題名 | 多数の無線LANにおける干渉とキャプチャエフェクト解析 |
著者 | *磯村 美友 (お茶の水女子大学), 三好 一徳, 山口 一郎 (NEC), 熊谷 菜津美 (お茶の水女子大学), 村瀬 勉 (NEC), 小口 正人 (お茶の水女子大学) |
Page | pp. 1812 - 1818 |
Keyword | 無線LAN, 干渉, キャプチャエフェクト, チャネル |
Abstract | 近年,モバイルルータやテザリングなどの普及により個人が移動無線LANを持ち歩き,会議の場やカフェなど外出先で利用する機会が増えている.会議など一カ所に多くの無線LANが集中する場合には,近隣のチャネルの使用のみならず同一チャネルを共有せざる得なくなる.このとき,周波数スペクトラムが重なり,ノイズが増加してしまう電波干渉が大きくなるため,スループットなど通信品質が大きく低下する恐れがある.多数の無線LANが干渉を及ぼし合うといったモデルはこれまでほとんど解析されておらず,干渉下での通信品質の劣化,及び,この劣化のメカニズムは明らかではなかった.本稿では,品質特性を特徴づける要因であるCSMA/CAにおけるキャリアセンスおよびキャプチャエフェクトに焦点を当て,多数の近接する無線LANのスループットを解析した.具体的には,無線LAN間の距離とスループットの関係および無線LAN間のチャネル差とスループットの関係を,市販実機を用いて,計測調査した.無線LAN同士の干渉の影響は,チャネル差で生じるスペクトラムの重なり具合および距離による電波の強弱に起因する信号対ノイズ比で決まるキャプチャエフェクトが十分に発揮される環境で有れば,品質劣化にはつながらないことなどを明らかにした. |
題名 | 近接する多数の無線LANにおけるマージ方法と特性評価 |
著者 | *熊谷 菜津美, 磯村 美友 (お茶の水女子大学), 村瀬 勉 (NEC), 小口 正人 (お茶の水女子大学) |
Page | pp. 1819 - 1826 |
Keyword | 無線LAN, 干渉, TCP |
Abstract | 近年,モバイルルータやテザリングなど移動無線LANシステムが増加している.このことから,従来の想定以上の多くの無線LANシステムが近距離にひしめくことが多くなってきた.近距離の場合,従来と違った要因で生じる品質特性が現れる.本稿では,TCPを用いた場合の多数の無線LANが密集する状況におけるスループット特性を,実機を用いて評価する.TCPの場合,送達確認を含む輻輳制御の機能を持つことから,UDPとは大きく異なる特性になりうる.さらに,複数無線LANを1つに統合する無線LANのマージ方法を検討し,端末数変化とバッファ量変化とキャプチャエフェクト変化などがスループットに与える影響を評価する.評価結果の応用の一例として,マージによりスループットと引き換えにバッテリの有効活用(省エネルギー),あるいは通信可能時間の延長に効果があることを示す. |
題名 | マルチホップマルチレートネットワークにおける公平なフロー品質実現のための通信制御 |
著者 | *藤井 聡佳 (お茶の水女子大学), 村瀬 勉 (NEC), 小口 正人 (お茶の水女子大学) |
Page | pp. 1827 - 1832 |
Keyword | マルチホップネットワーク, 無線LAN, モバイルルータ, スループット, 経路選択 |
Abstract | マルチホップマルチレートネットワークでは,ノード間でトラヒックをリレーすることにより,近隣のアクセスポイント(AP) から所望の目的地に通信が可能であるが,そのQoS(例えばスループット) は,各ユーザの接続先選択方法に大きく依存する.例えば,無線LAN の特徴と関連して,マルチレート通信による通信品質劣化の問題や,マルチホップ通信におけるホップ数増加にともなう通信品質劣化の問題がある.また,マルチホップ通信でのトラヒック中継時,中継ノードは転送トラヒックだけでなく自身のトラヒックも送信する可能性が高いことや,中継ノードに接続するユーザは,状況に応じた制約内で接続先を選択可能であることが特徴として挙げられる.しかし,マルチホップ通信でのスケジューリングに着目した制御と,マルチレート通信における特性を考慮した接続先選択制御を同時に考慮した適切な接続先選択と,そのときのスループットとの関係は明らかになっていない.そこで本稿では,マルチホップマルチレートネットワークにおいて,各ユーザが中継ノードの設定するスケジューリングに応じた適切な接続先選択をした場合の,スループットへの影響を評価した. |
題名 | 指向性無線通信における最小送信間隔推定に基づくQoS制御方式 |
著者 | *海津 悠輝, 阪田 史郎, 小室 信喜 (千葉大学大学院 融合科学研究科) |
Page | pp. 1833 - 1836 |
Keyword | 指向性アンテナ, アドホックネットワーク, 優先制御 |
Abstract | 無線通信端末が数多く社会に普及しつつあり,現在の主要な通信方法である全方位に電波を発信する無指向性通信では空間利用効率に限界がある. そこで,近年は送受信における電波干渉を抑制することができる指向性無線通信に注目が集まっている. 指向性MACプロトコルの中でも,輻輳等の原因で通信が失敗した際に別方向のフレームを先に処理することでネットワーク全体のスループットを向上させる,OPDMAC(Opportunistic Directional MAC)が提案されている. また,近年ではリアルタイムサービスを中心として通信の品質(QoS:Quality of Service)が重要視されるようになっている. 本稿では,指向性無線通信においてROCを用いて優先通信のスループットを確保する一方で,優先通信に干渉しない範囲で非優先通信を増加させ,ネットワーク全体の性能を向上させる優先制御方式を提案する. シミュレーション評価により,提案方式が有効であることを示す. |
題名 | 複数ロボットの移動協力によるリンクアグリゲーション通信の性能評価 |
著者 | *野田 勇人, 村瀬 勉, 笹島 和幸 (東京工業大学) |
Page | pp. 1837 - 1842 |
Keyword | QoS, モバイル, ロボット, マルチメディア |
Abstract | 本論文では、無線通信可能な複数の移動ロボットに対しリンクアグリゲーションを適用した際に、ロボット同士が協調して移動したときの効果を評価する。それぞれのロボットは2種類の回線を持つ。移動ロボット間で短距離広帯域通信を行うことが出来るWLAN回線と移動ロボットーセンター基地間で遠距離狭帯域通信を行うことが出来る3G回線である。リンクアグリゲーションを用いることで、ある一つの移動ロボットが大量のデータ(高精細な動画像等)をリアルタイムでセンター基地へ送信したい場合に他ロボットの3G回線を束ねて高速な通信を実現することが出来る。しかしこのとき、ロボット間距離が大きいこと等が原因でロボット間のWLAN回線の帯域幅が狭くなり、束ねた回線のスループットが所望の大きさに達しない場合がある。このとき、大量データを送信したいロボットに周辺のロボットが近づくことにより所望のスループットを実現することを考える。その近づき方について最適問題を定式化し、結果を評価する。本研究成果により、地雷埋設地域や被災地のロボット調査で、例えば高精細な動画像などをリアルタイムで受信することが出来る。 |