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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2007)シンポジウム

セッション 2A  アドホックネットワーク2(MBL)
日時: 2007年7月4日(水) 15:00 - 16:40
部屋: 平安
座長: 石原 進 (静岡大学)

2A-1 (時間: 15:00 - 15:25)
題名OLSRにおける隣接ノード変化検出性能の向上
著者*後藤 康宏 (千葉大学大学院融合科学研究科), 増田 修士 (千葉大学大学院自然科学研究科), 阪田 史郎 (千葉大学大学院融合科学研究科)
Pagepp. 217 - 222
KeywordOLSR, 隣接ノード, プロアクティブ型

2A-2 (時間: 15:25 - 15:50)
題名非常に不安定なネットワークにおける送信方式の違いによる通信安定性の検証
著者*片岡  慧 (東京大学/国立情報学研究所), 山上 智久 (東京大学), 本位田 真一 (東京大学/国立情報学研究所)
Pagepp. 223 - 229
Keywordaodv, アドホックネットワーク, 無線
Abstract不安定なアドホックワイヤレスネットワークにおいては,既存のルーティングプロトコルを利用した場合,通信到達率が大幅に低下する.パケットが到達できなかった場合,同じパケットの再送信を行うため,到達率の低下は,通信量・レイテンシ双方の増大を招く.本論文では,基本的な送信方法を三種類提案し,それぞれについて,不安定なネットワーク下(Zigbeeを想定)でのルーティングプロトコルの一つであるAODVプロトコルを実装し,通信量・レイテンシを比較した.また,不安定なアドホックネットワークにおいても通信到達率の下がりにくいプロトコルを考案した.

2A-3 (時間: 15:50 - 16:15)
題名時刻により変化する都市歩行流や交通流を再現するモビリティモデルの提案と評価
著者*前田 久美子, 中村 雅俊, 梅津 高朗, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 230 - 237
Keywordモビリティモデル, ネットワークシミュレーション, 無線ネットワーク, MANET
Abstractネットワークシミュレーションにより無線ネットワークアプリケーションの正確な評価を行うには,より現実的なモビリティモデルが必要とされている.本稿では都市における歩行者の行動に焦点を当てたモビリティモデルであるUrban Pedestrian Flows (UPF) を,駅前で電車が到着すると一時的に人が増加するといったような時間的な密度の変化が再現できるように拡張した.ワイヤレスメッシュネットワークシステムにおける負荷分散プロトコルの評価事例を通して,提案する密度の動的な変化モデルの有用性を示す.

2A-4 (時間: 16:15 - 16:40)
題名MANETにおけるコスト基準経路探索プロトコルへのコスト基準拡張リング探索の適用
著者*河村 美嗣 (早稲田大学理工学研究科), 鄭 顕志 (早稲田大学理工学研究科、国立情報学研究所), 深澤 良彰 (早稲田大学理工学研究科), 本位田 真一 (東京大学、国立情報学研究所)
Pagepp. 238 - 244
KeywordMANET, ルーティング
Abstract MANET(Mobile Ad-hoc Network)とは、複数の移動可能な携帯端末により形成された、マルチホップ無線ネットワークである。MANETにおける大きな制約の1つは、電池容量の制約である。MANETを構成するノードは電池で駆動しており、また多くの場合においてその電池の充電や交換が困難な状況において使用される。そのため、電池の消費量を低減しネットワークの寿命が長くなるようにする必要がある。ネットワークの寿命を伸ばすことを目的とする主なルーティングプロトコルとして、コスト基準ルーティングプロトコルがある。ルーティングプロトコルの役割は大きく経路探索とデータ転送に分けられるが、経路探索の部分を特に経路探索プロトコルと呼ぶ。本論文は、コスト基準経路探索プロトコルで使用される拡張リング探索を改良し、ネットワークの寿命をより伸ばすことを目的とするコスト基準拡張リング探索を提案する。  拡張リング探索(Expanding Ring Search)とは、リアクティブ型の一般的なルーティングプロトコルが経路探索時に使用する技術である。拡張リング探索を説明するため、既存のリアクティブ型の一般的なルーティングプロトコルである、AODVプロトコルを例に挙げて説明する。まず、送信元ノードが送信先ノードへデータを送信したい場合、送信元ノードは送信先ノードへの経路情報が送信元ノードのルーティングテーブルに存在するかどうかを確認する。もし送信元ノードが経路表に送信先ノードへの経路情報を保持していない場合、ルートリクエスト(RREQ)メッセージを隣接ノードへブロードキャストし、送信元ノードから送信先ノードまでの経路の探索を開始する。このとき、RREQメッセージがネットワーク全体に転送されると送信先ノードが近くにいた場合に無駄なRREQメッセージが大量に発生するため、効率的ではない。そのため、送信元ノードがRREQメッセージを送信する際に、最初はRREQメッセージが転送されるホップ数を制限し、それで見つからない場合は徐々にホップ数を大きくして探索する範囲を広げる拡張リング探索を行う。  コスト基準ルーティングプロトコルとは、送信元ノードの経路表に送信先ノードまでの経路の候補が複数存在する場合に、それぞれの経路のコストを計算しそれが最小となるように経路を選択して送信するプロトコルの総称である。経路のコストを計算する方法は多数あるが、ネットワークの寿命を伸ばすことを目的とするプロトコルでは、経路の総消費電力や経路に使用されるノードの最低残り電池寿命をコストとして用い、経路の候補が複数存在する場合にコストの低い経路を選択しデータ転送を行う。  既存のコスト基準経路探索プロトコルでは、リアクティブ型の一般的な経路探索プロトコルと同じようにホップ数による拡張リング探索が行われている。しかし、コスト基準経路探索プロトコルで既存のホップ数による拡張リング探索を行うことは適切ではない。そもそも既存の経路探索プロトコルではホップ数が最小となる経路を探索する要求があるため、ホップ数による拡張リング探索を行っていた。しかし、コスト基準経路探索プロトコルではコストが最小となる経路を探索する必要がある。コストの計算方法によってはホップ数が最小の経路であっても、コストが最小の経路とならないことがある。たとえば消費電力において、距離の離れたノード間で通信する場合より、その間のノードが中継を行い通信する方が消費電力を低減できる場合がある。このように、ホップ数が増加してもコストが減少する場合がある。そのため、ホップ数による拡張リング探索を行うことによりホップ数でRREQメッセージの転送範囲を制限するとコストが最小の経路を発見することができない場合があるので、コスト基準経路探索プロトコルではホップ数による拡張リング探索ではなく、コストによる拡張リング探索であるコスト基準拡張リング探索を行うべきである。  コスト基準拡張リング探索とは、RREQメッセージが転送される際の制限をコストにより指定することである。RREQメッセージを受け取ったノードはコストが一定値を下回っている場合にのみ転送するようにする。これによって送信元ノードからコストが一定値以下である範囲で送信先ノードを探索することができる。しかし転送されるごとにコストが必ず増加する方法以外でコストが計算される場合では、転送が無限に行われる可能性がある。例えばコストが経路の総消費電力で計算される場合は、RREQメッセージが転送されるごとにコストが必ず増加するため転送は一定範囲内に収まり、ネットワーク全体に転送されることはない。しかし、コストが経路に使用されるノードの最低残り電池寿命で計算される場合は、RREQメッセージが転送されるごとにコストが増加するとは限らないため、RREQメッセージはネットワーク全体に転送される可能性がある。本研究では、このようなコストの計算方法でも適用できるようなコスト基準拡張リング探索を提案し、様々なコストの場合に対して適用し、その効果を評価する。