題名 | 無線LANによる電界強度の揺らぎを考慮した移動体位置推定法 ---判別分析によるマハラノビス距離と移動状態遷移モデルに基づく方法--- |
著者 | *伊沢 亮一 (神戸大学大学院自然科学研究科), 毛利 公美 (岐阜大学総合情報メディアセンター), 森井 昌克 (神戸大学工学部) |
Page | pp. 1047 - 1057 |
Keyword | 位置推定, 無線LAN, モバイル端末, 電界強度, 判別分析 |
Abstract | 本論文は,屋内空間において,低コストで,かつ精度の高い位置推 定を目的として,IEEE802.11x等の無線LANインフラを利用する移動 体における位置推定方法を提案する.すでに無線LANインフラを測 位インフラとする方法については,いくつかの方法が提案されてい るが,測位物の位置と時間での電界強度の揺らぎによる,位置推定 の精度の低下が問題となっている.本論文では,位置と時間をパラ メータとする電界強度を適応的に学習し,適応的に変化するデータ ベースを作成し,測位物の電界強度との関係から,統計的な手法を 用いて,その位置を予測分析する手法を提案する.さらに測位物の 移動モデルとして,移動状態の遷移と移動速度に関するモデルを与 え,モデルに基ずく位置推定手法を提案する.地下街を推定した環 境での試行実験結果より,許容誤差を1mとしたとき97%の確率で正 しく認識し,許容誤差を5mとしたとき100%の確率で正しく認識した. |
題名 | センサネットワークにおけるHop-Vectorを用いたノード位置推定手法の提案 |
著者 | *油田 健太郎 (熊本県立大学), 河内 康佑, 岡崎 直宣, 冨田 重幸 (宮崎大学), 朴 美娘 (三菱電機) |
Page | pp. 1058 - 1065 |
Keyword | センサネットワーク, 位置推定 |
Abstract | センサネットワークを構成するセンサノードは,バッテリ駆動の超小型無線通信端末であることから,センサノードのバッテリ枯渇を避けるため,センサネットワークには最小限の通信で経路制御やセンシングデータのやり取りを可能とする省電力化を追求したルーティングプロトコルが必要となる. センサネットワークにおけるルーティングプロトコルについて,各ノードにGPSなどの特殊なデバイスを備える必要がなく,コストや消費電力の点で有利な位置情報を必要としないプロトコルについて盛んに研究が行われている.しかし,アプリケーションの観点では,データとともにどこで発生したデータであるかということが重要な情報となるケースも多いことから,位置情報を必要としないルーティング環境下にあるセンサネットワークでは,各センサノードがどのように位置情報を知るかが問題となる. 本論文では,小数の位置情報を知るノード(ランドマークノード)から,各センサノードが自律的に自身の位置推定が可能なRange Free Localizationに基づく位置推定手法の提案を行う.提案方式では,ホップ数を元にルーティングを行う方式に着目する.従来,提案されているホップ数を元にルーティングを行うHVGF(Hop-Vector-based Greedy Forwarding)方式では,ルーティングの際に4つの基準ノードからのホップ数を基にしたホップ数ベクトルをアドレスとして各センサノードに対応させ参照しているため,位置座標が必要となるアプリケーションにおいて,明確な位置座標を通知することができない.そこで,任意の2つのセンサノードについて,センサノードが持つホップ数ベクトルから算出されるノルムと実座標から算出される実距離との相関関係に着目した距離推定手法の提案を行う.ここで,離散値であるホップ数を基に算出するノルムから実距離を推定するため,推定される実距離と実測値との間にはある程度の誤差が発生する.そのため,誤差を考慮した距離推定手法が必要となる.提案するノルムと実距離の相関関係に基づく距離推定手法は,測定したランドマークノードと非ランドマークノード間のノルムを基に,非ランドマークノードがある一定の確率で存在することが予想される距離領域を導出するものである.また,複数のランドマークノードから導出した上記の距離領域を基に非ランドマークノードの位置を推定する手法の提案を行う. 本提案方式の有効性を示すために,提案方式と既存方式であるAPIT(Approximate Point-in-Triangulation Test)を用いた方式をシミュレーションにより比較した.ここでは,評価項目として,推定座標と実座標との平均誤差を用いた.シミュレーション結果より,ランドマークノードの割合が少ない場合においても,目測で認識可能な程度の誤差で位置推定が可能であることが分かった.今後は,通信を遮断する障害物があるネットワークに対して,提案手法を適用した場合や幅広いパラメータによる性能評価を行う予定である. |
題名 | 遭遇情報の相互利用による移動端末の軌跡推定法の提案と現実的環境での評価 |
著者 | *野村 崇志, 内山 彰 (大阪大学), 梅津 高朗, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学/独立行政法人科学技術振興機構,CREST) |
Page | pp. 1066 - 1074 |
Keyword | 位置推定, 移動軌跡推定, アドホック通信, 性能評価 |
Abstract | 我々はこれまでに,屋内や地下街,都市環境において,近距離無線通信機能を備えたモバイル端末を持つ歩行者を想定し,近隣端末とのアドホック通信を利用したレンジフリーの移動軌跡推定手法について検討している.このような手法の評価を行う際には,現実にその手法が使用される状況を検討し,それに即したシミュレーションシナリオにおいて提案手法が十分な性能を発揮することを確認する必要がある.本稿では,我々が現在検討しているレンジフリー移動軌跡推定手法について,実際に使用される環境や利用例について検討するとともに,そのような使用環境を想定した領域やそこでの典型的な人の挙動を組み合わせた複数のシミュレーションシナリオにおいて実験を行うことで,この手法の性能,ならびに想定環境での実用性について評価している. |
題名 | GPS信号を応用した屋内外シームレス位置情報システムの開発 |
著者 | *川口 貴正, 江端 智一, 吉原 慎哉 (株式会社 日立製作所 システム開発研究所), 下垣 豊 (株式会社 日立製作所 情報・通信グループ 経営戦略室) |
Page | pp. 1075 - 1080 |
Keyword | GPS, 屋内, 携帯電話, IMES, 位置情報シームレス測位 |
Abstract | GPS携帯電話を利用して歩行者ナビゲーションやモバイル広告などの周辺検索,児童見守りなどの第三者検索,緊急通報などの位置通知などへの活用が検討されている.しかしながら,GPS衛星からの無線信号は屋内や地下街には届かないため,屋内では何らかの別の位置測位手段が必要である.こうした中で,独立行政法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は,GPS携帯電話などを屋内測位に利用可能とする方式として,GPS信号内の航法メッセージの代わりに位置情報メッセージを格納して送信する IMES方式を提案している.本研究ではIMES方式に対応したGPS信号送信機を開発し,屋内におけるIMESの有用性の評価と技術課題について検討した. |