題名 | Side-by-Side Meeting: 非対称な環境を用いた遠隔作業支援 |
著者 | *飯塚 裕一 (名古屋大学情報科学研究科), 河口 信夫 (名古屋大学工学研究科) |
Page | pp. 1029 - 1033 |
Keyword | 遠隔作業 |
題名 | 異なる学習集団の学生が協調的に作問可能なe-Learningシステム |
著者 | *高木 正則 (創価大学/工学部), 光國 正明, 勅使河原 可海 (創価大学大学院/工学研究科) |
Page | pp. 1034 - 1039 |
Keyword | e-Learning, 非同期協調学習, 作問演習, 相互評価, オンラインテスト |
Abstract | 我々はこれまで学生が協調に作問可能なWBTシステム「CollabTest」を開発し,大学などで利用実験を実施してきた.その結果,本システムがe-Learningのコンテンツ不足と同期対面型講義における教師‐学生間ならびに学生同士のインタラクティブ性の欠如の改善に十分寄与できることが示された.一方,近年ではTim O’Reillyによって提唱されたWeb2.0が注目を集めている.CollabTestもWeb2.0的な要素を含むe-Learningシステムであるといえるが,WebをプラットフォームとしているWeb2.0とは異なっていた.そこで,我々はシステムの利用環境をWeb上の非同期分散環境へと拡大するより,システムの新たな利用価値を検討した.本稿では,非同期分散環境での利用形態の第一段階として,複数の学習集団の学生が非同期環境で協調的に作問可能なe-Learningシステムについて述べる. |
題名 | クライアント単独で利用時間および入力時間を厳密に管理できるデジタルコンテンツ配信・送信システムの提案 |
著者 | *五百蔵 重典 (神奈川工科大学), 古井 陽之助 (九州産業大学), 速水 治夫 (神奈川工科大学) |
Page | pp. 1040 - 1043 |
Keyword | Digital Rights Management, ICカード, 利用期間 |
Abstract | 1. はじめに コンピュータおよびネットワークの発展に伴い,コンピュータを利用した資格認定試験が増えてきている.しかし受験状況の管理・監督に厳密性が要求される入学試験などの試験ではまだ利用されていない.このような試験においてコンピュータを利用するには,受験生に同一の問題を時間差なく確実に配布し,かつ定められた時間内でのみ解答を許可しなければならないという課題がある. 一方,我々はデジタルコンテンツを図書館的に共同利用するシステム(以下,図書館システム)を提案した[1].図書館システムを使うと,クライアントに暗号化したデジタルコンテンツを配信することができ,特定のユーザにのみその利用を許可する.また,クライアントは利用期限切れを判定するためにネットワークに接続する必要がなく,利用時間をクライアント環境のみで正確に管理できる. 本論文では図書館システムに基づき,試験問題の配信および解答時間の管理に利用できる新たなシステムを提案する.本提案システムを使うと,試験開始前にネットワーク経由で試験問題をデジタルコンテンツとして配布し,ネットワーク障害による遅延・不達・データ化けにも事前に対処することができる.さらに,試験問題の閲覧時間および入力時間を厳密に管理することもできる. 2. システムの提案 提案システムを述べる前に,提案システムの元になった図書館システムの概要を述べ,その後提案システムについて述べる. 2.1 図書館システム 我々が開発中の図書館システムは,デジタルコンテンツを対象とする図書館的共同利用サービスを提供するものである.図書館システムはデジタルコンテンツの二次原本とN人分の同時閲覧利用権を所有し,ネットワークを通して,同時に最大N人に,貸出期間付きで閲覧させる.閲覧は,デジタルコンテンツはクライアントコンピュータにダウンロードして行う.通常の書籍と同様,貸し出し期限内では,スタンドアローンでの閲覧(持ち運び:PC)が可能である.貸出期間終了後は,利用権が消滅し閲覧できなくなる. 図書館的共同利用サービスを実現するためには,トークンと呼ばれる「PCと接続可能であり,携帯可能な大きさであり,一般ユーザが変更できない時計を内蔵しており,一般ユーザが書き込めない機能」を持つ機器をそれぞれのユーザが所有していると仮定する.