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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2007)シンポジウム

セッション 8H  ネットワーク管理2(DSM)
日時: 2007年7月6日(金) 10:50 - 12:30
部屋: 回転スカイラウンジ
座長: 安東 孝二 (東京大学情報基盤センター)

8H-1 (時間: 10:50 - 11:15)
題名待ち行列網モデルによるspamメールを考慮したメールサーバーシステム設計法
著者*河路 慶一, 市川 貴久 (愛知県立大学大学院 情報科学研究科), 奥田 隆史, 井手口 哲夫 (愛知県立大学 情報科学部)
Pagepp. 1736 - 1739
Keywordspamメール, 待ち行列網, 性能評価
Abstract我が国におけるインターネット利用人口は,平成16年度末の統計によると約7948万人,人口普及率は62.3%となり,インターネットは生活に欠かせない存在となっている.中でも電子メールは,必要不可欠なコミュニケーションツールとして利用されている.一方、メール受信者に同意を得ずに大量に送信されるspamメールが増加している.2005年末には,全電子メールに占める80〜90%がspamメールとなっており,処理を行うメールサーバー,ユーザーに影響を与えている.我々の研究グループでは,あるユーザーに到着するspamメールの収集,分析を行い,spamメールの到着間隔特性を示した.また,ユーザー側でのspamメール対策について述べた.今後も増加が予想されるspamメールに対し適切な対策を行うためには,メールサーバー,ネットワークでの影響について評価を行う必要がある.そこで本稿では,メールサーバーに到着する電子メールの一般的な処理の流れについて待ち行列網によるモデリングを行う.数値例として,我々の研究グループで得たspamメールの到着間隔特性を用いることによって,メールサーバーシステムの性能評価を行う.

8H-2 (時間: 11:15 - 11:40)
題名大規模ネットワーク実験設備への要件
著者*宮地 利幸 (情報通信研究機構 北陸リサーチセンター), 宇多 仁 (北陸先端科学技術大学院大学 情報科学センター), 三輪 信介 (情報通信研究機構 情報通信セキュリティ研究センター), 知念 賢一 (北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科), 芳炭 将 (情報通信研究機構 情報通信セキュリティ研究センター), 丹 康雄 (北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科), 篠田 陽一 (北陸先端科学技術大学院大学 情報科学センター)
Pagepp. 1740 - 1747
Keywordネットワーク実験, StarBED2
Abstract我々はこれまで大規模な実験設備であるStarBEDの運用開発に携わり、 さまざまな実験を実施してきた。 このような経験のなかで、大規模な実験を行うためには、実験設備とそれ を制御する支援ソフトウェアにさまざまな機能が必要であることを確認し た。 StarBEDでは、物理的な設備レベルで、 実験用と管理用ネットワークの分離や、実験用ノードのコン ソールへの容易なアクセス、ノードの死活管理、実験トポロジの柔軟な構 築、ノードの起動方法の切り替えなどを提供している。 本論文ではこれらについての詳細と、 StarBEDの問題点を整理する。 それらをもとに、一般的な実験設備に求められる物理的要件を整理し、 さらにそれをStarBED2として実装している。

8H-3 (時間: 11:40 - 12:05)
題名IPv6ネットワークトポロジ表示システムについて
著者加耒 徹 (大分大学工学部), 児玉 清幸 (大分大学大学院工学研究科), *有田 敏充 (大分大学工学部), 吉田 和幸 (大分大学総合情報処理センター)
Pagepp. 1748 - 1753
Keywordネットワーク管理, ネットワークトポロジ, IPv6, OSPFv3
Abstract近年のネットワークの発達は我々にインターネット等多くの恩恵をもたらしている。それにともない、ネットワークの利用者は年々増加し、ネットワークは大規模で複雑なものになっている。そのために、一度ネットワークに障害が発生すると、その原因を突き止めて解決するまでに発生する被害が甚大なものになる。そのため、ネットワークを円滑に運用するために管理するネットワーク管理者が重要な役割を担っている。しかし、ネットワークが大規模になるほどには、ネットワーク管理者は増えておらず、ネットワーク管理者にかかる負担は増大している。また、ネットワークの大規模化によって、今までのネットワークを支えてきたIPv4(Internet Protocol version 4)はIPアドレスの枯渇、経路表の増大等といった様々な問題点が指摘されている。そこで、IPv4の問題点を解決し、新しい要求に応えることができる次世代のインターネットプロトコルとしてIPv6 (Internet Protocol version 6)が設計され、IPv6ネットワークの運用も始まりつつある。  我々は、従来作成してきたIPv4のためのネットワークトポロジ表示システムを拡張し、LAN程度大きさのIPv6ネットワークに関するトポロジ情報の収集とその表示を行うシステムを作成した。IPv4ネットワークでは、OSPFv2のupdateパケットを監視し、見つかるとSNMPを利用し、ルータからOSPFv2 MIBのオブジェクトを収集して、その中からOSPFv2が維持しているLink State Database(LSDB)を取り出し、そこからルータとサブネットの接続情報と、そのメトリックを抽出し、表示部に渡している。IPv6では、経路制御に用いるOSPFv3のMIBは、まだExperimental段階であり、ほとんど実装されていない。そのため、IPv6のネットワークトポロジ情報の収集のためにSNMPを用いることができない。そのためPCサーバ上にIPv6ルーティングデーモンであるZebraをインストールし、そこにTelnetで接続することでZebraが隣接ルータから集めたOSPFv3のLSDBを収集した。このLSDB からIPv6ネットワークトポロジ情報の抽出に関しては、OSPFv2からIPv4ネットワークトポロジ情報の抽出アルゴリズムがほとんど使えた。しかしながら、IPv6では、一つのインターフェースに複数のIPv6アドレスを設定できるため、経路表の中のNext HopにLink Local Addressを使う。そのためNext Hopの情報はトポロジ情報としては不十分であった。また、マルチホームしている場合には、1つのインターフェースにLink Local Addressを以外に複数のネットワークアドレスが対応する場合がある。IPv6のためのネットワークトポロジ表示システムの構築を通してIPv4にはなかった、これらのネットワークトポロジを表示する上での問題が明らかになった。本論文では、IPv6のためのネットワークトポロジ表示システムの構築とその際明らかになったIPv6固有のトポロジ表示上の問題、およびシステムの運用について述べる。

