,通知と要求それぞれにおけるフラッディングの範囲を,プッシュ型やプル型より小さく設定することで,従来手法における高いデータ転送効率を維持しつつ,情報共有のためのトラヒックを削減する.

5G-3 (時間: 11:20 - 11:40)
題名バックアップノードの導入による流れるセンサネットワークの信頼性向上手法の基礎評価
著者*秦 小玥, 三竹 一馬, 前川 寛, 石原 進 (静岡大学大学院工学研究科)
Pagepp. 1302 - 1309
Keywordセンサネットワーク, 下水管の監視, バックアップ, 省電力制御
Abstract近年、世界中の都市で下水管の老朽化の問題が顕著になっており、道路陥没等の問題が多発している。下水管老朽化の調査を安全で低コストに行うために、筆者らは複数の小型のセンサを利用した「流れるセンサネットワーク」のアーキテクチャを提案している。「流れるセンサネットワーク」について、水路沿いに設置されたアクセスポイントとセンサノードの接続機会が限定的であるという条件の下、消費電力、端末数を抑えるため、各ノードが間欠的に起動し、センシングと観測データの転送を行うというような方式を利用する。また、各センサノードは定期的に1ホップ通信範囲で一つの代表ノードを選ぶ。センサノードは観測データを代表ノードに転送した後、休眠状態になる。代表ノードは起動状態を維持し、アクセスポイントと通信できる時に、収集したデータをアクセスポイントに転送する。しかし、代表ノードの故障や電力枯渇により、収集されたデータがアクセスポイントへ転送されなかった場合、収集したデータが失われ、流れるセンサネットワークのデータの回収率が低下する。本論文では、バックアップノードを導入し、代表ノードがアクセスポイントにデータを転送できなかった場合にも、バックアップノードがデータを保持し、代表ノードとして起動した時に、バックアップデータをアクセスポイントに転送することで、流れるセンサネットワークのデータの回収率を向上するための方式について検討する。シミュレーションの結果、バックアップノードを導入した流れるセンサネットワークによってより高い観測データの回収率が達成できることを確かめた。

5G-4 (時間: 11:40 - 12:00)
題名スマートフォンを活用した屋内環境における混雑センシング
著者*西村 友洋, 樋口 雄大, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学 大学院情報科学研究科)
Pagepp. 1310 - 1321
Keywordモバイルコンピューティング, モバイルセンシング, 歩行者ナビゲーション, 混雑度推定, 行動推定
Abstract近年,スマートフォンの普及に伴い,歩行者向けのナビゲーションが広く利用されているが,群衆による混雑状況が反映されていないのが現状である.日常的に多くの人々が往来する地下街や商業ビルなどにおいて,各地点の混雑状況を把握することができれば,ユーザの状況に応じた移動支援が可能になると考えられるが,混雑状況を安価に検知する方法論や技術は近年始まったばかりである.本論文では,スマートフォンに内蔵されたマイク及び加速度センサを用いて混雑時の周囲の音及びユーザの歩行動作をセンシングすることで,周辺の混雑状況をモバイル端末上で推定する手法を提案する.一般に混雑時には群衆の歩行速度に合わせて移動するため加速度に変化が生じる.また,人による混雑時において振幅が増大する低周波数領域を抽出し,これらの特徴量を合わせて混雑判定を行う.実環境において性能評価実験を行い,周辺の混雑状況を平均約70%の精度で認識できることを確認した.

5G-5 (時間: 12:00 - 12:20)
題名群衆間情報共有のためのスケーラブルな通信プラットフォーム
著者*樋口 雄大, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学 大学院情報科学研究科), 高井 峰生 (Space-Time Engineering, LLC/大阪大学 大学院情報科学研究科/University of California, Los Angeles)
Pagepp. 1322 - 1333
Keyword遅延耐性ネットワーク, モバイルセンシング, グループモビリティ, クラスタリング
Abstract携帯電話端末群から取得されるセンサ情報をネットワークを介して集約することで,環境内の状況をリアルタイムに認識するモバイルセンシング技術への期待が高まっている.本稿では,イベント会場など多くの人々が往来する環境において,モバイル端末上で定期的に発生するセンサ情報を,端末間で省電力に共有するためのDTNプロトコルを提案する.情報共有の遅延を抑えるためには,ノード間の遭遇を確実に検出することが求められるが,各ノードが高い頻度で近隣デバイスの探索を繰り返した場合には,端末の消費電力の増大や帯域利用効率の低下を招く.提案手法では,ノード間の過去一定期間の接続関係の履歴をもとに,ノード群の中から類似した移動の振る舞いをとるグループを検出し,それらのノード間で連結なネットワーク(クラスタ) を構成する.クラスタ内のネットワークを介して,通信リンクの管理や近隣ノードの探索をクラスタ単位で協調的に行うことで,消費電力や通信オーバヘッドの軽減を図る.シミュレーション実験によって提案手法の性能を評価し,従来手法と比較して,メッセージの到達率を保ちつつ,デバイス探索の実行頻度を大幅に軽減できることを示した.


セッション 5H  セキュリティとユーザビリティ
日時: 2013年7月11日(木) 10:40 - 12:20
部屋: エトワール
座長: 猪俣 敦夫 (奈良先端科学技術大学院大学)

5H-1 (時間: 10:40 - 11:00)
題名安全なBYOD機能提供のためのAndroidアプリケーションの提案と開発
著者*山本 恵理 (東京電機大学 未来科学研究科 情報メディア学専攻 情報セキュリティ研究室), 佐々木 良一 (東京電機大学)
Pagepp. 1334 - 1340
Keyword情報セキュリティ, BYOD, スマートフォンセキュリティ, マルウェア対策, アクセス制御
Abstract近年,会社にスマートフォンなどの私物端末を持ち込み,仕事に使用するというBYOD(Bring Your Own Device)の考え方が注目を集めている.しかし,マルウェアなどによる情報漏洩の危険性が日本では危惧されているため,現段階で企業での導入例は少ない.そこで本稿ではアンドロイド端末でBYOD機能を安全に利用するため,ホワイトリストを複数用意し,ホワイトリストごとにアプリケーションの立ち上げ制御を行うアプリケーションの提案及び開発をする.他のBYOD機能よりも安全性,利便性を提供するためホワイトリストを自動的に切り替える仕組みや,アプリケーションの改竄検知機能を付加し,このアプリケーションを利用することで,私物端末からの情報漏洩のリスクを減らし、安全かつ便利にスマートデバイスを利用できる機能を提供する.

5H-2 (時間: 11:00 - 11:20)
題名ユーザ主体によるAndroidアプリケーションのレビュー評価システムの提案
著者*喜多 義弘 (神奈川工科大学), 菅井 文郎 (宮崎大学大学院), 朴 美娘 (神奈川工科大学), 岡崎 直宣 (宮崎大学)
Pagepp. 1341 - 1347
Keywordモバイルセキュリティ, Android, アプリケーション, ユーザレビュー, パーミッション
Abstract近年,スマートフォンなどの携帯端末の普及に伴い,不正アプリケーションによるトラブルが増加している.マーケット内に出回った不正アプリケーションは完全には規制できないため,ユーザ自身がその対策を講じる必要がある.しかし,アプリケーション導入時にユーザに与えられるアプリケーションの情報は少なく,不正アプリケーションを判断することが難しい.そこで本研究では,ユーザ自身が不正アプリケーションを判断しやすく,かつ,アプリケーションの公正な評価ができるように,ユーザ主体によるレビュー評価システムを提案する.具体的には,パーミッション情報を基にしたアプリケーションの危険度を6段階に表す.さらに,レビューには評価値を設け,レビューを閲覧したユーザがそのレビューに対し賛否をつける.そして,その賛否に基づいた評価値を,レビューを書いたユーザに通知するシステムである.

5H-3 (時間: 11:20 - 11:40)
題名Androidアプリケーションの挙動を可視化することによるセキュリティ対策の検討
著者*戸田 尚希, 鈴木 秀和, 旭 健作, 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科情報工学専攻)
Pagepp. 1348 - 1354
Keywordセキュリティ, Android, マルウェア
AbstractAndroidが搭載されたスマートフォンが急速な普及をみせている.Androidアプリケーションは開発環境を無料で構築でき,マーケット上に公開する際に事前審査がないため,誰でも気軽に公開できる.その反面,マルウェアと呼ばれるアプリケーションの開発・公開も容易にできてしまう点が課題となっている.近年では,Android端末を対象としたマルウェアが数多く確認されている.Androidの更なる普及を考えると,マルウェア対策は重要な課題である. 本稿では,ユーザによるマルウェアの発見やインストール時にアプリケーションの安全性の判断を補助するシステムを提案する.提案システムは,アプリケーションによるGPS等の機能の利用や個人情報の外部サーバへの送信を可視化することによりユーザによるマルウェアの発見を可能とする.可視化された情報をもとに,ユーザはアプリケーションの正当性を判断し,必要であればアンインストールする.また,ユーザが危険であると判断したアプリケーションは,その情報をサーバに送信して蓄積する.サーバに蓄積された情報は,アプリケーションインストール時に確認することができ,ユーザのアプリケーションに対する安全性の判断を補助する.

5H-4 (時間: 11:40 - 12:00)
題名利用者の知識レベルに応じたリスクの可視化に関する考察
著者*金岡 晃 (東邦大学), 石川 尚樹, 緒方 悠人, 北島 暢曜, 韓 海燕 (筑波大学)
Pagepp. 1355 - 1361
Keywordリスク, 可視化, 分類, 知識レベル
Abstract本研究では、ネットワーク上のリスクに対する可視化手法の分類と、可視化された手法やツールに求められるユーザの知識レベルを4段階提案し、それぞれの手法を分類と知識レベルに合わせてマッピングを行った。既存研究が可視化分類を拡張し、ネットワークやサービスプロバイダによる監視を主な視点とした分類研究であったものをユーザ側の端末における可視化とアプリケーションやマルウェアなどのソフトウェア自身の可視化について分類を含むものとした。知識レベルについては経験のない利用者から高い知識を持ったエキスパートまで、4段階にレベルを分けた。 マッピングの結果、ユーザ側端末の可視化においてはユーザ側という特性から比較的ユーザが必要とされる知識レベルが低い可視化が研究されており、反対にネットワーク・サービスプロバイダ側の可視化においてはレベル2から4までの広範にわたり可視化が研究されてきることがわかった。またそれらの結果から今後可視化の研究が発展していく分野についても検討を行った。

5H-5 (時間: 12:00 - 12:20)
題名モバイル端末に適したアイコンを用いた個人認証方式の録画耐性とユーザビリティに関する検討
著者*和斉 薫, 菅井 文郎 (宮崎大学), 喜多 義弘, 朴 美娘 (神奈川工科大学), 岡崎 直宣 (宮崎大学)
Pagepp. 1362 - 1369
Keywordモバイル端末, 個人認証, 覗き見攻撃耐性
Abstractモバイル端末内の情報の漏えいを防ぐため,画面ロック及び画面ロック解除認証が広く利用されているが,覗き見攻撃に対する耐性と高いユーザビリティを同時に実現している認証方式は実用化されていない. 以前提案されたSecret Tap方式は,アイコンとタップ入力を用いたモバイル端末向けの認証方式である.この方式は高い覗き見攻撃に対するを備えているが,2つの問題が存在する. 1つ目は,偶然に認証を突破される確率を十分な強度にするためには,一連の認証において,入力回数を多くする必要があり,ユーザビリティが低下する問題である. 2つ目は,複数回の録画攻撃に対する耐性が実現できていない問題である. 本研究では,入力方法のバリエーションを増やして,偶然に認証を突破される確率を下げることにより,必要な入力回数を少なくすることでユーザビリティの向上を目指す方法と,バイブレーション機能によりユーザにしか伝わらない認証情報を用いることで複数回の録画攻撃に対する耐性を実現する方法の2つのアプローチから,Secret Tap方式の2つの問題をそれぞれ改善する2つの拡張方式を提案する.


セッション 6A  統一テーマセッション-UX
日時: 2013年7月11日(木) 14:30 - 16:10
部屋: ハルニレ・アカシア
座長: 市村 哲 (東京工科大学)

6A-1 (時間: 14:30 - 15:10)
題名(招待講演) 離れた家族をつなぐ映像コミュニケーションの普及に向けて −電話チャンネルを用いた5年間の記録から−
著者*山口 真澄 (日本電信電話株式会社 NTT物性科学基礎研究所), 橋本 俊和 (NTTフォトニクス研究所), 内山 健太郎 (NTT未来ねっと研究所), 谷口 展郎 (NTTソフトウェア株式会社), 清水 健太郎 (NTTサービスエボリューション研究所), 森田 哲之 (NTTセキュアプラットフォーム研究所)
Pagepp. 1370 - 1375
Keyword映像コミュニケーション, テレビ電話
Abstract家庭における映像コミュニケーションの在り方を探るために行った,居間のテレビを用いたテレビ電話である電話チャンネルの利用トライアルについて,著者宅(神奈川県)と両親宅(滋賀県)との間で繋いだ5 年間の記録を中心に実際の使用事例を紹介する.トライアルを通じて,家庭でのテレビ電話は継続して使われうることに加え,長期間利用によるメリットや効果も分かってきた.本講演では、トライアルから明らかになったテレビ電話の有用性や楽しさをお伝えし,家庭での映像コミュニケーションの一形態としての電話チャンネルを検証するとともに,離れた家族をつなぐ映像コミュニケーションが開く今後の可能性についても議論したい.

6A-2 (時間: 15:10 - 15:30)
題名検索機能との連携による複数タグ同時付与方式の提案
著者*相川 勇気 (神奈川工科大学大学院工学研究科博士前期課程情報工学専攻速水研究室), 鈴木 浩 (神奈川工科大学大学院工学研究科博士後期課程情報工学専攻速水研究室), 服部 哲 (神奈川工科大学情報学部情報メディア学科速水研究室), 速水 治夫 (神奈川工科大学大学院工学研究科博士前期課程情報工学専攻速水研究室)
Pagepp. 1376 - 1379
Keywordファイル管理, タグ付け, タグの組み合わせ, ユーザーエクスペリエンス, ユーザーインターフェース
Abstractファイルの管理方法として,ディレクトリ構造によりファイルを管理する方法がある.ディレクトリ構造では,ディレクトリと呼ばれるファイルの保存場所を階層構造で管理を行う.ディレクトリには親子関係が存在し,ファイルを探す場合,辿るキーワード(ディレクトリ)に順番がある.そのため,ユーザが思い浮かんだキーワードから辿ることが出来ない.思い浮かんだキーワードから辿ることができる管理方法として,タグというキーワードをファイルに付けて管理する方法がある.タグには親子関係が存在しない為,思い浮かんだキーワードから辿ることができる.しかし,タグでの管理方法には三つの問題点がある.一つ目の問題点は,一つ目の問題点は,新しく追加するファイルに複数のタグを付けるとき,多くの手間が掛かること.二つ目の問題点は,タグを付ける時に,これからファイルにつけようと思っているタグと同じタグを持つファイルが既にどの程度存在するかユーザが把握できないことである.三つ目の問題点は,タグのつけ忘れである.本研究では,タグによる検索機能とドラッグアンドドロップによるタグ付け機能を連携させ,三つの問題点を解決するシステムを提案する.

6A-3 (時間: 15:30 - 15:50)
題名不愉快な通知を利用した入力促進システムの提案
著者*三島 朋之, 高橋 健一, 川村 尚生, 菅原 一孔 (鳥取大学大学院 工学研究科 情報エレクトロニクス専攻)
Pagepp. 1380 - 1386
Keywordソフトウェア, ユーザインタフェース, 通知, アプリケーション
Abstract会議の日程調整のような,期日までに入力が必要なシステムにおいて,ユーザが入力しないため調整が失敗するといったことが発生する.この原因としては,ユーザが入力が必要なことに気づかないことや気づいたとしても面倒で入力をしない,また,忘れてしまうといったことが考えられる.そこで,入力をしないユーザを段階的に不愉快にすることで,入力を促進するシステムを提案する.本提案システムにおいて,入力期日が迫まれば迫るほど入力をしないユーザが不愉快となるように動作する.入力を行わないとシステムにより不愉快な動作が実施されるため,ユーザは不愉快になることを防ぐために入力を行う.また,不愉快の段階的な実地により,期日までに入力を行うユーザに対しては不愉快が生じない.その結果,入力を行わない怠惰なユーザにだけに不愉快を生じさせ,期日までの入力を促進することができる.

6A-4 (時間: 15:50 - 16:10)
題名タスクの公開提示によるToDoリスト利用促進システム「ぷくりす」の開発
著者*谷岡 遼太, 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 1387 - 1394
Keywordグループウェア, タスク管理, モチベーション維持
Abstract近年,個人の自己管理力や生産向上性が求められる中で,一般向けのタスク管理ツールはより日常的に感じられるものとなった.タスク比の大きい社会人となることに備えた効率的な時間管理術は,大学生の頃から養育されることが望ましい.また,大学生における生活課題の達成には,その日のうちに実行すべき行動を明確にするリストを用いた実践が好ましい.しかし,学生がタスク管理を自発的に実践する機会は少ない.その要因のひとつに,タスク管理の堅苦しい印象が,時間管理術を身に付け始める障壁になっていることが挙げられる.そこで我々は,タスクの公開掲示を行う個人向けのTo-Do リスト利用促進システム「ぷくりす」の開発を行った.またTo-Do リスト管理アプリケーションであるぷくりすの独自機能とタスクの公開掲示が,ユーザにどのような影響を及ぼすか,公開掲示システムの利用の有無で比較した評価実験を行った.その結果,ぷくりすのポイント機能やタグ機能が,公開掲示を伴うことで,ユーザに対しタスクの達成意欲を向上させたが,有意性は見られなかった.


セッション 6B  位置情報システム2
日時: 2013年7月11日(木) 14:30 - 16:10
部屋: 柏・ポプラ
座長: 鈴木 秀和 (名城大学)

6B-1 (時間: 14:30 - 14:50)
題名学生の行動モデルを活用した通学支援システムの検討
著者*大植 達也 (神奈川工科大学情報工学科), 北上 眞二 (三菱電機(株)), 清原 良三 (神奈川工科大学情報工学科)
Pagepp. 1395 - 1404
Keyword位置情報, 携帯端末, サービス, 予約システム
Abstractイベント会場やバスターミナルなどのバス停で発生し,乗り場の周辺施設やその施設の利用者に迷惑をかける「集中混雑」,その問題を携帯電話を利用している人たちから得られる位置情報を利用し緩和する通学支援システムを提案する.本論文のシステムではバス利用者の中でも着席を希望する利用者に焦点をあて,着席することが可能かどうかの情報を提供する.バスに乗るためにバスを待つという「時間」を担保にして着席するという構図の「時間」を 携帯電話から提供される「情報」に置き換えることが出来れば,「集中混雑」を緩和し周辺施設,その利用者などへの迷惑を軽減することが出来る.本論文では,バスの可視化を行う通学支援システムの全体アーキテクチャを示し,シミュレーションを用いて実験し,その効果を評価した.その結果,ピーク時の学生の数が68%,待ち時間が24%改善することが分かった.

6B-2 (時間: 14:50 - 15:10)
題名POI情報統合プラットフォームの提案
著者*一円 真治, 梶 克彦, 河口 信夫 (名古屋大学工学部 工学研究科)
Pagepp. 1405 - 1412
Keyword位置情報, POI, プラットフォーム
Abstractスマートフォンといった GPS 機能を搭載したデバイスの普及により,ユーザの位置情報に応じて, 飲食店やホテルなどの POI(Point Of Interest) の情報を提供する位置情報サービスが多数提供されている. 位置情報サービスには,ユーザが欲しい情報を個別のサービスからは網羅的に取得できない,取得でき る POI の属性情報が各サービスによって異なるなどの未解決な課題が存在する.また,ユーザが屋内に 位置する場合,自動販売機やロッカーなどの POI をフロアマップや Web ページから網羅的に知ることが できない問題がある.本研究では以上の課題,問題点を解決するために,POI の情報統合を行うプラット フォームを提案する.統合情報は Linked Data として利用するために,RDF で出力可能とする.また,同 一の POI に関して情報統合を行うために,POI の住所・電話番号・名前情報を用いた同定手法を提案す る.提案する同定手法には,POI 検索判定と名前文字列判定があり,判定する POI に応じて 2 つの同定 手法を使い分けることが効率的なことを確認するため,評価実験を行った.結果,適合率:1.0,再現率: 0.91 であった.