トークンのエミュレータは開発済みで,現在は実機を作成中である.図書館システムの構成は,図書館のコンテンツ貸出管理サーバ,ユーザPC,PC上の閲覧ソフト,およびトークンである. 図書館システムの特徴として,ネットワークを経由してコンテンツをダウンロードするが,ネットワークから切り離された状態でも使用することを前提として,図書館からの貸し出し数と返却数を管理し同時利用数を一定数以内にする方式であること.特に,貸出期間を経過するとコンテンツが閲覧できなくなる点が図書館システムの特色である. 2.1 提案システム 提案システムの動作を,学力試験での利用を想定して述べる.まず図書館システムと同様にデジタルコンテンツの利用権を取得する.利用権には,利用期限,コンテンツ暗号化鍵,デジタルコンテンツの署名が含まれており,トークン内の保護領域に書き込まれる.試験のアナロジーでは利用権は受験票に該当している.受験者または会場設置者は暗号化された試験問題を試験時間前にダウンロードすることができる.受験者は,ビューアを使って試験問題が正常にダウンロードされているか確認することができる.ビューアは試験問題が正常にダウンロードされているかを,トークン内に保存された試験問題の署名を使って確認する. 試験問題はビューアを通してのみ見ることができるが,ビューアはトークンと一定間隔で通信を行い,利用期間内でしか復号化して閲覧することができないように制限される.ユーザの入力は,一定間隔でトークンに保存され,利用期間が過ぎると,ユーザ入力は不可能になる.そしてユーザの入力は,入力終了時刻と共に暗号化されトークン内に保存される.暗号化されたコンテンツは,サーバへ送られる. 2.1.1 提案システムの特徴 本提案システムでは,コンテンツが利用期間前に配信可能だが,利用期間前では閲覧できず,コンテンツが正常にダウンロードできたかを確認する機能が備えられている.この機能により,利用可能開始時間前にコンテンツの配信および整合性の確認ができるため,トラブルの中で最も想定されるネットワーク障害による問題配布の遅延および不達を防ぐことができる. 図書館システムで作成したトークンを用いることで,クライアント環境のみでの厳密な時間管理,および不正なユーザからの時計の保護は実現できていた.しかし,図書館システムではコンテンツの貸し出し期限は1日単位であるため,それ程利用時間を厳密に管理していなかった.特に利用開始時間は管理しておらず,利用権を得るとすぐに利用可能であった.本提案システムでは,ビューアはトークンと一定間隔で通信を行うことで,利用時間を厳密に管理することができるようになっている. 本提案システムには,図書館システムにはない入力機能が備えられている.ユーザ入力は一定間隔でトークンに保存されることで,PCのフリーズなどの障害に耐えるようになっている.また利用期限内でのみ入力が可能で,利用期間終了時には最終入力時間と共に入力データを暗号化する.この機能により,期限内にユーザ入力されことを保障している. サーバに送信するユーザ入力は,最終入力時間が添えられているので,書き込み時間が保証されている.そのため,ネットワークの不調などにより,解答の送信の遅れが発生したときも,期限内に書き込まれたことを保障できる. 3. 提案システムの実装 スタンドアローンで閲覧可能で,貸出期間を終了するとコンテンツが閲覧できなくなる機能を実現するためには,クライアント側の耐タンパー性と時間管理機能が求められる.クライアント側に耐タンパー性を持たせるために現在試作中の時間管理機能を保持しているICカード(トークン)を用いて本システムを実装する.しかし時間管理機能付きICカードは存在しないため,図書館システムで作成済みの時間管理機能付きICカードのエミュレーション環境を用いて,本提案システムを構築した. 4 評価・今後の課題・まとめ 試験問題の配信および解答時間の管理はできたが,身代わり受験などを防ぐことはできない.そのため自宅受験はできず,試験監督がいる所定の会場で試験を受けなくてはいけないのは従来のコンピュータを用いた資格試験などと同じである. 利用時間および入力時間を保証したデジタルコンテンツ配布・送信サービスのプロトコルが実用的であるかを確認するためのシステムを作成し,本システムの目的を十分果たすことを確認した.加えて,本システムは時間を厳密に管理するために,図書館システムよりもICカードに求められる要求が厳しい.そこで時間管理機能つきICカードエミューレータを用いて,本提案で要求される要求を実測し,実機を作る際の参考データを集めた. 本システムは構成を若干変更することによって,時間管理を厳密に要求される用途で,タトエバ電子入札などでも利用可能であると思われる. |
