題名 | 天気の変化に対応可能な観光スケジュール作成手法 |
著者 | *武 兵 (奈良先端大), 村田 佳洋 (広島市立大), 柴田 直樹 (滋賀大), 安本 慶一, 伊藤 実 (奈良先端大) |
Page | pp. 1651 - 1660 |
Keyword | コンテキストアウェアナビゲーション, 位置情報システム, ITS, スケジューリング |
Abstract | 現在,観光旅行は人々がリラックスする手段のひとつになっており,特に個人旅 行の人気はますます高まっている.しかし,満足の行く観光旅行を立案するには 様々な要因を考慮しなければならない.例えば,季節によって最適な観光地を選 び出すことや,旅行中の天気の変化により訪問する観光地を変更することは,観 光スケジュール作成の際にはよく考慮すべき問題である.中国は面積が広く,地 形が複雑で,気候がよく変化する国である.同一の地域でもごく短い間に天気は 急激に変化する可能性がある.また,天気予報がはずれることも多い.本稿では, このような問題を効果的に解決するための観光スケジュール作成手法を提案する. 本稿で提案する観光スケジュール作成手法は,天気の変化に対応可能な観光案内 を目的としたパーソナルナビゲーションシステムにおいて使用することを想定し ている.提案手法では,以下を基本方針として採用する. ・観光の前に,天気予報に基づいてスケジュールを作成する. ・観光地の属性および訪問する時の天気によって観光地の満足度が変化すること を考慮してスケジュールを作成する. ・天気予報ははずれる場合が多いので,途中で天気が変わることを想定した分岐 を含むスケジュールを計算し,予想される満足度総和の天気予報に対する期待値 を最大化する. ・観光地の満足度の総和を最大化するとともに,移動距離を最小化する. ・一日の観光時間,各観光地に対する重要度(魅力),各観光地での希望到着時 間および希望滞在時間などの制約を満たす観光地巡回スケジュールを作成する. 提案手法における入出力は以下の通りである.入力は, (1)出発地点,出発時刻,帰着地点,および帰着時刻, (2)複数の訪問したい観光地の候補(観光地の名称,重要度(魅力),属性( 屋外型,室内型,その他),時間制約(営業時間など),滞在時間), (3)時間帯ごとの天気予報(各時間帯における晴れ,曇り,雨の確率), (4)各観光地の天気による重要度の変化度合(天気の時は100%の満足度とな るが,雨の場合は満足度が50%に低下するなど)である.(2),(3),(4) はデータベース入力としてシステムに事前に与えられるものとする.(1)およ び(2)の各観光地の重要度,時間制約,滞在時間はユーザが与える,もしくは, デフォルト値から変更できるものとする. 出力はツリー形式のスケジュール(スケジュール木と呼ぶ)である.スケジュー ル木の各ノードは観光地に対応し,根は出発地点,葉は帰着地点を表す.各ノー ドからは次に訪問する観光地への分岐が出ており,晴れの場合,曇りの場合,雨 の場合に対応させる(分岐確率は,親ノードでの滞在が終わった時刻における天 気予報に基づく). スケジュール木の評価は,木のすべてのノードに対して,対応する観光地を 訪れた際の満足度と天気の確率を掛け合わせたものの総和(すなわち,期待満足 度)により行う.期待満足度を最大化するスケジュール木の算出は組み合わせ最 適化問題であり,最適値を実用時間で求めるのは困難なので,本稿では,以下の ヒューリスティックアルゴリズムを採用する. (A)出発地点をスケジュール木の根ノードとして組み込む.根ノードを注目ノー ドとする.現在時刻を出発時刻とする. (B)現在注目しているノードに,晴れ,曇,雨の分岐を追加する. (C)各場合(晴れ,曇り,雨)について,重要度と天気による変化度合を掛け 合わせた値が最大の観光地iを選択し,子ノードとして追加する.現在時刻に, 観光地iへの移動時間および観光地iでの滞在時間を現在時刻に加える. (D)各子ノードを注目ノードとして,(B)からの手順を繰り返す.ただし, 現在時刻+帰着地点への移動時間≧帰着時間となる時は,終了する. 北京市街図に対して提案手法を適用し評価を行った.実験環境として,CPU Celeron 1.30GHz,メモリ 768Mbyte,OS WindowsXP Professionalの計算機を使 用した.実験では,北京市内の観光候補地数を363,目的地間の移動速度を時速 20km/hとした.結果,総期待値が9628となるスケジュール木を瞬時に算出できる ことがわかった.今後,最適値との比較,実際の天気の変化をあてはめた時のユー ザの実際の満足度などの評価を行う予定である. |
