題名 | 位置情報応用システムのための塗り分け画像を用いた高速ジオコーディング手法の提案 |
著者 | *田島 孝治, 安藤 公彦 (東京農工大学工学府電子情報工学専攻), 大島 浩太, 寺田 松昭 (東京農工大学共生科学技術研究院先端情報科学部門) |
Page | pp. 458 - 465 |
Keyword | 位置情報システム, ジオコーディング, 地域情報配信システム |
Abstract | 近年,ユーザの位置情報を利用し,場所・地域に特化した有用な情報を提供するシステムに注目が 集まっている.これまでに我々は,個人の現在位置と時刻に応じて必要な情報を選び,自動的に映し 出す情報提示システム「水晶珠」を提案し,そのプロトタイプを示した.提案システムは,利用者が 地域や店舗などのエリアの名称や場所を自由に編集・追加できる機能があり,エリア名称と経緯度の 変換を行っている.これは,位置情報を利用したシステムを構成する上で欠かせない技術であり,ジ オコーディングとして広く知られている.しかし,従来手法は,名称から経緯度に変換することに重 点を置いて設計されており,経緯度からエリア名称へ変換する際には,変換時間と変換精度に課題を 残していた.本稿ではエリアごとに色で塗り分けた画像を用いて,経緯度から地点名への変換を行う 新しいジオコーディング手法を提案する.さらに,平成18 年度に国土交通省国土計画局が発行した, 国土数値情報および街区レベル位置参照情報から,埼玉県の市区町村区分ベクトルデータを用いて, 本方式の評価を行った.これにより,変換ミスをエリアの境界面である0.2%に押さえ,従来方式の 約70 倍の高速化が実現できることを確認した. |
題名 | 出発地が異なる2ユーザの共通の目的地への協調ナビゲーションの提案 |
著者 | *曽我 真人 (和歌山大学システム工学部), 角本 一嘉 ((株)アメニティソリューションズ) |
Page | pp. 466 - 473 |
Keyword | 協調, ナビゲーション, 時間消化, 合流 |
Abstract | 現在,GPSを利用して目的地までの経路を案内するシステムは,カーナビゲーションや,携帯電話のナビゲーションシステムなどで実用化されている.その中で,車谷らは,複数の自動車が特定の道路に集中して渋滞するのを避けるために,情報共有に基づいて,誘導するカーナビを提案している[1].さらに,人を対象とした混雑低減を目的として,災害時に非難する場合,避難者によって,異なる避難経路や避難場所に誘導することを協調ナビゲーションとして提案している[2].すなわち,[1]と[2]は,いずれも,出発地点と目的地の双方とも異なる個々の移動体が,なるべく経路を共有しないように,システムが個別の経路を提案することを協調ナビゲーションと位置づけている. それに対して,我々は,異なる出発点にいる複数の移動体が,同時に共通の目的地に至る場合の,システムによる経路の提案を協調ナビゲーションと呼ぶことにする.提案する協調ナビゲーションは2つあり,時間消化ナビゲーションと合流ナビゲーションである. 本論文の第一の目的は,時間消化ナビゲーションと合流ナビゲーションの概念を提案することである.第二の目的は, GPS付き携帯電話を用いて,2人の歩行を対象として,提案する協調ナビゲーションシステムを試作し,評価を行うことである.次に,提案する2つの協調ナビゲーションの概念について概説する. まず,時間消化ナビゲーションの概念について説明する.2人のユーザが,異なる出発点から,同時に出発し,共通の目的地に向かうと,どちらかが先に目的地に到着して,もうひとりのユーザを待たなければならないことが,しばしば生じる.このような場合,その待ち時間を利用して,途中の観光地やお店に立寄ることができれば便利である.そこで,出発前にシステムがそれぞれについて単独ナビで経路と所要時間を計算して,2人の目的地への到着時刻が異なる場合に,先に到着すると見込まれるユーザに対して,単独ナビで提示される経路上や経路付近の立寄りスポットの候補を提示し,それぞれの立寄りスポットに留まれる時間を提示する.また,その中からひとつの立寄りスポットをユーザが選択した場合に,その立寄りスポットを経由して目的地に至る経路を提示する.これが時間消化ナビゲーションである.また,地図画像上には自分のルートとパートナーのルートの2つが描画されるため,パートナーがどこを通ってくるか予測が出来ることになる. 次に,合流ナビゲーションの概念について説明する.2人のユーザが,異なる出発点から,同時に出発し,共通の目的地に向かうときに,それぞれが目的地にたどり着くまで別々に行動するのではなく,途中で合流して目的地に行きたい場合がある.たとえば,2人で会話しながら目的地に向いたい場合などがこれにあたる.