題名 | 災害救助・避難訓練を目的とした無線ネットワークシステムの開発支援環境の提案 |
著者 | *中田 圭佑, 前田 久美子 (大阪大学大学院情報科学研究科), 梅津 高朗, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科 独立行政法人科学技術振興機構, CREST) |
Page | pp. 1987 - 1994 |
Keyword | 災害救無線ネットワーク助避難訓練, 無線ネットワーク, 開発支援環境 |
Abstract | 本稿では災害救助・避難訓練を目的とした災害現場で利用される無線ネットワークシステムの開発支援環境を提案する.提案する支援環境では災害現場で無線ネットワークシステムを構成するプロトコルやアプリケーションの評価のために,災害時特有の環境を再現するためのノードモデル,モビリティモデル及び地理モデルを導入した.それらのモデルをワイヤレスネットワークシミュレーMobiREALに実装し,様々な災害状況を再現するための開発環境を構築した.提案手法ではMobiREALと3DViewerを連携させることにより,実際に災害現場に居合わせる一員の視点で通信端末やモビリティの操作が可能となる災害救助・避難訓練環境を提供している.いくつかの実験例を通して提案する支援環境の有用性を示す. |
題名 | マルチエージェントモデルによる自律的信号機制御システムの構築 |
著者 | *佐藤 和宏, 長岡 諒 (大阪大学大学院情報科学研究科), 安場 直史, 矢野 純史, 香川 浩司, 森田 哲郎 (住友電気工業株式会社), 沼尾 正行, 栗原 聡 (大阪大学産業科学研究所) |
Page | pp. 1995 - 1999 |
Keyword | 信号機制御, マルチエージェント |
Abstract | 本研究では,交通の動的な変化に対し即応性の高い信号機制御システムとして,ばねモデルを用いた自立的信号機制御システムを提案する.また,現実の道路ネットワークのデータを用い,実環境に近い環境での評価を行う. 道路の交通状況は,日中と夜間などの時刻の変化や交通事故などの原因によって,動的に変化する.交通状況に応じて適切な信号機の制御パラメータは変化するので,信号機の制御パラメータも交通状況の変化に合わせて動的に変化させることが望ましい.しかしながら,定時制御方式や中央管理型の交通応答方式などの現在主に使われているシステムでは,動的な交通状況の変化に十分に対応することは難しい.定時制御方式とは,予め計算しておいたパラメータを用いる方法である.パラメータを何組か用意しておき,時間帯によって切り替えることで,日中と夜間の交通状況の変化などには対応することもできるが,交通事故などの予期しない交通状況の変化に対しては対応することができない.これに対して中央管理型の交通応答方式は,交通状況に応じて自動的に制御パラメータを変化させる方法であり,予期しない交通状況の変化に対しても対応することが可能である.ただし,各交差点の交通状況を一度中央サーバに集め,中央サーバで全信号機の制御パラメータを計算するため,状況の変化に対して即応性が低くなるという問題がある.また,制御対象地域が広がると計算コストが大きくなるという問題もある. そこで近年,上記の問題を解決する方法として自律分散的な信号機制御方式に注目が集まっている.これは,ローカルな情報のみから自律的に制御パラメータを変更する信号機を組み合わせ,信号機網全体として適切な動作を実現する方法である.したがって,中央管理型のような計算コストの問題が発生しない.しかしこれまでの研究では,時刻による交通状況の変化のような比較的緩やかな変化のみを考慮した研究が主流で,即応性に関しては十分に考慮されていない. 本研究では,交通事故のような急激な交通状況の変化に対して即応性の高い信号機制御方式として,ばねモデルを用いた手法を提案する.まず本研究では,一般的に信号機制御に用いる3つのパラメータ(サイクル長,スプリット比,オフセット)のうち,スプリット比のみを制御する手法を提案する.スプリット比とは,交差点の各状態(東西が青,南北が青,全赤など)の時間比のことである.この手法では,各交差点のスプリット比が次の2種類のばねの力で変化すると考える.1つ目のばねは,各交差点に直接流入する道路の交通状況のみを見た時に,最適なスプリット比になるように力を加えるばねである.2つ目のばねは,各交差点のスプリット比を近傍の交差点のスプリット比に近づける方向に力を加えるばねである.これにより,負荷の分散をはかる.この2種類のばねを想定した時に,交通網全体でのばねの位置エネルギーを最小にする方向に各交差点のスプリット比を変化させる.このように,ばねという単純な物理モデルを用いることで,交通状況の変化に対して即応性の高い制御が可能になると期待される. また,この手法の有効性の検証のために,碁盤目状の道路ネットワークと,現実の道路ネットワークの2種類のデータを用いて,シミュレーションによる実験を行う. |
題名 | 携帯端末から制御可能なセンサ・家電連携環境の構築 |
著者 | *伊藤 崇洋, 小倉 正利, 神谷 英樹, 峰野 博史 (静岡大学情報学部), 石川 憲洋 (NTTドコモ), 水野 忠則 (静岡大学情報学部) |