題名 | 床面標識情報案内システムCompassMarkによるUser Generated ID実証実験 |
著者 | *渡辺 浩志, 木原 民雄 (NTTサイバーソリューション研究所), 小川 克彦 (慶應義塾大学) |
Page | pp. 1661 - 1668 |
Keyword | 携帯電話, ナビゲーション, 方向 |
Abstract | 人々は公共の空間を共有しながら日々の生活を営んでいるが,そこでの発見や体験を共有することは容易ではない.発見や体験は個人的なものであり,個人の発見や体験に基づく情報を実空間と結びつけて簡単に表現できるメディアはこれまで存在しなかった.本稿では,情報提供者がコンテンツと実空間を結びつける手法としてUser Generated ID (UGID)を提案する.UGIDは,情報提供者が識別子となるIDを実空間に設置し,IDと結びつけてコンテンツを記述することを基本コンセプトとしている.筆者らは,従来から研究を進めている床面情報案内システムCompassMarkを拡張してUGID機能を実装した.さらに,拡張したCompassMarkシステムを用いて秋葉原の市街で実証実験を実施し,UGID手法の有効性を明らかにした. |
題名 | WEBカメラを用いた物体検索システムのための対象記述言語 |
著者 | *池田 卓朗, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院/工学研究科電気電子工学専攻), 山本 哲也 (神戸大学大学院/自然科学研究科情報・電子科学専攻), 寺田 努 (神戸大学大学院/工学研究科電気電子工学専攻), 柳沢 豊 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所) |
Page | pp. 1669 - 1674 |
Keyword | アノテーションシステム, 画像認識, ウェアラブル, ユビキタス, 拡張現実感 |
Abstract | 近年,カメラを搭載した携帯電話や小型PCの普及に伴い,小型で高性能なカメラが開発されている.また,計算機の処理能力の飛躍的な向上により,ものや人といった実世界の物体を,画像中から探し出す物体認識の研究が行われている.しかし,これらの多くは,研究者がそれぞれ研究を行っており,特定の認識対象のみを扱っているため,認識対象の表現が異なる.このため,複数の物体認識アルゴリズムを統合しようとした場合,統一的な表現で検索を行うことは困難である.本稿では,様々な物体を記述するための対象記述言語の提案・実装を行う.対象記述言語を用いることにより,表現が異なる対象に対しても対象を記述することができる.対象記述言語と物体認識アルゴリズムを組み合わせることにより,複数の物体認識アルゴリズムを統合できる実世界探索システムの構築を目指す. |
題名 | NAT-fを用いたホームネットワーク間相互接続方式の検討 |
著者 | *鈴木 秀和, 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科) |
Page | pp. 1675 - 1682 |
Keyword | ホームネットワーク, インターネット, NAT越え, DLNA, UPnP |
Abstract | DLNA(Digital Living Network Alliance)準拠の情報家電機器が普及し,ユーザはホームネットワーク内の機器間で容易にメディアコンテンツを共有することができるようになった.しかしDLNAは規格上,同一ネットワーク内でしか利用することができない.そのため,インターネットを経由して他のホームネットワークやモバイル機器からホームネットワーク内のDLNA機器とコンテンツを共有することを可能とした様々な方式が提案されている.本稿では筆者らが既に提案済みのNAT越え技術NAT-f(NAT-free protocol)にDLNA機能を追加するアプローチにより,ホームネットワーク内外のDLNA機器を相互に接続する方式を提案する.提案方式はDLNA機器だけでなく,ホームネットワーク内の全ての機器に対して宅外から通信を開始することができる. |