このような場合に,システムが合流地点と,出発地点から合流地点までの経路,および,合流地点から目的地までの経路を提示する.これが合流ナビゲーションである.原理としては,ユーザ,パートナー,目的地の3点を結んで描かれる三角形の内部にある全ての交差点の中からから最大3つの交差点を待ち合流候補点として抽出する.そして,ユーザはこの候補の中から1つをパートナーとの合流場所として選べるが,この時ユーザには,「2人で揃って歩く距離を短くする」,「長くする」,「普通」といった表現で提示される.ユーザの選択結果によって,待ち合わせ場所が確定され,地図上にそれがマークされる.また,こちらも時間消化ナビと同様に,自分とパートナー,2人分のルートが地図画像上で明らかになる. 評価実験は,被験者に2人1組となってもらい,Webサーバ上にナビゲーションシステムを構築し,NTTドコモのGPS付ケータイでこのWebサーバにアクセスすることでシステムを利用し,実際に街中を歩いてもらい,アンケートによってその使い勝手や改良点等の感想を記入してもらった.その結果,このシステムについて良い評価を得られた点として,待ち合わせ場所などをシステムが決めてくれることや,友達との待ち合わせに便利などの意見が得られた.また,逆に悪い点として,相手の位置はWebサーバを介してしか知ることができないので相手の現在地が見られない点などがあげられた.この欠点は,携帯電話の端末同士が直接通信できる技術が得られれば,解決できる可能性がある. [1] 山下倫央,車谷浩一:道路交通流の円滑化に向けた情報共有に基づく協調カーナビの提案,情報処理学会研究報告,2006-ITS-25,pp.63-70,(2006) [2] 産業技術総合研究所マルチエージェントグループ研究テーマ http://www.consorts.org/mas/ja/research/activity.html |
題名 | 無線LAN端末の向きを考慮した屋内ナビゲーションの検討 |
著者 | *加藤 悠一郎 (静岡大学情報学部), 櫻木 伸也 (静岡大学大学院情報学研究科), 峰野 博史 (静岡大学情報学部), 水野 忠則 (静岡大学創造科学技術大学院) |
Page | pp. 474 - 481 |
Keyword | 位置情報, ナビゲーション, 無線LAN |
Abstract | 近年、携帯端末は飛躍的に進歩・普及しており、携帯電話などの契約数は1億回線を突破した。携帯端末の普及にともないモバイルインターネット環境が充実し、ユーザは携帯端末を利用して様々なサービスを容易に入手できる環境が整いつつある。またIrDA,UWB,Bluetooth,無線LANなどの短距離無線通信技術の進展によって、あちこちに偏在するオブジェクトが常にネットワークに接続されるユビキタスコンピューティング環境が現実のものとなりつつある。ユビキタスコンピューティング環境やモバイル環境の普及に伴い、位置情報サービスニーズが高まっており、測位やナビゲーションなど位置情報サービスに関する様々な研究が進められている。中でもGPSを利用したシステムは、カーナビゲーションをはじめとして様々な運用システムですでに実用化されている。しかし一方で、衛星からのGPS信号が受信できない屋内環境における位置情報サービスの要求も高まってきている。これに対しては、RFIDタグや超音波などの屋内用の様々なインフラを利用したシステムが検討されているが、新たにナビゲーションナービス専用にインフラを敷設することはコスト面から考えると得策であるとは言い難い。 そこで、本研究では携帯端末を用いて低コストで直観的に利用可能な屋内環境を想定したナビゲーションシステムの現実を目標とし、ナビゲーションシステムの提案・設計及び無線LANを用いた位置・方向に関しての実験を行った。現在、一般家庭をはじめとして商業施設、各種学校施設、企業、電車、空港、駅などあらゆる場所で利用可能になってきている無線LANをインフラとして利用することで、低コストで屋内環境向けのナビゲーションの実現を目指す。また無線LANを用いてナビゲーションを行う上での課題の一つの即位という点に着目した。無線LANの受信電波強度を用いて目的地への遠近上オフや利用者の方向を知ることを第一目標とし、それらをどのように実現していくかという点についての検討を行った。 目的地と端末との関係を利用したナビゲーションを行うために、まずアクセスポイントと端末との関係についての実験を実環境で行った。実験では1つのアクセスポイントと1つの端末を用いて距離を変化させた場合と方向を変化させた場合についてそれぞれ観測を行い、その結果から、移動による受信電波強度の変化を用いたナビゲーションと受信電波強度の観測値の分散などを見ることによる前後判断が実現可能であるという結果を得た。 |