題名 | ICT演用環境における投票による集団的意思決定アルゴリズムの提案と評価-期待効用モデルにおける投票行動を考慮した- |
著者 | *池谷 健吾, 奥田 隆史, 井手口 哲夫, 田 学軍 (愛知県立大学大学院 情報科学研究科 情報システム専攻) |
Page | pp. 305 - 311 |
Keyword | 集団的意思決定, 選挙, マルチエージェント, 社会情報システム |
Abstract | 現在,社会のあらゆる分野においてICT(情報通信技術)は演用されている.ICTとは,時間や場 所に関係なく人間同士,人間と機器,機器同士がリアルタイムで情報交換をすることが容易となる技術で あり,現在の日本における高度情報社会の基盤となっている.一方,現行のICTを演用していない我が国 の選挙では,多様化する個々の意志が,反映できないという問題が生じている.この民意非反映問題を解 決するために,本稿では,シミュレーション上でICTを演用した環境における投票による集団的意思決定 のシーン,すなわちICTを演用した選挙を想定し,ICT演用による投票者および候補者への影響を調査し 検討する.そして,そのような環境に適した集団的意思決定アルゴリズムを提案し評価する. |
題名 | Social-MRCにおける一般関与者への情報提供システムの提案 |
著者 | *市川 恵一, 吉原 正寛, 矢島 敬士, 増田 英孝, 佐々木 良一 (東京電機大学) |
Page | pp. 312 - 315 |
Keyword | リスク・コミュニケーション, 集団意思決定, 情報提示, 可視化, 情報体系化 |
Abstract | 近年の情報社会において,情報フィルタリング問題など多重リスクが絡んだ社会的合意形成の問題が重要視され,解決するためにリスクコミュニケーション(以下RC)が必要となっている.特に「情報フィルタリング問題」や「国民ID問題」などの社会的合意形成問題が数多く存在し,その合意形成支援方式の必要性が高まっている.そこで,現在社会的合意形成を支援するシステムであるSocial-MRCを開発している.Social-MRCはMRC-StudioとMRC-Plazaの2つのシステムから成り立っている.MRC-Studioは専門家であるオピニオンリーダ間の合意形成を支援し,MRC-Plazaは一般関与者のRCへの参加と意思表示を支援する. Social-MRCの運用実験を行った結果、問題点として一般関与者への動的な情報の提供支援不足が明らかになった.この課題を解決するために,RCの議論中に発生する情報を一般関与者に提供するシステムを提案する. 本稿では,情報提供機能群について提案し,開発を行った.開発機能に関する検証実験,評価について説明すると同時に,今後の展望について述べる. |
題名 | 利用者からの提供情報を積極的に活用した在室管理システムの提案 |
著者 | *田中 優斗 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 福島 拓 (静岡大学大学院工学研究科), 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部) |
Page | pp. 316 - 321 |
Keyword | 在室管理, 情報共有, コミュニケーション支援, 協調作業支援, パーソナルデータマイニング |
Abstract | 現在,様々な手法を用いて在室管理が行われている.これまでの在室管理に関する研究では,「現時点」の在室情報を提示している場合が多い.しかし,訪問者は目的の人物が不在の場合,次回の訪問日時の把握が困難であると考えられる.そこで我々は,「現在」と「未来」の在室情報を提示し,訪問の支援を目的とした在室管理システム「Docoitter」を開発している.これまでの評価実験の結果,未来の在室情報の提示により,訪問者が研究室メンバの訪問日時の手掛かりを得る可能性を示した.しかし,現在の在室情報は,外れることがあり,現在の在室情報の精度向上が課題点として挙げられた.そこで本稿では,利用者から手動で提供された情報を活用して,精度向上を目指す手法について述べる.また,手動による提供を継続的に得るために,利用者のモチベーション維持支援の検討も行う. |
