題名 | 複数ディスプレイを用いた高解像度ディスプレイ環境の構築 |
著者 | *千葉 豪, 柴田 義孝 (岩手県立大学 ソフトウェア情報学研究科) |
Page | pp. 900 - 905 |
Keyword | マルチメディアネットワーク, グリッドコンピューティング, 分散処理 |
Abstract | 近年, ブロードバンドネットワークサービスの普及により IP ネットワーク上における DV や HDV のような 高精細映像の配信や, 三次元仮想空間におけるオブジェクト情報, テクスチャ情報等を利用した大容量データ通信, 高解像度の地図データの利用したといったことが実現されてきている. また, 高性能ビデオカードを搭載した複数の計算機と複数ディスプレイやプロジェクタを組み合わせたレンダリングクラスタの構築がソフトウェアレベルで可能となり, 過去の可視化, VR分野において利用されてきた専用グラフィックスワークステーションやマルチスクリーンを利用せずとも, 一般的に利用されている 計算機, ディスプレイ環境を応用することで容易に高精細で大画面かつ高臨場感を持つディスプレイ環境が実現できるようになった. そこで本研究では, 対象アプリケーションとしてバーチャルリアリティシステムや, 双方向ビデオ通信システム, 高解像度地図画像データを用いたシステム等を想定し, これらのアプリケーションを大規模高解像度環境において実現するため, 複数 PC クラスタと液晶ディスプレイを組み合わせ, これらを高速ネットワーク上で相互接続することにより, 容易にアプリケーションの出力結果をストリームとして配信し, 実質的にクラスタサイズに比例した高解像度ディスプレイ環境を達成できるプレゼンテーションシステムを開発する. 本システムはアプリケーションと独立してミドルウェアとして実装し, 複数のディスプレイからなる高解像度出力装置への描画処理を行うクラスタ, それらクラスタ群のの管理やストリーム配信制御を行うための管理ノード, 実際にアプリケーションが動作しユーザへのインターフェースを提供するクライアントノードの3つの要素から構成される. 本システムの提供する機能としてピクセルデータのストリーミング機能やディスプレイ間同期表示機能や多地点間映像表示機能を実現し, 高速ネットワーク上で柔軟に各ディスプレイへの描画サイズ, ストリーム送信先の指定といった制御を可能とする. 本稿では, 本システムのアーキテクチャや実現方法およびプロトタイプシステムについて述べる. |
題名 | 全方位カメラとPTZカメラを利用した監視カメラシステムにおける自動追従撮影手法 |
著者 | *佐藤 洋介, 橋本 浩二, 柴田 義孝 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科) |
Page | pp. 906 - 912 |
Keyword | 全方位カメラ, 監視システム, 動体検出, 追従撮影 |
Abstract | 近年 安心や安全を確保するための監視システムが重要になり, 人間の建物への侵入や屋内での行動をリアルタイムに追跡し, 広範囲で高品質な映像の記録や行動の分析を行うことが求められている. 一般に利用されている従来型の監視カメラを使用し広範囲の監視を実現するためには, カメラの台数と膨大な記録メディアが必要となる. これは, 監視システムが大規模で複雑なものとなるだけではなく, 監視を行う人間が複数のモニター, 長時間の記録映像の確認をする必要があり, 高い負担を強いられるという問題がある. そもそもの問題である「多くのカメラを設置する必要性」は, カメラの撮影範囲が狭いことに原因がある. ある一本の廊下で, 近づいてくる人物を捉えられるようにカメラを設置したとき, カメラの真下を通過した後, 遠ざかっていく様子を撮影するためには2台以上のカメラが必要となる. もし十字路であった場合, 3台以上設置しないとその後の行先が判らなくなってしまう. そこで本稿では, 広範囲を一度に撮影可能な全方位カメラと, Pan, Tilt, Zoom制御をすることであらゆる方向を撮影可能なPTZカメラの組み合わせに着目した. 2種類のカメラを組み合わせたカメラユニットでは, まず, 全方位カメラで撮影した全方位映像を用いて動体を検出し, カメラに対する動体の相対位置を算出する. 次に, その検出位置情報に基づきPTZカメラを制御し, 動体や人物の顔を適切な位置・大きさで撮影することで, 人物の拡大画像を効果的な解像度で鮮明に撮影することが可能となる. これまで行われきた監視カメラの研究には, カメラの画像から人間の顔を検出し検出範囲を拡大するシステムや, 単方位カメラ(従来型のカメラ)を利用して顔を検出し, Pan/Tilt/Zoomカメラ(PTZカメラ)を用いて追跡撮影するシステムの研究がなされてきた. これらは人物や顔を検出し, 追従撮影することが可能であることを裏付けたが, ごく限られた範囲での動作を前提としていた. 