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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2007)シンポジウム

セッション 2D  位置推定(ITS)
日時: 2007年7月4日(水) 15:00 - 16:40
部屋: 松〜梅
座長: 桐村 昌行 (三菱電機)

2D-1 (時間: 15:00 - 15:25)
題名無線LANおよびRFIDを統合した位置検知システム
著者*井上 文暁 (筑波大学大学院 システム情報工学研究科), 張 勇兵 (筑波大学大学院システム情報工学研究科)
Pagepp. 287 - 292
Keyword位置検知システム, 位置情報ドメイン, 無線LAN, RFID, Webサービス
Abstract本稿では,無線LAN技術およびRFID技術を統合した位置検知システムを提案する.本提案システムでは,ネットワークを複数の小さな位置情報管理ドメインに分割し各ドメインで位置情報を分散管理することにより,ネットワーク全体の位置情報管理負荷が分散されるのみでなく,各ドメインの構成変更に迅速に対応でき,大規模ネットワークに容易に拡張できるようになっている.また,各ドメインに設置されている位置情報管理サーバは無線LAN技術およびRFID技術の両方をサポートするため,異なる無線技術を用いる移動端末の位置情報を一元管理することができ,異なる通信技術が混在するシステムにおける位置情報サービスを提供できる.さらに,異なるドメイン間における位置情報の通信を制御することにより,ネットワークを流れる位置情報トラフィック量を減らすことが可能である.

2D-2 (時間: 15:25 - 15:50)
題名インターレースカメラによるフレーム内オプティカルフローを用いた高速移動対応の速度推定手法
著者*鈴木 雄貴 (神戸大学大学院工学研究科電気電子工学専攻), 國本 佳嗣 (神戸大学大学院自然科学研究科電気電子工学専攻), 佐野 渉二 (神戸大学大学院自然科学研究科情報・電子科学専攻), 義久 智樹 (京都大学学術情報メディアセンター), 塚本 昌彦 (神戸大学工学部電気電子工学科)
Pagepp. 293 - 302
Keywordフレーム内オプティカルフロー, インターレース, 位置推定, 速度推定, 画像処理
Abstract 近年のカメラの小型化・高性能化に伴い,カメラ画像から撮影対象やカメラの速度を推定し,それらの位置を把握する研究が盛んに行われている.例えば,イベント会場の一部を撮影するカメラを用いて参加者の移動速度を推定し,会場案内を行うナビゲーションシステムや,ロボットに搭載されたカメラを用いて移動速度を求める研究が挙げられる.これまでの研究のほとんどは,撮影対象の画像フレーム間の移動量から速度を推定しているために,画像に歪みやぶれが生じない程度の速度でしか推定することができず,1フレームにしか撮影されないくらい高速に移動する場合では,正確に速度推定できなかった.どれくらいの速度を高速とするかについてはカメラの性能に依存するが,筆者らの無線カメラを用いた実験では,歩く速度程度が高速移動に相当する.例えば,高速移動する撮影対象の速度推定を行う以下の場合が考えられる. ・例1 街中に設置されたウェブカメラを用いて,友人の位置情報把握のため速度を推定する. ・例2 自転車に設置したハンディカメラを用いて,繁華街の店の位置情報把握のため速度を推定する. ・例3 自動車に設置した高精度カメラを用いて,近接車の位置情報把握のため速度を推定する.  このため,筆者らの研究グループでは,高速に移動する対象の速度推定を行う手法としてカメラのインターレーススキャンを利用した速度・推定手法を提案している.インターレーススキャンとは,インターレースカメラで撮影した1フレームの画像を奇数走査・偶数走査の順でスキャンするものである.これまでの手法では,黒色円形マーカを使用し,インターレーススキャンによるフレーム内でのマーカのぶれを利用して速度推定を行っていた.既定のマーカを用いるため,処理負荷が軽くなるが,あらかじめ多数のマーカを設置する必要がある.  本研究では,フレーム内オプティカルフローを用いた速度推定手法を提案する.オプティカルフローとは,連続する2枚の画像のある点が次の瞬間にどの方向へどの程度移動したかを示すベクトル場であり,オプティカルフローを用いることで,マーカがなくても速度推定を行うことができる.従来のオプティカルフローによる速度推定は,連続する2フレーム間の輝度差分を用いているが,スキャン間隔の長さのために,画像がぶれる場合や,2フレーム間の画像に対して,オプティカルフローを求めるために区切る局所領域内に画像の共通部分がなくなる場合のように高速移動するものに対しては対応できない.提案手法では,インターレーススキャンを利用し,フレーム内の奇数走査画像・偶数走査画像を2枚の画像とみなしてオプティカルフローを求めることで,スキャン間隔より短い時間間隔の画像からオプティカルフローを求めるために高速に移動する撮影対象の速度推定を行うことが可能となる.  提案手法の評価としてカメラの移動速度とオプティカルフローベクトルの大きさとの関係を調べることで,従来のオプティカルフローを用いた手法に比べ,提案手法の方が高速移動に対応できることを確認した.また,実験環境の照度を変えて実験を行うことで,照度による精度の変化がないことを確かめた.提案する速度推定手法を利用すれば,対象物体の位置・大きさが分かっている場合は,移動物体の速度推定や移動コンピュータの自律移動への応用,また速度推定を行うことでカメラをマウス代わりとして用いるアプリケーションや,カメラを装着したダンサーの動きの早さにより光の明滅パターンを変えるダンスパフォーマンスなどへの応用が実現可能と考えられる.

