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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2013)シンポジウム

セッション 3C  実空間・拡張現実
日時: 2013年7月10日(水) 17:05 - 19:05
部屋: 白樺
座長: 米田 貴雄 (三菱電機)

3C-1 (時間: 17:05 - 17:25)
題名実世界のモノと関連づけたアイデアの共有による発想支援システム「ものぴこん」の開発と評価
著者*吉野 孝, 松原 嘉那子 (和歌山大学/システム工学部)
Pagepp. 599 - 607
Keyword発想支援, 拡張現実感, アイデア共有
Abstract創造能力低下の原因として,日常生活における継続的な創造的思考の機会の減少が挙げられている.本研究では,人は実空間上の「もの」を見ることで視覚刺激を受け,新しいアイデアを発想できるということに着目した.そこで,特定物体認識技術を用いることで,身の回りの「もの」を介してアイデアを日常的に共有するシステム「ものぴこん」の開発を行った.「もの」につけられたアイデアは,不特定多数のユーザと共有することができる.システムの発想への影響を検証するために,既存の発想方法との比較実験を行った.また,長期的なアイデアの記録を継続できるかどうか検証するために,ノートを用いたアイデア記録との比較実験を行った.本研究の知見は以下の4点にまとめられる.(1)本システムを用いて実空間における発想のきっかけを提供することは,発想の助けになる可能性を示した.(2)屋外におけるアイデアの記録は,ノートと比較して本システムの方が容易であった.(3)本システムを用いて,「もの」を介したアイデアの共有を行うことにより,新しいアイデアを発想する傾向があることを明らかにした.(4)本システムはアイデアを発想する機会を増加させ,「もの」が発想のヒントとなり,アイデアの発想を容易にすることがわかった.

3C-2 (時間: 17:25 - 17:45)
題名家具をインテリジェント化するデバイスの実装と評価
著者*宮田 章裕, 有賀 玲子, 宮下 広夢, 柳沢 豊, 佐藤 隆, 井原 雅行, 小林 透 (日本電信電話株式会社)
Pagepp. 608 - 616
Keyword家具, センサ, ホームICT, インタラクション, 加速度
Abstract本論文では,家具をインテリジェント化するデバイスを提案し,検証実験の結果を報告する.家庭内の家具を操作したとき,自動的に機能が実行されると暮らしが便利になると思われる.例えば,玄関のドアを開けたとき,今から間に合う電車の発車時刻をユーザに提示する機能が実行されれば,ユーザはわざわざ電車の発車時刻を調べる手間が省ける.しかし,既存手法では,ユーザが家庭内にも関わらず何らかのデバイスを装着したり,特殊なジェスチャを行ったりしなくてはならない場合が多い.利便性を高めるためには,コンピュータを明示的に意識・操作することなく,普段どおりに家具を操作するだけで済むことが望ましい.我々が提案する小型デバイスは,加速度センサやスピーカなどを内蔵し,ユーザはこれを接着した家具を普段どおりに使うだけで,デバイスから音声出力される機能の実行結果を確認できる.本技術はどの国の一般家庭にも数多く存在する可動家具(引き出し,ドア,郵便受けなど)に広く適用可能である.機能を実行するためのトリガ操作(ドアを開けるなど)をシステムに登録する方法も簡単であり,ユーザはトリガ操作を1回実行するだけでよい.

3C-3 (時間: 17:45 - 18:05)
題名つぶやきを用いた溜まり場でのインフォーマルコミュニケーション支援システム
著者*木下 覚 (筑波大学大学院 システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻), 田中 二郎 (筑波大学 システム情報系)
Pagepp. 617 - 624
Keywordコミュニケーション支援, インフォーマルコミュニケーション, 拡張現実感
Abstract情報技術が発展し, 様々なコミュニケーション手段が用意された現代においても, 雑談, つまりインフォーマルコミュニケーションは主要なコミュニケーション手段の一つである. インフォーマルコミュニケーションを通じて人間関係の維持発展や知識・アイデアの交換をおこない, スムーズな共同作業そして豊かな創作活動をおこなっていると考えられる. また, 私たちの身の回りにはリフレッシュルームや休憩スペースといった, たまり場と呼ばれる場所が存在する. ここでは, しばしば人々が集まりインフォーマルコミュニケーションをおこなっている. 本研究では, このたまり場という空間を利用し, そこでおこなわれるインフォーマルコミュニケーションを触発することを目的としたシステムを提案し実装を行う. システムでは, モバイル端末を用いてたまり場につぶやきの投稿をおこなう. ユーザが投稿したつぶやきはたまり場を介して共有され, 互いに閲覧することができる. システムの利用により,「たまり場に集まること」「インフォーマルコミュニケーションをおこなうこと」の2点が促される.

3C-4 (時間: 18:05 - 18:25)
題名空き時間の有効利用をめざす位置情報と拡張現実を用いた情報共有システムの提案
著者*山口 涼太, 伊藤 淳子, 宗森 純 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 625 - 631
Keyword位置情報, 拡張現実, スマートフォン, カメラ画像, WEBサービス
Abstract近年,iPhone,Androidなどのスマートフォンの普及率は増加傾向にあり,これによりスマートフォン向けの位置情報を用いた拡張現実(AR)アプリケーションが普及し知名度も上がっているが,通常の情報ツールと比べると利用者数の伸びが著しいとは言えない.本研究では,ユーザーが時間の有効利用ができる場所及び方法の発見を促進できることを目指し,カメラ画面に位置情報を付随した情報を重ね合わせて提示し,自動的に周辺情報をまとめた画面に遷移し閲覧するシステムを提案する.このシステムの一連の操作に対し煩わしさを感じさせないようシステムの利用時間を短く済ませることと,外出先で目的地とは別の場所で空き時間が生じた場合,システムを利用し,空き時間を有効利用できる周辺情報を入手するきっかけを提供し,空き時間の有効利用の支援を目指す.

3C-5 (時間: 18:25 - 18:45)
題名ARを用いたコンセントプラグを抜く習慣付け支援システム「ぷらとん」の開発と評価
著者*吉野 孝, 森田 沙奈 (和歌山大学/システム工学部)
Pagepp. 632 - 640
Keyword節電支援, コンセントプラグ, 仮想環境, モチベーション
Abstract現在,東日本大震災の影響で節電が注目されている.一般的な節電方法として,使用していないコンセントプラグを抜き待機電力を減らす方法がある.しかし,この方法はコンセントプラグを抜く習慣を身につける必要がある.そこで,コンセントプラグを抜く習慣を形成するためのシステム「ぷらとん」を開発した.ぷらとんはコンセント上にARでキャラクタを表示し,そのキャラクタを育成するシステムである.コンセントをARマーカとするため,コンセントプラグを抜かなければ利用できない.システムの有用性を検証するために,23日間の実験を行った.本研究の知見は以下の3点にまとめられる.(1)システムの利用によりコンセントプラグを抜く習慣を身につける可能性がある.(2)予測しにくいキャラクタの変化は利用者に「楽しみ」を与え好まれる.(3)情報の共有は競争意識を高め利用意欲となる可能性があるが,活発に情報を交換しなければ利用意欲とはならない.