一方, 全方位映像カメラを用いた自律ロボット制御や, 複数の移動物体を検出するシステム等, 周囲全体を認識する研究も多くなされている. これまでの研究で, 追従・拡大して効果的な解像度で撮影する事と, 広範囲を撮影する事を同時に成し遂げたものはなかった. 1台のカメラで広範囲を撮影すると, 解像度が著しく低下してしまい, その映像事体を監視映像として利用できなかったからだ. 本稿では動体や人物の顔を特定し, その位置情報を抽出, PTZカメラによって自動追跡撮影することで広範囲かつ高精細の監視が可能な新しい監視カメラシステムについて提案を行う. |
題名 | 協調仮想環境における非同期協調作業支援システム |
著者 | *小笠原 弘樹, 柴田 義孝 (岩手県立大学ソフトウェア情報学研究科) |
Page | pp. 913 - 918 |
Keyword | 仮想環境, 分散オブジェクト |
Abstract | 近年のコンピュータやネットワーク、可視化技術の向上を背景として、マルチユーザによるコミュニケーションや協調作業環境を実現するCollaborative Virtual Environment(CVE)に関する研究が多数行われている。このCVEシステムは教育、医療、デザイン、エンターテイメント、ビジネスなど様々な分野で利用されている。CVEにおける協調作業では、参加者の状況や仮想空間内の情報(データ)を複数のユーザと共有する必要がある。ユーザは一拠点だけではなく複数拠点に存在していることもあり、遠隔地のユーザと一緒に作業を行う場合もある。 そのCVEで同期的な協調作業を行う場合、ユーザ同士の事前連絡によるスケジュール調整と時差を考慮する必要がある。また、一般的なCVEのシステムでは同期作業が前提のために作業内容を記録する機能が無く、途中から参加する場合にユーザは以前にその空間内で行われた作業内容を把握することができない。編集作業を行う場合にも作業内容が記録されないため、対象オブジェクトを最初から作り直すか完成品を編集しなければならないといった問題点が挙げられる。 その様な同期作業における問題を解決するために、本研究では非同期協調作業支援と作業記録の必要性に着目し、CVEの空間記録を用いた非同期協調作業支援システム(SAVE)の開発を行う。これは仮想空間をSoftware Configuration Management(ソフトウェア構成管理)の様にバージョン管理を行うシステムであり、新たにRevision Treeの概念を導入することでバージョン情報のインタラクティブな操作を可能とし、過去の作業空間の再生や、任意の時点の空間を再構築する機能を実現する。 これにより、非同期協調作業支援と協調作業の効率化が期待できる。仮想空間内の作業記録を行うことで途中参加のユーザも以前の作業内容を把握することができ、各ユーザが非同期に作業を進めた後にその成果物として空間情報をマージするということも可能となる。一方、効率化という面ではユーザが復元ポイントを残すことで任意の時点の空間を再構築することができる。過去の作業内容を再生することで先人や上級者の作業内容を学ぶことも可能となる。 |
題名 | PrinterSurf:モバイル環境に適した印刷システムの機能拡張に関する検討 |
著者 | *齊藤 達郎 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科 ), 齊藤 義仰 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科), 峰野 博史 (静岡大学 情報学部), 村山 優子 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科) |
Page | pp. 919 - 924 |
Keyword | プリンタ共有, オーバーレイネットワーク, PrinterSurf |
Abstract | 現在,プリンタを利用する際にはドライバのインストールやプリンタの設定など煩雑な操作を必要とする.そのため,出張先や学会会場などで利用できるモバイル性を考慮された印刷サービスモデルが求められる.そこで本研究では,P2P (Peer-to-Peer) ネットワークの構築を行い,オーバーレイネットワークを用いてプリンタの共有スペースの構築を行う.本システムにより,プリンタ資源を有効的に利用できる仕組みを提案する.本稿では,プロトタイプシステムの実装を行い,オーバーレイネットワークを経由した印刷ができることを確認した. |