題名 | 作物の生育に伴う太陽光発電量変化を予測したモバイルセンサノードによるフィールド被覆法 |
著者 | *江藤 大 (奈良先端科学技術大学院大学), 勝間 亮 (大阪府立大学), 玉井 森彦, 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学) |
Page | pp. 1286 - 1293 |
Keyword | 無線センサネットワーク, エナジーハーベスティング, モバイルセンサノード |
Abstract | 近年,多数のセンサノードによって構成される無線センサネットワーク(以下,WSN) が注目されている.WSNには定期的に環境情報を収集するデータ収集型WSNがあり,センシング対象とする領域全体を常に被覆することと,必要な期間以上ネットワークが動作することが求められる.近年,WSNにモバイルノードを利用した研究が盛んに行われている.しかし,モバイルノードは移動するために必要な電力消費が大きいため,稼働時間を著しく短縮させないよう,移動距離は最小にしなければならない. センサノードの稼働時間延長のための技術として,環境エネルギーから電力供給可能なエナジーハーベスティング技術,特に太陽光発電が注目されている.しかし,太陽光発電は日照量によって発電量が変化し,特に日陰の領域では日照量が少なく,十分な発電量が期待できない.そこで本研究では,十分な発電量を獲得し,かつ,対象領域の全被覆を一定期間以上維持するために必要なノード数を最少化するための,モバイルノードの移動スケジュールを決定する方法を提案する.提案手法では,各ノードの現在の位置と日時からセンシングを行う各地点の発電量を予測することによって,電池残量の少ないノードの発電量が大きくなるように各ノードの移動経路を決定する.そして,領域の全被覆を一定期間以上保つことができる最少のノード数を求める.太陽光発電量と駆動機能による消費電力量を測定する予備実験を行い,その結果に基づき提案手法を用いてWSNを運用した場合のシミュレーションを行った.結果,静止ノードのみを用いた場合と比較してノード数を33%抑えることができた. |
題名 | 無線センサネットワークにおけるモバイルシンクへのデータ転送効率化のためのプッシュ型およびプル型接続状況共有手法の統合について |
著者 | *吉村 武, 松尾 和哉, 神崎 映光, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻) |
Page | pp. 1294 - 1301 |
Keyword | 無線センサネットワーク, モバイルシンク, データ転送, 接続状況 |
Abstract | 本稿では,観測領域内を自由に移動する多数のモバイルシンクが存在する無線センサネットワークにおいて,モバイルシンクへのデータ転送を効率的に行う手法を提案する.提案手法では,各センサノードにおけるモバイルシンクとの接続状況に基づき,データの転送先を決定する.接続状況に関する情報の共有方法として,筆者らがこれまでに提案したプッシュ型およびプル型の手法を統合し,接続状況が良好なセンサノードからの通知とデータを保持するセンサノードからの情報要求を併用する.ここで,通知と要求それぞれにおけるフラッディングの範囲を,プッシュ型やプル型より小さく設定することで,従来手法における高いデータ転送効率を維持しつつ,情報共有のためのトラヒックを削減する. |
題名 | バックアップノードの導入による流れるセンサネットワークの信頼性向上手法の基礎評価 |
著者 | *秦 小玥, 三竹 一馬, 前川 寛, 石原 進 (静岡大学大学院工学研究科) |
Page | pp. 1302 - 1309 |
Keyword | センサネットワーク, 下水管の監視, バックアップ, 省電力制御 |