Page | pp. 2000 - 2007 |
Keyword | センサネットワーク, ホームネットワー, ネットワークアーキテクチャ, P2P, モバイルコンピューティング |
Abstract | 近年、コンピュータの小型化・高性能化や無線通信技術の発達によって様々な機器のネットワーク化が進んでいる。今や携帯端末はインターネットに繋がるのが当たり前の時代であり、家電製品においては数年前から各社が「FEMINITY」「くらしネット」「ホッとねっとサービス」など家電製品にネットワーク機能を持たせた自社の製品を用いて独自のサービスを展開している。 このような流れはセンサにおいても同様であり、ネットワーク機能を持った小型のセンサノードが開発されたのを期に複数のノードが繋がりあって機能するセンサネットワークに関する研究が環境調査やホームセキュリティ、医療、健康管理など様々な分野でおこなわれている。しかし、現時点で存在するセンサネットワークに関するサービスや研究はそのほとんどが単一のセンサネットワークの管理やそのデータを用いたサービスの提供など非常に基礎的かつ簡易的なものにとどまっており、汎用性にかけるものである。そのため、まだ現実味を帯びたサービスの提供にはいたっていないというのが現状として挙げられる。これがもし、センサネットワークと他のネットワーク(インターネット、ホームネットワークなど)とが自由に繋がりあいセンサの持つ情報を幅広く利用することができるよ うになれば、今までには存在しなかった新たなサービス創造の余地が生まれ、ユーザにとってより便利なサービスの提供が可能となるのではないかと考えられる。 以上のような背景を踏まえ本論文では、P2Pネットワークによってさまざまな機器を相互に接続・運用する技術の開発を目的としたコンソーシアム PUCC (P2PUniversal Computing Consortium)において現在開発中の技術を用いて、センサネットワークをインターネット・ホームネットワーク・モバイルネットワークと接続可能とする環境の構築について述べる。本環境においてユーザは、携帯端末を用いてその場で利用可能なセンサおよび家電を動的に把握することができ、センサの取りうる情報を用いて家電を制御するセンサ・家電連携動作の設定を既存のサービスよりもより柔軟におこなうことが可能となる。 |
題名 | モバイル端末向けプッシュ型コンテンツ配信アプリケーションの実装 |
著者 | *北原 亮, 山本 和徳, 近藤 靖, 石川 憲洋 (NTTドコモ サービス&ソリューション開発部) |
Page | pp. 2008 - 2010 |
Keyword | プッシュ型配信, 差分情報, モバイル端末 |
Abstract | 携帯電話の急激な普及に伴うモバイルインターネットの普及によって、空間的に離れた人とのコミュニケーションや、サイバー空間上に広がるコンテンツやサーバへのアクセスが可能となった。さらに、第3世代の移動通信システムにおいてはネットワークの広帯域化だけでなく、携帯電話の情報処理能力が目覚しく向上することにより高品質な動画像の再生も可能となり、動画像を含むマルチメディア情報をリアルタイムに提供しユーザが閲覧するサービスが現実のものとなってきている。 また,近年外国為替や株式等のオンライン取引が盛んになると共に個人でオンライン取引するためのインフラが整備されてきた。さらに、いつでもどこでも利用可能な携帯電話からのオンライン取引の需要が高まりつつある。オンライン取引で使用される為替レートや株価等の情報は刻一刻と変化するため、多くのユーザに対してできる限り遅滞なく提供される必要がある。オンライン取引の例のようにスケーラブルにリアルタイムで情報を配信するための実現技術として、1980年代前半から提案されてきたIPマルチキャストがある。IPマルチキャストは同一の情報を多数のユーザにプッシュ型で配信する方式として知られているが,それ自身にはTCPのような送達確認機能および再送機能を具備しないため、データ誤りの発生しやすいモバイルネットワークにおいては配信データを必ずしも確実に配信できるとは限らない。そこで、配信データの誤りについては前方誤り訂正符号やNACKに基づく再送等の上位層プロトコルの機能によって回復するのが一般的となっている。IPマルチキャストで用いられる上位層プロトコルについてはIETF (Internet Engineering Task Force)等において様々な提案が行われてきたが、第3世代の移動通信システムの標準仕様を策定する3GPP (3rd Generation Partnership Project)および3GPP2 (3rd Generation Partnership Project 2)ではIETFで標準化されたFLUTE (File Delivery over Unidirectional Transport)およびRaptor Codeがファイル転送プロトコルおよび誤り回復プロトコルとしてそれぞれ採用されている。ただし、前記の仕様で規定されているのは誤りなくデータ配信を行うための機能だけであるため、上記の株価や為替レートの配信サービスを行う様なアプリケーションおよびそのデータフォーマットについては別途設計する必要がある。 