6B-3 (時間: 15:10 - 15:30)
題名建物内移動情報の部分マッチングに基づく建物構造生成
著者*梶 克彦, 渡辺 穂高, 坂 涼司, 河口 信夫 (名古屋大学大学院工学研究科)
Pagepp. 1413 - 1420
Keyword屋内位置情報, センサ, 無線LAN, スマートフォン, 行動認識
Abstract多人数の建物内移動の情報をウェアラブルセンサによって収集し,それに基づい て建物のネットワーク構造を生成する手法を提案する.提案手法は一般的なスマー トフォンで獲得可能な情報のみを用いる.実環境において,人は様々な地点から 地点へ移動する.始点・終点・経路の組合せのバリエーションは多く存在する. 複数の経路の中には,共通する部分が存在する.このような共通部分を推定し, 共通部分を手がかりとして複数の経路同士を統合していく.共通部分の推定には, 加速度・角速度センサ情報から推定される右左折ノード,行動の種類,リンク長 に加え,無線LAN情報を用いる.まずノードの種類(右折・左折)の並びが一致す る部分を抽出し,その共通部分の候補に対し,無線LANの類似度,行動の種類,リ ンク長の情報を用いて絞り込みを行う.評価実験として,名古屋大学の3つの隣 接する建物を対象とし,40人の建物内移動データを収集し,そのデータを使用して 建物ネットワーク構造を生成した.

6B-4 (時間: 15:30 - 15:50)
題名空間依存情報を用いた場所ベース認証方式
著者*蜂谷 達郎, 萬代 雅希 (上智大学)
Pagepp. 1421 - 1427
Keyword無線LAN, スマートフォン, 認証
Abstract本論文では空間依存情報を用いた認証システム(SmartLocAuth)を提案する.SmartLocAuthでは,特定の場所における空間依存情報を利用することにより場所ベースの認証を行う.空間依存情報とは場所に依存する情報であり,無線LANのアクセスポイントからのService Set Identifier(SSID)や環境音などが挙げられる.従来の場所ベースの認証ではGlobal-Positioning System(GPS)を用いるのが一般的だが,SmartLocAuthではGPSを用いないため,GPSでは正確な位置情報が取得できない屋内でも利用できる.更にGPSを搭載していない機器でも利用可能である.本論文では空間依存情報としてSSIDを用い,SmartLocAuthをAndroid OS 4.0のGalaxy Nexusに実装し,登録時間と認証距離を評価をする. 評価の結果,認証に成功する範囲は登録地点から5m以内で限定でき,SmartLocAuthが認証方式として有効であることを確認する.

6B-5 (時間: 15:50 - 16:10)
題名無線LAN位置推定におけるプライバシ保護
著者*彭 作涛, 梶 克彦, 河口 信夫 (名古屋大学大学院工学研究科)
Pagepp. 1428 - 1435
Keyword無線LAN, 位置推定, 信頼性, プライバシ, 保護
Abstract近年,無線LAN位置推定サービスの利用が広がると共に,位置情報プライバシ侵害の問題が指摘されている.既存の無線LAN位置推定サービスでは,ユーザの移動履歴,位置情報などが不正に取得され,個人のプライバシが侵害される可能性がある.本研究では無線LAN 位置推定におけるプライバシの問題を解決する手法として,空間的な確からしさと時間的な確からしさを考慮したユーザの信頼性判定アルゴリズムを提案する.さらに,我々は無線LANを用いた位置情報・測位に関するポータルLocky.jpを運営している.Locky.jpのデータベースに格納された基地局の観測データを対象とし,本手法を検証する.


セッション 6C  コンシューマデバイスと応用
日時: 2013年7月11日(木) 14:30 - 16:10
部屋: 白樺
座長: 廣森 聡仁 (大阪大学)

6C-1 (時間: 14:30 - 14:50)
題名節電の取り組みを可視化するAndroidアプリの実装と評価
著者*大久保 成晃 (東海大学大学院情報通信学研究科), 菊池 浩明 (明治大学総合数理学部), 石井 啓之 (東海大学情報通信学部通信ネットワーク工学科)
Pagepp. 1436 - 1440
Keyword節電, 状態推定, センサ, Android, 可視化
Abstract本稿では,公共施設での節電の取り組みの結果を,個人として確認ができない課題を研究する. ひとりでエレベータの利用を控えて階段を進んで使ったとしても,個人での取り組みが形に残らず, 節電に貢献している実感が薄い. 家庭では,節電の取り組みは最終的に電気代の請求書という形で本人に返り, どれだけ節電しているか実感がわくのに対して,階段の利用は証拠が残らない. そこで,本研究では公共の場における節電のみえる化を行い, 個人がどの程度の貢献ができたのかを可視化する. 日常の動作から個人の状態を推定し,節電力量を可視化することで, 家庭と同様に利益が発生する仕組みを考える. 階段やエレベータという状態を,Android 端末に掲載されるセンサを用いて, 利用者の状態を自動推定するAndroid アプリケーションを開発する. 本システムには次の特徴がある,(1)ユーザの四状態(歩行,階段,エレベータ,停止)を自動判定する, (2)ユーザが階段を使って節電した量を電力に換算して表示する.

6C-2 (時間: 14:50 - 15:10)
題名簡易脳波計による学習時の思考と記憶の比較分析
著者*平井 章康 (湘南工科大学 大学院 工学研究科 博士前期課程 電気情報工学専攻), 吉田 幸二 (湘南工科大学 工学部 情報工学科), 宮地 功 (岡山理科大学 総合情報学部 情報科学科)
Pagepp. 1441 - 1446
Keyword遠隔教育, 脳波, 簡易脳波計, 学習状態, フィードバック
Abstract近年,登場してきた簡易脳波計は携帯可能な大きさであり,装着が簡単で,装着者の行動を制限しない.このため,日常的な使用が可能で,比較的安価で入手し易い利点がある.そこでこの簡易脳波計を用いて脳波情報を取り入れた遠隔教育における指導支援にフィードバックできるシステムの構築を検討している.本論文では簡易脳波計の特性や脳波状況について論じ,脳波計測において学生の学習行為中の思考や記憶に関して脳波データの相関関係を実験により比較分析した.その結果,β/α値はストレスや思考する集中度合いを測る指標として,Low_γは記憶作業に反応を示す事が判明し,記憶の度合いを測る指標として有効であると結果が出た.

6C-3 (時間: 15:10 - 15:30)
題名PrinterSurf:プリンタ共有システムにおけるクラウド化の検討
著者*吉田 忍, 西岡 大, 齊藤 義仰, 村山 優子 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 1447 - 1451
Keywordプリンタ共有, PrinterSurf, クライアントサーバ, クラウド
Abstract我々はこれまで,モバイル環境下であってもプリンタを容易に利用できるユビキタス印刷サービスPrinterSurfの実装を行ってきた.先行研究[1]では,ドライバの有無にかかわらずネットワーク経由で小型端末からの印刷を実現した.しかし,P2P を用いて実装しているシステムの運用実験において,P2P を使用することに対して情報漏洩の不安やデータの送信経路の不透明性等から使用をためらうケースが存在した.また,JAVA で実装を行ったため,利用するためにはJAVA VM がインストールされている必要があり,新規にインストールが必要となる場合があった.この問題を解決するため,システムをクライアントサーバ型で再構築し,Webブラウザからの利用とした.しかし,サーバに負荷が集中してしまうという問題があった.本稿では,Webサーバやデータベースの処理を分散し,負荷を軽減するために,サーバのクラウド化を検討する.

6C-4 (時間: 15:30 - 15:50)
題名複数ワークプレース間におけるマルチエージェント組織化手法
著者*打矢 隆弘 (名古屋工業大学 大学院工学研究科 情報工学専攻), 高橋 秀幸, Wenpeng Wei (東北大学 電気通信研究所), 内匠 逸 (名古屋工業大学 大学院工学研究科 情報工学専攻), 木下 哲男 (東北大学 電気通信研究所)
Pagepp. 1452 - 1456
Keywordマルチエージェント, 組織化, リポジトリ型フレームワーク, 協調エージェント
Abstractリポジトリ型フレームワーク DASHでは,ネットワーク上に配置されているリポジトリを活用し,利用者要求に応じてリポジトリ内でエージェントの組織構成を実施し,形成された組織をワークプレースに実体化することで要求駆動の動的なシステム構成を実現している.しかし,分散環境上のワークプレースで生成された個々のエージェントに対して組織構成を行う手法が確立されていない.そこで本研究では,複数ワークプレース間におけるエージェント組織化手法を提案し,エージェントシステムの柔軟な運用を実現する.


セッション 6D  行動認識応用
日時: 2013年7月11日(木) 14:30 - 16:10
部屋: 紅葉・大扇
座長: 寺田 努 (神戸大学)

6D-1 (時間: 14:30 - 14:50)
題名目標達成型HEMSのための在室予測と環境依存型家電の需要度の導出
著者市川 昌宏, 向井 政貴 (立命館大学大学院 理工学研究科), 安積 卓也, *西尾 信彦 (立命館大学 情報理工学部)
Pagepp. 1457 - 1466
KeywordHEMS, 機械学習, ベイズ推定法, 行動分析
Abstract近年の省電力化への要求の高まりから,家庭内でのエネルギーの需要と供給を管理するHEMS が注 目されている.我々は,特にユーザが省電力目標を達成するためのアドバイスを提示できるHEMS(目標 達成型HEMS)の構築を目標としている.今回,目標達成型HEMS を実現するための構成要素である需 要度の導出と在室予測について述べる.在室予測では,パラメトリックベイズ法を用いてn 人m 部屋の場 合の家庭の生活パターンモデルを抽出する.さらに,パラメトリックベイズ法によって抽出された各々の 生活パターンモデルとリアルタイムに観測された値を用いて,24 時間先までの各部屋の在室予測を行う. 評価では,抽出した生活パターンモデルの妥当性と2 人2 部屋における在室予測精度の評価を行なった. その結果,モデルの妥当性は,2 人2 部屋の場合において76.8%,片方の部屋に着目した場合は平均88. 85%となった.在室予測では,2 人2 部屋の場合において平均75.2%,片方の部屋に着目した場合は平均 81.8%となり,一定の評価を得た..需要度の導出では,ユーザが家電に対して感じる需要の数値化を行 う.需要を数値化する際に,ユーザに手動入力してもらうことはユーザに負担を強いることになるため, ユーザによる入力が不要であることが望ましい.また,ユーザによって嗜好が異なるため,ユーザに応じ た需要度の導出が必要となる.本論文では,ユーザの家庭に設置した環境センサや電力センサの情報から, 指数分布の確率密度関数を用いて自動的にユーザに応じた需要度を導出する手法を提案する.その結果, 導出した需要度から推定した行動と実際の行動は約69 %で一致し,一定の評価を得た.

6D-2 (時間: 14:50 - 15:10)
題名視野と手先移動に基づく工学実験の技能評価の検証
著者*比嘉 健太郎 (豊橋技術科学大学), 小池 直 (東京工業高等専門学校), 大村 廉 (豊橋技術科学大学), 野口 健太郎 (東京工業高等専門学校), 神里 志穂子 (沖縄工業高等専門学校)
Pagepp. 1467 - 1474
Keyword技能評価, 工学実験, 視野と手先の移動
Abstract日本のモノづくり産業において,職人の技能を伝承していくことが重要である. この問題に対し,工場等の生産現場では生産管理手法を取り入れることにより作業者の能力評価と作業全体の改善を図っているが, 工学系の教育機関で行なわれている工学実験授業において直接的な能力評価は行なわれていない. 本研究は,工学実験を行う実験者の動作に着目して,学生の実験技能を定量的に評価する手法を提案する. 次に我々は,実験者の技能を評価するシステムの構築を行う. これは,実験者の視野移動と手先移動を赤外線LEDおよび赤外線センサによって検出し,タブレット端末へとその動作をデータとして記録するものである. 実験者の技能の評価値は,これらのデータを用いて得られる.実際に工学実験を行い,技能評価手法の妥当性を示し,システムによる評価手法の検証を行った.

6D-3 (時間: 15:10 - 15:30)
題名相対座標を用いた運動指導システム
著者*黒田 修平, 放地 宏佳, 吉見 真聡, 吉永 努, 入江 英嗣 (電気通信大学大学院情報システム学研究科)
Pagepp. 1475 - 1482
KeywordKinect, 運動, 指導, ラジオ体操, ダンス
Abstract人が新しく運動を学ぼうとする際,自分だけで正しいフォームを習熟するのは困難である.そこで本研究では,人間の関節座標を取得可能なデバイスによりユーザの運動の流れを検出し,自動的に運動の正しさを判定して指導するシステムを開発する.システムに人間の運動を認識させるために,相対チェックポイントを用いる.これは正しい運動を行う上で関節座標がとるべき相対的な位置関係を表しており,それが連続で達成されることで正しい運動が達成されたか否かを判定する.本論文では運動の例としてラジオ体操を用いる.ラジオ体操には体の伸び,ひねり,反らしの他,リズムよく運動することが求められる.そこで提案手法はユーザにラジオ体操の音楽に合わせて運動を行わせ,もしユーザが相対チェックポイント群を制限時間以内に達成できなければ,運動をやり直させる.こうしてユーザが運動を達成可能になるまで指導し,正しい運動の習得を促す.本システムにて人々に練習をさせた結果,7名中6名がチェックポイント達成率を運動の練習前と比較して向上させることができるようになった.

6D-4 (時間: 15:30 - 15:50)
題名スマートフォンにおける歩行ながら状態検出手法の提案
著者*岡本 幸大, 鷲見 海王, 槙田 喬介, 中野 倫明, 渡邊 晃, 山田 宗男 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1483 - 1486
Keywordスマートフォン, 顔検出, 加速度センサ, タッチイベント情報検出
Abstract近年,スマートフォンの急速な普及に伴い,スマートフォンを操作しながらの歩行や自転車・自動車の運転などが急増している.この「ながら状態」は,スマートフォンの操作および画面の注視によって周囲環境の認識および注意を著しく低下させるため,鉄道ホームからの転落や人・物との衝突など,重大な事故を引き起こす原因となっており,社会な問題になりつつある.本検討では,スマートフォンに搭載されているインカメラから取得した顔画像や加速度センサによって,スマートフォンの操作状態および歩行状態を検出することで,ながら状態をリアルタイムに検出可能な手法について提案・検討する.

6D-5 (時間: 15:50 - 16:10)
題名スマートフォンを用いた運転支援システム開発の検討 -運転挙動弁別可能性の検討-
著者*鷲見 海王, 岡本 幸大, 鈴木 麻里, 渡邊 晃, 中野 倫明, 山田 宗男 (名城大学)
Pagepp. 1487 - 1490
Keywordスマートフォン, TLIFES, 運転パフォーマンス評価
Abstract近年,小型で軽量ながらも高度な機能を有するスマートフォンが急速に普及している.スマートフォンには,GPS,加速度,角速度などの高精度なセンサが搭載されており,通信機能にとどまらず,センシングデバイスとしての活用も可能である.本研究は,スマートフォンに搭載されているこれらのセンサを用いて,自動車の運転挙動およびドライバの運転パフォーマンスを検出・評価し,自身の運転能力を自覚させることで事故を未然に防ぐことが可能なシステムの検討を行うものであり,安価で簡便な車載システムの実現を目指す.本稿では,GPS,および角速度センサの情報に基づいて,運転パフォーマンスの評価に不可欠な停発車,右左折,直進などの各種運転挙動を弁別可能な手法について検討を行うと共に,実車両による検証実験の結果について示す.


セッション 6E  車両間情報共有
日時: 2013年7月11日(木) 14:30 - 16:10
部屋: 銀鱗
座長: 田坂 和之 (KDDI研究所)

6E-1 (時間: 14:30 - 14:50)
題名車両の移動予測モデルに基づく通信コスト最適な車両間情報共有システム
著者*安達 佳明 (大阪大学 大学院情報科学研究科 モバイルコンピューティング講座), 梅津 高朗 (滋賀大学 経済学部 情報管理学科), 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学 大学院情報科学研究科 モバイルコンピューティング講座)
Pagepp. 1491 - 1502
KeywordITS, リアルタイム, 車車間通信, 携帯電話通信, 道路交通情報
Abstract本論文では,車載カメラ等から生成されるリアルタイムでサイズの大きい映像・画像コンテンツを車両間で共有するシステムとプロトコルを提案する.提案システムはクラウドサーバと,車車間通信・携帯電話通信およびカメラを備えた車載器を搭載した車両群からなる.クラウドサーバはそれらの車両群が生成・保持するコンテンツのインデックス(生成位置と生成時間)を把握し,それらのコンテンツを必要とすると予想される車両群に対し,取得すべきコンテンツとその取得通信方法(携帯通信網あるいは車車間通信網)および取得タイミングを指示する. この際,クラウドサーバはコンテンツインデックスと同時に集約した車両の位置情報から車両の確率的な移動予測を行い,携帯電話網と比較して低コストで高速な車車間通信がなるべく活用されるよう取得方法を決定する.市街地を想定したシミュレーションのシナリオにおいて提案システムを評価し,車載器装備率が5%程度の環境においても,携帯電話網のみを利用した場合と比較し15%の通信量削減を達成できることを示した.

6E-2 (時間: 14:50 - 15:10)
題名車車間通信を利用した局地的交通情報の共有方式に関する一考察
著者*吉川 潤, 齋藤 淑, 小花 貞夫 (電気通信大学大学院情報理工学研究科)
Pagepp. 1503 - 1509
KeywordITS, 車車間通信, アドホックネットワーク
Abstractドライバが道路や交通の状況に応じて走行できるように,車車間通信により渋滞や事故,路面状態など性質の異なる様々な局地的な交通情報を周辺車両で効率的に配布することによって運転中の快適性や安全性の向上を目的とし,交通情報を多くの車両間で共有するための方式を提案する.本方式は,交通情報の種類ごとに異なる配布距離および配布方向の制御により,高トラヒック時の冗長な通信を削減することを特徴とする.一般道での交通状況を模したシミュレーションにより,本方式の性能評価を行い,情報生成頻度が高い場合での情報拡散率,通信トラヒックの削減等の観点から有効性を示した.提案方式によって,拡散率は方向制御を行わない方式(比較方式1)から14%,範囲制御を行わない方式(比較方式2)から204%の向上し,総送信回数では,比較方式1から38.0%〜82.6%,比較方式2から55.6%〜94.0%の送信回数を削減できた.

6E-3 (時間: 15:10 - 15:30)
題名LTEと車車間通信を用いて情報配信の安定性を高めるNAviシステムの提案
著者*勝田 将太 (千葉工業大学), 鈴木 勘久郎 (株式会社インターネットイニシアティブ), 屋代 智之 (千葉工業大学)
Pagepp. 1510 - 1516
KeywordITS, モバイルネットワーク, 無線・移動体, モバイルエージェント, 車車間通信
Abstract車車間通信を利用した一種のモバイルエージェントであるNA(Nomadic Agent) を仮想インフラとして利用し,交通情報の収集と配信にCAF(Carry and Forward) と車車間通信を用いたNAvi(NA for vehicleinformation) システム(CAF 方式) を提案している.しかし,CAF 方式は道路環境の変化により性能が安定しないことが問題点として分かった.そこで,本研究ではNAvi システムにLTE(LongTerm Evolution) を併用して,収集した情報をサーバにアップロードし,サーバに交通情報の蓄積を行う. しかし,一度に多数のアクセスが行われた場合,帯域の不足が発生してしまう場合が考えられる.そこで,NAvi 周辺の車両台数によって,LTE とCAF を使い分ける限定LTE 方式と,周辺の車両台数にかかわらず,サーバに蓄積された交通情報を利用するLTE 方式の提案を行い,シミュレーションにより評価する.

6E-4 (時間: 15:30 - 15:50)
題名BikeInformatics:情報科学的二輪車ITSの基盤研究
著者*木谷 友哉 (静岡大学)
Pagepp. 1517 - 1524
KeywordITS, 行動センシング, スマートフォン, 交通安全支援, 二輪車
Abstract本稿では,車載されたスマートフォンを用いて,交通の効率化や安全につながる情報をセンシングしそれを利活用するための基盤技術の研究について,そのコンセプトを紹介する. 提案する基盤技術は,主に二輪車に車載されることを想定し,以下の3つの技術から構成される: (1)スマートフォンのセンサから信頼できるセンシングデータを取り出す技術, (2)そのデータから車両が置かれている状況や運転者の意図などの意味情報を抽出する技術, (3)誰もがそのセンシングデータまたは抽出された意味情報を利用して新しいITSサービスを創出できるようにするためのサービス開発用ライブラリやAPIの提供. 本稿では,特に(1)に関する技術の開発について,現在までの研究成果から,解決すべき課題と今後の展望を述べる.