2D-3 (時間: 15:50 - 16:15)
題名アドホック無線通信を用いた位置推定プラットフォームの設計と性能評価
著者*内山 彰, 藤井 彩恵, 梅津 高朗, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 303 - 311
Keywordアドホックネットワーク, 位置推定, 都市環境, 通信量削減
Abstract我々はこれまでに都市環境向けの高精度な位置推定手法UPL を提案している.本稿では,UPL の 実現に関するいくつかの課題解決を図り,UPL を用いた位置推定プラットフォームの実現を目指す. UPL では端末間で位置推定に必要な情報をやりとりする必要があるが,電力節約のためにその通信量 をできるだけ削減することが求められる.この目的のため,周辺端末の密度やそれらが保持するデー タを推測し,推定精度を低下させることなく自律的に通信量を削減できる方法を提案する.また,領 域情報を階層化することでデータサイズを削減し,拡張性を向上させる.さらに,実環境での電波到 達範囲の不安定性を考慮した無線範囲モデルを導入し,それらが性能に与える影響を調べる.現実的 な人の行動を再現可能なネットワークシミュレータMobiREAL を用いたシミュレーション実験結果 より,提案手法をUPL に導入することで,実装時に考慮すべき問題を効果的に解決できることが分 かった.また,現実的な無線範囲モデルの下でも高い推定精度を維持できることを確認した.

2D-4 (時間: 16:15 - 16:40)
題名無線端末の遭遇履歴情報を用いた位置トレース推定手法の提案
著者*藤井 彩恵, 内山 彰, 梅津 高朗, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 312 - 321
Keyword位置トレース, アドホックネットワーク, シミュレーテッド・アニーリング
Abstract本稿では,GPS などの測位システムを用いず,少ない位置基準点と無線端末が蓄積した他端末との遭遇情報のみを用い,それらの移動軌跡をオフラインで推定する低コストな位置トレース手法を提案する.提案手法では,与えられた遭遇情報から,位置基準点間をなるべく最短距離で移動する端末の行動を検出し,それを基準とした逐次的推定を順次行うことで,高速かつ簡潔な位置トレーシングを可能としている.さらに,シミュレーテッド・アニーリング(SA)に基づいた,全端末間での一括位置調整を併用することで,逐次的推定からの更なる高精度化を図る.シミュレーション実験により,基準位置が数十メートル間隔で配置された領域において端末の位置誤差の平均が4m 以下に抑えられた.