Abstract | 近年、世界中の都市で下水管の老朽化の問題が顕著になっており、道路陥没等の問題が多発している。下水管老朽化の調査を安全で低コストに行うために、筆者らは複数の小型のセンサを利用した「流れるセンサネットワーク」のアーキテクチャを提案している。「流れるセンサネットワーク」について、水路沿いに設置されたアクセスポイントとセンサノードの接続機会が限定的であるという条件の下、消費電力、端末数を抑えるため、各ノードが間欠的に起動し、センシングと観測データの転送を行うというような方式を利用する。また、各センサノードは定期的に1ホップ通信範囲で一つの代表ノードを選ぶ。センサノードは観測データを代表ノードに転送した後、休眠状態になる。代表ノードは起動状態を維持し、アクセスポイントと通信できる時に、収集したデータをアクセスポイントに転送する。しかし、代表ノードの故障や電力枯渇により、収集されたデータがアクセスポイントへ転送されなかった場合、収集したデータが失われ、流れるセンサネットワークのデータの回収率が低下する。本論文では、バックアップノードを導入し、代表ノードがアクセスポイントにデータを転送できなかった場合にも、バックアップノードがデータを保持し、代表ノードとして起動した時に、バックアップデータをアクセスポイントに転送することで、流れるセンサネットワークのデータの回収率を向上するための方式について検討する。シミュレーションの結果、バックアップノードを導入した流れるセンサネットワークによってより高い観測データの回収率が達成できることを確かめた。 |
題名 | スマートフォンを活用した屋内環境における混雑センシング |
著者 | *西村 友洋, 樋口 雄大, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学 大学院情報科学研究科) |
Page | pp. 1310 - 1321 |
Keyword | モバイルコンピューティング, モバイルセンシング, 歩行者ナビゲーション, 混雑度推定, 行動推定 |
Abstract | 近年,スマートフォンの普及に伴い,歩行者向けのナビゲーションが広く利用されているが,群衆による混雑状況が反映されていないのが現状である.日常的に多くの人々が往来する地下街や商業ビルなどにおいて,各地点の混雑状況を把握することができれば,ユーザの状況に応じた移動支援が可能になると考えられるが,混雑状況を安価に検知する方法論や技術は近年始まったばかりである.本論文では,スマートフォンに内蔵されたマイク及び加速度センサを用いて混雑時の周囲の音及びユーザの歩行動作をセンシングすることで,周辺の混雑状況をモバイル端末上で推定する手法を提案する.一般に混雑時には群衆の歩行速度に合わせて移動するため加速度に変化が生じる.また,人による混雑時において振幅が増大する低周波数領域を抽出し,これらの特徴量を合わせて混雑判定を行う.実環境において性能評価実験を行い,周辺の混雑状況を平均約70%の精度で認識できることを確認した. |
題名 | 群衆間情報共有のためのスケーラブルな通信プラットフォーム |
著者 | *樋口 雄大, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学 大学院情報科学研究科), 高井 峰生 (Space-Time Engineering, LLC/大阪大学 大学院情報科学研究科/University of California, Los Angeles) |
Page | pp. 1322 - 1333 |
Keyword | 遅延耐性ネットワーク, モバイルセンシング, グループモビリティ, クラスタリング |
Abstract | 携帯電話端末群から取得されるセンサ情報をネットワークを介して集約することで,環境内の状況をリアルタイムに認識するモバイルセンシング技術への期待が高まっている.本稿では,イベント会場など多くの人々が往来する環境において,モバイル端末上で定期的に発生するセンサ情報を,端末間で省電力に共有するためのDTNプロトコルを提案する.情報共有の遅延を抑えるためには,ノード間の遭遇を確実に検出することが求められるが,各ノードが高い頻度で近隣デバイスの探索を繰り返した場合には,端末の消費電力の増大や帯域利用効率の低下を招く.提案手法では,ノード間の過去一定期間の接続関係の履歴をもとに,ノード群の中から類似した移動の振る舞いをとるグループを検出し,それらのノード間で連結なネットワーク(クラスタ) を構成する.クラスタ内のネットワークを介して,通信リンクの管理や近隣ノードの探索をクラスタ単位で協調的に行うことで,消費電力や通信オーバヘッドの軽減を図る.シミュレーション実験によって提案手法の性能を評価し,従来手法と比較して,メッセージの到達率を保ちつつ,デバイス探索の実行頻度を大幅に軽減できることを示した. |