題名 | 製造業のグローバル設計を支援するクラウドの開発 |
著者 | *塩野谷 友隆, 勝 康夫, 上原 敬太郎 (日立製作所中央研究所) |
Page | pp. 322 - 329 |
Keyword | 産業向けクラウド, 設計業務, 回路検証, グローバル業務, ネットワーク高速化 |
Abstract | 近年,製造業において市場のグローバル化が進んでいる.グローバル市場における製品シェア獲得には,現地ニーズを踏まえた製品の短期間での投入が不可欠であるため,開発設計業務は海外現地へシフトされている.海外設計製品における信頼性確保に向け,高度検証環境の活用が求められているが,海外拠点間においては,ネットワーク転送速度が非常に小さいため,検証環境を共用できないという問題がある.本研究では,製造業向け設計検証環境の海外共用の実現を目的に,大規模データの高速転送機能を有し,Web アクセスベースで検証環境の共有を実現する,グローバル設計向けクラウドサービスを開発している.本稿では,本サービスのフィージビリティ実証を目的に,ネットワーク高速化装置及びデータ抽出ソルバを用いたデータ転送時間の削減効果と,自動車向け制御ソフトウェアの開発における検証作業の効率化効果の試算について述べる.前者に関しては,自動車向け制御ソフトウェア検証環境で実際に用いられる解析ログの転送時間を100 倍以上短縮できることを実証し,後者に関しては,実機を用いる場合の検証業務に要する時間と比較し,30%工数短縮できる見込みを得た. |
題名 | 自己組織化マップを用いた診断群分類番号データの分析と医療情報システムへの応用 |
著者 | *仲濱 正大, 納富 一宏 (神奈川工科大学大学院情報工学専攻), 斎藤 恵一 (国際医療福祉大学情報教育室), 外山 比南子 (国際医療福祉大学大学院) |
Page | pp. 330 - 333 |
Keyword | 医療情報システム, インターネット, グループウェア |
Abstract | 2003年より始まった急性期入院医療を対象とした診療報酬の包括評価制度(DPC/PDPS:Diagnosis Procedure Combination / Per-Diem Payment System)により,患者の疾病別医療行為等の診療情報が標準化され,分析可能な全国統一形式の患者臨床情報であるDPCデータが収集可能となった.我々は過去のDPCデータを対象に,自己組織化マップ(SOM:Self-Organizing Maps)を用いた新しい患者の在院日数予測を試みている.本稿ではDPCコードと合併症数を属性ベクトルに変換し,SOMを用いて分析を行った.その結果,DPCコード別に在院日数が分かれていることが確認できた.また,SOMによる分析結果を利用した医療情報システムへの応用についても検討した. |
題名 | 確率的訪問POI分析: 時空間行動軌跡からのユーザモデリング |
著者 | *西田 京介, 戸田 浩之, 倉島 健, 内山 匡 (日本電信電話株式会社 NTTサービスエボリューション研究所) |
Page | pp. 334 - 345 |
Keyword | ユーザモデリング, 位置情報, POI(Point of Interest), 階層ベイズモデル, クラスタリング |
Abstract | GPSやネットワーク位置情報源(携帯基地局やWi-Fiなど)により得られるユーザの時空間行動軌跡から,そのユーザが訪問した場所(Point of Interest; POI)を推定する確率的訪問POI分析技術を提案する.提案技術は(1)時空間カーネルを用いたMean-shiftクラスタリングによる滞留点抽出法(2)ユーザの真の訪問POIを潜在変数とした,滞留点の位置とその滞留時間に関する確率的生成モデル,から構成され,真の訪問POIが未知の滞留データも学習に利用することで訪問POIを高精度に推定できる.本技術が実現する訪問POIを基にした個々のユーザの行動・嗜好の理解は,情報提供や生活支援などパーソナルアシスタントサービスの品質向上に貢献できる.本論文では,GPS/Wi-FIにより得られた実データによる実験を行い,提案技術が従来手法に比べて滞留点の抽出と訪問POIの推定を精度良く行えたことを示す. |