題名 | 配信ルールの解析効率化によるバリュー配信システムの性能改善 |
著者 | *岡下 綾, 小池 雄一 (日本電気株式会社 サービスプラットフォーム研究所) |
Page | pp. 1917 - 1923 |
Keyword | 電子クーポン, 配信システム, ICカード, 分散協調アーキテクチャ, 効率化 |
Abstract | バリュー配信システムは管理サーバとICカードリーダライタが連携することで,ICカードを搭載したユーザ端末にユーザ属性に適した電子バリュー(電子クーポンなど)を高速に配信するためのプラットフォームである.管理サーバはユーザ属性に応じた電子バリューを選択するための配信条件データのリストである配信ルールを生成し,電子バリューを配信するリーダライタに送信する.リーダライタにおいて配信ルールは一定サイズごとに主記憶に複写しながら解析されるが,このデータ読み込みには多くの時間を要する.また,すべての電子バリューに対して配信可能かどうかが決定した時点で解析処理は終了し,それ以降の配信ルールに関するデータは主記憶に読み込まないため,解析される確率の低い配信条件データが2次記憶の上部に配置されると主記憶に無駄なデータが多く読み込まれることになる.このような問題を解決するため,解析時にはユーザ属性によって分割されたグループのインデックスに紐付けされたデータだけを取得することでメモリ複写回数を減少させるアプローチ,及び解析確率によって配信条件データの配置変更を行う高速化アプローチを適用した. |
題名 | 識別アルゴリズムを動的に適用する人物追尾機構 |
著者 | *太田 健吾 (立命館大学院 理工学研究科 情報理工学専攻 計算機科学コース), 西尾 信彦 (立命館大学 情報理工学部) |
Page | pp. 1924 - 1934 |
Keyword | 人物追跡, 背景差分, 画像認識, 色相ヒストグラム |
題名 | ユビキタスプロトコルアナライザの設計と実装 |
著者 | *森下 達夫, 廣津 登志夫 (豊橋技術科学大学), 福田 健介 (国立情報学研究所), 菅原 俊治 (早稲田大学), 栗原 聡 (大阪大学) |
Page | pp. 1935 - 1939 |
Keyword | ユビキタスコーパス, プロトコルアナライザ |
題名 | 不可視バーコード技術における印刷支援システム |
著者 | *上條 浩一, 張 綱, 上條 昇 (日本アイ・ビー・エム 東京基礎研究所) |
Page | pp. 1940 - 1950 |
Keyword | 不可視バーコード, ユビキタス, 画像処理, アナログとデジタルの融合, 携帯電話 |
Abstract | 携帯電話,ブロードバンド,HDTVの普及,デジタル放送の全国展開等,様々な分野でデジタル化が進んでいるが,新聞,書籍等,紙媒体は依然多く流通しており,今のところこれらがデジタル化の波に完全にのみこまれてしまう兆候は見えない.しかし,これら紙媒体とデジタルの世界とを結びつける需要は増えており,それを実現する手段の例として,RFID, 2次元バーコード,電子透かし等がある.しかし,RFIDは,チップであり印刷できないため,紙媒体への適応は現実的ではない.また,QRコード等の2次元バーコードは,バーコード自体が印刷物のスペースをとってしまう,あるいは印刷物の美観を損ねてしまう,という問題があり,また,スペースのない新聞や雑誌の記事に印刷するのは難しい.また,電子透かしは,情報を埋め込む対象が自然画のような場合は,耐性が強く印刷後にも透かしの情報が比較的残りやすく,画質への影響が少ないが,新聞の記事に使用されるようなテキストに対しては,耐性が弱いだけでなく,透かしが目立ちやすい,という問題がある.また,埋め込められる情報量もバーコードと比べ少なく,URLのアドレスを埋め込むことは難しい場合が多い. 筆者らは,以前,これらの問題を解決しつつ紙媒体とデジタルの世界を結びつける,不可視バーコード技術を開発した.不可視バーコード技術においては,不可視インクを用いてQRコード等の2次元バーコードを新聞,雑誌等の記事に重畳して印刷する.抽出時には,ユーザはそのインクに反応するブラックライトLEDで不可視バーコードを発光させ,カメラ付き携帯電話,PCに接続されたWebcamera等で撮影し,元の記事等が重畳している画像に画像処理を施し,バーコードの情報を取り出す.筆者らは,本抽出技術の実装を行い,カメラ付き携帯電話や,PCに接続されたWebcameraからの抽出を可能にし,CPUパワー,メモリー量の乏しい携帯電話を用いた場合でも,撮影から0.5秒での抽出を可能とした.このように紙媒体に場所,見栄え,大きさを気にせずにバーコードを印刷する事により,紙メディアに2重,3重の情報を埋め込む事が可能となり,紙メディアとデジタルの世界をシームレスに繋ぐ事が可能となった.しかし,使用される不可視インク,紙媒体,記事に使われるインク,抽出用ブラックライトLED,撮影用カメラの組み合わせによっては,上記画像処理を施しても情報がうまく抽出できない,という問題があった.例えば,記事に使われるインクが不可視インクの成分を吸ってしまうような場合には,画像処理を施しても情報を抽出する事が困難となった. 筆者らは,これらの問題を解決するために,不可視バーコードの印刷支援システムを開発した.本システムにおいては,印刷する不可視バーコードと不可視インク,印刷される紙媒体と不可視バーコードの印刷が許される範囲,抽出用ブラックライトLED,撮影デバイス,撮影環境等が与えられたとき,その印刷範囲内で,抽出成功率が最大となる不可視バーコードの位置,大きさ,角度を決定する.1つ考えられる方法としては,印刷対象となる紙メディアに実際に印刷し,撮影,抽出を行い,エラー率を測定する方法が考えられるが,そのためには,同じ紙メディアを大量に用意して,様々な位置,大きさ,角度のコンビネーションで印刷し,抽出実験を行う必要があり,毎日大量に印刷される新聞等に適応することは非常に困難である.そこで,本システムにおいては,実際に毎回印刷,撮影は行わずに,上記不可視バーコードや印刷範囲等の情報が与えられた状態で,様々な位置,大きさ,角度の不可視バーコードを印刷,発光,撮影した疑似画像をシミュレーションで作成し,その擬似画像から,実際の抽出アルゴリズムを用い抽出を行い,最大の抽出成功率を与える位置,大きさ,角度を決定する.ただし,疑似画像作成においては,印刷対象と同じ性質をもった紙媒体と不可視インクを用い,可視インクの上に重畳したものとしないもののテストパターンを印刷し,それらを実際に利用するブラックライトLED,撮影デバイスを用い,発光,撮影した画像と,そのテストパターンに対しブラックライトを発光していない状態で撮影した画像との相関から,擬似画像作成関数を求めておく.その際,ブラックライトによる乱反射やカメラ撮影時におけるノイズも考慮に入れる.本稿では,上記印刷支援システムのアルゴリズムを紹介し,実験により,本システムの有用性を確認する.本システムを用いることにより,不可視バーコードの抽出率が大きく向上し,重畳する紙メディアと不可視インクの相性が悪い場合でも,抽出できる可能性が増え,紙メディアとデジタルの世界との橋渡しの更なる強化が実現できた. |