セッション 6F  コミュニケーション
日時: 2013年7月11日(木) 14:30 - 16:10
部屋: 竹・梅
座長: 塚本 昌彦 (神戸大学)

6F-1 (時間: 14:30 - 14:50)
題名非食事者を含む遠隔共食を可能にするインタフェースエージェントの開発
著者塩原 拓人, 大塚 雄一郎, *井上 智雄 (筑波大学)
Pagepp. 1525 - 1532
Keyword遠隔コミュニケーション, 遠隔共食, エージェントコミュニケーション, 非対称コミュニケーション, コンテンツメディア
Abstract近年一人で食事することを余儀なくされる「孤食」が問題となっている. 孤食解消のための従来研究では, 参加者 全員が食事をすることが想定されてきた. これに対して本研究では, これまでに考慮されていない, 遠隔地間の一方 だけが食事をする状況があることに着目した. そして, 非食事者の代わりに食事行動をとるインタフェースエージェ ントによる疑似的な共食を実現した. Surrogate Diner と呼ぶこのインタフェースエージェントの食事行動は, 実際の共 食場面の映像分析に基づいている. 評価実験では, Surrogate Diner を用いる共食条件, 食事行動のないインタフェース エージェントを用いる会話エージェント条件, 相手の実映像を用いる会話映像条件の 3 条件を比較し, 質問紙とイン タビューから, 孤食解消について Surrogate Diner の有効性が確認された.

6F-2 (時間: 14:50 - 15:10)
題名没入型コンテンツの放送型配信における再生時間を考慮したスケジューリング手法
著者*後藤 佑介 (岡山大学大学院自然科学研究科), 義久 智樹 (大阪大学サイバーメディアセンター), 谷口 秀夫 (岡山大学大学院自然科学研究科), 金澤 正憲 (京都情報大学院大学)
Pagepp. 1533 - 1539
Keyword放送型配信, 没入型コンテンツ, 待ち時間, スケジューリング
Abstract近年,3D 放送に代表されるコンテンツの高臨場化にともない,視界全体に表示された映像空間に没入してコンテンツを楽しむ没入型コンテンツの放送型配信に対する注目が高まっている.没入型コンテンツの放送型配信では,視聴者は立体的な映像コンテンツを視聴できるが,データサイズが非常に大きくなるため,クライアントがデータを再生する間に発生する待ち時間は非常に長くなり,問題である.そこで,本論文では,没入型コンテンツの放送型配信において,コンテンツの再生時間を考慮して待ち時間を短縮するスケジューリング手法を提案する.提案手法では,没入型コンテンツを連続的に変化するデータと変化しないデータに分けた上で,再生前の待ち時間とコンテンツ間の待ち時間に上限をそれぞれ設定することで,効率的な放送スケジューリングを実現する.

6F-3 (時間: 15:10 - 15:30)
題名家族間の直接的交流を支援する時制情報共有システム"CYLIFE WINDOW"の構築
著者*村瀬 結衣 (慶應義塾大学メディアデザイン研究科), 遠峰 隆史 (慶應義塾大学メディアデザイン研究所), 杉浦 一徳 (慶應義塾大学メディアデザイン研究科)
Pagepp. 1540 - 1547
Keywordユニバーサルデザイン, ヒューマンインタラクション, コミュニケーションデザイン, WEBサービス, ソーシャルネットワークサービス
Abstract族間ソーシャル・ネットワーキング・サービス``CYLIFE WINDOW''を構築し,直接的な交流の増加を生み出す情報共有環境を実現する.「直接的な交流」とは,テキストメッセージの記入・送信,遠隔地間による対話,実際の対面などの利用者が自発的に行う即時的な交流とする. 本研究の主対象を遠隔地に居住する孫ー子ー親の様な2親等の家族間とする.高齢者の孤独死への不安増加や,人との交流に求める生きがいから表れる,人と人のつながりの希薄化を問題とし, インターネットを利用した情報共有による家族間での交流機会の増加を目指す. 情報に内在する時制の概念に着目し,過去・現在・未来のそれぞれの要素を持つ,写真情報,利用者の即時的な状態情報,定期予定情報を統一的に表示するシステムを構築することで,直接的な交流の増加が行える情報共有を実現する.

6F-4 (時間: 15:30 - 15:50)
題名複数のソーシャルメディアサービスの統合コミュニケーション支援の提案
著者*高橋 光輝 (デジタルハリウッド大学大学院), 菅野 政孝 (日本大学大学院)
Pagepp. 1548 - 1552
Keywordソーシャルメディア, ブログ・SNS, コミュニケーション支援, 情報共有
Abstract現在インターネットの世界では「SNS」や「ブログ」,「Twitter」,「LINE」といった数多くのソーシャルメディアによるコミュニケーションが行われている.これらのサービスでは,ある発言に対してそれぞれのソーシャルメディア上で他のユーザーが応答するといったコミュニケーション方法がとられている.しかし,メディアやサービスを跨ってコミュニケーションを行うことは難しい.例えば,あるサービス内で行われた発言は他のサービスを利用している人からは見えにくく,またその発言に対して他のサービスからコメントをしたとしてもタイムラインの表示では情報が時間軸で追加されていくため気づかれにくい.つまり様々なソーシャルメディアでの発言を一度に目を通すことは難しい. 本論文では,異なったソーシャルメディア間のコミュニケーションとして最も求められる利用目的や方法を明らかにし,既存の提案手法の特徴をこれらの観点から比較評価する.その上で,各種ソーシャルメディアサービスを統合的に利用できる枠組みや実現すべき機能を提案する.

6F-5 (時間: 15:50 - 16:10)
題名研究会情報を用いた人間関係の抽出
著者*神崎 浩貴, 蒔田 圭佑 (神奈川工科大学大学院 工学研究科), 佐藤 充, 大塚 真吾 (神奈川工科大学 情報工学科)
Pagepp. 1553 - 1557
Keywordソーシャルフィルタリング, 情報抽出, Web, 人間関係抽出
Abstract自分の分野外のことについて知りたい場合,その分野の有名人を探すことができれば,その人の論文を見ることで,効率的に知識を集めることができる.また,行政や企業において,今後の指針や経営方針などについて,ある特定の分野の人物と情報交換をしたいと考えたとき,その分野のキーパーソンを容易に見つけられれば便利である.そこで,本稿では研究会や会議などの開催プログラムを用いることで,ある特定の分野における人間関係の可視化を行い,そこから,キーパーソンの特定や人間関係を俯瞰的に見ることができるツールを構築した.


セッション 6G  アドホックルーティング
日時: 2013年7月11日(木) 14:30 - 16:10
部屋: 松
座長: 長谷川 輝之 (KDDI研究所)

6G-1 (時間: 14:30 - 14:50)
題名指向性アンテナを用いた全二重無線通信のためのルーティングプロトコル
著者*加藤 克洋, 萬代 雅希 (上智大学)
Pagepp. 1558 - 1562
Keyword全二重無線通信, 指向性アンテナ, ルーティング
Abstract近年,全二重無線通信が注目されている. 全二重無線通信とは同一周波数で送受信を同時に行う技術である.これまでに指向性アンテナを用いた全二重無線通信のためのノードアーキテクチャが考案されている.特定の方向のみ大きなアンテナゲインをもつ指向性アンテナを用いることで,通信相手以外との干渉を減らすことができる. また,このノードアーキテクチャの特徴は単一トラフィックフローの場合,送信元ノードと宛先ノード間のホップ数が増加してもスループットの減少が小さい点である.しかし,複数のトラフィックフローが存在する場合,隠れ端末問題により,スループットの性能が劣化する.本論文はマルチホップネットワークにおける指向性アンテナを用いた全二重無線通信のためのルーティングプロトコルを提案する.提案方式は,トラフィックフローが交わらないように迂回させて経路を構築することで隠れ端末問題を低減し,スループットの向上を図る.

6G-2 (時間: 14:50 - 15:10)
題名通信状態を考慮したアドホックルーティングプロトコルの提案
著者*三鴨 勇太, 旭 健作, 鈴木 秀和, 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科情報工学専攻)
Pagepp. 1563 - 1568
Keywordアドホックネットワーク, ルーティングプロトコル
Abstract概要:無線端末が自律的に構成するアドホックネットワークにおいて,UDP とTCP で別々にルーティングテーブルを生成し通信タイプの特性を活かすと共に,特定のノードへの負荷集中を抑制する経路制御を実現するアドホックルーティングプロトコルPD-OLSR(Proto col Dep endent-OLSR )を提案する.本論文では,PD-OLSR の機能のうち,UDP 用に対応するのルーティングテーブル生成機能の実装方法を示す.シミュレーションによる通信性能の評価を行った結果,最短経路よりもホップ数を増やし迂回する経路を用いることで性能が向上することを確認した.

6G-3 (時間: 15:10 - 15:30)
題名アドホックネットワークにおけるトラストを考慮したセキュアルーティングの検討
著者*牛窪 洋貴, 武田 苑子, 重野 寛 (慶應義塾大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1569 - 1576
Keywordアドホックネットワーク, セキュリティ, トラスト, ルーティング
Abstractモバイルアドホックネットワーク(MANET)では,リソース温存のためパケットを意図的に破棄する利己的ノードへの対策として,トラストによるセキュアルーティングプロトコル(SRP)が研究されている.トラストとは評価値と呼ばれるユーザの信頼度を表す値を用いてセキュリティを構築する手法である.MANETでは評価値はノードが正常にパケットを転送するか否かの信頼度を表す.しかし,従来のSRPはより安定した経路を探索するためパケットが増加し,オーバーヘッドが増大するという問題がある.そこで,本論文では評価値を用いて経路構築にかかる制御パケットを削減する手法TA-AODVを提案する.提案手法では既存のSRPにおいて余剰なルートリクエスト(RREQ)パケットと経路更新(RUPD)パケットが転送されている事に着目し,これらの削減を行う.まず,評価値をRREQパケットの転送基準としても利用し,安定したデータ転送経路をより少ないRREQパケット数で構築する.また,経路情報の変化量に応じてRUPDパケットを転送する事で効率的に経路の維持を行う.提案手法の評価はシミュレーションにより行い,高いデータパケット到着率を達成しつつ,制御パケット数を削減しているという結果からTA-AODVの有用性を示す.

6G-4 (時間: 15:30 - 15:50)
題名OLSRにおける輻輳制御のための迂回路構築手法
著者*梶 清貴 (和歌山大学大学院 システム工学研究科), 吉廣 卓哉 (和歌山大学 システム工学部)
Pagepp. 1577 - 1583
KeywordMANET, OLSR, 経路制御, 輻輳制御, 迂回路
Abstract無線端末のみにより自律的に構成されるMANETは,低コストで広範囲にネットワークの接続性を提供できる技術として,盛んに研究されている.MANETでは,IEEE802.11のような広く普及した通信方式を用いることが主流であるが,IEEE802.11では局所的に隠れ端末問題が発生した場合でも通信性能が大きく損なわれ,輻輳の原因になることが知られている.隠れ端末問題により輻輳が発生する場合には,輻輳の原因となる領域は比較的広く,適応的にこの領域を迂回するルーティング方式が有効であると考えられる.しかし,これまでに研究されてきた迂回路構築法では,次ホップリンク,或いは次ホップノードを迂回する程度の小さい迂回路しか提供できず,輻輳の原因領域を迂回するには十分でない.本研究では,代表的なプロアクティブ型経路制御プロトコルであるOLSRを拡張し,輻輳の原因領域を迂回する,従来よりも大回りの迂回路を構築する.これにより,輻輳検出時に,ノードがパケットを適応的に迂回路に転送することで,局所的な輻輳発生時にもネットワーク性能の低下を抑え,輻輳制御を行うことを可能にする.

6G-5 (時間: 15:50 - 16:10)
題名モバイルアドホックネットワークにおけるユーザー利用時間に基づく消費電力公平化ルーティング制御
著者*市川 潤紀, 阪田 史郎, 小室 信喜 (千葉大学大学院融合科学研究科)
Pagepp. 1584 - 1589
Keywordモバイルアドホックネットワーク, マルチチャネル, バッテリー, ユーザー利用時間, 公平化
Abstract一般に無線ネットワークでは,端末のバッテリー容量は限られており,各端末における消費電力は公平であることが望ましい.一方,ユーザ自身のネットワーク利用形態を考えると,端末の通信開始時刻,連続通信時間が利用者によって異なることが想定される. 端末のユーザ視点から,公平にリソースを消費する制御方式のためには,ネットワークの利用時間を考慮することが必要であるが,そのような研究は少ない. 本論文では,著者らの従来の研究である,利用者のネットワーク利用時間あたりの消費電力公平化ルーティング方式を,マルチチャネル環境に発展させ,配信率と公平性のさらなる向上を図る. シミュレーション評価では,代表的なルーティングプロトコルであるAODV(Ad hoc On-demand Distance Vector),負荷分散方式として代表的なLBAODV(Load Balancing AODV),著者らの従来方式,本論文の提案方式を比較し,提案方式が有効であることを示す.



2013年7月12日(金)

セッション 7A  統一テーマセッション-センサシステム
日時: 2013年7月12日(金) 8:55 - 10:15
部屋: ハルニレ・アカシア
座長: 松本 直人 (さくらインターネット研究所)

7A-1 (時間: 8:55 - 9:35)
題名(招待講演) パーソナル3次元加工機によるサーバ省エネルギー化を指向したセンサの開発と課題
著者*石島 悌 (地方独立行政法人 大阪府立産業技術総合研究所)
Pagepp. 1590 - 1597
Keyword3次元加工機, パーソナルファブリケーション, センサ, 省エネルギー, ラピッドプロトタイピング
Abstractパーソナル市場に向けた3次元加工機に注目が集まっている.これらの加工機の代表的なものには,樹脂などを積層させて立体造形を行う3Dプリンタと,材料を削りだして造形を行う3D切削加工機がある.いずれの加工機もデザインを手に取れる形にする「デジタルなものづくり」の道具として期待されている.後者の3D切削加工機は,3D CADで用意した立体形状を造形する以外に,プリント基板CADと連携することにより,電子回路基板の作成への応用が広まりつつある.本稿では,著者が取り組んできた,サーバなどのIT機器の省エネルギー化への3次元加工機の応用事例を紹介する.電力や温度のセンシングと可視化は省エネルギー化に欠かせない要素技術である.3D切削加工機と3D CAD,プリント基板CADを組み合わせることにより,必要となるセンサを準備することが容易になる.「魔法の箱」とも称される3次元加工機により何ができ,何ができないのかを検証する.

7A-2 (時間: 9:35 - 9:55)
題名情報技術を用いた睡眠状態改善のための照明制御システムの試作と一考案
著者*安永 有紀子, 山内 正人 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科), 相澤 里香 (福島学院大学福祉学部福祉心理学科), 砂原 秀樹 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)
Pagepp. 1598 - 1604
Keyword睡眠環境, センサ, 制御, 環境改善

7A-3 (時間: 9:55 - 10:15)
題名コンテキストアウェアな情報表示端末における近距離無線を用いた視聴者情報の検出
著者*田中 碧海 (広島市立大学大学院情報科学研究科), 井上 博之 (広島市立大学大学院情報科学研究科/情報通信研究機構)
Pagepp. 1605 - 1612
Keywordデジタルサイネージ, コンテキストアウェア, 視聴者検出, Bluetooth
Abstractデジタルサイネージ(以下,DS)等の情報表示端末は,周辺の視聴者の情報を用いてコンテンツを選択することにより,優れた広告効果が期待できる.視聴者の検出にはカメラや超音波センサ等を用いた方法が研究されているが,適用場所,照明条件等について課題がある.一方,Bluetooth(以下,BT)は携帯端末等に搭載される近距離向けの無線通信規格であり,これにより個人を認識および識別できる可能性がある. 本稿では,まずBTの視聴者検出における可能性を調査するために事前検証を行った.Bluetooth Device Address(以下,BDA),受信信号強度(以下,RSSI)値,検出時刻の情報を,情報表示端末と携帯端末の距離を変化させながら測定した結果,BDAと検出時刻から情報表示端末周辺の視聴者の人数や滞留時間が推定できた.RSSI値と距離の関係は近似式で表され,視聴者とDS端末との距離が推定できることがわかった. 次に,BTを用いたDSシステムの設計と実装を行った.DS端末周辺のBT測定データを解析サーバに送り,視聴者の人数,滞留時間,距離を解析することで視聴者情報を考慮したコンテンツを表示する.また,事前登録した視聴者の嗜好の割合に応じたコンテンツがリアルタイムに表示されることを確認した.


セッション 7B  無線LAN
日時: 2013年7月12日(金) 8:55 - 10:15
部屋: 柏・ポプラ
座長: 山口 弘純 (大阪大学)

7B-1 (時間: 8:55 - 9:15)
題名ソフトウェア無線を用いた重畳符号化通信の基礎実装と評価
著者*山崎 景太 (静岡大学大学院情報学研究科), 猿渡 俊介 (静岡大学情報学部), 渡辺 尚 (大阪大学情報学研究科)
Pagepp. 1613 - 1625
Keywordソフトウェア無線機, 重畳符号化通信, Universal Software Radio Peripheral
Abstract重畳符号化は,2つの端末に対する異なる2つのフレームを1つのフレームに重畳して送信することができるため,無線通信のスループット向上が期待されている. 重畳前の2つのフレームをそれぞれファーストレイヤ,セカンドレイヤと呼ぶ. 本稿では,BPSKを用いた重畳符号化の実装と(0,π/2)-BPSKを用いた重畳符号化の実装と評価を示す. 実装では,ハードウェアとしてソフトウェア無線機であるUniversal Software Radio Peripheral N200 (USRP N200),ソフトウェアとしてUSRP Hardware Driver (UHD)とC++を用いた. 実装した重畳符号化の動作検証の結果,(0,π/2)-BPSKを用いた重畳符号化ではファーストレイヤとセカンドレイヤに割り当てられた電力が近い場合でも信号が分離できることを示す.

7B-2 (時間: 9:15 - 9:35)
題名光信号による端末位置検出と複数APの協調による無線LANのスループット向上手法の基礎評価
著者*伊藤 達哉 (静岡大学大学院 工学研究科 数理システム工学専攻), 石川 晃平 (静岡大学大学院 工学研究科 システム工学専攻), 石原 進 (静岡大学大学院工学研究科 数理システム工学専攻)
Pagepp. 1626 - 1633
Keyword無線LAN, スケジューリング, 位置検出, 負荷分散, 空間分割多重化
AbstractWi-Fiを利用した端末が普及し,無線LANアクセスポイント(AP)が複数利用できる状況が増えている. 複数APが存在すると,あるAPに負荷が集中し無線LAN全体の利用効率が低下する問題が生じる. そのため負荷分散手法が多数提案されている. しかしほとんどの負荷分散手法では,APは異なるチャネルを利用するものとしており,AP同士の干渉を考慮した負荷分散手法は少ない. 本稿では,同一チャネルを用いるAPが高密度に配置された環境を想定し,AP協調による負荷分散並びに無線LANの利用効率向上手法を提案する. 提案手法では,端末へフレームを送信する際に使用するAPを変更できるように,複数のAPを集約して制御する装置(以下,集約器)を導入する. 集約器は端末の位置情報に基づいて干渉推定を行うことで,同時通信が可能なAPと端末の組み合わせを推定する. この推定に従い,同時送信が可能なAPを使用して端末へフレームを送信する. 位置情報の取得には,可視光通信を用いる. シミュレーションにより,一般的な無線LANと提案手法の比較を行い,提案手法によって無線LAN全体のスループットが向上することを確認した.

7B-3 (時間: 9:35 - 9:55)
題名無線LAN高速認証 FILS(Fast Initial Link Setup)の実装及び多重アクセス評価
著者*真野 浩 (株式会社 アライドテレシス開発センター/山梨大学大学院医学工学総合教育部), 森岡 仁志 (株式会社 アライドテレシス開発センター), 上原 哲太郎 (立命館大学/情報理工学部 情報システム学科)
Pagepp. 1634 - 1639
Keyword無線LAN, IEEE802.11, 認証, FILS, IEEE802.11ai
Abstract現在のIEEE802.11無線LANは,接続にあたり行なわれる,基地局検索,認証,鍵交換,IPアドレス等上位層情報設定に,数十回のパケット交換を要するため,移動しながらの利用,同時大量のアクセスには適していない. 今後,スマートフォン等の普及により同時に接続する端末が増加し,伝送速度の高速化によりセルサイズがより小さくなる環境では,この初期の接続時間を短縮することが重要な課題となっている.そこで,FILS(Fast Initial Link Setup)方式が,筆者の提案によりIEEE802.11TGai として,国際標準化が進められている. このFILSの基本概念のうち,認証,鍵交換,IPアドレス等上位層情報交換を1回のパケット交換にて行なう手法を,商用アクセスポイント,及び端末に実装し,実証実験による評価を行なった. 具体的には,従来接続(WPA2)と高速接続(FILS)について,歩行者が遠方より基地局に接近する状況において,初期に接続が行なわれるまでの距離の比較を,端末が疎な場合,密な場合について測定比較を行なった. この結果,FILS方式では,従来方式に比べ大幅に接続までの距離(時間)が短縮されることを確認した.また,このFILSの特長を活かし,歩行者が個人ID及び接続基地局毎に異なるサービスをうける事が可能であることを,二つの基地局を用いて実証した.

