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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2008)シンポジウム

セッション 2D  ネットワークプロトコル(1)(DPS)
日時: 2008年7月9日(水) 15:30 - 17:10
部屋: ペガサス
座長: 寺西 裕一 (阪大)

2D-1 (時間: 15:30 - 15:55)
題名Valley-free規則を用いたネットワークトラフィックグラフ描画ツール
著者*野本 真吾 (東洋大学大学院工学研究科情報システム専攻), 福田 健介 (国立情報学研究所), 上原 稔, 森 秀樹 (東洋大学大学院工学研究科)
Pagepp. 341 - 347
Keywordグラフ描画, スケールフリー, Valley-free, スモールワールド, トラフィック

2D-2 (時間: 15:55 - 16:20)
題名統合型光無線システムの研究開発
著者*鈴木 敏司, 若森 和彦, Kamugish Kazaura, Alam Shah, Pham Dat, 松本 充司 (早稲田大学 国際情報通信研究センター), 塚本 勝俊, 東野 武史, 中村 卓也, 高橋 浩一, 小牧 省三 (大阪大学大学院工学研究科)
Pagepp. 348 - 352
Keyword光無線システム, RoFSO, マルチメディア, 大気屈折構造定数, CNR
Abstract 本研究の目的は、光ファイバ整備が困難な地域に対して,各種(携帯電話,地上ディジタル放送,WiFi,WiMAX等)のブロードバンド・サービスを光ファイバと同等の性能で容易に低コストで提供するため,本技術はRoF信号をDWDMとして,ファイバ〜空間〜ファイバと伝送するRoFSO(Radio on Free Space Optics)の技術開発を目指している。  本研究の実験は、早稲田大学の西早稲田と大久保キャンパス間の約1Km強で実施している。測定はRF信号発生器でWCDMA信号を生成し、FSO装置で空間伝搬を行い、受信側で空間伝搬されたRF信号をシグナル・アナライザで測定する。これと並行して天気計で気象観測を行っている。  実フィールドにおける大気揺らぎが信号品質に与える影響を汎用的に評価するいためのパラメータを中質するために,大気揺らぎとCNR,ACLRとの相関関係を評価を行った。注目すべきは,大気屈折率構造定数(Cn^2)の大きさの変動と通信品質(CNR)の解析を行った。この結果より,本実験システムでは大気揺らぎが最悪時でも10dB程度のマージンを見込んでおけばよいことが分かる。この大気屈折率構造定数(Cn^2)をパラメーとすることでシステムの大気揺らぎに対する光無線区間のリンク・マージン設計にできる事が分かつた。

2D-3 (時間: 16:20 - 16:45)
題名DCCP TFRCにおける転送レート通知機構の検討
著者大石 祐亮 (電気通信大学 情報システム学研究科), *小林 克志 (産業技術総合研究所)
Pagepp. 353 - 357
Keywordリアルタイム性, 輻輳制御, トランスポートプロトコル, インターネット, マルチメディアネットワーク
Abstract 近年インターネットの発達により、転送されるデータに時間的な制限が要求されるリアルタイム性(実時間性)が問われる利用が多くなってきていている。現在のインターネットにおけるトランスポートプロトコルにはTCPとUDPがある。リアルタイムが問われる利用においては、TCPは再送などの誤り訂正機能を備え実時間性が損なわれるため、現状ではUDPが利用されている。しかしながら、輻輳制御のないトラフィックの増加による輻輳の発生と、TCPとの帯域利用の公平性への問題が発生する。以上の理由から実時間性の問われる利用においても、輻輳制御機能が必要になる。  そのため、輻輳制御を備えた信頼性の無い転送プロトコルとしてDCCP (Datagram Congestion Control Protocol) が提案された。DCCP は輻輳制御アルゴリズムを選択でき、その中の一つに、TCPと帯域を公平に取ろうとするTFRC (TCP-Friendly Rate Control) が備わっているため、それらの問題を解決することができる。 しかしながら、信頼性のないプロトコルに輻輳制御を備えたことで実装上に新たな問題が発生する。輻輳制御を持つプロトコルのトラフィックパターンは、送信側の転送レートによって制御されて受信側へ転送されるため、送信側、受信側が同様になる。DCCPの輻輳制御によって転送レートが低下した時、アプリケーションはその変化を検知することができない。そのため、転送レートの減少に応じて品質を変更することができず、その結果、送信できなくなったデータはソケットバッファに溜まってしまう。  このような時、リアルタイムアプリケーションによる利用では送信キューに繋がれたソケットバッファでは時間と共に有用性が失われ、既に価値のない情報になって送信してしまう。そのようなパケットは受信しても破棄されてしまう。さらに、転送レートの低下によって溜まってしまうと、新しいパケットがソケットバッファに入れることが出来なくなってしまい、リアルタイム性を損失してしまう。このことから、リアルタイム性の問われる通信においては、本来独立した設計可能なレイヤモデルにおけるトランスポート層の情報がアプリケーション層へ影響を与えることを意味する。  このような問題の解決手法の一つに、late data choiceアルゴリズムが提案されている。mmapを用いた独自のユーザーカーネルインターフェースを用いることで、アプリケーションから直接、送信直前のパケットを制御することを可能にした機構である。この機構を利用しアプリケーションの実装を行うことによって問題を解決することができる。しかしながら、従来から利用されているソケットインターフェースを利用せず独自のインターフェースを実装しているため、実装する際にはインターフェースに沿った実装方法に従う必要がある。そのため汎用性が損なわれてしまう。  そこで、本研究ではシグナルを利用したトランスポート層からの転送レート通知することによる解決手法の検討を行った。アプリケーションとカーネル間のイベント通知機構であるシグナルを利用し、トランスポート層から直接アプリケーションへ通知することで、アプリケーションが変化の検知を可能にする。また、転送レートの低下を検知すると供にソケットバッファのデータをクリアすることで、検知した転送レートに適した品質のデータを新たに格納できるようにし、遅延による転送レートの低下を防ぐことを可能にする。検知にはDCCP TFRCにおける輻輳情報の一つであるロスイベントレートを用いることで実現した。  本機構の実装は、Debian/GNU Linux etch上で動作するkernel-2.6.21をベースに実装を行った。アプリケーションにはビデオ電話であるVideo Phone for Linux (linphone)をDCCPに適応し、シグナル受信処理を追加実装した上で利用した。検証にはDummynetを利用し、仮想インターネットをエミュレートすることで本研究の有効性を確認した。計測結果では、既存の実装と本機構の実装によるトラフィックパターンに相違が見られた。本来ソケットバッファに溜まることによる遅延から転送レートの低下により、パケットロス発生時のトラフィックパターンは同様になるはずである。これは、新たなデータを格納するためのソケットバッファをクリアによる作用から、本来パケットロスとなるパケットを転送させないようにし、パケットロスが減少したためである。また、パケットロス発生後、遅延の増加が見られ、既存の実装は急激に転送レートが低下し、通信に支障きたすところ、本機構の実装により転送レート低下に伴った転送量の制御が可能になったことを確認することができた。