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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2013)シンポジウム

セッション 3B  アドホックネットワークとP2P
日時: 2013年7月10日(水) 17:05 - 19:05
部屋: 柏・ポプラ
座長: 吉廣 卓哉 (和歌山大学)

3B-1 (時間: 17:05 - 17:25)
題名アドホックネットワークにおけるデータの複製を考慮したk最近傍データ検索手法
著者*駒井 友香, 佐々木 勇和, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 553 - 560
Keywordアドホックネットワーク, k最近傍検索, 複製配置, 位置依存サービス
Abstractk最近傍検索は,指定された位置(クエリポイント)に対して,その位置から距離の近い上位k個の位置依存データ(k最近傍データ)を取得する検索方法である.本稿ではアドホックネットワークにおいて,データの複製を用いて,トラヒックおよび検索時間の低減を目的とするk最近傍データ検索手法を提案する.提案手法では,クエリポイントをクエリを発行する端末の位置と想定するため,移動時に周辺端末とメッセージの交換を行い,複製を近傍データに更新する.検索時には,検索範囲内の各端末が,自身の保持するデータの複製に関連する地理的範囲と検索範囲の重複が大きいほど早く返信を行い,返信を傍受した端末は,返信済みの範囲のデータを返信しない.これにより,できるだけ少ない端末による重複のないデータの返信を実現する.シミュレーション実験より,提案手法は取得精度を維持しつつ,トラヒックおよび検索時間を低減していることを確認した.

3B-2 (時間: 17:25 - 17:45)
題名モバイルアドホックネットワークにおけるクラスタを用いたTop-k検索のためのルーティング手法
著者*天方 大地, 佐々木 勇和, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 561 - 568
KeywordTop-k検索, クラスタリング, ルーティング
Abstractユーザが指定する検索条件に基づいてデータのスコアを決定し,上位k 個のスコアをもつデータを検索するTop-k 検索への関心が高まっている.本稿では,モバイルアドホックネットワークにおいて,検索結果の取得に必要な端末のみでTop-k 検索を行うことを目指し,クラスタを用いたTop-k 検索のためのルーティング手法,CTR(Cluster-based Top-k query Routing) を提案する.CTR では,スコアが大きいデータをもつ端末がクラスタヘッドとなるクラスタリングを行い,複数のクラスタに属するノード(ゲートウェイノード)を介してクラスタヘッド間で検索クエリのルーティングを行う.各クラスタヘッドは,スコアが大きいデータまでのホップ数を管理し,自身が検索する必要のあるデータを自律的に判断する.これにより,取得精度を維持しつつ,不要な検索クエリの転送を抑止する.シミュレーション実験の結果から,提案手法は,高い取得精度を維持しつつ,低オーバヘッド,および低遅延を達成していることを確認した.

3B-3 (時間: 17:45 - 18:05)
題名アドホックネットワークにおけるデータ差替え攻撃を考慮したTop-k検索手法および攻撃端末特定手法
著者*津田 琢士, 駒井 友香, 佐々木 勇和, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 569 - 576
KeywordTop-k検索, アドホックネットワーク, データ差替え攻撃
Abstractアドホックネットワークでは,通信帯域が限られているため,端末が何らかの値(スコア)によって順序付けられたデータの上位k 個のものを検索するTop-k 検索を用いることが有効である.しかし,外部からの攻撃により,ネットワーク内の端末が攻撃端末となった場合,正確な検索結果の取得を妨害される恐れがある.本稿では,攻撃端末が受信したデータを自身が保持するスコアが低いデータに差し替えて返信(データ差替え攻撃とよぶ)を行うことを想定し,アドホックネットワークにおけるデータ差替え攻撃を考慮したTop-k 検索手法および攻撃端末特定手法を提案する.提案手法では,クエリ応答を複数の経路によって送信することで,取得精度を維持する.また,クエリ応答の転送経路をメッセージに添付して送信することで,クエリ発行端末は,データ差替え攻撃を検知することができる.さらに,この情報を用いて,攻撃端末候補を絞り込み,攻撃端末候補のデータの送信先端末にデータの受信状況を問い合わせることで,攻撃端末を特定する.シミュレーション実験の結果から,提案するTop-k 検索手法は,複数経路でクエリ応答を送信することで取得精度を維持でき,さらに攻撃端末特定手法により,攻撃端末を高い確率で特定できることを確認した.