7B-4 (時間: 9:55 - 10:15)
題名無線LAN通信における周辺端末の情報に基づく輻輳ウィンドウサイズ決定手法の評価
著者*飯尾 明日香, 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1640 - 1645
Keyword無線LAN, Context, TCP, 輻輳制御, 通信制御
Abstract現在,自動車など数百種類の高性能センサが搭載された端末は,センサ情報から精密な周囲の環境情報を取得できる. しかし,通常,WLAN(Wireless Local Area Network)において用いられる通信パラメータは各々が独自のアルゴリズムに従って設定されているため,その場の環境に応じた通信設定は 行われない. したがって,センサから環境情報を取得可能な端末であってもリソースを効率的に利用した通信は行われておらず, 必ずしも最適ではない状態で通信を行っているという問題がある. そこで,本研究では,そのような端末が,取得した環境情報を無線通信パラメータ設定に利用し,各端末がそれぞれの状況に合った最適な通信設定を行う手法の検討を行う. 上位層であるTCP(Transmission Control Protocol)の輻輳制御に着目し,端末の周辺情報として,周辺端末数および端末の移動速度を利用することで適する輻輳ウィンドウサイズを決定し, スループットおよび端末間の公平性の向上を目指す.


セッション 7C  基盤システム
日時: 2013年7月12日(金) 8:55 - 10:15
部屋: 白樺
座長: 柴田 直樹 (奈良先端科学技術大学院大学)

7C-1 (時間: 8:55 - 9:15)
題名データベース処理実行時における省電力化のためのストレージ制御手法の提案
著者*飯村 奈穂 (お茶の水女子大学), 西川 記史, 中野 美由紀 (東京大学生産技術研究所), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1646 - 1652
Keyword省電力, ストレージ, データインテンシブアプリケーション, 性能評価, TPC-H
Abstract近年のデジタル情報量の爆発的な増加により,ストレージの出荷容量台数も急増している.これによるストレージの管理運用コストは見過ごせないものとなっており,データの効率的管理に注目が集まっている.データセンタのエネルギー消費量は2050年には2010年度の日本の発電電力量の約3倍になると予測されており,社会全体での節電が求められる中でデータセンタの消費電力を削減することは急務である.また,データセンタの消費電力割合の中でストレージの消費電力は約13%であることから,ストレージの消費電力を削減することにより,データセンタ全体を一定量省電力化することが可能であると言える. そこで,本研究ではデータの効率的管理という点からクラウド上のデータベースの省電力化を考え,本論文では業界標準のデータベースベンチマークであるTPC-Hの実行時省電力化に向けて,TPC-H実行時のシステム性能と消費電力量の解析を行い,ディスクの省電力状態とI/O発行間隔を利用することによるTPC-H実行時の省電力化が可能であるということを示した.また,実行時のI/O発行間隔の制御を行うためのデータ配置についても検討を行い,本研究で提案した手法がTPC-Hの実行時省電力化に有効であることを示した.

7C-2 (時間: 9:15 - 9:35)
題名HDFS対応型スケールアウトNASの性能評価
著者*佐藤 充 (神奈川工科大学 情報工学科), 神崎 浩貴, 川田 翔士 (神奈川工科大学大学院 工学研究科), 杉山 俊 (図研ネットウエイブ株式会社), 大塚 真吾 (神奈川工科大学 情報工学科)
Pagepp. 1653 - 1656
KeywordHadoop, スケールアウトNAS, Isilon
Abstractストレージ製造の大手であるEMC社のIsilonが,Hadoopの分散ファイルシステムであるHadoopDistributedFileSystem(HDFS)への対応を発表した.HadoopはHDFSと分散処理フレームワークであるMapReduceで構成される大規模データのための並列分散処理基盤であり,複数のコンピュータを連携させて運用する事で,テラバイトからペタバイト級の巨大ファイルも扱うことができる.しかし,詳しい性能や各種パラメータの傾向などは明らかになっていない.そこで,本研究では,ベンチマークを用いて通常のHDFSとHDFS対応のIsilonを用いた場合での書込みと読込み性能の比較検証を行う.

7C-3 (時間: 9:35 - 9:55)
題名仮想環境下におけるゲストOS間共有ライブラリーの構築手法
著者*坂下 善彦 (湘南工科大学 情報工学科), 中尾 司ピエール (湘南工科大学 大学院 工学研究科)
Pagepp. 1657 - 1662
Keyword分散処理, OS, ネットワーク射, 仮想計算機, 共有ライブラリ
Abstract同一のあるいは類似のOSが備えている共通のライブラリーを,KSMの機構とは別に,メモリ管理機構において管理している当該共通ライブラリーの格納されている場所データを,ホストOSが司るメモリ管理機構が管理する共通領域に射影させてre-entrantな共通ライブラリーとして管理する手法を検討している. LD_LIBRARY_PATH環境変数と関連する管理データ(プログラムの配置に関するmm_struct, プロセスの配置に関するvm_area_struct,等)に注目して,仮想計算機の間で連携して実現する方式と,仮想計算機とホスト間で連携する方式を想定している.これらに基づく構築手法の検討状況を報告する.

7C-4 (時間: 9:55 - 10:15)
題名高スループットを実現するOS処理分散法の実現
著者*佐古田 健志, 山内 利宏, 谷口 秀夫 (岡山大学 大学院自然科学研究科)
Pagepp. 1663 - 1670
Keywordマルチコア, マイクロカーネル, OS処理, 処理分散, 通信制御
Abstract計算機ハードウェア性能と通信速度の向上により,映像や画像といった大容量のデータを高速に送受信することが可能になっている.このようなデータの送受信に用いる通信路には,高スループットが求められる.このため,複数の低速度な通信路を利用し,高スループットを実現する制御法の研究が行なわれており,モノリシックカーネル構造のオペレーティングシステムにおいて既に実現されている.この制御法は,マルチコアプロセッサ上で動作する環境において,NIC を複数搭載することにより実現できる.しかし,複数の NIC ドライバ処理へのパケット分割によるプロトコル制御のオーバヘッドが大きくなるため,プロトコル制御を含む通信制御処理がボトルネックになり,スループットの向上に制約がある.そこで,本稿ではマイクロカーネル構造の OS において NIC ドライバ処理と通信制御処理を実行する OS サーバを複数起動し,各コアに分散することで高スループットを実現する OS 処理分散法を提案する.また,マイクロカーネル構造である AnT オペレーティングシステムにおける OS 処理分散法の実現方式について述べ,評価結果を報告する.


セッション 7D  ホームネットワーク
日時: 2013年7月12日(金) 8:55 - 10:15
部屋: 紅葉・大扇
座長: 納谷 太 (NTT)

7D-1 (時間: 8:55 - 9:15)
題名相対位置関係を利用したモバイルデバイスによる家電機器操作システム
著者*河合 航平, 雨森 将司 (同志社大学理工学研究科), 島田 秀輝 (同志社大学研究開発推進機構), 佐藤 健哉 (同志社大学理工学研究科)
Pagepp. 1671 - 1678
Keywordネットワーク家電機器, ホームネットワーク, モバイルデバイス
Abstract近年,ネットワークに接続が可能な家電機器が普及しており,様々な家電機器をネットワーク経由で制御できるホームネットワークが注目されている.これらの技術を用いることで,多数の家電機器をネットワークを通じて操作することが可能になり,スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスからの家電機器操作が注目されている.しかし,モバイルデバイスで操作対象を一元化した場合,家庭内のすべての家電機器の一覧がテキストベースで表示されるため,ユーザにとっては操作対象を選択する際に,制御対象としていない家電機器まで表示されることとなり,ユーザに負担がかかる.さらに,近年の家電機器の性能の向上や種類の増加に伴い,モバイルデバイス上で表示される数が増え続けることがわかる.そこで,本研究では,モバイルデバイスを用いた家電機器操作において,モバイルデバイスのセンサ情報を利用することで,ユーザにとって直感的で負担の少ない状態で,家電機器操作をすることを可能にしたシステムの設計と実装を行った.また,実装したシステムの処理時間を計測し,性能評価を行うことでシステムの性能として問題がないことを示し,さらに.他の関連研究との比較を行うことで,システムの有効性を示した.

7D-2 (時間: 9:15 - 9:35)
題名光源色の時間変調検出に基づいた照明の影響度推定
著者*高井 大輔, 栗山 繁 (豊橋技術科学大学)
Pagepp. 1679 - 1683
Keyword可視光通信, ユビキタスシステム, Walsh符号, カラーLED照明, スマートホームエレクトロニクス
Abstract本研究では,環境に合わせて自動的に調光する照明システム等に利用できるカラーLED光源の,任意地点における影響度を推定する手法を提案する.本報告では,Walsh符号に基づいてデコードされたパターンをデジタル制御方式のLED光源の色変調パターンに変換し,その光源で照らされた床面や机上面をスマートフォンのカメラで撮影した動画像から,撮影点における各光源の影響度を推定する手法を提案する.さらに,市販のカラーLED照明を複数台用いた実環境での推定性能の検証実験の結果について報告する.

7D-3 (時間: 9:35 - 9:55)
題名照度センサ搭載型LED照明を用いた自律分散型調光制御
著者*神 龍太 (豊橋技術科学大学), 小林 祥朋 (PFU), 栗山 繁 (豊橋技術科学大学)
Pagepp. 1684 - 1689
Keywordユビキタスシステム, LED照明システム, 自律分散協調制御, 自動調光制御, スマートホームエレクトロニクス
AbstractLED照明とデジタル制御機構の搭載により,複数光源を最適に同時調光する手法が提案されているが,これらは照度計付きコントローラ等の特殊なデバイスを用いる必要がある.本研究では,特殊なデバイスを必要とせず,照度センサが搭載された複数のLED光源のみで自動的かつ最適に同時調光する手法を提案する.本手法では,各光源に対して粒子群最適化アルゴリズムを基にした自律分散型の調光制御を導入し,数値シミュレーションによりその優位性を示す.さらに,実環境での動作実験による調光制御の精度を示し,本手法の有効性を検証する.

7D-4 (時間: 9:55 - 10:15)
題名色成分の時間変調に基づく不可視QRコード
著者*小室 重行, 神納 貴生, 栗山 繁 (豊橋技術科学大学)
Pagepp. 1690 - 1694
Keyword情報埋め込み, 経時加法混色, デジタルサイネージ, ビジュアルタグ
Abstract広告物に印刷されたQR コードに代表される2次元バーコードをカメラ付き携帯電話で撮影し,関連コンテンツへのURL 情報を即座に読み取るビジュアルタグ技術が普及している.動画を利用可能なデジタルサイネージなどの広告表示媒体にこの技術を適用する場合,埋め込みコードのデザイン性も重要となる.本研究ではQR コードを埋め込む領域の色成分を高速に変調することで,人間の視覚に生じる経時加法混色を活かした埋め込みコードの不可視化を実現する.埋め込んだ不可視QR コードは動画のフレーム間差分を用いることで検出し,復号する.本稿では,液晶ディスプレイに表示されたこの不可視QR コードをスマートフォンなどの携帯端末のカメラで動画撮影して情報を読み取り,その精度を実験的に検証した結果を報告する.


セッション 7E  OSSとプログラミング
日時: 2013年7月12日(金) 8:55 - 10:15
部屋: 銀鱗
座長: 福島 拓 (静岡大学)

7E-1 (時間: 8:55 - 9:15)
題名OSSシステムとコミュニティの共進化の理解を目的としたデータマイニング手法
著者*山谷 陽亮, 大平 雅雄 (和歌山大学システム工学部), Passakorn Phannachitta, 伊原 彰紀 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科)
Pagepp. 1695 - 1703
Keyword共進化, 協調作業, オープンソース, コミュニティ
Abstractオープンソースソフトウェア (OSS) を活用したシステム開発が一般的になりつつある一方,「サポートが得られるかどうか分からない」などの理由から,依然としてOSSの活用に躊躇するシステム開発企業は少なくない.本研究では,OSSシステムとコミュニティの共進化のプロセスを定量的に分析するためのデータマイニング手法を提案する.本手法は,遅延相関分析の考え方に基づき,一方の進化の系列が他方の進化の系列に与える影響を一定時間後に観察できることを考慮したものである.また,遅延相関分析を容易に行うために,遅延相関係数が最も高くなる際の各種パラメータを自動的に求める点に特徴がある.提案手法の有用性を確かめることを目的として,ApacheおよびEclipseコミュニティを対象としたケーススタディを行った結果,遅延相関を考慮しない従来の分析結果と比べて,提案手法は共進化のプロセスをより正確に観察できることを確かめた.

7E-2 (時間: 9:15 - 9:35)
題名OSS開発における一般開発者の協調作業と不具合の再修正に関する一考察
著者*林 宏徳, 伊原 彰紀, 門田 暁人, 松本 健一 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科)
Pagepp. 1704 - 1709
Keywordオープンソースソフトウェア, 不具合修正, 協調作業, コミッター
Abstract概要:近年,オープンソースソフトウェア (OSS) が官公庁,教育機関だけでなく,商用ソフトウェアの一部に利用する企業等が増加し,OSS が幅広いサービスを提供するようになっている.その一方で,ソフトウェアの高機能化にともない,不具合を修正するためには,ソフトウェアが備える各機能の専門家による協調作業が必要となりつつある.しかし,不具合が正確に修正されず,約 15%は修正作業の手戻り(再修正)が発生し,修正時間の遅延,開発コストの増大を招いている.我々はこれまで,複数のコミッターが検証作業を行うと再修正が発生しやすいことを明らかにしている.本稿では,開発者が協調的に修正作業を行った場合の再修正を分析する.

7E-3 (時間: 9:35 - 9:55)
題名プログラミング授業において利用可能なMoodleプラグインの試作
著者*市村 哲, 川端下 和紀, 吉田 匠汰, 中村 亮太 (東京工科大学)
Pagepp. 1710 - 1716
Keyword情報教育, Moodle, プログラミング学習
Abstractプログラミング授業は大学や専門学校等の情報系学科では必須科目となっているが,大学で初めて習う学生の多くはプログラミングに対する苦手意識が強い.一方,近年,Moodleを用いた学習支援システムが注目されている.Moodleはオープンソースによって開発されている学習管理システム(LMS)の1つであるが,Moodleを導入する機関が急増していることが報告されている.今回著者らは,Moodleをプログラミング講義に導入することを想定した場合に,「穴埋め問題を作成する際,Moodle独自の形式に沿って入力しなければならず扱いが困難である」という問題と,「MoodleのHTMLエディタでは,ソースコードを見やすく表示するためのインデントや行番号が表示されない」という問題があることに着目した.そして,Moodle上でソースコードを適切に表示することができるモジュール,および,穴埋め問題作成エディタを,Moodleプラグインとして開発・実装した.

7E-4 (時間: 9:55 - 10:15)
題名学習者特性を考慮した大学等における原稿作成指導手法の検討 -ソフトウェア信頼度成長モデルによる-
著者*土井 崇, 奥田 隆史, 井手口 哲夫, 田 学軍 (愛知県立大学大学院 情報科学研究科 情報システム専攻)
Pagepp. 1717 - 1721
Keyword社会人基礎力, アクティブラーニング, 原稿作成プロセス, ソフトウェア信頼性モデル, 遠隔教育
Abstract経済産業省では「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」を「社会人基礎力」として定義している. 社会人基礎力は,受動的に講義を受講するだけでは身に付けることが難しい能力である.そこで,本研究ではこの能力を向上する機会として,理工系学生が教員等と共著の学会原稿の作成を行なっていることに注目する.この原稿作成プロセスを学生の能動的学習を促すアクティブ・ラーニングをおこなう機会と捉えることで学生の能力向上を支援するとする.この原稿作成プロセスをアクティブ・ラーニングと捉えた場合の問題点は,学生の原稿作成・修正スキルや意欲等の個人差に強く左右されるため,計画的に進まないことである.そこで,本稿では原稿作成をソフトウェア信頼度成長モデルにより表現することで,学生に対しての原稿作成指導手法について検討する.また,学生の原稿作成について不完全な修正も考慮することで,より現実的なモデルとした.


セッション 7F  電力制御
日時: 2013年7月12日(金) 8:55 - 10:15
部屋: 竹・梅
座長: 齊藤 義仰 (岩手県立大学)

7F-1 (時間: 8:55 - 9:15)
題名AC電源周波数センサーを備えた家電制御デバイスとそのソーシャルWeb上の運用による電力需用者側による電源周波数調整について
著者*山崎 重一郎 (近畿大学)
Pagepp. 1722 - 1726
Keyword電源周波数調整, ソーシャルネットワーク, 地域通貨, 電気マネー, センサー
Abstract電力はほとんど貯蔵できないため,電力事業者は電力の需要と供給が常に同量になるよう発電量を制御している.電力の需給のバランスのずれは発電機のトルク負荷の変動として作用しAC電源の周波数を変動させるため,電源周波数調整力も電力事業者が提供する「電力供給サービス」の一つになっている.本研究の目的は,需用者側がAC電源の周波数変動を検知することによって,電源周波数調整力のみの発電サービス供給に参加できる方法を提案することである.この目的のために,我々はAC電源周波数の変動を検知する安価なセンサー装置を開発した.この装置の効果を検証するために,九州の7都市に設置し約3ヶ月にわたってAC電源の周波数変動を測定した.この実験の結果,すべての都市のAC電源周波数の変動が正確に同期していることが確認できた.この結果を受けて,我々はこのデバイスに需給状況表示用のLEDと赤外線LEDを追加することによって,周波数変動に反応して,人の節電行動を促したりエアコンの出力を制御したりする機能を追加した.本稿では,この装置による電源周波数調整力についても議論を行う.また,この装置の所有者コミュニティのソーシャルな協調行動によって,「仮想発電所」を構成する案についても議論する.

7F-2 (時間: 9:15 - 9:35)
題名3Gトラヒック削減とプッシュ通知を共存させるアプリ単位の通信制御手法
著者*高木 雅, 川原 圭博, 浅見 徹 (東京大学大学院情報理工学系研究科)
Pagepp. 1727 - 1734
Keyword通信制御, スマートフォン, 3Gトラヒック, 消費電力, プッシュ通知
Abstract本研究では,スマートフォンにインストールされている様々なアプリに対して,アプリ単位で通信制御を行うことで,スマートフォンの3Gトラヒックと消費電力を効果的に削減する手法を提案する.スマートフォンのトラヒックには,バックグラウンド待機中のアプリが行う通信など,直接的にはユーザに必要とされていない通信が含まれている.このような通信を,ユーザに不自由を感じさせることなく削減するためには,アプリ単位での通信制御を行うことが望ましい.しかしながら,Android SDKにはアプリ単位での通信制御を行うAPIが存在しない.そこで我々は,AndroidがLinuxカーネルを採用していることに着目し,iptablesコマンドを用いて通信制御を行うことを提案する.また,制御対象とするアプリは,ユーザの手を煩わせることなく自動的に選択されることが望ましいが,トラヒック量や通信頻度だけを頼りにユーザへの影響が少ないアプリだけを抽出することは容易ではない.そこで我々は,アプリの「比スリープ通信率」という指標を定義し,スマートフォンの画面点灯中/スリープ中の通信量の比率を基準として,制御対象の自動選択を行う手法を提案する.また,本研究では,SMSやGCMによるプッシュ通知を重要視し,プッシュ通知を妨げることのないよう制御機構の実装を行った.

7F-3 (時間: 9:35 - 9:55)
題名スモールデータアプローチによるオフィスビルの電力需要予測方式
著者*川野 裕希, 山田 敏志, 阿倍 博信, 中島 宏一 (三菱電機株式会社 情報技術総合研究所)
Pagepp. 1735 - 1740
Keyword電力需要予測, 回帰分析
Abstract東日本大震災以降,電力不足や電気料金の値上げにより省エネの重要性がこれまで以上に高まっている.オフィスビルを対象とした省エネ技術の一つに,翌日の電力需要量の予測結果に基づく計画的な機器制御による節電がある.しかし,オフィスビルの電力需要量は,気温や湿度,天気,季節,曜日,行事,建物内の人数などの多様な条件で複雑に変化するため予測が困難であった.また,既存の方式では,予測精度向上のために多数のパラメータと過去数年分のデータを必要とし,適用可能なオフィスビルが限られてしまう課題があった.そこで,本論文ではより多くのオフィスビルに適用できるように可能な限り少ない種類と量(期間)のデータ,つまりスモールデータで各時間帯の電力需要量を予測する方式を提案した.具体的には,過去の電力需要量と気温のみを用いた重回帰分析による予測方式において,オフィスビルの電力需要予測に適した説明変数の提案・選択や,重回帰分析を用いた予測方式の課題である外挿への対応を検討して予測精度の向上を図り,オフィスビルの1年間の電力需要量を用いた予測精度評価によりその有効性を確認した.