8H-4 (時間: 12:05 - 12:30)
題名ネットワーク構成情報表示システムのための自動配置アルゴリズムの評価
著者*児玉 清幸, 釜崎 正吾 (大分大学大学院工学研究科), 吉田 和幸 (大分大学総合情報処理センター)
Pagepp. 1754 - 1761
Keywordネットワーク管理, ネットワークトポロジ
Abstract 現在、コンピュータネットワークは様々な場面で利用されている。企業や行政機関、個人利用に至るまでその利用形態や利用目的は多岐にわたる。また、その重要度や依存度も年々増加しており、コンピュータネットワークは今や社会インフラとしての役割を持つと言っても過言ではない。そのため、コンピュータネットワークには"常に利用可能であること(可用性)"が求められている。コンピュータネットワークの可用性維持の為には、コンピュータネットワークのトポロジーを把握することは、性能管理、障害管理、機密管理等を行う際の基本的情報であり、重要である。トポロジーを把握するにより、障害発生箇所の早期発見・早期復旧を可能にし、ネットワークの可用性を高めることができる。しかし、利用者の増加や接続規模の拡大に伴うコンピュータネットワークの大規模化・複雑化により、ネットワーク管理者にとって管理対象となるネットワークを把握することが非常に困難なものとなっている。 そこで、我々は管理者のネットワーク管理に掛かる負担を軽減させることを目的として、コンピュータネットワークにおけるルータ間およびルータとサブネット間の接続状況を、収集し、Appletを用いて表示するシステムの開発を行ってきた。 本論文では、本システムの中でネットワーク構成図のレイアウトを自動決定するための“レイアウトアルゴリズム”の改良とその評価について述べる。本システムが従来用いていた自動配置アルゴリズムでは(1)ランダムに与えていた各ノードの初期座標値がレイアウト結果に影響を及ぼす(2)ノードの振動現象によって自動配置の終了が明確でない、(3)本来接続関係に無いノードとリンクが偶然、重複することがあり、ユーザの誤解を招く(ネットワークの接続関係をご認識する)レイアウトを提示する可能性がある、という3つの問題点が存在した。新たなレイアウトアルゴリズムでは、これらの問題点解消のために、(A)各ノードの初期座標値の設定方法、(B)ノードに「重量」を導入した反発力計算、(C)接続関係に無いノードとリンクの重複を検出排除する機能、という3つの提案を行う。 (A)については、従来は乱数により決定されていた初期状態を、接続関係を考慮して決定することで、レイアウト結果への初期状態の依存を緩和させることを目的としている。(B)については、ノード間に働く反発力の抑制により、ノードの振動現象を抑えることを目的としている。(C)については、接続関係に無いノードとリンクの重複を検出し、リンクを曲線化することで重複状態の排除を行うことを目的としている。  提案したレイアウトアルゴリズムに関して、“収束までの繰返し回数”や“平均処理時間”等の処理効率に関する評価と、レイアウトの“視認性”に関する評価の2種類の評価基準により評価した。なお、“視認性”の評価基準は本システムの目的でもある“ネットワークの構成把握”という観点から“正確な接続関係の確認しやすさ”を評価基準として設定した。具体的な指標としては、“接続関係に無いノードとリンクの重なり”、“リンクの交差”がグラフ全体で何箇所発生しているかなどを評価項目とする。