題名 | 空間可視光通信による携帯情報端末の提案 |
著者 | *林 新, 伊藤 日出男 (産業技術総合研究所 情報技術研究部門) |
Page | pp. 1545 - 1548 |
Keyword | 光無線通信, カード型端末, 双方向通信, 多元個別情報対応, 電子ペーパー |
Abstract | 近年,ユーザへのより良い情報支援を志向するために,表示部を有する携帯情報端末やICカードが盛んに研究開発されている.本提案では,有機固体素子に基づく電流型半導体発光材料である有機EL素子と有機薄膜太陽電池を利用することにより,端末の低消費電力,双方向多元データ伝送を実現することが可能となるだけでなく,端末を高視認性,湾曲自在の携帯電子ペーパーとして利用も期待できる.また,情報伝送媒体として,照明光源の利用を想定するので,カーテンで光を遮断すれば,情報が室外に漏洩する心配が少ない.さらに,端末パネルに複数の制御スイッチを設置することにより,1つの端末で複数の請求をそれぞれ環境側に送信することができるようになる. 本提案は,照明光の利用を想定しているので,端末を照明の届く範囲で使えば,情報伝送と閲覧を行うことができるようになる.電波を使わないため,無線電波のように混線することがなく,人体への悪影響がないという特徴があるので,医療や研究機関での活用が期待できる. |
題名 | UHF帯RFIDシステム設計支援ツール「RADIOSCAPE-RFID」の開発 |
著者 | *菅原 弘人, 小野 隆志, 土門 渉 (NEC/ビジネスイノベーションセンター) |
Page | pp. 1549 - 1552 |
Keyword | RFID, 電波伝搬, 通信プロトコル, 無線システム設計 |
Abstract | UHF帯RFID導入時のシステム設計業務を支援するツール「RADIOSCAPE-RFID」を開発した.今回我々は,物流現場の一括検品における検知漏れや対象外タグ誤検知の問題を発生させないためのシステム設計を支援するため,複数枚タグの一括読み取りにおける読取率を推定する機能や,タグが最大限読み取られる可能性のあるエリアを推定する機能を開発した.これらの推定機能の精度について実機を用いた評価を行い,実用上十分な高い精度が得られることを確認した. RADIOSCAPE-RFIDを用いることにより,UHF帯RFID導入現場における環境や運用条件を考慮したうえで,対象外タグの誤検知を回避しながら所望の読取率を実現するためのリーダアンテナの設置位置や角度,送信出力等を机上検討によって決定することができる.そのため,UHF帯RFID導入時のシステム設計業務の大幅な効率化が期待できる. |
題名 | 2次元空間移動物体の1次元情報による継続的追跡方式 |
著者 | *佐野 渉二, 田村 明広 (神戸大学大学院/自然科学研究科), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院/工学研究科), 義久 智樹 (京都大学学術情報メディアセンター) |
Page | pp. 1553 - 1560 |
Keyword | センサネットワーク, 移動体, ノード追跡, 電波強度 |
Abstract | 可動ノードを用いた無線センサネットワークでは,幅広い範囲のデータを収集することが可能であるが,可動ノードが他のノード群からある一定距離以上離れてノード郡の受信可能範囲から出てしまうと通信を維持できなくなる問題が生じる.そのため,無線ネットワークから外れそうな可動ノードに対して,他のノードが追跡することにより,ネットワークを維持する必要がある. 本研究では,可動ノードが定期的に電波を発することを想定し,可動ノードの発する電波強度からそのノードとの相対距離が求められることを利用することで,相対距離のみから可動ノードを追跡する方法について考える.本稿では,追跡方式を提案し,シミュレーション実験により,その有用性を確かめた.応用例として,発信機を取り付けた生物の生態調査,車車間通信,センサネットワークにおけるノード同士の協調動作などに利用できると考えられる. |
題名 | コグニティブ無線クラウドにおける通信情報管理 |
著者 | *村田 嘉利 (岩手県立大学 ソフトウェア情報学部), 宮本 剛, 長谷川 幹雄, 斉藤 義仰 (情報通信研究機構 ユビキタスモバイルグループ) |
Page | pp. 1561 - 1567 |
Keyword | モバイルネットワーク, コグニティブ無線, 通信制御 |
Abstract | 次世代の移動通信システムの在り方として、全ての通信を一つの通信システムで対応するホモジーニアスなネットワーク構成ではなく、複数の異なった無線システムを状況に使い分けるヘテロジーニアスなネットワーク構成がある。その際、一つの通信事業者が全ての無線システムを提供するのではなく、個々の通信事業者が提供する通信設備を端末主導で選択することによって伝送路を確立するアーキテクチャ構成が考えられる。このようなコンセプトの移動通信システムを我々はコグニティブ無線クラウドと呼んでいる。 一つの事業者が接続可能な通信設備を一元的に管理している場合には、ネットワークの基本性能については設計段階で保障されており、接続端末数や端末のロケーションといったダイナミックに変化する状態についても一元的に管理されている。 一方、コグニティブ無線クラウドにおいては、個々の事業者が提供する通信設備の性能やキャパシティはばらついていると考えなければならない。また、ダイナミックに変化する情報についても各通信設備が個々に所持していると考えるのが妥当である。このような状況下において、出来る限り料金の安い経路を希望するとか品質の高い経路を希望するとかいったユーザポリシーに基づいて経路選択をするためには、必要とする情報種別からして3G移動通信ネットワークを始めとするホモジーニアスネットワークとは異なる。当然、それらの通信情報を管理するネットワーク構成にしても従来とは異なった構成となる。 本論文では、コグニティブ無線クラウドにおける通信制御に必要な情報種別に言及すると共にそれらの情報を収集する手法、情報管理ネットワークの構成について考察する。 まず、最初にコグニティブ無線クラウドの基本コンセプトおよび要求条件について述べる。基本コンセプトとしては、以下を考えている。 ・ 端末主導によりユーザポリシーにもとづいて通信設備を選択する。 ・ 一つの通信事業者によって保障・提供されているネットワークではなく、複数のことなる通信事業者が提供する通信設備の集合体としてのホモジーニアスネットワークである。 ・ 周波数の利用効率を追求する。 ・ スケーラブルなネットワークである。 上記に基づいて必要となる通信情報を明確化する。無線区間としては、各ロケーションをカバーしている無線設備に関する情報、自端末を取り巻く周辺のトランザクション情報などが必要となる。有線区間に関しては、当面インターネットが実際的なネットワークであり、その上でポリシーオリエティッドな制御を行うためには、仮想オーバレイネットワークを構成すると共にエンドツーエンド区間を構成する個々のネットワークの状態に関する情報が必要となる。 続いて、上記の情報を取得する手段について言及する。無線設備に関する情報についてはスペクトラムセンシングが主な手段となる。一方、周辺情報については、通信中の端末とローカルエリア単位に情報管理するサーバを設けてそこに聞きにいくなりする必要がある。有線ネットワークの状態に関する情報についても各ネットワークのルータから情報を得るかそれらの情報を分散管理するサーバを設けて聞きに行く方法などが考えられる。 それに引き続いて、上記で得た情報をどこで、あるいはどの単位で管理すべきかについて述べる。無線区間の情報は端末自身、それを取り巻く無線基地局で主に情報を管理するが、周辺の情報やトランザクション履歴などは上位サーバで管理した方が適している可能性がある。有線ネットワークに関しても同様である。 |