7F-4 (時間: 9:55 - 10:15)
題名オンデマンド型電力供給ネットワークにおける電力分配アルゴリズムの提案
著者*前田 朋孝 (京都大学 学術情報メディアセンター), 横畠 誠也 (京都大学 大学院), 岡部 寿男 (京都大学 学術情報メディアセンター)
Pagepp. 1741 - 1746
KeywordPoE, LLDP
Abstract近年の家庭におけるエネルギー消費量は増加傾向にある。現在の電力供給網では、機器をコンセントに接続した瞬間電力が機器に必要な分だけ無条件に供給されるため、生活者の自主的な省エネ行動などによってしか消費電力を抑える術がない。その解決方法として,オンデマンド型電力供給ネットワークが提唱されている。オンデマンド型電力ネットワークを作成するために、 LAN ケーブル上に情報と共に電力を伝送するPower over Ethernet (PoE) に着目した。PoEではリンク層探索プロトコル (Link Layer Discovery Protocol:LLDP)が用いられ, 消費電力の微調整をすることが可能である.しかし,LLDPにおいては電力スイッチ(PD)から末端機器(PSE)に対して要求電力は送信することはできるが優先度は伝えることができないことからLLDPの拡張を行ってきた。しかしながら、供給可能な電力量を各機器の要求する必要電力と優先度を基にどのように分配することが生活者の品質をなるべく下げずに維持することができるかについては考えられてきていない。そこで本論文において,PSEにおいて供給可能電力値およびPDからの要求電力値および優先度を入力とし出力としてその電力の割り当てを行うモデルを考え、すべての機器が優先度に基づき公平に供給可能電力の分配を行うことが可能なアルゴリズムを考案した。また、このアルゴリズムにおいてすべての処理が定数時間内に終わることを示し、公平性が妥当であることを検証した。


セッション 7G  MAC層プロトコル
日時: 2013年7月12日(金) 8:55 - 10:15
部屋: 松
座長: 重野 寛 (慶應義塾大学)

7G-1 (時間: 8:55 - 9:15)
題名多チャンネル無線メッシュ網における協調的チャンネル選択手法
著者*竹田 隼基 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 吉廣 卓哉 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 1747 - 1753
Keyword無線メッシュ網, 多チャンネル, 隠れ端末問題, IEEE802.11, 輻輳制御
Abstract近年,有線ネットワークに比べて低コストで広範囲のネットワーク接続性を提供できる無線メッシュ網が注目されている.データリンク層にIEEE802.11を用いる無線メッシュ網においては,隠れ端末問題が発生することで通信性能が大幅に低下する問題がある.複数の周波数チャンネルを用いることで隠れ端末問題を含めた干渉を解決しようとする多チャンネル無線メッシュ網の試みもあるが,IEEE802.11を用いる限りは,利用できるチャンネル数が少なく,隠れ端末の問題は未だに深刻な問題を含んでいる.本研究では,多チャンネル無線メッシュ網において,利用できるチャンネル数が少ない状況でも,隠れ端末問題の影響を低減し通信性能を向上する新たな手法を提案する.提案手法では,各ノードが常に2ホップの距離にあるノードの送信待ちデータの量を把握し,送信待ちデータ量が多いノードを優先して自分の送信チャンネルを選択する.この方法により隠れ端末問題による送信データの衝突を低減し,効率的なデータ送信を実現する.

7G-2 (時間: 9:15 - 9:35)
題名アドホックネットワークの性能を向上させるストロングビジートーン導入の検討と評価
著者*伊藤 智洋 (名城大学大学院 理工学研究科 情報工学専攻), 旭 健作, 鈴木 秀和, 渡邊 晃 (名城大学大学院 理工学研究科)
Pagepp. 1754 - 1760
Keyword無線LAN, ビジートーン, アドホックネットワーク, CSMA/CA
Abstractユビキタス社会に向け無線LAN技術の普及が急速に進んでいる.無線LAN技術の中で端末同士で直接通信を行うことができるアドホックネットワークが注目されている.しかし,アドホックネットワークは隠れ端末問題による影響が大きく,トラフィックの増加により大幅にスループットが低下することが知られている.アドホックネットワークの隠れ端末問題を解決するために,IEEE802.11 ではRTS/CTSによる方式が採用されている.しかし,この方式だけでは,トラフィック負荷が増加するにつれRTS/CTSそのものの衝突が発生しやすく,スループットが大きく低下する.本稿では,ビジートーンの電波到達範囲を拡大させたストロングビジートーン(Strong Busy Tone)と呼ぶ特殊な制御信号を用い,さらにCSMA/CA のバックオフアルゴリズムを修正することによりアドホックネットワークのスループットを向上させる方法について提案する.

7G-3 (時間: 9:35 - 9:55)
題名マルチホップ無線全二重通信における衝突回避手法の検討
著者*杉山 佑介, 玉置 健太 (静岡大学 大学院 情報学研究科), 猿渡 俊介 (静岡大学 情報学部情報科学科), 渡辺 尚 (大阪大学 情報科学研究科)
Pagepp. 1761 - 1769
Keyword無線全二重通信, マルチホップネットワーク, 衝突回避
Abstract無線全二重通信をマルチホップネットワークに適用させた場合,セカンダリ送信によりフレームの衝突率が増加するセカンダリ送信衝突問題が発生する.本稿では,セカンダリ送信衝突問題を抑制したマルチホップ無線全二重通信プロトコルである6-way Relay Full-Duplex Medium Access Control(RFD-MAC)を提案する.6-way RFD-MAC は,RTS/CTS(Request To Send/Clear To Send)フレームを用いた衝突回避手法を無線全二重通信に適用した6-way ハンドシェイクを用いたMAC プロトコルである.6-way ハンドシェイクでは,プライマリ送信,セカンダリ送信を行う前に全二重通信に参加するノード間でRTS/CTSフレームを交換することでセカンダリ送信衝突問題を抑制する.計算機シミュレーション評価により,提案手法6-way RFD-MAC は既存方式であるFull-Duplex MAC+(FD-MAC+),RFD-MAC と比較して衝突率が減少することを示す.一方で,衝突の抑制がend-to-end スループットの向上に大きく寄与しないことも示す.また, 制御フレームのオーバヘッドを解析し,衝突の抑制がend-to-end スループットの向上に大きく貢献しない原因の1 として制御フレームのオーバヘッドが影響していることも示す.

7G-4 (時間: 9:55 - 10:15)
題名スマートフォンを利用したテザリング環境における輻輳制御方式
著者*小松 洵, 阪田 史郎, 小室 信喜 (千葉大学大学院融合科学研究科), 塩田 茂雄 (千葉大学大学院工学研究科), 村瀬 勉 (NEC)
Pagepp. 1770 - 1774
Keywordテザリング, データオフロード, 輻輳制御
Abstract近年,従来の携帯電話よりも多機能で高性能なスマートフォンが普及してきている. 本稿では,端末をスマートフォンでテザリングしてWi-Fiスポットへ接続する際に発生する輻輳を制御する方式を提案する. 提案方式では,スマートフォンが端末に対してMACフレーム受信機会制御(ROC)を端末に対して適用する. シミュレーションにより,提案方式がスマートフォンでの輻輳を制御しエンド・ツー・エンドのスループットが向上することを示す. また,端末数に応じた最適なROCの受信拒否確率を求める.


セッション 7H  ネットワークプロトコル
日時: 2013年7月12日(金) 8:55 - 10:15
部屋: エトワール
座長: 孫 為華 (大阪大学)

7H-1 (時間: 8:55 - 9:15)
題名省電力APを用いたクラスタ分割型無線LANメッシュネットワークの提案
著者*松田 祐輝, 阪田 史郎, 小室 信喜 (千葉大学大学院 融合科学研究科)
Pagepp. 1775 - 1779
KeywordIEEE802.11, 無線LANメッシュネットワーク, 経路制御, 省電力, クラスタリング
AbstractIEEE802.11に準拠した無線LANのアクセスポイント (AP)の省電力化を目的としたRadio-On-Demand Networks(ROD)が提案されている. しかし,無線LANメッシュネットワークのように複数のROD APによりネットワークが構築されている場合,それぞれのAPが非同期に間欠動作することが考えられる. この場合,経路の維持や構築のために起動するAPが増加することで,消費電力が増大し,遅延が増大するという課題がある. 本稿では,無線LANメッシュネットワークにおいて,クラスタリングとAPの制御によりデータを送受信するときの消費電力と遅延を削減する方式を提案する. シミュレーション評価により,低消費電力かつ低遅延で通信が可能であることを示す.

7H-2 (時間: 9:15 - 9:35)
題名無線ネットワークにおけるフロー特性を考慮したQoS制御方式の実装評価
著者*赤石 健一 (公立はこだて未来大学大学院 システム情報科学研究科), 中村 嘉隆, 高橋 修 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 1780 - 1787
Keyword無線LAN, QoS制御, マルチメディアシステム, IEEE802.11e, EDCA
AbstractIEEE802.11eEDCAでは,4つの優先度でパケットを区別し,アクセスカテゴリに分け,パケットを優先的に送信することによりQoS制御を実現する.しかし,高優先度内でトラフィックが増大すると通信品質が劣化するという問題がある.これは,トラフィックが増大することによりネットワークが輻輳し,パケットロスが発生しやすくなるためである.本研究では,トラフィックの負荷が高い場合においてQoS保証を実現する方式について検討する.トラフィックが増大し,負荷が高くなった時にアクセスカテゴリの送信キューの使用率に応じた資源の割り当てによってキューの大きさを動的に変更することによって実現する.シミュレーション評価により提案するQoS制御方式の有効性を示す.

7H-3 (時間: 9:35 - 9:55)
題名高効率なネットワークプロトコル処理方式の検討と開発
著者*仲川 和志, 横井 伸浩, 高谷 幸宏 (日立製作所), 飯泉 謙 (日立ハイテクノロジーズ)
Pagepp. 1788 - 1793
KeywordTCP/IP, プロトコル処理, 並列処理, マルチコア
Abstract近年,プロセッサの進化は,1チップに搭載するプロセッサ数を増やすマルチコア化へと向かっており,今後もコア数の増加が見込まれている.このようなマルチコアを活用してサーバ等のシステム性能向上を達成するには,ボトルネックとなり得るネットワーク処理の高速化が必要である.本稿では,コア数の増加に見合ったネットワーク性能向上を目的として,高効率なネットワークプロトコル処理方式を提案する.TCP/IPのようなコネクション型のプロトコルでは,同一コネクションのパケットを単純に並列処理できないため,従来技術の多くは1パケットの処理時間を短縮する方向で高速化を実現している.提案方式では,連続受信パケット処理における並列化可能な処理と並列化できない順序処理をそれぞれ別モジュールで処理して効率的に処理する.さらに,本報告では,提案方式をFPGA (Field-Programmable Gate Array)で構成したネットワークオフロードエンジンに実装し,実機評価を行った.実機評価の結果,一般的な通信状況においても,理論性能9.3Gbps超に対して単一コネクションで8.6Gbpsの並列処理を実現可能なことを確認した.


セッション 8A  統一テーマセッション-マルチメディアシステム
日時: 2013年7月12日(金) 10:30 - 12:10
部屋: ハルニレ・アカシア
座長: 小川 剛史 (東京大学)

8A-1 (時間: 10:30 - 11:10)
題名(招待講演) 高能率映像符号化技術HEVC/H.265とその応用
著者*村上 篤道 (三菱電機株式会社 開発本部 役員技監)
Pagepp. 1794 - 1795
KeywordHEVC, H.265, 映像符号化, 国際標準
Abstractディジタル映像符号化技術は、圧縮率が倍増すればメモリーの容量を半減させたり、2倍の高品質映像を伝送することが可能となるため、通信・放送やパッケージメディアにおけるコンテンツサービスを支える基幹技術である。技術が国際標準化されディジタル放送やDVDに採用されると同時に、携帯電話やインターネットストリーミングにも活用されている。次世代映像符号化国際標準化技術たるHEVC(High Efficiency Video Coding)/H.265は、4K/8K のUHDTVサービスを実現できる符号化性能を有しており、世界市場における映像メディア活用の共通化を目的とした国際標準 である。これは、学術的研究開発と国際的技術標準化の場における共同作業・オープンイノベーションの継続的努力の結晶である。本稿ではISO/MPEGとITU-Tが共同で開発した次世代HEVC国際標準化技術を体系的に解説することを主眼としている。初めに、ディジタル映像符号化の基礎技術を解説、映像符号化技術に関する国際標準化組織と勧告および知財権の扱いを紹介する。続いて、次世代HEVC技術の詳細を解説し、HEVC標準の性能と実装実現性の分析評価結果を報告する。最後に、HEVC標準の実用化が期待されるスマートフォンやディジタル放送等への応用を展望する。

8A-2 (時間: 11:10 - 11:30)
題名音声対話エージェントのためのWebブラウザを用いたシナリオエディタの開発
著者*西村 良太, 山本 大介, 打矢 隆弘, 内匠 逸 (名古屋工業大学)
Pagepp. 1796 - 1799
Keywordシナリオエディタ, 音声対話エージェント, Webサービス, マルチメディアシステム, コンシューマシステム
Abstract本論文では,音声対話エージェントのシナリオ構築環境を改善するべく,シナリオエディタの開発を行う.このシナリオエディタを用いることで,対話シナリオを見やすくし,編集しやすくして,より簡単に扱うことができるようにするのが目的である.開発したシナリオエディタには,大きく3つの特徴がある.1つ目の特徴は,様々なプラットフォームでの動作が可能ということである.MMDAgent自体も,PC(windows,mac,Linux)や,スマートフォン(android)など様々なプラットフォームに移植されており,シナリオエディタについても,同様の環境での需要が考えられる.これらの環境で広く動作させる為,webブラウザベースでの開発を行なっている.

8A-3 (時間: 11:30 - 11:50)
題名フードエンターテイメントシステムのための嗜好構成要素の検討と考察
著者*小林 真実, 山内 正人, 加藤 朗, 砂原 秀樹 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)
Pagepp. 1800 - 1805
Keyword嗜好, 味付け, 食履歴, 分子調理法, 栄養学
Abstract家庭において食は家族のコミュニケーションを円滑するための重要な要素である。しかし、作り手と食べ手の味付けの相違があることも多い。 そこで、本研究では作り手に対して食べ手の嗜好を知った上で、栄養学や分子調理法などを用い、 苦手な食材や新しい観点も含めたメニューを推薦するフードエンターテイメントシステムの構築を目的とする。 本稿ではフードエンターテイメントシステムを構築するために必要となる食べ手の嗜好構成要素及びそれを基にしたレシピ検索手法について検討を行った。 検討の結果食べ手の個人の嗜好性を管理するために、必要な情報は5種類の要素で構成出来ることがわかった。また、食べ手の嗜好構成要素と比較演算子等の計算を行うことでレシピ検索にも 適用可能であると考えられる。

8A-4 (時間: 11:50 - 12:10)
題名SUNDIAL:モバイルプロジェクタを用いた投映面適応型3次元モデル提示システム
著者*岡田 昌浩 (東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科), 井上 亮文, 星 徹 (東京工科大学コンピュータサイエンス学部)
Pagepp. 1806 - 1811
Keywordプロジェクション, エンターテインメント, モバイルプロジェクタ
Abstract近年,プロジェクタの小型化が進み,持ち運びが可能となったことでエンターテイメント分野への 応用が期待され研究も行なわれている.モバイルプロジェクタを利用した研究では投映コンテンツ同士や 投映コンテンツと実物体が接触するとインタラクションが発生するシステムがある.しかし,既存研究で は投映先を単一平面であることを前提としているため,床面や壁面に投映したときにも,コンテンツ表現 が変化することはない.本稿では,ユーザが自由に動かすモバイルプロジェクタの投映先を検出し,投映 位置に対応した 3 次元モデルをリアルタイムで提示するシステムを提案する.提案システムは,モバイル プロジェクタ・深度センサ・ジャイロセンサ・画像生成部から構成される.これらセンサの値を用いて, 投映位置を判別し,空間的特性に対応したモデルの提示および視点切り替えを行う.このシステムを応用 することでユーザは室内全体を利用したゲームなどを体感することができるようになる.評価の結果,本 システムの投映位置判別精度は約 90%であることを確認した.


セッション 8B  QoS制御
日時: 2013年7月12日(金) 10:30 - 12:10
部屋: 柏・ポプラ
座長: 石原 進 (静岡大学)

8B-1 (時間: 10:30 - 10:50)
題名多数の無線LANにおける干渉とキャプチャエフェクト解析
著者*磯村 美友 (お茶の水女子大学), 三好 一徳, 山口 一郎 (NEC), 熊谷 菜津美 (お茶の水女子大学), 村瀬 勉 (NEC), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1812 - 1818
Keyword無線LAN, 干渉, キャプチャエフェクト, チャネル
Abstract近年,モバイルルータやテザリングなどの普及により個人が移動無線LANを持ち歩き,会議の場やカフェなど外出先で利用する機会が増えている.会議など一カ所に多くの無線LANが集中する場合には,近隣のチャネルの使用のみならず同一チャネルを共有せざる得なくなる.このとき,周波数スペクトラムが重なり,ノイズが増加してしまう電波干渉が大きくなるため,スループットなど通信品質が大きく低下する恐れがある.多数の無線LANが干渉を及ぼし合うといったモデルはこれまでほとんど解析されておらず,干渉下での通信品質の劣化,及び,この劣化のメカニズムは明らかではなかった.本稿では,品質特性を特徴づける要因であるCSMA/CAにおけるキャリアセンスおよびキャプチャエフェクトに焦点を当て,多数の近接する無線LANのスループットを解析した.具体的には,無線LAN間の距離とスループットの関係および無線LAN間のチャネル差とスループットの関係を,市販実機を用いて,計測調査した.無線LAN同士の干渉の影響は,チャネル差で生じるスペクトラムの重なり具合および距離による電波の強弱に起因する信号対ノイズ比で決まるキャプチャエフェクトが十分に発揮される環境で有れば,品質劣化にはつながらないことなどを明らかにした.

8B-2 (時間: 10:50 - 11:10)
題名近接する多数の無線LANにおけるマージ方法と特性評価
著者*熊谷 菜津美, 磯村 美友 (お茶の水女子大学), 村瀬 勉 (NEC), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1819 - 1826
Keyword無線LAN, 干渉, TCP
Abstract近年,モバイルルータやテザリングなど移動無線LANシステムが増加している.このことから,従来の想定以上の多くの無線LANシステムが近距離にひしめくことが多くなってきた.近距離の場合,従来と違った要因で生じる品質特性が現れる.本稿では,TCPを用いた場合の多数の無線LANが密集する状況におけるスループット特性を,実機を用いて評価する.TCPの場合,送達確認を含む輻輳制御の機能を持つことから,UDPとは大きく異なる特性になりうる.さらに,複数無線LANを1つに統合する無線LANのマージ方法を検討し,端末数変化とバッファ量変化とキャプチャエフェクト変化などがスループットに与える影響を評価する.評価結果の応用の一例として,マージによりスループットと引き換えにバッテリの有効活用(省エネルギー),あるいは通信可能時間の延長に効果があることを示す.

8B-3 (時間: 11:10 - 11:30)
題名マルチホップマルチレートネットワークにおける公平なフロー品質実現のための通信制御
著者*藤井 聡佳 (お茶の水女子大学), 村瀬 勉 (NEC), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1827 - 1832
Keywordマルチホップネットワーク, 無線LAN, モバイルルータ, スループット, 経路選択
Abstractマルチホップマルチレートネットワークでは,ノード間でトラヒックをリレーすることにより,近隣のアクセスポイント(AP) から所望の目的地に通信が可能であるが,そのQoS(例えばスループット) は,各ユーザの接続先選択方法に大きく依存する.例えば,無線LAN の特徴と関連して,マルチレート通信による通信品質劣化の問題や,マルチホップ通信におけるホップ数増加にともなう通信品質劣化の問題がある.また,マルチホップ通信でのトラヒック中継時,中継ノードは転送トラヒックだけでなく自身のトラヒックも送信する可能性が高いことや,中継ノードに接続するユーザは,状況に応じた制約内で接続先を選択可能であることが特徴として挙げられる.しかし,マルチホップ通信でのスケジューリングに着目した制御と,マルチレート通信における特性を考慮した接続先選択制御を同時に考慮した適切な接続先選択と,そのときのスループットとの関係は明らかになっていない.そこで本稿では,マルチホップマルチレートネットワークにおいて,各ユーザが中継ノードの設定するスケジューリングに応じた適切な接続先選択をした場合の,スループットへの影響を評価した.