3B-4 (時間: 18:05 - 18:25)
題名複数の異なる配信周期を扱うP2P型センサデータストリーム配信システムのための負荷均等化手法
著者*川上 朋也 (神戸大学), 石 芳正, 義久 智樹 (大阪大学サイバーメディアセンター), 寺西 裕一 (独立行政法人情報通信研究機構/大阪大学サイバーメディアセンター)
Pagepp. 577 - 584
Keywordセンサデータ, データストリーム, 配信周期, 分散処理, P2P
Abstractライブカメラや環境センサといったセンサデータを周期的に収集して,収集するたびに利用者に対して配信するセンサデータストリーム配信が近年注目されている.センサデータストリーム配信では,配信先は用途によって異なる周期で要求することが考えられる.我々のグループでは,複数の配信先が異なる周期で要求する環境を想定し,配信元の負荷を分散する手法を提案した.これらの手法では,異なる配信周期のセンサデータストリームに含まれる同じ配信時刻のセンサデータを配信先間で送受信することで,配信元および配信先の通信負荷を分散している.しかし,配信先が携帯電話の場合など,配信先がセンサデータを再送信することが困難な状況が考えられる.そこで本研究では,複数の異なる種類のセンサデータストリームが混在する環境での配信システムにおいて,特定の種類および周期を指定する配信先端末に対し,配信にかかる負荷を複数のコンピュータで分散しつつセンサデータストリームを中継する負荷均等化手法を提案する.

3B-5 (時間: 18:25 - 18:45)
題名P2P Live Streamingにおけるインセンティブを考慮したチャンクスケジューリングの提案
著者*酒田 良樹, 畠山 翔, 重野 寛 (慶應義塾大学大学院)
Pagepp. 585 - 592
KeywordP2Pライブストリーミング, インセンティブ, Buffer Map
AbstractP2P ライブストリーミングサービスでは,ピアは受信した動画の他のピアへの送信も行うことにより,サーバの配信負荷を軽減している.動画はチャンクに分割されて配信され,各ピアはチャンクを受 信し元の動画に復元することで視聴できる.ピアに積極的にチャンクを送信させて配信サーバの送信負荷を下げるために,チャンク送信量に応じた量だけチャンク受信を許可するという,Tit-for-tat アルゴリズムが広く導入されている.しかし,既存手法では,隣人のチャンク保持情報の把握のために必要なバッファマップ交換がピアの送信帯域を圧迫し,チャンク転送が行えなくなるという問題点がある.そこで本論文では,インセンティブP2P ライブストリーミングサービスにおいて,バッファマップ交換においてもTit-for-tat を導入しバッファマップ交換数を抑制する手法BEMUT(Buffer Map Exchange Method Using Tit-for-tat)を提案する.提案手法により,ピアの帯域と隣人ピアのチャンク保持情報を考慮し適切 にバッファマップ交換を行うことにより,ピアの送信帯域を有効に活用する.また,シミュレーション評価により,各ピアの動画受信品質の改善を示す.

3B-6 (時間: 18:45 - 19:05)
題名端末特性を考慮したSkipGraph構成方法の提案
著者*安友 洋平 (公立はこだて未来大学大学院), 中村 嘉隆, 高橋 修 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 593 - 598
KeywordP2P, SkipGraph, 端末特性, 離脱率, 通信速度
AbstractSkipGraphはデータ構造であるSkipListをP2Pに適応したオーバーレイネットワークである.SkipGraphはハッシュ値を扱わないためにDHTでは実現が困難な範囲検索などが容易にできる特徴を持つ.従来のSkipGraphは,ピアの性能や通信環境などを考慮しておらず,すべてのピアを一様に扱う.しかし,実環境においては,端末毎に通信環境や性能は異なる.そのために,このような実環境を考慮した際,SkipGraphのトポロジの構成によっては検索効率を悪化させる.本研究では,この様なピアの特性のなかでも通信環境について主に考慮し,通信速度や帯域などの点からそれらを4つに分類し,伝送遅延が小さいピアほど優先的に検索を行うような,SkipGraphを構築する手法を提案する.