題名 | オンライン講義におけるノートテイク高速化のためのテキスト入力支援システム |
著者 | *井上 亮文, 小高 正道, 市村 哲 (東京工科大学 コンピュータサイエンス学部) |
Page | pp. 1044 - 1049 |
Keyword | 教育システム, 入力支援 |
Abstract | 現代の大学等における講義は,パワーポイントに代表される電子プレゼンテー ションが主流である.電子プレゼンテーションでは,板書と比べて見やすい講 義資料を提供できる.しかし,講師は事前に用意した資料をクリックで切り替 えるだけでよいため,同じ内容を講義する場合でも板書に比べて進行が速くな る傾向があり,学生が内容をノートに書き留めることが困難である.そこで多 くの講師は,講義資料をネット上で公開し,講義の前後で受講者が自由に参照 できるようにしている. また,学生のノートテイクの方法にも変化が生じている.紙のノートではなく ノートPCで講義資料を開き,講師が話した補足説明や重要事項をテキストエディ タで入力するというスタイルが定着しつつある.この場合,講師が話した内容を, 正確かつ高速に記録する必要がある. 予測入力システムは,キーボードによる日本語入力を高速化するため,変換の 候補を自動的にリストアップするシステムである.例えば「いん」と入力する と,「インターネット」「インターンシップ」など候補のリストが現れ,その 候補の中から選択することで入力が保管される. POBoxは携帯電話の予測入力システムとして知られており,あらかじめ用意され た辞書やユーザの利用履歴から候補を推定していく.Nanashiki や Kukura は,編集中の文書や,閲覧したことのあるWebページの内容に基づいて優先候補 を出力するものであり,やはりユーザ自身の履歴に基づいて候補を推定する. しかし,講義資料は要点だけを抜粋して書いてあることが多い.講師はスライ ドには書いていない単語や専門用語を駆使しながら,この要点を説明すること が多い.事前に用意した辞書や利用履歴に基づく予測だけでは,このような単 語を適切な候補として推薦することはできない. そこで本論文では,講義資料や講義で用いるインターネット情報を参照して適 切な日本語変換候補を出力することで,講義中のメモを高速に入力可能にする システムCaIMEを提案する. ユーザーはCaIME を使い,講義資料(PPTファイル)を1つまたは複数選択する. この時システムは,ユーザによって選択されたPPT ファイルをネットワーク経 由で取得し,この中に記述されたテキストの抽出を行なう.次にシステムは, テキストを形態素解析をして講義資料から名詞を抽出すると共に,正規表現を 用いたパターンマッチによりテキストからURLを抽出する. 抽出された名詞は,優先候補語句としてIMEの変換辞書に即座に登録される.一 方,URL については,URL のリンク先ホームページのコンテンツをインターネッ ト経由で取得し,そのコンテンツから抽出した名詞を優先候補語句として変換 辞書に登録するようになっている.講義資料からURL を抽出する理由は,講師 が準備や講義資料作成の際に参考にしたページであることが多く,講義資料に 書かれていない専門用語を講師が発話した場合にでもシステムが対応できる可 能性が高いためである. 以上のように講義資料から抽出された名詞とURLに基づき変換候補語句を辞書登 録することにより,講義で使われる可能性の高い用語が日本語変換候補の上位 に現れるようになっている. 実験の結果,単語ごとに短く変換する場合は,講義で使われる用語が上位にく る場合が多く,使いやすいという結果を得た.長文ごとで変換する場合は,変 換回数が増える傾向が見られた.被験者の全体の感想として講義に関連する用 語が上位変換候補に出てくることが多くなることで入力支援を行うことが確認 出来た. 今後の課題としては,PPT以外のファイル形式に対応すること,ユーザの変換 スタイルに応じて登録する読み仮名の長さを可変にすることがあげられる. |