8B-4 (時間: 11:30 - 11:50)
題名指向性無線通信における最小送信間隔推定に基づくQoS制御方式
著者*海津 悠輝, 阪田 史郎, 小室 信喜 (千葉大学大学院 融合科学研究科)
Pagepp. 1833 - 1836
Keyword指向性アンテナ, アドホックネットワーク, 優先制御
Abstract無線通信端末が数多く社会に普及しつつあり,現在の主要な通信方法である全方位に電波を発信する無指向性通信では空間利用効率に限界がある. そこで,近年は送受信における電波干渉を抑制することができる指向性無線通信に注目が集まっている. 指向性MACプロトコルの中でも,輻輳等の原因で通信が失敗した際に別方向のフレームを先に処理することでネットワーク全体のスループットを向上させる,OPDMAC(Opportunistic Directional MAC)が提案されている. また,近年ではリアルタイムサービスを中心として通信の品質(QoS:Quality of Service)が重要視されるようになっている. 本稿では,指向性無線通信においてROCを用いて優先通信のスループットを確保する一方で,優先通信に干渉しない範囲で非優先通信を増加させ,ネットワーク全体の性能を向上させる優先制御方式を提案する. シミュレーション評価により,提案方式が有効であることを示す.

8B-5 (時間: 11:50 - 12:10)
題名複数ロボットの移動協力によるリンクアグリゲーション通信の性能評価
著者*野田 勇人, 村瀬 勉, 笹島 和幸 (東京工業大学)
Pagepp. 1837 - 1842
KeywordQoS, モバイル, ロボット, マルチメディア
Abstract本論文では、無線通信可能な複数の移動ロボットに対しリンクアグリゲーションを適用した際に、ロボット同士が協調して移動したときの効果を評価する。それぞれのロボットは2種類の回線を持つ。移動ロボット間で短距離広帯域通信を行うことが出来るWLAN回線と移動ロボットーセンター基地間で遠距離狭帯域通信を行うことが出来る3G回線である。リンクアグリゲーションを用いることで、ある一つの移動ロボットが大量のデータ(高精細な動画像等)をリアルタイムでセンター基地へ送信したい場合に他ロボットの3G回線を束ねて高速な通信を実現することが出来る。しかしこのとき、ロボット間距離が大きいこと等が原因でロボット間のWLAN回線の帯域幅が狭くなり、束ねた回線のスループットが所望の大きさに達しない場合がある。このとき、大量データを送信したいロボットに周辺のロボットが近づくことにより所望のスループットを実現することを考える。その近づき方について最適問題を定式化し、結果を評価する。本研究成果により、地雷埋設地域や被災地のロボット調査で、例えば高精細な動画像などをリアルタイムで受信することが出来る。


セッション 8C  分散処理と仮想化
日時: 2013年7月12日(金) 10:30 - 12:10
部屋: 白樺
座長: 木谷 友哉 (静岡大学)

8C-1 (時間: 10:30 - 10:50)
題名モバイルアプリケーション向け移動透過通信フレームワークの実装と評価
著者*上醉尾 一真, 鈴木 秀和 (名城大学大学院理工学研究科), 内藤 克浩 (三重大学大学院工学研究科), 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1843 - 1852
Keyword移動透過性, IPv4/IPv6, NAT越え, Android, iOS
Abstractモバイルアプリケーションの発展に伴い,移動しながら通信を行うことやモバイル端末同士で直接通信を行いたいという要求が増加している.一方で現在のインターネットは,NAT越え問題や互換性のないIPv4ネットワークとIPv6ネットワークの混在により,エンド端末への接続性を確保することが困難である. 著者らは,IPv4/IPv6混在環境において確実な接続性の確保と,通信中のネットワーク切り替えを可能とする移動透過性を同時に実現するNTMobile(Network Traversal with Mobility)を提案してきた.従来のNTMobileの実装方式では,一般ユーザが所有するモバイル端末において気軽に利用することが難しく,一般ユーザへの普及が課題であった. 本稿では,アプリケーションレベルでNTMobileの移動透過通信を実現することにより,IPv4/IPv6混在環境に適したモバイルアプリケーションの開発基盤となる移動透過通信フレームワークを提案する.提案手法のプロトタイプを用いたモバイルアプリケーションを市販のAndroidスマートフォンおよびiPhoneへ実装し,IPv4ネットワークとIPv6ネットワーク間の通信および,移動が可能なことを確認した.

8C-2 (時間: 10:50 - 11:10)
題名イントラネット環境構築システムの提案と実装
著者*上原 崇史 (明治大学大学院), 齋藤 孝道 (明治大学)
Pagepp. 1853 - 1858
Keywordクラウドコンピューティング, 仮想化技術, DaaS
Abstract大学等の教育機関での利用を目的としたVCL (Virtual Computing Lab) というシステムがある.これは,アプリケーションが動作するデスクトップ環境の提供を行うデスクトップ仮想化システムである.VCLは,仮想マシンに接続するネットワークとして,予め用意されたネットワークのみを提供するので,複数の仮想マシン及びそれに付随する任意のネットワークを必要とする組織内ネットワーク環境の構築等には利用することが出来ない仕様となっている.そこで,本論文では,VCLを改変し,利用者の所望する任意のネットワーク構成を仮想マシン及び仮想スイッチを用いてイントラネット環境として構築し,提供するイントラネット環境仮想化システムの提案及び実装を行った.

8C-3 (時間: 11:10 - 11:30)
題名OpenFlowと協調する仮想マシン環境におけるリアルタイム通信基盤の設計
著者*鈴木 健一, 宮田 宏, 佐藤 未来子, 並木 美太郎 (東京農工大学)
Pagepp. 1859 - 1866
Keyword仮想マシン, OpenFlow, リアルタイム通信, QoS
Abstract音声通話や動画像のストリーミングではネットワークのリアルタイム性を確保するQoSが必要である.さらに,近年研究の進んでいるリアルタイム仮想マシンからのリアルタイム通信を行いたいという要求がある.しかし, VM間でのEndtoEndのリアルタイム性の保証について課題がある.本論文では,VMM層にリアルタイム通信機能を付加し,ネットワーク制御にはOpenFlowを利用することにより,異なる計算機上で動作するVM間のリアルタイム通信基盤を提案する.VMM層でリアルタイム通信を管理することで,ゲストOSがリアルタイム通信を管理する必要がなくなるため,ゲストOSへの修正を最小限に抑えられる.さらに,動的にネットワーク構成を変更可能であるOpenFlowネットワークを用い,帯域制御と優先制御をVMMとOpenFlowで協調して行うことで,ネットワーク全体のリアルタイム性の保証を実現する.RTvNICシステムの基礎評価として,パケットへのデッドライン時間のマーキングとEDFスケジューリングを用いることで,既存手法と比較し,最悪転送時間を約92ms削減できたことを確認した.

8C-4 (時間: 11:30 - 11:50)
題名ホームネットワーク仮想化システムの提案
著者*濱田 貴広, 五十嵐 弓将, 北爪 秀雄 (NTTセキュアプラットフォーム研究所)
Pagepp. 1867 - 1873
Keywordホームネットワーク, VPN, 仮想化
Abstract近年,M2Mや情報家電の発展により,家庭内のいわゆるホームネットワーク(ホームNW)はPC等が接続された単純な構成から,多様な機器やサービスが接続された構成になりつつある.ホームNW上のリソースを必要に応じて柔軟に拡張できるようにするため,本稿では,ホームNWの一部をデータセンタ(DC)上に仮想的に構築するためのホームネットワーク仮想化システムを提案する.提案システムでは,ユーザ宅側の宅内NWとDC上に構築される仮想ホームNWにVPN機能を備える通信制御装置を設置し,拠点間をL2-VPNトンネルで接続することによってセキュアで単一セグメント化されたホームNWを構築する.また,IPv4インターネットのゲートウェイ(GW)をDC側,IPv6インターネットのGWをユーザ宅側に配置する構成とするため,通信制御装置によって提案システムで構成されるホームNWとIPv4/IPv6インターネットの間の通信トラフィックを制御する.提案システムのプロトタイプを構築して,実網にて通信性能に関する測定実験と映像コンテンツ視聴の主観的評価を行ってフィージビリティを確認した.

8C-5 (時間: 11:50 - 12:10)
題名インタークラウドにおけるインスタンスマイグレーションに関する高速化手法の一検討
著者*山下 暁香, 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1874 - 1879
Keywordインタークラウド, マイグレーション, セキュリティ, 高速化
Abstract近年,実世界におけるデータ量の増加―ビッグデータにより,大量のデータがローカル端末ではな く,クラウド上で管理されるようになった.クラウドにおける大量のデータ処理には多くの利点があるが, セキュリティという面で無視できない欠点がある.特に,2,3 年以内に実用段階になる技術と言われている インタークラウドでは,VM のマイグレーションはセキュアなネットワークを通して行われることが必須 である.しかし,セキュリティとマイグレーションの速度はトレードオフの関係にあり,セキュリティを 強くすればマイグレーションの速度は遅くなる.本論文では,インタークラウドにおけるマイグレーショ ンのセキュリティと速度の双方を両立するマイグレーション方法を提案する.本論文における提案手法で は,暗号化と復号のタイミング及び部分を上手く調節することで既存のマイグレーション手法の速度が改 善できることを示した.本論文の実機実験では,マイグレーション前に VM のイメージを圧縮し,差分部 分のみを暗号化することで,120ms 以上の高遅延環境で,既存のマイグレーション手法の 70% 以下の移動 時間でマイグレーションが実現できることを示した.


セッション 8D  ユビキタスアプリケーション
日時: 2013年7月12日(金) 10:30 - 12:10
部屋: 紅葉・大扇
座長: 北須賀 輝明 (熊本大学)

8D-1 (時間: 10:30 - 10:50)
題名有線で多重接続されたユビキタスコンピュータにおける回線状態モニタリングシステム
著者*川端 慎太郎, 藤田 直生 (神戸大学大学院工学研究科), 佐野 渉二 (公立はこだて未来大学システム情報科学部), 寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科/科学技術振興機構さきがけ), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科)
Pagepp. 1880 - 1887
Keywordユビキタス, 有線, 通信, 回線状態, 故障
Abstract環境内に埋め込まれた多数のコンピュータが連携し,人々の生活を支援するユビキタスコンピューティング環境や,多数のコンピュータを服に埋め込むなどして活用するウェアラブルコンピューティング環境では,コンピュータは多数のコンピュータと頻繁にメッセージ交換する.このような環境ではコンピュータ間の通信の切断はコンピュータ群全体の処理に影響する可能性があり,回線の切断箇所を特定することは重要であるが,テスターを用いて一箇所ずる調べる手法では,システム運用中に使用できず,多大な労力と時間がかかるという問題があった.本研究では故障箇所特定を容易にすることを目指し,ブロードキャスト通信と隣接するコンピュータ間の通信の2種類の通信を用いて,回線状態をモニタリングするシステムを提案し,その有用性を確認した.

8D-2 (時間: 10:50 - 11:10)
題名腹囲の変化で入力する秘匿インタフェースのデバイス性能評価
著者*住友 裕貴, 片山 拓也 (神戸大学大学院工学研究科), 寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科,科学技術振興機構さきがけ), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科)
Pagepp. 1888 - 1896
Keywordウェアラブルコンピューティング, 秘匿インタフェース, 腹囲
Abstractコンピュータの小型化により,様々な場所でのコンピュータの操作が可能となった.一般に,コンピュータの操作には手を用いるため,ユーザがコンピュータを操作していることは周囲から見て明らかである.しかし,人と対面している時や会議中など,コンピュータの操作が望ましくない状況でユーザがコンピュータを操作したいという要求が存在する.また,このような場面でのコンピュータの操作は周囲に悪い印象を与えたり,コミュニケーションを阻害したりすることが多い.そこで本研究では,周囲に悟られずにコンピュータを操作できるインタフェースを「秘匿インタフェース」と定義し,その一例として,腹囲の変化を入力に用いるインタフェースを提案する.腹部の動作は周囲から悟られにくく,またユーザは他の動作とは独立して腹部を動かせる.本稿では,ユーザの腹部動作速度および腹囲の大きさを入力に利用するデバイスのプロトタイプと入力の判定機構を実装し,デバイスの使用が想定されるユーザの状況下における入力分解能の評価を行った.評価実験の結果から,入力粒度の増加に伴う入力精度の傾向について考察する.

8D-3 (時間: 11:10 - 11:30)
題名タッチ指示によるお供ロボットナビゲーション
著者*小野澤 清人, 芝 星帆, 吉永 努, 入江 英嗣 (電気通信大学 大学院情報システム学研究科)
Pagepp. 1897 - 1904
KeywordAR.Drone, スマートフォン, GPS, Map, 飛行
Abstract家庭用ロボットは,自動掃除ロボットのように人間に役立つ機能を搭載し,浸透を始めている.ユーザのパートナーとなり手助けを行なえるお供ロボットを,ユーザの簡単なアクションにより任意の場所に移動させることができれば,ユーザの視野の拡大や,おつかいをさせることや,人間が地図を見なくても目的地までロボットが先導するようなシステムへと応用できる.我々は,スマートフォン上の地図をタップするという簡単なUIで,ネットワークサービス連携により移動先設定及び経路設計情報を得て,ロボットが自身のGPSセンサとコンパス情報を元に自律して目的地に向かうシステムを提案・開発した.開発したシステムにおいて,ロボットが目的地に向かうための飛行実験を数種類行うことで,GPSセンサとコンパス情報を元にロボットの自律制御を行えることを示した.また験者に開発したアプリケーションを利用,や使いやすさや操作性のアンケート回答を求めることで我々が提案するUIの簡易さを評価した.結果,被験者全員が本アプリケーションの操作が簡単であると答えた.

8D-4 (時間: 11:30 - 11:50)
題名リアルタイム性を考慮したオンラインからオフラインへのコミュニケーション支援システム
著者*松川 大仁, 坂本 直弥 (同志社大学大学院理工学研究科), 島田 秀輝 (同志社大学研究開発推進機構), 佐藤 健哉 (同志社大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1905 - 1912
Keyword位置情報サービス, コミュニケーション支援, 拡張現実感技術
AbstractSNS などのオンライン上でのコミュニケーションサービスの普及により,オンライン上でのコミュ ニティ形成が活発化している.さらに,SNS に位置情報を連動させた位置情報サービスでは,SNS よりも 現実世界に結びつきが強いコミュニティを形成することができ,オフラインのコミュニティへ発展する可 能性を持つ.しかし既存の位置情報サービスでは,オンライン上の友人の現在の位置と人物の特定が困難 であることから,オンライン上のコミュニティをオフラインのコミュニティに発展させることが困難であ る.そこで本稿では,オンライン上の友人の現在,過去,未来の情報を,リアルタイムに同期し,拡張現実 感技術を用いて現実世界の畳重して提示することで,オフラインでのコミュニケーションのきっかけを創 り出し,オフラインのコミュニティへの発展を支援するシステムを提案し,プロトタイプの実装を行った. また提案システムとオフラインのコミュニティへの発展に関するアンケート調査を行い,アンケート結果 とプロトタイプの動作結果から,提案システムは,オンラインのコミュニティからオフラインのコミュニ ティへの発展に有効性が期待できることを確認した.


セッション 8E  災害時支援
日時: 2013年7月12日(金) 10:30 - 12:10
部屋: 銀鱗
座長: 伊原 彰紀 (奈良先端科学技術大学院大学)

8E-1 (時間: 10:30 - 10:50)
題名データ入出力統合フレームワークによる複数のSNSと連携するアプリケーション開発の支援
著者*岡崎 亮介 (名古屋工業大学), 毛利 公美 (岐阜大学), 白石 善明 (名古屋工業大学)
Pagepp. 1913 - 1921
Keywordフレームワーク, 被災者支援システム, SNS, クライアントアプリケーション, ソフトウェアパターン
AbstractSNS(Social Networking Service)の普及に伴って,災害時における情報提供のための被災者支援システムもSNSを用いて提供される見込みがある.システムに用いられるSNSが利用者の日常的に使っているSNSと異なる場合,利用者は使い慣れないSNSを操作することになる.システムの利用を促すために,日常的に使っているSNSを模したクライアントアプリケーション(以下,クライアント)からシステムに用いられているSNSを操作できればよいが,複数のSNSと連携するクライアントを開発するにはそれぞれで異なるAPIを把握する必要がある.本稿では,クライアント開発を支援するために,複数のSNSのデータ入出力を統合するフレームワークを提案する.フレームワークが再利用性および拡張性を備えていること,および,フレームワークによって機能追加が容易にできることを示している.

8E-2 (時間: 10:50 - 11:10)
題名問い合わせと同時に自己安否登録を行う安否確認システム
著者*青木 良輔, 宮田 章裕, 橋本 遼, 瀬古 俊一, 渡辺 昌洋, 井原 雅行, 小林 透 (日本電信電話株式会社)
Pagepp. 1922 - 1929
Keyword安否確認, 災害, ユーザの心理・行動, HTML5
Abstract災害時において家族や友人の安否情報はニーズの高い情報の1つであり,様々な通信手段を利用した安否確認システムが提供されている.しかし,東日本大震災の被災地ではこれらのシステムが十分に活用されなかった.被災地での安否確認システム利用に関する調査を通じて,安否確認システムの利用方法が災害時のユーザ行動に適した設計でないことが1つの原因であると確認された.本論文では,携帯端末で安否確認システムを利用することでお互いに精度よく容易にお互いに安否確認できる安否確認システムを提案する.そのシステムでは,相手の安否確認のみを行っても自身の安否情報を登録することができる.30人の被験者で実験を行ったところ,従来システムでは,一部の被験者の自己安否登録が確認されなかったが,提案システムでは全被験者の自己安否登録を確認できた.

8E-3 (時間: 11:10 - 11:30)
題名利用者の移動を考慮した日常利用可能な災害時支援システムの開発
著者*霏 朱里 (和歌山大学システム工学部), 福島 拓 (静岡大学大学院工学研究科), 吉野 孝, 江種 伸之 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 1930 - 1937
Keyword災害支援, 常時利用, 情報共有, 通知
Abstract2011年に発生した東日本大震災では,ネットワークや情報技術を用いた支援が多く行われた.また現在,次の大規模災害に備えた研究が多数行われている.しかしこれらの支援や研究はネットワークが利用可能であるという前提で設計が行われており,実際災害発生後はネットワークが利用できない場合が多い.また,出先などの普段行かない場所では,避難所などの情報を把握していない場合が多い.このような場所で災害に会うと,すぐに対処できない可能性が高い.さらに,普段使い慣れていないシステムを,災害時にいきなり利用することは困難である.そこで,日常的に利用する災害時支援システム「あかりマップ」の開発を行い,今回,システム側から利用者へ現在地周辺の避難支援情報を通知する機能を追加した.本稿の貢献は以下の2 点にまとめられる. (1)日常的に利用可能な災害時支援システム「あかりマップ」に対し,システムから通知を行うことは,利用者がよく行く範囲において,避難支援情報を意識するきっかけとなることを示した.(2)日常的に利用可能な災害時支援システム「あかりマップ」に対し,システムから通知を行うことは,システムを利用するきっかけとなることを示した.

8E-4 (時間: 11:30 - 11:50)
題名タブレットPCを用いた津波避難支援システムの提案
著者*深田 秀実 (小樽商科大学社会情報学科), 橋本 雄一 (北海道大学大学院文学研究科), 赤渕 明寛, 沖 観行 (ヒューネス), 奥野 祐介 (北海道大学大学院文学研究科)
Pagepp. 1938 - 1944
Keyword防災情報システム, 位置情報システム, モバイルGIS, 津波防災, 避難行動
Abstract津波災害に対する防災・減災対策では,「自助」・「共助」・「公助」が不可欠である.「自助」としての津波防災対策としては,津波ハザードマップを入手し,事前に避難行動などを検討しておくことが考えられる.しかし,自助としての津波ハザードマップはあまり活用されておらず,共助として地域で実施される津波避難訓練にもいくつかの課題が指摘されている.そこで,本研究では,タブレットPC向けに開発されたオフライン型GISに着目し,津波ハザードマップやユーザの現在位置・移動軌跡を表示することが可能な津波避難支援システムを提案する.本提案システムのプロトタイプを用いて,北海道小樽市をフィールドとした基礎的な評価実験を行った.その結果,提案システムの基本機能に関して,おおむね良好な評価結果を得ることができた.