そこで我々は、既存のFLUTEプロトコルによるプッシュ型配信方式を基に、第3世代の移動通信システムおよび無線LAN等の複数のモバイルネットワーク環境での利用を前提として、かつ配信データ量を削減することにより配信システムのスケーラビリティを更に高めるための差分情報配信機能の追加を提案する。具体的には、前回の配信情報を基に生成されたデータ量の少ない差分を配信する差分情報配信方式を提案する。ここで、本アプリケーションで使用するデータフォーマットは、配信サーバおよび受信クライアントのOS等に依存しないと共に、容易にコンテンツを作成可能とするために、Webで一般的に用いられているHTML,XML,JavaScript等を採用する。さらに、LinuxおよびWindows Mobile上でそれぞれ動作する配信サーバおよび受信クライアントのアプリケーション実装について紹介すると共に、実端末を使用したコンテンツ配信のデモンストレーションを行う。 |
題名 | 無線端末を用いた暗号化通信のための近距離鍵認証手法の提案 |
著者 | *阿瀬川 稔, 野田 厚志 (九州大学大学院システム情報科学府), 北須賀 輝明 (熊本大学大学院自然科学研究科), 北口 貴史, 津村 直樹 (リコー), 田頭 茂明, 中西 恒夫, 福田 晃 (九州大学大学院システム情報科学研究院) |
Page | pp. 2011 - 2019 |
Keyword | 公開鍵暗号, アドホックネットワーク, モバイルコンピューティング |
Abstract | 無線端末の普及に伴って,ユーザ同士が端末を持ち寄ってネットワークを形成し, 相互にデータ通信を行う機会が増加することが 予想される.本稿ではこのような状況において,ユーザ同士がデータを安全に 通信するための一つの方法として,互いの公開鍵をその場で認証する仕組みを 提案する.公開鍵基盤やPGPなどの既存技術では,被認証者は事前に第三者か ら信頼を得ておき,認証者はその第三者の認証を頼りに被認証者を認証する. 本稿の想定環境では対面などの近距離に存在するユーザが互いの端末を認証対 象とするため,信頼のおける第三者の存在を必要としない. 提案手法は,視覚情報を利用して公開鍵の認証を行う. 交換した公開鍵のデータなどから得られるハッシュ値を視覚情報に変換し,近距離に いるユーザ同士でその同一性を確認しあうことによって公開鍵の認証を行う.本稿では その視覚情報として,英単語を配置した4×4の表,または文字列を用いる. 提案手法をアプリケーションの機能として実機上に実装する. |
題名 | S-UNAGI:スマートアンテナを用いた階層型センサネットワークの実装 |
著者 | *坂本 浩 (静岡大学情報学部), 渡辺 正浩 (ATR適応コミュニケーション研究所スマートネットワーク研究室), 萬代 雅希 (静岡大学情報学部), 小花 貞夫 (ATR適応コミュニケーション研究所), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院) |
Page | pp. 2020 - 2024 |
Keyword | センサネットワーク, スマートアンテナ, UNAGI |
Abstract | センサネットワークの一実現方法として,スマートアンテナと無指向性アンテナを併用するネットワークを構成する.安価で大量に利用が可能な無指向性アンテナのノードによりセンシングを行い,高価で少量利用が望ましいスマートアンテナをクラスタヘッドとして利用するネットワークを形成する.スマートアンテナによって通信距離が拡張されることから,中継におけるスループットの向上や中継ホップ数の削減からセンサ全体の中継負荷の減少が見込まれる.本発表では,スマートアンテナとしてUNAGI(Ubiquitous Network testbed with an Adaptively Gain-controlled antenna for performance Improvement )を使用し,無指向性アンテナとしてMICA MOTEを使用したでもを行う.MICA MOTEのセンサを利用してセンシングデータに応じたネットワークを構成する. |
題名 | プリペイド型簡易商店システムの開発と運用 |
著者 | *佐藤 義祐, 藤原 康宏, 齊藤 義仰, 村山 優子 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科) |
Page | pp. 2025 - 2029 |
Keyword | POS, システム開発, バーコード, 簡易商店システム |
Abstract | 本研究では,2002年から無人商店システムを開発し,実験的に運用をしている.著者の所属している研究室では,学生が主に活動する部屋が複数あるが,このうちの一部屋に店舗を設置している.利用者からは,複数の部屋に店舗を設置が要望されてきた.先行研究のシステムはスタンドアローンなシステムであるため,複数の部屋に店舗を設置する場合に,管理者の手間が大きく,複数の店舗を利用する者は店舗ごとに事前入金をする必要があり,実現が困難であった.本研究では,先行研究で開発された商店システムを元に,複数の店舗を管理できる,サーバ/クライアント方式の簡易商店システムのプロトタイプを開発し,運用を行う. |