題名 | 道路標識とランドマークを用いた歩行者位置特定システムと実地調査による評価 |
著者 | *児島 伴幸 (早稲田大学大学院基幹理工学研究科情報理工学専攻), 山根 和也 (早稲田大学理工学部コンピュータ・ネットワーク工学科), 柳澤 政生, 大附 辰夫, 戸川 望 (早稲田大学大学院基幹理工学研究科情報理工学専攻) |
Page | pp. 457 - 466 |
Keyword | 位置特定, GPS, 道路標識, ランドマーク, 歩行者ナビゲーション |
Abstract | 携帯電話を用いた歩行者の位置特定は一般的に携帯電話に搭載されたGPS (携帯GPSと呼ぶ)を用いているが,携帯GPSはマルチパスなどの影響により測位誤差が生じる可能性がある.一方,携帯GPSの測位誤差を調べた調査結果はほぼない.本論文ではまず都市部と住宅地の両方が存在する高田馬場駅周辺にて携帯GPSの測位誤差を調査した.調査の結果,携帯GPSは最大で80m程度の測位誤差が生じた.都市部における80mの測位誤差は道路2--3本分の誤差に対応するため,歩行者に混乱を与えかねない.次に,事実上,測位誤差を0にするため,道路標識とランドマークを用いて携帯GPSの測位を補正する位置特定手法を提案する.既存インフラである道路標識・ランドマークと,近い将来に社会インフラ化される携帯GPSを用いるため,新規インフラ設備を必要としない.提案手法は利用者の現在地を道路標識の位置と同一視し,利用者が見つけた道路標識の位置を知ることにより,利用者の位置を特定するものである.処理の流れは携帯GPSにより大まかな位置を特定した後に,利用者が見つけた道路標識を選択することにより現在地候補を5個以下に絞る.現在地候補の近辺に存在するランドマークを選択することにより唯一の現在地を特定する.提案手法をCGI環境で実装し,NTTドコモ社とKDDI社の携帯電話を用いて評価実験した.実地調査を通じて利用者の現在地を98%と高精度で特定でき,提案手法が有効な手法であることを確認した. |
題名 | ITSにおける協調型交通情報提供フレームワークの提案 |
著者 | *栗原 聡 (大阪大学/産業科学研究所), 玉置 洋 (大阪大学/大学院情報科学研究科), 沼尾 正行 (大阪大学/産業科学研究所), 矢野 純史, 香川 浩司, 森田 哲郎 (住友電気工業株式会社/情報通信研究所) |
Page | pp. 467 - 472 |
Keyword | ITS, 渋滞予測, VICS, プローブカー, フェロモンコミュニケーション |
Abstract | 近年需要が高まっている ITS(高度道路交通システム)を支える技術として,正確な 交通情報獲得の占める役割は大きい.現在,この交通情報の収集には従来手法である VICS や,新規に注目を集めている Probe システムなどが挙げられているが,それぞれの持つ制約のため十分なエリアカバー 率および精度を達成することは難しいものとなっている.これに対し,本論では高精度・高エリアカバー率の交通情報提供システムの実現を目指し,フェロモンシステムや蓄積データベースなど複数の情報源を活用して情報未提供区間の補完を行うと共に,それらの各情報源の予測値に情報の確からしさを表す信頼度を設定することによって,各道路リンクが最適な情報源の選択を行うシステムを提案する.実験の結果,提案システムの基本的な有意性を示すことに成功し,現在日本で使用されているVICS・Probe システムよりも高精度・高エリアカバー率の交通情報の提供を行うことを可能とした. |
題名 | 天候を考慮した観光スケジュール群の局所探索を用いた立案手法 |
著者 | *武 兵 (奈良先端科学技術大学院大学), 村田 佳洋 (広島市立大学), 柴田 直樹 (滋賀大学), 安本 慶一, 伊藤 実 (奈良先端科学技術大学院大学) |
Page | pp. 473 - 479 |
Keyword | コンテキストアウェアナビゲーション, 位置情報システム, ITS, スケジューリング, 欲張り法 |
Abstract | 観光における旅行者の満足度は,大きく天候に左右され,晴天時と雨天時とでは適したスケジュールが異なる.さらに,天候が晴れから雨のように途中で移り変わる可能性を考慮すると,どのような天候の変化に対しても対応可能にするために算出すべきスケジュールの数は膨大になる.本稿では,天候が確率的にしか予測できない場合を想定した,任意の天気変化パターンに対応したスケジュール群を算出する問題を取り扱う.このスケジュール群は,出発地点を根として目的地ごとに分岐する木(スケジュール木と呼ぶ) で表現される.この問題の目的は,スケジュール木によって示された確率的なスケジュールに対し,ユーザ満足度の期待値の総和を最大化することである.本稿では,この問題を解くためのGreedy 法および局所探索法に基づいた近似アルゴリズムを提案する.このアルゴリズムは,まずGreedy 法により,初期のスケ
ジュール木を作成し,部分木を単位とした目的地の置換を繰り返し行うことにより,ユーザ満足度が高いスケジュール木を生成する.提案手法により得られた解の最適性を評価するため,6 つの観光地を含む奈良市内観光インスタンスを用いて実験を行った.その結果,全探索で18.3 時間かかるような問題に対して,4 秒以内で同一の解を発見することができた. |