8E-5 (時間: 11:50 - 12:10)
題名拡張現実を用いた実空間の再現を行う電子トリアージ訓練システムの提案
著者*安藤 禎晃 (慶応義塾大学大学院理工学研究科), 萩野 実咲, 岡田 謙一 (慶応義塾大学理工学部)
Pagepp. 1945 - 1952
Keyword電子トリアージ, トリアージ訓練, AR, 単眼HMD, インタフェース
Abstract近年,大規模災害時により多くの傷病者を選別するためにトリアージと呼ばれる手法が導入されている.同様に,災害が発生した際に迅速かつ的確な行動をとるために,トリアージ訓練の実施が必須となってきている.現在ではトリアージタグを電子化してセンサネットワークを構築し,傷病者情報を収集する研究が行われているが,電子タグの機能を十分に生かした訓練方法はまだ確立されていない.また,既存の訓練では,シナリオが単純であり傷病者の容態の変化も考慮できていないために災害現場を再現できていない,事前準備に手間がかかるために頻繁に実施できないといった点が指摘されている.本研究では,ARマーカと単眼HMDを用いることで動的な傷病者情報を表示し,災害現場を再現する電子トリアージ用模擬訓練システムを提案する.シナリオ作成を支援するアプリケーションを構築することで手間を削減し,単眼HMD上に時間的に変化する傷病者の状態をイラストと文章によって表示する.また,訓練結果を出力することで被験者の間で分析結果を共有させる.評価実験より,シナリオを迅速に作成でき様々な状況を再現した訓練を実施することが可能であることを確認した.これにより,より実践的な電子トリアージ訓練が可能になると期待する.


セッション 8F  認証技術
日時: 2013年7月12日(金) 10:30 - 12:10
部屋: 竹・梅
座長: 吉田 和幸 (大分大学)

8F-1 (時間: 10:30 - 10:50)
題名情報銀行システムにおける個人情報蓄積機構の機能設計と実装
著者*秋山 寛子, 山内 正人 (慶應義塾大学), 柴崎 亮介 (東京大学), 砂原 秀樹 (慶應義塾大学)
Pagepp. 1953 - 1957
Keyword位置情報, ライフログ, 個人情報管理, セキュリティ
Abstract社会に散在する個人情報を統合し新たな価値を生成することを目的とし, 個人情報の名寄せを個人が自ら実現し,管理する「安心感」の仕組み,それを社会的に透明な方法で集約して価値を生み出す仕組みとして,"情報銀行"プロジェクトを行っている.この社会的システムの実現に向けて,技術的側面や,監査の仕組みや経営・運用などを含めた組織デザインを行い,社会に受容されるための検討を行っている. 本研究では,個人情報の提供者が安心して情報を提供できる仕組みを,技術的な面から設計した.まず,情報提供者の個人情報を,プライバシーを守りつつ匿名化された情報として社会へ活用できるよう,秘匿にする情報と公開する情報とに分離するアクセス制御の仕組みを設計した.次に,情報の開示先や使用用途を情報提供者本人が制御できる仕組みを設計した.それぞれの基本的な設計およびプロトタイプを実装し,今後の課題について検討した.

8F-2 (時間: 10:50 - 11:10)
題名属性提供サーバに対してサービス提供サーバを秘匿する匿名化プロキシ
著者*岡部 寿男 (京都大学), 佐藤 周行 (東京大学), 西村 健, 山地 一禎, 中村 素典 (国立情報学研究所)
Pagepp. 1958 - 1963
KeywordSAML, 認証, 属性交換, プライバシー
AbstractSAMLに代表されるID連携プラットフォームでは、個々のユーザの認証を行った後、そのユーザに関する属性情報に基づいて認可判断を行い、サービスを提供する形態をとる。本研究では、属性提供サーバとサービス提供サーバを相互に秘匿するために匿名化プロキシを利用することを提案し、そのプロトコルを設計・実装した。属性情報を匿名化プロキシに対して暗号化するために、DH鍵交換を用いる方式とカスケード型に二つのプロキシを用いる方式の二方式を提案し比較を行った。

8F-3 (時間: 11:10 - 11:30)
題名信頼できるWebプロキシを用いた安全なVoIP通信の確立方式
著者*高原 尚志 (新潟県立大学), 中村 素典 (国立情報学研究所)
Pagepp. 1964 - 1969
KeywordSIP, VoIP, SRTP, DTLS-SRTP, Signaling

8F-4 (時間: 11:30 - 11:50)
題名情報流通連携のためのオープンなID連携プラットフォームにおけるプライバシー保護機能の高度化
著者*中村 素典, 西村 健, 山地 一禎 (国立情報学研究所), 佐藤 周行 (東京大学), 岡部 寿男 (京都大学), 山崎 崇生, 南 剛志, 崎村 夏彦 (野村総合研究所)
Pagepp. 1970 - 1975
Keyword認証フェデレーション, SAML, OpenID, ID連携, プライバシー保護
Abstractこれまで一つの大学や企業などの内部に閉じて利用されてきたシングルサインオン技術に基づく認証基盤を,オープン化し組織の壁を越えた社会的なID連携プラットフォームとして実用化する動きが始まっている.民間ではOpenIDの仕組みを活用した認証連携が進む一方,学術ではSAML (Security Assertion Markup Language)を用いた認証連携の枠組みが,国を単位として世界的に立ち上がってきている.OpenIDやSAMLでは,認証結果とともに,認証された利用者に関する属性情報をサービス提供側に受け渡す仕組みが用意されているため,単なる利用者の本人確認にとどまらない,高度な情報連携の可能性を秘めているが,その一方で,個人情報の流通を的確に制御しプライバシーを保護することが求められる.そこで,ID連携におけるプライバシーの保護を考慮しつつ利便性を低下させない,さらには利便性の向上につながる安全なプライバシー情報の管理・加工・利用技術の開発を行った.

8F-5 (時間: 11:50 - 12:10)
題名統合ID管理におけるメンバ属性を用いた拡張可能なグループ管理
著者*清水 さや子 (京都大学 大学院情報学研究科,東京海洋大学 情報処理センター), 戸田 勝善 (東京海洋大学 情報処理センター), 岡部 寿男 (京都大学 学術情報メディアセンター)
Pagepp. 1976 - 1983
Keyword統合ID, 統合管理, メンバ属性, グループ管理, 分散管理
Abstract近年,一組のアカウントとパスワードで,複数のシステムが利用できる統合IDの導入が進んでいる.統合IDを管理する際,統合IDを使用するユーザの情報やシステムの情報を中央で一元的に管理することが求められる.しかし,大学のような分散管理組織では,ユーザの情報やシステムの情報は,それぞれの担当部局で管理されているため,それらを中央で統合的にまとめて管理することが難しく,実際にも統合的な管理が普及していない実態がある.本研究では,大学のような分散管理組織において,中央での統合的な管理を実現する統合管理システムと,統合管理を行う際に課題とされるグループ管理に対して,メンバ属性を用いた拡張可能なグループ管理システムの提案を行う.提案では,分散管理組織の特性を生かし,それぞれの情報に対して担当範囲と担当係を割り当て,担当係ごとに分散して管理を行う.中央では,統合管理システムが,分散して多重に管理されている情報を統合的に取りまとめる.現在,東京海洋大学での実運用を想定し,提案するシステムを二段階に分けて設計し実装している.第一段階では,統合IDの利用者や統合IDを利用するシステムの情報を統合的に管理する統合管理システムの設計を行う.そして,統合管理システムを管理運用していく上で顕在化した,複雑なグループに対する対応方法の検討を,第二段階で行う.組織にはさまざまなグループが存在しており,一人につき複数のグループに所属していることが多いが,ユーザ登録を分散して行った場合,登録担当係では主の所属グループ以外の把握が難しい.そこで,ユーザの所属するグループが複雑な場合に対して,複雑なグループやメンバ属性を統合的に管理が行えるグループ管理システムを設計し実装する.


セッション 8G  リソース最適化
日時: 2013年7月12日(金) 10:30 - 12:10
部屋: 松
座長: 野口 拓 (立命館大学)

8G-1 (時間: 10:30 - 10:50)
題名電力変動情報に基づく機器とタップの紐付け方式
著者*岩川 明則, 山口 俊輔, 村上 雅彦 (株式会社富士通研究所/スマートコミュニケーション研究部)
Pagepp. 1984 - 1989
Keyword電力センシング, スマートコンセント, スマートタップ
Abstract電力の有効利用が課題となっている.その手段として電気機器ごとの消費電力を把握することは,機器単体の消費電力を削減するだけでなく,機器を操作する人の動きを通じた電力削減にも結び付けられることが期待される.スマートタップの普及はこれを可能にしつつあるが,機器とタップの対応づけをとることが難しく,そのための技術開発が様々な観点から行われている.本稿では,電気機器のリソース使用率変動とスマートタップで計測した電力変動の相関に基づき,両者の対応関係を自動検出する方法について提案する.オフィスにおけるPCとタップの対応付けを具体的な課題として検討した結果,CPU使用率を数十分間にわたって変動計測することにより対応づけが可能であることが分かった.更にPCに対して作為的なCPU負荷を印加することにより,より短い相関時間であっても対応するタップの判定が可能となることが分かった.実際のオフィスに実験システムを構築し,誤判定率を評価したところ,30秒から数分の判定時間で十分な精度を持つ自動判定システムが構築可能であることを確認した.

8G-2 (時間: 10:50 - 11:10)
題名IEEE 802.11nフレームアグリゲーションを用いた動画音声端末の収容台数向上手法
著者*若月 峻, 阪田 史郎 (千葉大学大学院融合科学研究科)
Pagepp. 1990 - 1994
Keyword高速無線LAN, IEEE 802.11n, フレームアグリゲーション, VoIP, 動画通信
AbstractIEEE 802.11n を利用したテレビ会議や音声通信といったマルチメディア通信の需要が高まり,単一アクセスポイント (AP)に動画・音声通信を行う複数台の端末が接続されることが考えられる.しかし,単一のAPに対し,高いQoS (Quality of Service) 要求を持つ動画・音声通信を行う端末の収容可能台数に関する研究は少ない.また,IEEE 802.11nにて導入されたフレームアグリゲーションが動画・音声通信に与える影響に関する研究も少ない. 本稿では,フレームアグリゲーション手法の1つであるA-MPDU (MAC Protocol Data Unit Aggregation) の最大サイズと動画通信の関係について評価する.次に,通信時のエラー率によって,トラフィックの生成レートの調節,伝送レートの調節,そしてフレームアグリゲーションを組合わせることによる収容台数向上手法を提案する.提案手法をシミュレーションによって評価することで,有効性を示す.

8G-3 (時間: 11:10 - 11:30)
題名世帯におけるエネルギー消費行動の最適化支援システム
著者*中村 笙子, 廣森 聡仁, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科), 山口 容平, 下田 吉之 (大阪大学大学院工学研究科エネルギー工学専攻)
Pagepp. 1995 - 2007
Keywordスマートホーム, 電力コスト, 生活満足度, 行動スケジューリング, 混合整数線形計画法
Abstract各世帯における節電やピークシフトの達成のため,電力の売買や蓄積,生成が可能なスマートホームが導入されつつあり,電力消費を伴う家庭行動を効率化することで,電力コストの削減が期待できる.しかし,居住者の都合を無視し,電力コストを削減するためだけにピークシフトを強いると居住者の生活の質を下げかねない.そのため,電力コストの削減と生活の質の維持を両立できるような節電方法を居住者に提示し,無理のない節電を実現できることが望ましい.本研究では,スマートホーム一世帯を対象とし,そこに居住する人や配置された家電の電力消費モデルを提案する.さらに,このモデルを利用し,人の行動と家電の稼働に対し,電力コストと生活満足度を最適化するような行動スケジューリング手法を提案する.加えて,ユーザの嗜好をより詳細に反映するためのフィードバックシステムと,ユーザが行った操作から,スケジュールに対する要望を汲み取るためのユーザインタフェースも提案する.評価実験では,電力コストを抑え,かつ生活満足度の高いスケジュールを導出した.また,フィードバック操作により,ユーザの意図を反映したスケジュールが導出されることを確認した.

8G-4 (時間: 11:30 - 11:50)
題名ユーザ参加型環境センシングにおける効率的なシステム運用モデルの構築とユーザ分析
著者*青木 俊介, 劉 広大, 清水 和人 (東京大学), 岩井 将行 (東京電機大学), 瀬崎 薫 (東京大学)
Pagepp. 2008 - 2013
Keywordモバイルネットワーク, モバイルコンピューティング, ユーザ参加型環境センシング, ユビキタス情報処理
Abstractスマートフォンの爆発的普及を背景に,一般ユーザの持つスマートフォンを新たなセンシング機器として活用し,都市地域の環境情報を取得するユーザ参加型環境センシングの実現が期待されている.このユーザ参加型環境センシングによって,詳細な環境地図を構築し,都市生活環境の再評価や国土の有効活用のために用いることができる.我々は,この参加型環境センシングの社会的意義と可能性を示すために,東京都世田谷区内全域でセンシング実験を行い,大規模環境情報データベースを構築した.本稿では,この参加型センシングのために開発した効率的なセンシングシステムの設計及び運用を示す.また,実際の参加型センシング実験を都市地域で行うことによって得られた,新たな知見を示す.

8G-5 (時間: 11:50 - 12:10)
題名クラウドサーバーを用いた携帯端末におけるリソースの最適化
著者*神田 正則, 金井 謙治, 大木 哲史, 甲藤 二郎 (早稲田大学基幹理工学研究科情報理工専攻)
Pagepp. 2014 - 2018
Keywordクラウド, モバイル, リソース
Abstract近年のスマートフォンやタブレット端末などの携帯端末の著しい普及・高性能化に伴い、大量のデータや計算処理を必要とする、より高度なアプリケーションが求められているが、携帯端末ではCPUやメモリ、バッテリーなど様々な制約が多い。そこで、クラウドサーバーへ処理をオフロードすることで時間短縮や省電力化を図る。クラウドサーバーを用いた処理方法では1) ローカル処理(携帯端末で処理)、2) リモート処理(クラウドサーバーで処理)、3) 並列分散処理(携帯端末とクラウドサーバーで分担して処理)の3形態が考えられる。本稿では特に分散並列処理に関して最適となるような配分をモデル化して評価を行った。動画からの顔検出アプリケーションで、今回の環境下では、コーデックにMPEG-4 part2を用いて最適分配した分散並列処理はリモート処理よりも20秒ほどの時間短縮となった。消費電力量はリモート処理の約3倍となっているが、ローカル処理と比べると約半分の消費電力で抑えられていることから、ある程度の処理を携帯端末に任せることで処理時間を最小にしつつ、ローカル処理よりも消費電力を抑えることができると言える。


セッション 8H  位置情報システム3
日時: 2013年7月12日(金) 10:30 - 12:10
部屋: エトワール
座長: 村尾 和哉 (神戸大学)

8H-1 (時間: 10:30 - 10:50)
題名絶対位置情報に依存しない無線LAN基地局の移動性判定手法
著者*福崎 雄生 (立命館大学情報理工学部情報システム学科), 安積 卓也, 西尾 信彦 (立命館大学情報理工学部)
Pagepp. 2019 - 2026
Keyword無線LAN, 移動性判定, 位置推定
Abstract近年,無線LAN基地局の急激な増加にともない,無線LAN観測情報を用いたユーザの位置推定に関する研究が注目されている.モバイルルーターなどの移動する基地局は位置推定精度を低下させるという問題がある.それらの,移動する基地局に関する既存研究も存在するが,それらの研究ではGPSによる絶対値情報の取得を前提している.そこで,本研究ではGPSが取得できない期間においても,無線LAN基地局の移動性を判定することを目的とする.絶対値情報の取得できない期間においては,ユーザの移動期間を抽出する.ユーザが移動しているにも関わらず安定して取得できる基地局はユーザと共に移動している基地局として判定を行う.加えて,それらのアプローチによる判別結果を学習データとして扱うベイジアンフィルタリングを用いることでさらなる判定をした.150日間で蓄積したログを利用し,無線LAN基地局の移動性判定を行った.移動期間において抽出できた移動基地局の数は,わずかな数しか判定を行えていなかった.一方,ベイジアンフィルタリングにおいては,十分な学習データを作成すれば70%近くの判別正解率を得ることが確認でき,絶対位置情報に依存しない無線LAN基地局の判定を可能にした.

8H-2 (時間: 10:50 - 11:10)
題名車内会話を場所に紐付けることによる会話的知識の流通
著者*松村 耕平, 池田 政人, 角 康之 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 2027 - 2035
Keyword車内会話, 知識流通, 会話的知識, 位置情報
Abstract本研究は、自動車に乗って移動する際の車内会話を記録・提示することで、人と街の間に埋め込まれた会話的知識を流通させることを目的とする。自動車に乗り合わせた人同士は、走行中の場所やその近辺について様々な会話をする。そのような会話は、人がその時・その場にいることによっ て生起されることが多く、その場所や季節、時間帯と強く結びついた情報が含まれる。このような情報は運転者に有用な気づきをもたらすのみならず、自動運転の実用化が見込まれる近い将来、 自動車を利用した移動中の体験を豊かにするための情報として大きな意味を持つ。このとき、自動車は、場所と、ユーザの体験に基づく知識をコンテンツとして提供するエンターテインメントデバイスとなり、またそのコンテンツから知識のループを形成するためのセンサプローブとなる。本論文では、このような会話的知識の流通システムを実現するための基礎研究として、10ヶ月に渡り収集した車内会話を分析・分類したのでその結果を報告する。

8H-3 (時間: 11:10 - 11:30)
題名特定形状を考慮した視認性の良いエリア略地図生成手法
著者*折原 照崇 (早稲田大学大学院 基幹理工学研究科 情報理工学専攻), 柳澤 政生 (早稲田大学大学院 基幹理工学研究科 電子光システム学専攻), 戸川 望 (早稲田大学大学院 基幹理工学研究科 情報理工学専攻)
Pagepp. 2036 - 2043
Keywordエリア略地図, 特定形状, 道路ネットワーク, 探索, 置き換え
Abstractよく利用される携帯電話機能の1つとして地図サービスがある.携帯電話はパソコンに比べると表 示画面が狭いため,表示する地図内に表示要素が多く存在すると視認性の悪い地図が表示される.この問 題を解決する方法の1つに略地図生成がある.近年,位置情報や地理情報を計算機上で扱う技術の発達に 伴い,略地図生成自動化の手法が注目されてきた.略地図はエリア略地図と2地点間略地図の2種類に分 類でき,本稿ではエリア略地図に着目する.本稿では道路ネットワーク内から碁盤目,楕円形,半円形の3 つの特定形状を探索し,それぞれ整形した形に置き換えることで視認性を向上するエリア略地図の生成手 法を提案する.提案手法の有効性を示すためにデータ量と見やすさ,2つの観点で評価実験を実施した.

8H-4 (時間: 11:30 - 11:50)
題名不正確さを考慮した位置匿名化手法の提案
著者*清 雄一, 大須賀 昭彦 (電気通信大学)
Pagepp. 2044 - 2052
Keyword匿名化, ロケーションサービス
Abstract性別や年齢等のユーザ属性と,ユーザの行動履歴とを関連付けてマイニングすることで,ユーザ属性に応じた適切なマーケティングや広告配信をすることが可能となる.しかし,あるユーザの行動履歴の一部を知る攻撃者にこの情報がわたると,関連付けられたユーザ属性と個人を結び付けられるリスクがある.従来研究において,ユーザの行動履歴を知る攻撃者に対してもユーザ属性と個人を結び付けられることを防ぐため,k-匿名性等の指標に基づく匿名化手法が多数提案されている.しかし,ユーザの位置情報には元来不正確さが含まれていることが考慮されていないため,位置情報の誤差を単純に扱おうとした場合に個人が特定されてしてしまうリスクが存在する.本論文では位置情報の不確実性に起因する漏洩リスクを導入及び定式化し,新しい匿名性指標,匿名化後のデータにおける有効性指標,及びこれら指標に基づいた匿名化アルゴリズムを提案する.シミュレーション評価を実施し,従来手法と比べて匿名化後のデータの有効性を向上させ,同時に,個人が特定されるリスクを低減することを示す.