題名 | プログラム概念からPERL言語までを学ぶ遠隔教育システム |
著者 | *吉田 幸二, 川崎 陽亮, 松浦 智史, 坂下 善彦 (湘南工科大学/情報工学科), 宮地 功 (岡山理科大学/総合情報学部情報科学科), 市村 洋 (サレジオ高専/専攻科) |
Page | pp. 1050 - 1054 |
Keyword | e-learning, 遠隔教育, ソフトウエア工学, プログラミング, インターネット |
Abstract | 1.概要 近年,プログラム概念が理解できていない学生が増えてきている。こうした中で、ソフトウェアの開発は複雑で大規模なものになってきている,学生はソフトウェア工学における仕様の決定からプログラミングまでを体系的に学ぶ必要がある。そこで、プログラムの基本概念からプログラミングまでを学べる遠隔教育システムがあれば良いと考えた。 本システムは、まず、プログラム概念学習から設計イメージを把握する。この設計は、プログラム初心者でも簡単にイメージ的図形を配置することにより体験できる。そして、それを実行することにより、図形が画面上で動作でき確認できる。次に、プログラミングの実体験を実践する。Web上で、Perl言語の基本を学習した後、単純なプログラムの作成から、複雑なプログラムの組み合わせまでを学ぶ。ここでは、Perl言語を使用しているため、Web上でシームレスにプログラムの拡張や接続が容易なため、その作成と実行及びデバッグが容易に可能である。また、自己学習の進度やランキングもあるので学習者のモチベーションの持続にも配慮している。 2.機能概要 (1)プログラム概念学習 利用者に対してプログラムの設計を行えるインターフェイスと、設計されたプログラムを読み込み、図形描画を用いて実行結果を表示するインターフェイスをアプリケーションにて提供する。アプリケーションはjava言語にて実装した。プログラムの設計および実行を行うアプリケーションでは、操作性と使いやすさを考慮してGUIにて提供する。プログラム内容はLogo言語的なオブジェクトを相対座標にて操作し、グラフィックスの描画を行うものであり、実行を行ったシミュレーションの動作が理解しやすいようにアニメーションを用いて表示する方法を採用した。 プログラムの設計方法は対象者をプログラムの知識を持たない者としていることから、言語を用いず、命令を持たせたブロック(命令ブロック)を組み合わせることで行う。 (2)Perl言語学習機能 機能を大きく2つに分けると学習支援機能とPerl言語学習機能があるPerl言語学習機能ではPerl言語の解説、Perlに関するクイズ、Perl言語プログラム作成機能を持っている。学習支援機能ではユーザアカウントの登録や削除などのアカウント管理機能、ファイルの管理機能、ユーザが学習した記録を分析する機能がある。 ユーザ認証して本システムのPerl言語学習機能を学習する。このシステムで作成したプログラムはサーバ上に保存されているのでいつでも実行確認する事が出来る。言語学習促進機能としてユーザが行ったクイズやPerl言語プログラム作成の正答率や成功率を集計しグラフ化することで学習者が今どこまで学習できているかを確認できる機能がある。 3.まとめ 本システムは、プログラムの概念の理解を容易にするために、Logo的な言語仕様によりイメージ的にプログラミングとその結果を図形のシュミレーションにより体験できる。このため、この機能はプログラミングの未経験者や初心者には、プログラム概念習得に有効であった。次に、Perl言語によるプログラミング学習は、個人学習結果の履歴や自己の進捗度も見えるので学習の効果が上がり、モチベーションの持続にもつながった。 一方、C言語との比較があるとより理解しやすい。また、ソフトウエア開発に於けるグループ学習や他人とのコミュニケーションの練習等ができると、実践に役立つという意見もあり、今後は、これらの機能を拡張し総合的なシステムを開発して行く。 |
上記5F-2の講演は発表セッションを3Fに変更しました。