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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2009)シンポジウム

セッション 3B  放送コンピューティング (BCC)
日時: 2009年7月8日(水) 17:20 - 19:30
部屋: 末広
座長: 阿倍 博信 (三菱電機 情報技術総合研究所)

3B-1 (時間: 17:20 - 17:45)
題名前後関係の演出を可能にする香りの提示手法
著者*野口 大介, 大津 香織 (慶應義塾大学大学院理工学研究科), 坂内 祐一 (キヤノン), 岡田 謙一 (慶応義塾大学理工学部)
Pagepp. 416 - 423
Keyword香り, 嗅覚情報, パルス射出, 嗅覚ディスプレイ, 前後関係
Abstract近年,映像メディアとともに香りを用いることで臨場感を高める試みが注目されている.その映像メディアには複数の物体が同時に描写されていることが多く,また同時にそれらの物体の間には空間的な前後関係が存在する.それに合わせて複数種の香りを配信することによってさらに臨場感が高まると考えられる.しかし,これまで複数の香りを同時に提示する手法は研究されてこなかった.そこで著者らは微小時間の香り提示であるパルス射出を用いて,2 つの香りを同時に感じさせ,さらに前後関係を演出する提示手法の構築を目指した.様々な香りの提示パターンに対する嗅覚特性を測定した結果,2 つの香料の使用射出量と提示頻度を変えることで,前後関係の演出に適した手法を構築した.構築した提示手法により,約9 割の人に前後関係を感じさせることに成功した.今後,映像に香りを付加する際,この手法を用いることによってより臨場感を高めることができると期待される.

3B-2 (時間: 17:45 - 18:10)
題名P2Pストリーミング環境における分割データの重要度を考慮した再生途切れ時間短縮方式
著者*坂下 卓 (大阪大学), 北島 信哉 ((株)富士通研究所), 義久 智樹, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学)
Pagepp. 424 - 430
KeywordP2P, ストリーミング, コンテンツ, 途切れ時間, 負荷分散
Abstract近年,インターネットを介した動画コンテンツ配信の普及に伴い,P2Pストリーミング環境に注目が集まっている. P2P ストリーミング環境では,分割されたコンテンツのデータを,P2Pネットワークに接続している端末同士で送受信することで,サーバの負荷を低減できる. しかし,端末の通信帯域が狭い場合,分割データの受信がコンテンツの再生に間に合わず,再生が途切る問題が発生する. そこで本稿では,P2Pストリーミング環境におけるコンテンツ再生の途切れ時間短縮のための分割データ受信方式を提案する. 提案方式では,分割データに重要度を定義し,分割データの再生位置と,P2Pネットワーク内に存在する分割データ数を考慮して受信することで,P2Pネットワーク内のユーザに対して再生中に発生する途切れ時間を短縮する.

3B-3 (時間: 18:10 - 18:35)
題名選択型コンテンツの端末伝送型インターネット放送におけるクライアントの参加状況を考慮したデータ配信手法
著者*後藤 佑介 (岡山大学大学院自然科学研究科), 義久 智樹 (大阪大学サイバーメディアセンター), 谷口 秀夫 (岡山大学大学院自然科学研究科)
Pagepp. 431 - 438
Keyword待ち時間, 選択型コンテンツ, 端末伝送型インターネット放送, スケジューリング
Abstract近年の放送・通信融合環境の普及にともない,ユーザがコンテンツを選択して視聴する選択型コンテンツに対する注目が高まっている.筆者らは,選択型コンテンツの放送型配信におけるデータ受信時の待ち時間短縮手法を提案してきたが,サーバは放送前に作成した放送スケジュールにしたがってデータを繰返し放送するため,クライアントは見たい番組の受信を開始してから最初のコンテンツの受信を完了するまで待つ必要がある.そこで,複数のクライアントでデータを送受信する端末伝送型インターネット放送を考える.端末伝送型インターネット放送では,データを要求する端末が他の複数の端末からデータを受信することで,クライアントの待ち時間を短縮できる.本論文では,選択型コンテンツの端末伝送型インターネット放送において,クライアントの参加状況を考慮した上でデータ受信時に発生する待ち時間を短縮するスケジューリング手法を提案する.提案手法は,データの配信中に端末がネットワークから離脱した場合,端末が使用していた帯域幅の大きさを考慮して他の端末を選択し,放送スケジュールを再構築することで,データ受信時の待ち時間を短縮する.

3B-4 (時間: 18:35 - 19:00)
題名通信トラフィック削減を目指した高品質静止画像撮影機能付きインターネット放送システムの提案
著者*齊藤 義仰, 宮本 正晴, 工藤 直己, 村山 優子 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)
Pagepp. 439 - 448
Keywordインターネット放送, 放送システム, 通信トラフィック削減, 高品質静止画撮影機能
Abstract近年,インターネット回線がブロードバンド化し,インターネット上で動画を視聴することは当たり前になった.動画配信サービス提供者側の膨大な通信トラフィックが問題になっている.現在,動画配信サービスで配信される動画のビットレートは数百kbps程度であり,まだまだテレビの画質には及ばない.視聴者からは画質向上を求める声もあるが,通信トラフィックの問題により,動画のビットレートを上げることは難しい状況である.本稿では,この問題を解決するため,通信トラフィックを抑えつつ,視聴者の満足度を向上させる放送システムを提案する.提案システムでは,通信トラフィックを抑えるため,動画を低ビットレートで配信する.一方で,視聴者の満足度を向上させるため,視聴者が特に見たい場面の高解像度・高画質静止画を任意のタイミングで視聴者に提供する.高品質な静止画を,視聴者が要求したタイミングで提供することで,低ビットレートの動画であっても視聴者の満足度を向上させ,動画と比べて容量が小さい静止画像を活用することで,通信トラフィックの増加を抑えることを目指す.提案システムの有効性を明らかにするため,プロトタイプシステムの設計と実装を行い,視聴者の満足度向上効果と通信トラフィック削減効果に関して評価を行った. その結果,視聴者の満足度を向上させつつ,通信トラフィックを削減できることがわかった.

3B-5 (時間: 19:00 - 19:25)
題名有線・無線組み合わせによる経済的デジタル・ディバイド解消システムの提案
著者*村田 嘉利 (岩手県立大学 ソフトウェア情報学部), 真野 浩 (ルート株式会社 本社), 森岡 仁志 (ルート株式会社 福岡情報研究所)
Pagepp. 449 - 456
Keyword高速インターネット, 地上波デジタル放送, デジタル・ディバイド, WiMAX
Abstract地上波デジタルテレビ放送および高速インターネットのサービスエリア外である二つのデジタル・ディバイド地域の多くは,人口密集度の低さから電気通信事業者の投資インセンティブが働きにくく,ブロードバンドの促進が図れないという問題がある.同様に地上波デジタル放送を促進する観点では,難視共調施設を利用する地域住民から設備更新に係る費用問題が出されている.特に東北地域には,こうした2つのデジタル・ディバイドの課題を抱える地域が多く,経済的かつ効率的にこの問題を解決するシステムが求められている. 本論文では,現地調査の結果,対象地域の多くが,総戸数が数十戸以内であり,1本道路の特定部分あるいは交差点周辺に住戸が集中していることを報告する.続いて,対象エリア内の住戸の状況に適したネットワークシステムとして,光ファイバーを用いてチェイン状に各戸を結び,対象地域までのエントランス回線として地域WiMAXを使用するシステムを提案する.また,その特性を紹介する.