8H-5 (時間: 11:50 - 12:10)
題名無線センサネットワーク可視化システムに要求される位置推定精度に関する検討
著者*金丸 幸弘, 鈴木 秀和, 旭 健作, 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 2053 - 2058
Keyword可視化, 無線センサネットワーク, 位置推定, AR
Abstract近年,スマートハウスや工場の環境モニタリングをはじめとして,様々な場面で無線センサネットワークの普及が見込まれている. しかし,センサデバイス同士は電波で接続するため,動的に変化するネットワークの構造や接続性を把握することが困難である. そのため,筆者らは保守や管理の効率性を向上させるために位置推定技術を用いた無線センサネットワーク可視化システムを提案している. 本稿では,タブレットとセンサデバイスの位置関係を推定するアルゴリズムのプロトタイプをiPadに実装し,提案システムに要求される位置推定精度について検討する.



2013年7月11日(木)

セッション DS  デモセッション/企業展示
日時: 2013年7月11日(木) 17:35 - 19:15
部屋: エトワール

DS-1
題名情報セキュリティ教育のためのセキュろくハイブリッドシステムの開発と適用
著者*市川 智史 (東京電機大学 未来科学部 情報メディア学科 情報セキュリティ研究室), 会田 和弘 (認定NPO法人イーパーツ), 佐々木 良一 (東京電機大学)
Pagepp. 2059 - 2066
Keyword情報セキュリティ, 教育コンテンツ, すごろく, タブレット端末, 協同学習
Abstractインターネットは利便性の増大の一方で,悪意や不正の目的にも容易に利用できるという二面性を持っている.そのため,各個人が情報セキュリティの脅威を正しく理解し,対応しなければならない.しかし,初心者ユーザは情報セキュリティに対しての意識が低く,適切な対応を取れていない可能性がある.その原因の一端として,身近に学習の場がないことや,用語や内容の難しさからくる情報セキュリティに対する苦手意識が挙げられる.そのため著者らは情報セキュリティに対する敷居を下げ,身近に感じてもらうために楽しみながら学習できる環境が必要であると考えた.そこで,学習者同士がFaceToFaceで楽しみながら学習できるというアナログのメリットと記録や手間の軽減に長けているデジタルのメリットを組み合わせることで誰でも気軽に情報セキュリティの学習ができる「セキュろくハイブリッドシステム」を考案,開発した.これはセキュろくナビゲータとセキュろくデータベース,セキュろくOnlineからなり,それぞれは学習記録保持および,その有効活用,システムの利用促進等の役割を果たしている.また,セキュろくハイブリッドシステムを実際に適用して行った評価ではほとんどの項目で高い評価を得ることができた.本稿では,セキュろくハイブリッドシステムの概要と構成要素各々の詳細を報告するとともに,実際に適用を行った評価結果について報告する.

DS-2
題名検索可能暗号の高速化とWebアプリケーションへの適用方式に関する提案
著者*松田 規, 伊藤 隆, 柴田 秀哉, 服部 充洋, 平野 貴人 (三菱電機)
Pagepp. 2067 - 2074
Keyword検索可能暗号, 公開鍵暗号, Webアプリケーション
AbstractBonehらによって公開鍵暗号に基づく検索可能暗号が提案されて以来,AND/OR検索や範囲検索などの高機能化を図った成果が提案されている.しかし,検索時に,暗号化した文書に添付された検索用の タグを順次チェックする必要があるため,検索時間が文書数に比例するという欠点がある.一方,Bellareらによって提案された確定的暗号に基づく方式は,検索時間は文書数のlogオーダに抑えられるが,キーワードのエントロピーがBrute Force攻撃に対して安全であるほど大きくなければならないという制約があり実用的ではない.本論文では,はじめに安全性と高速性のバランスを調整可能な検索可能暗号方式を提案する.本方式は,タグから数ビットの情報漏れを許容することで,サーバ側で索引生成が可能となり,検索の高速化が可能となる.次に,提案方式をWebアプリケーションに適用する方式を提案する.本方式では,データベースのユーザ定義関数として検索可能暗号を実装し,またブラウザにて暗号・復号を行う構成をとることで,Webアプリケーションで復号のための秘密鍵を一切管理する必要がなくなり,利用者自身が機密情報のセキュリティをコントロールすることが可能となる.

DS-3
題名複数サーバに復号権限を分散したWebベースファイル送受信システム
著者*佐藤 誠 (名古屋工業大学), 毛利 公美 (岐阜大学), 土井 洋 (情報セキュリティ大学院大学), 白石 善明 (名古屋工業大学)
Pagepp. 2075 - 2082
Keywordファイル送受信システム, IDベース暗号方式, 復号権限, 二重暗号化, 複数サーバ
Abstract内容を秘匿すべきファイルを送受信したいとき,ファイルを共通鍵暗号方式で暗号化し,ファイルの暗号化に用いたセッション鍵を公開鍵暗号方式を使って送受信者間で共有するという手段が一般的である.セッション鍵の共有に公開鍵基盤(PKI)ベースの公開鍵暗号化を使うと,受信者の秘密鍵を保存した端末に利用が限定される.本稿では,利用者がソフトウェアを新たにインストールすることなくWebブラウザで利用できる暗号化ファイル送受信システムを提案する.ファイルの暗号化に使ったセッション鍵を,個人を特定できる情報(ID)を公開鍵として利用することのできるIDベース暗号(IBE)の一方式を使って送受信者間で共有する.IBEでは,秘密鍵(復号鍵)を復号鍵発行サーバ(PKG)が生成する.復号鍵配布時のPKGによる受信者の認証に既存のメール送信者認証を利用することで,認証システムの新規構築を不要とした.提案システムはPKIベースの暗号化メールをファイル送受信に使う場合と比較して,利用者が端末にしばられず利便性が高いことを確認した.

DS-4
題名解析処理・可視化処理を伴うP2P型センサデータストリーム配信機構の一実装
著者*石 芳正 (大阪大学), 川上 朋也 (神戸大学), 義久 智樹 (大阪大学), 寺西 裕一 (情報通信研究機構/大阪大学)
Pagepp. 2083 - 2087
Keywordセンサデータストリーム配信, Peer-to-Peer
Abstractライブカメラや環境モニタリングなどの用途によるセンサの普及に伴い,観測データが連続的に流れるセンサデータストリームの配信に対する注目が高まっている.我々の研究グループでは,複数の配信先がそれぞれ異なる周期でセンサデータを収集する環境を想定し,Peer-to-Peer 技術を用いて配信先の通信負荷を分散する Peer-to-Peer 型センサデータストリーム配信システムを研究してきた.本研究では,我々が設計・開発を進めている Generic Transport を用いて,可視化処理機能を実装し,上位サービスとして動作するセンサーデータストリーム配信システムの通信可視化を行った.

DS-5
題名コンテキストデスクトップを用いた地域情報配信システムの実装
著者*小林 悠一 (静岡大学大学院情報学研究科), 遠子内 智 (静岡大学情報学部情報科学科), 大野 敬史 (富士通研究所), 西垣 正勝 (静岡大学大学院情報学部研究科), 峰野 博史 (静岡大学大学院情報学研究科)
Pagepp. 2088 - 2093
Keywordコンテキストデスクストップ, デジタルサイネージ, ライフログ, 位置情報
Abstract現在,インターネットを通じて大量の情報が配信されており,ユーザ要求に応じて多種多様な情報を取 得できる.しかし一方で,大量の情報の中から必要な情報にアクセスするための情報フルーエンシーを持 たない人もいる.例えば,インターネットの利用に不慣れな高齢者が,地域社会活動への参加に意欲があ りながらも,関連する情報を得られないばかりに機会を失うことがある.景気の低迷や雇用情勢などによ り若年人口の都市部への流出が続き,地方では少子高齢化が急速に進行している.高齢者を中心とした地 域の人々が形成するコミュニティを活性化することは,その地方衰退の回避に寄与すると考える.このよ うな理由から,高齢者の地域社会活動への参加は重要性を増しており,高齢者などが地域社会に参加する きっかけとなる情報を提示する仕組みが必要であると考える. 本研究では,高齢者に対して,地域社会への参加を促す情報を自動的に抽出し,デジタルサイネージに 表示するシステムを提案する.システムにはコンテキストデスクトップという技術を用いることにより, 効率的にシステムを構築する方法を示す.

DS-6
題名空間依存情報を用いた場所ベース認証方式の実装
著者*蜂谷 達郎, 萬代 雅希 (上智大学)
Pagepp. 2094 - 2096
Keyword無線LAN, スマートフォン, 認証
Abstract本デモンストレーションでは空間依存情報を用いた認証システム(SmartLocAuth)を提案する.SmartLocAuthでは,特定の場所における空間依存情報を利用することにより場所ベースの認証を行う.空間依存情報とは場所に依存する情報であり,無線LANのアクセスポイントからのService Set Identifier(SSID)や環境音などが挙げられる. SmartLocAuthではGlobal-Positioning System(GPS)を用いないため屋内でも利用できる.更にGPSを搭載していない機器でも利用可能である.本デモンストレーションでは空間依存情報としてSSIDを用い,SmartLocAuthをAndroid OS 4.0のGalaxy Nexusに実装したので,詳細について報告する.

DS-7
題名行動支援サービスのための体験データ記録データベース
著者*土井 千章, 山田 渉, 中川 智尋 (NTTドコモ 先進技術研究所), 田中 剛, 鈴木 誠二 (静岡大学大学院情報学研究科), 峰野 博史 (静岡大学情報学部), 稲村 浩, 太田 賢 (NTTドコモ 先進技術研究所)
Pagepp. 2097 - 2104
Keywordライフログ, 行動支援
Abstractユーザの興味度や満足度の高い行動を支援するサービスの実現に向け,お店やスポット,商品に関する興味や満足度等の主観情報を含む体験データをクラウドに一元的に保持するパーソナルな体験データ記録データベース(DB)を提案する.従来,ユーザの体験データは食事やスポット,商品等ジャンルや用途に応じて口コミやSNS等の各サービスに断片化して保持されている.体験データ記録DBは5W1Hに基づく汎用的なメタデータ定義を持ち,体験データのサービス間の共用とジャンル横断的な可視化・分析を可能とする.行動支援サービスとして,ユーザの位置やシーンに合わせて体験データの行動をリマインド,リコメンドするアプリケーションを実装した.本プロトタイプを通じて17名から1384件収集した体験データについて,興味度,満足度の付与傾向や興味の変化等を可視化,分析した結果を示す.

DS-8
題名ひとがつながるなび - 位置と気持ちと空間の共有 -
著者*上嶋 祐紀, 藤田 和久, 樋口 雄大, 廣森 聡仁, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学 大学院情報科学研究科), 下條 真司 (大阪大学サイバーメディアセンター)
Pagepp. 2105 - 2115
Keywordソーシャルアプリケーション, 位置推定, ユーザプロファイル, 環境情報
Abstract本研究では,大規模な商業ビル内の店舗やレストラン群,東京ビッグサイトのような大型のイベント会場におけるブース群といった,ある共有空間における人々の存在・行動情報,ならびにそれらの人々の気持ちや考え,感覚などを統合的に共有するための共有空間ナビゲーションプラットフォーム「ひとなび」の設計開発を行う.ひとなびでは,(i) リアルタイムな人々の存在状況(ひと),および,(ii) そこに存在する物体(オブジェクト)やリアルタイムに発生する事象(イベント),あるいは周辺環境に対する人々の考えや気持ち(きもち)を取得し,スマートフォンやタブレットにわかりやすく提示することを目指す.グランフロント大阪で産学の最先端技術を展示するイベントスペース「The Lab みんなで世界一研究所」において本システムを展示し,多数の一般来場者に「ひとなび」のコンセプトを伝え,本システムの有用性やエンターテイメント性,また将来的な応用可能性に関するフィードバックを得るとともに,人々の位置検出技術に関する性能評価実験を実施した結果を報告する.

DS-9
題名ソフトウェア無線を用いた実証デモンストレーション --重畳符号化と全二重通信--
著者*中川 翔 (静岡大学情報学部), 山崎 景太, 杉山 佑介 (静岡大学 大学院 情報学研究科), 木崎 一廣 (通菱テクニカ株式会社(TRT)生産技術推進センター), 猿渡 俊介 (静岡大学情報学部), 渡辺 尚 (大阪大学 情報科学研究科)
Pagepp. 2116 - 2127
Keywordソフトウェア無線機, 重畳符号化通信, 無線全二重通信, Universal Software Radio Peripheral, Wireless Open-Access Research Platform
Abstract研究者や技術者が手頃に使用できるソフトウェア無線機の登場により,新しい無線 通信方式のラピットプロトタイピングが可能となりつつある.本稿では,新しい無線通信方式を考察するための基礎を構築することを目的として,ソフトウェア無線機を用いた重畳符号化および無線全二重・マルチホップ通信の実証デモンストレーションについて述べる.重畳符号化の実装では,ハードウェアとしてUniversal Software Radio Peripheral (USRP) N200,ソフトウェアとしてUSRP用のドライバであるUSRP Hardware Driver (UHD)とC++を用いる.無線全二重・マルチホップ通信の実装では,ハードウェアとしてWARPv3,ソフトウェアとしてWARPLabを用いる.これらのデモンストレーションにより,新たな無線通信方式を実機上で実証的に考察する環境を整えられることを示す.

DS-10
題名Adaptation of Storm to Large Scale Distributed Publish/Subscribe System
著者*Masanao Matsuura (Nara Institute of Science and Technology), Satoshi Matsuura (Nara Institute of Science and Technology/National Institute of Information and Communications Technology), Atsuo Inomata, Kazutoshi Fujikawa (Nara Institute of Science and Technology)
Pagepp. 2128 - 2132
KeywordPublish/Subscribe, Large scale sensor network, Stream data processing, Complex event processing
AbstractPublish/Subscribe model is a solution for real-time stream processing on wide area sensor networks. However there is still a significant issue that Publish/Subscribe system does not guarantee message reachability. Large scale distributed systems are required to achieve scalability. To tackle these issues, we implement a real-time Publish/Subscribe sensor networking system using Storm, one of a complex event processing engines which has an ability to guarantee processes reachability in cluster system. In this demonstration, we visualize our system and show its performances.

DS-11
題名距離画像による空間情報マッチングに基づくマーカレスARシステムの設計と実装
著者*山川 健司, 梶 克彦, 河口 信夫 (名古屋大学大学院 工学研究科)
Pagepp. 2133 - 2140
Keyword距離センサ, ポイントクラウド, マーカレスAR
Abstract実世界の映像にデジタル情報を重畳表示するAR (拡張現実感) には,姿勢追従や位置推定が必要となる.本研究では室内におけるマーカレスARを取り扱う.マーカレスARの課題の1つとして環境の変化が挙げられる.例えば,環境光の変化,オブジェクトの見え隠れ,移動などにより姿勢追従や位置推定の精度が低下する.これらに強いロバストな位置推定手法について検討する.室内には天井,壁,机などの平面オブジェクトが多く存在する.そこで,これらの平面の組み合わせのパターンに注目する.本稿では,平面同定と,平面によって構成される3次元空間情報(以下,シーン)の同定手法を提案する.シーン中に含まれる平面の数,平面間の角度,平行な平面間の距離をシーンの特徴量として用いる.空間情報の取得には,距離画像センサを用いる.評価実験では,実際の室内環境を用いてマッチングを行った.結果としてはすべての学習済み環境が正しく同定でき,未学習の環境は該当なしの結果を得た.

DS-12
題名パラメトリックスピーカーを用いた音楽ゲームSound Shootingの提案
著者*小山内 晴紀, 澤野 弘明 (愛知工業大学 大学院経営情報科学研究科), 土屋 健 (諏訪東京理科大学 経営情報学部), 小柳 恵一 (早稲田大学 理工学術院)
Pagepp. 2141 - 2144
Keywordパラメトリックスピーカー, 音楽ゲーム
Abstractアミューズメント施設に設置されているゲームのエンターテインメント性の要素の一つに音がある.本論文ではユーザが音源の位置を自在に変化させ,タイミングに合わせて効果音を発生させる音楽ゲーム``Sound Shooting''を提案する.このゲームを実現させるに,音が一直線上に進み,壁などの遮蔽物で音が反射する性質を持つパラメトリックスピーカーを用いる.ユーザがパラメトリックスピーカーを手に持ちスクリーンに向けることで,スクリーン上の音源の位置が制御され,アクションと連動した立体的な音響効果の演出を行う.

DS-13
題名スマートフォンを用いた麻雀自動得点計算システムの提案
著者*松井 雪治, 澤野 弘明, 水野 慎士 (愛知工業大学大学院)
Pagepp. 2145 - 2150
Keyword麻雀, デジタルコンテンツ, 画像処理
Abstract本稿では,画像処理を用いて麻雀の自動得点計算を行うシステムを提案する. 麻雀は将棋やリバーシといったテーブルゲームに比べ,ルールが複雑である. その中でもあがり時の得点計算は,符点と役の種類及び飜数(ハンスウ)によって得点が計算されるが これらの組み合わせが複雑なため,初心者がプレイするには難解である. そこで本研究では,麻雀の得点計算を支援するため,スマートフォンを用いた麻雀の自動得点計算システムを提案する. 提案システムでは,初心者がスマートフォンを用いて麻雀のあがり時の手牌を撮影することで,自動で手牌を認識し,得点計算を自動に行うものである.

DS-14
題名カルタを使ったデジタルコンテンツの提案
著者*内藤 将司, 水野 慎士 (愛知工業大学大学院)
Pagepp. 2151 - 2156
Keywordカルタ, 画像処理, 音声認識, デジタルコンテンツ
Abstract本論文では,主に子どもの参加者がカルタをより楽しむことを目的として,カルタ遊びにデジタル技術を活用したカルタ遊び支援システムを提案する.読み手が読み札を読むことで,場に並べられた絵札を自動的に見つけ出して提示するもので,カルタ遊びが苦手な人を支援したり,システムと対戦したりすることができる.カルタは日本の伝統的な文化の一つであり,知育としての側面がある.そこで,カルタで遊んだことのない子どもに本システム用いてカルタ遊びを楽しんでもらうことで,日本の歴史・文化に興味を持ってもらいたいと考える.カルタは愛知県名古屋市中区の長者町繊維街がまちおこしの一環として作成された”長者町カルタ”を使用している.

DS-15
題名CGと音でお絵描きを拡張する不思議なスケッチブック
著者*近藤 菜々子, 水野 慎士 (愛知工業大学 大学院)
Pagepp. 2157 - 2164
Keywordコンピュータグラフィックス, お絵描き, サウンド, インタラクティブ, デジタルコンテンツ
Abstractスケッチブックへのお絵描きは,ペンやクレヨンさえあればいつでもどこでも始められ,特に子供たちにとっては最も身近な芸術制作の一つである.そのため,スケッチブックへお絵描きするような感覚で二次元および三次元のCGを制作できるコンピュータアプリケーションが数多く開発されており,画像処理技術などを用いてお絵描き表現の拡張を試みているものも少なくない.しかし,これらのアプリケーションをスケッチ感覚で扱うには液晶ペンタブレットなどの機器が必要であり,子供たちが自由自在にお絵描きするには画面サイズが不十分である場合も存在する.そこで,本論文ではスケッチブックに描かれた絵をカメラで撮影して画像処理やCG生成やサウンド生成を施すことでお絵描きを拡張する映像ツールを提案する.ユーザは普通のスケッチブックに普通のカラーペンで自由にお絵描きするだけである.そして,お絵描き中やお絵描き後にWebカメラを通して絵を眺めると,絵が立体的に変形して動き出したり様々なステレオサウンド発生をしており,ユーザは絵に基づく映像とサウンドの変化を楽しみながらスケッチブックへお絵描きすることができる.本論文では,お絵描き拡張映像ツールの概要と実現方法を述べるとともに,子供らを対象としたお絵描き実験について報告する.

KS-1
題名(企業展示) 無人移動ロボット用バーチャルテストコース・環境シミュレータ
著者*藤井 北斗, 平松 裕二, 神谷 剛志 (ヤマハ発動機株式会社 イノベーション研究部 知的システムGr)
Pagep. 2165

KS-2
題名(企業展示) Scenargie -DTN研究への活用-
著者*金田 茂, 前野 誉 (株式会社スペースタイムエンジニアリング)
Pagep. 2166

KS-3
題名(企業展示) 車載Wi-Fi の利用を想定した災害時伝言サービス
著者*大西 亮吉, 松本 真紀子, 渡部 聡彦, 吉岡 顕 (株式会社トヨタIT開発センター 研究部)
Pagep. 2167


セッション SP  特別講演
日時: 2013年7月11日(木) 16:25 - 17:25
部屋: 大会場
座長: 本郷 節之 (北海道工業大学)

SP-1 (時間: 16:25 - 17:25)
題名(特別講演) デジタルファブリケーションが拓くもの作りの未来
著者*田中 浩也 (慶應義塾大学 環境情報学部)
Pagep. 2168
Keywordものづくり, FabLab, デジタルファブリケーション