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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2009)シンポジウム

セッション 5F  MANET−経路構築と移動モデル− (MBL)
日時: 2009年7月9日(木) 10:20 - 12:25
部屋: サクラC
座長: 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学)

5F-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名アドホックネットワークにおけるゾーンを用いた複数経路構築手法の検討
著者*油田 健太郎 (大分工業高等専門学校), 佐原 詩織, 岡崎 直宣, 冨田 重幸 (宮崎大学), 朴 美娘 (三菱電機)
Pagepp. 1062 - 1067
Keywordアドホックネットワーク, 複数経路構築, ロバスト性
Abstract近年,モバイル端末のみで構成されるアドホックネットワークが注目されており,様々なルーティングプロトコルが提案されている.アドホックネットワークでは,バッテリー容量の制限やノードの移動により,接続が安定しない場合が多いが,提案されているプロトコルは単一の経路のみを構築するプロトコルが多い.ロバストな通信手法を実現するためには,複数の経路を構築するプロトコルが求められる.さらに,一定の範囲で通信障害が起こった場合でも他の経路に影響を与えないことが望ましい.そこで本論文では,ゾーンの概念を導入し,ゾーンレベルで重複しない複数構築を簡単な処理のみで構築するZDMR(Zone Disjoint Multiple-path Routing)を提案する.

5F-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名トラヒック状況を考慮したアドホックルーティングプロトコルの検討
著者*森崎 明 (名城大学大学院理工学研究科), 伊藤 将志 (株式会社東芝研究開発センター), 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1068 - 1073
Keywordアドホック, ルーティング, 無線ネットワーク, トラヒック
Abstract無線LANを標準搭載した携帯端末の普及に伴い,無線端末のみでネットワークを構築するモバイルアドホックネットワーク(MANET:Mobile Ad-hoc Network)の研究が注目されている.MANETで提案されている多くのアドホックルーティングプロトコルは,経路生成の際に経路上のトラヒック状態が考慮されていないため,中継ホップ数が最短であれば比較的負荷の高い経路でも選択してしまうという課題がある.本論文ではOLSR(Optimized Link State Routing)を拡張することにより,経路上のトラヒックを考慮した経路生成が可能なアドホックルーティングプロトコルを提案する.

5F-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名Cluster-by-Clusterルーティングにおけるクラスタヘッド選出手法に関する検討
著者*鳴海 寛之 (公立はこだて未来大学大学院), 白石 陽, 高橋 修 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 1074 - 1083
Keywordルーティング, クラスタリング, オーバレイネットワーク, クラスタヘッド
Abstract高移動・高通信頻度の大規模アドホックネットワークにおける従来のリアクティブ型プロトコルを用いた通信では,通信経路が長経路となった場合,中継ノードの移動による経路切断や経路構築要求メッセージのネットワーク全体へのフラッディグによって発生する輻輳によりパケット到達率等の通信信頼性が低下することが分かっている.こうした高移動頻度環境への対応能力を向上させる代表的な手法としてクラスタリングが用いられるが,従来のアルゴリズムでは効率的な経路構築が実現可能となるものの,長経路通信によって信頼性が低下するという問題が残されている.そこで筆者らは,クラスタリングにおけるビーコン送受信の仕組みを利用し,長経路通信を複数の短経路通信に分割する手法を提案し,高移動頻度環境において高い効果を発揮することを示した. 本稿では,クラスタリングにおけるクラスタヘッドの選出に焦点を当て,最適なクラスタヘッドをクラスタ内で動的に交替する手法を提案する.また,計算機シミュレーションにより提案手法の有効性を検証する.

5F-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名指定されたノード密度分布を実現する移動モデルの生成手法
著者*上野 瑛次郎, 前田 久美子, 廣森 聡仁, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学 大学院情報科学研究科)
Pagepp. 1084 - 1093
Keyword移動モデル, ノード密度分布, Random Way Point, モビリティ
Abstractワイヤレスネットワークにおいては,ノードの移動(移動モデル)が,通信プロトコルやアプリケーションの性 能に与える影響が大きいことが知られており,移動モデルを考慮した性能評価が望まれる.しかしながら,実環境において, 多様な移動モデルを想定し,大規模かつ現実的な性能評価実験を行うことは,時間や費用の面で大変なコストを伴う ため,ノードの密度分布が固定された簡単な移動モデルが広く利用されている.しかしながら,通信プロトコルやアプリケーションに対し, 網羅的な性能評価を行うためには,様々なノード密度を生成できることが好ましく,これにより,通信プロトコルやアプリケー ションの動作や性能を向上させることが期待できる.本稿では, ノードが次に向かう目的地を決定する移動確率をノードが滞在する場所毎で調整することにより, 指定されたノードの密度分布を実現する移動モデルを提案する. この移動確率に基づきノードの移動を行った結果,実現されたノード密度分布と 指定したノード密度分布の差は,最大でも 1%前後であった.

5F-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名断線障害を自動補修するネットワークの検討
著者*永井 順也 (名城大学大学院理工学研究科情報工学専攻), 伊藤 将志 (株式会社東芝研究開発センター), 渡邊 晃 (名城大学理工学部情報工学科)
Pagepp. 1094 - 1101
Keyword無線メッシュネットワーク, 災害通信, 断線障害, 自動復旧, 無線LAN
Abstract災害時には,被災情報の配信や安否確認などの情報通信の必要性が高まる.しかし,災害発生時にはネットワーク自身が破壊される恐れがある.そこで,被災地に即座に無線メッシュネットワークを構築して,一時的にインフラ網として利用する方法が研究されている.しかし,この方法ではネットワークを構築するまでの期間は通信ができない.そこで,本稿では公衆無線LANのAP自体に無線メッシュネットワーク機能を追加し,通常時は一般のAPとして,高速で安定した有線経路を使い,被災時に有線やAPに障害が起こるとAPが必要に応じて自動的に無線メッシュネットワークに移行し,即座にネットワークを復旧させる方法を提案する.