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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2012)シンポジウム

セッション 8B  通信制御と消費電力
日時: 2012年7月6日(金) 10:45 - 12:50
部屋: 長流の2
座長: 鶴岡 行雄 (NTT)

8B-1 (時間: 10:45 - 11:10)
題名環境情報に基づくトランスポート層における通信制御手法の評価
著者*飯尾 明日香, 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 2064 - 2069
Keyword無線通信, Context, 車載センサ, TCP, 輻輳制御
Abstract現在,自動車のように無数のセンサが搭載された端末からは,その物体の状況を特徴づけるような環境情報,すなわち,Contextを取得できる. これは無線通信における最適なパラメータ設定にも利用可能であると考えられる. 一方,無線通信において,一般に通信パラメータは周囲の状況に関わらず静的に設定されているものが多く,端末は必ずしも効率の良い通信設定がされているとはいえないことから,環境情報を利用することにより,通信効率の改善が期待できる. 本研究では,通信の上位層であるTCPの輻輳制御に着目し,ここに環境情報として周辺端末数を利用することによる通信性能の改善手法を検討する. TCPの輻輳制御において性能を決定する重要なパラメータである輻輳ウィンドウサイズは,周辺の端末数等に関わらず,輻輳制御アルゴリズムにより制御されているため,各端末は周囲の状況を考慮した最適な通信を行っているとは言えない. 本稿では,輻輳制御を行う通常のTCPと,輻輳ウィンドウサイズを一定値に保つTCPを,通信シミュレーションにより性能比較することにより,環境情報に基づく通信制御手法を確立するための基礎検討を行った.

8B-2 (時間: 11:10 - 11:35)
題名多様な移動体通信環境における無線LANシステム同士の競合
著者*森内 彩加, 安藤 玲未 (お茶の水女子大学 人間文化創成科学研究科), 村瀬 勉 (NEC), 小口 正人 (お茶の水女子大学 人間文化創成科学研究科)
Pagepp. 2070 - 2075
Keyword無線LAN, TCP, QoS
Abstract無線LANの普及,マルチメディア通信の需要の増加といった背景から,無線LAN環境におけるQoS制御が大変重要になっている. さらに,近年のモバイルルータ等の普及から,今後はアクセスポイント(AP)と個人のPCや携帯端末等が併せて移動する環境が想定される. そこで,本研究では,モバイルルータをAPとして使用した環境(モバイルルータ環境)を想定する.既に,複数のモバイル無線LAN(m-WLAN)が接近したときのフロー毎の品質特性評価が行われている.これにより,2つのm-WLANは,十分に離れていると干渉は無く,近づくにつれて互いをキャリアとして認識するようになり,十分近接すると,一つのCSMA/CAドメインになることが明らかにされている.このとき,m-WLAN同士が近づくにつれて,リソースを合計端末数で公平にシェアするため,トータルスループットは,台数の多いm-WLANの方が不利になるということが示されている.しかし,その理由について,定量的に示されてはいない.そこで本稿では,その理由を詳細に調査し,さらに公平性の解決策を提案し,その効果を確認した.

8B-3 (時間: 11:35 - 12:00)
題名コンテクストアウェアネスに基づいた省電力モバイルP2P通信
著者*三宅 聡史, 萬代 雅希 (上智大学)
Pagepp. 2076 - 2083
Keywordコンテクストアウェアネス, 無線LAN, 省電力, モバイル
Abstractモバイル Peer-to-Peer (P2P) 通信は,アクセスポイントを必要とせずにモバイル 端末同士で通信を行う.一般に,モバイル P2P 通信は IEEE 802.11 無線 LAN の使 用が想定されているが,無線 LAN 使用における消費電力は大きい.従って,ユーザ が必要とする場合にのみ自動的に無線 LAN を wake up させ,必要でない場合には 無線 LAN を sleep させるシステムが要求される.本稿では,コンテクスト情報を用 いることで,ユーザの状況に応じた無線 LAN の wake up/sleep の切り替えを行う 省電力モバイル P2P 通信を提案する.クライアントからのコンテクスト情報を用い てサーバがクライアントに wake up/sleep の命令を行う Server-Based モデルと,ク ライアントが自律的に wake up/sleep の判断を行う Client-Based モデルを提案し, 無線 LAN を常時使用する場合と比較して測定評価を行った結果,提案する両モデル において省電力化に有効であることを確認した.さらに,モバイル P2P 通信を用い るストリーミングアプリケーションを実装した.

8B-4 (時間: 12:00 - 12:25)
題名無線LANにおける省電力のための送信電力制御方式の改善
著者*山本 英生, 井手口 哲夫, 田 学軍, 奥田 隆史 (愛知県立大学/情報科学研究科)
Pagepp. 2084 - 2089
Keyword無線LAN, 消費電力, スループット, インフラストラクチャモード, アドホックモード

8B-5 (時間: 12:25 - 12:50)
題名Androidアプリケーションのための運用時消費電力プロファイリング環境構築に向けて
著者*古庄 裕貴 (九州大学大学院システム情報科学府情報知能工学専攻), 久住 憲嗣 (九州大学システムLSI研究センター), 神山 剛, 稲村 浩 ((株)NTTドコモ 先進技術研究所), 中西 恒夫, 福田 晃 (九州大学大学院システム情報科学研究院)
Pagepp. 2090 - 2095
Keyword消費電力プロファイリング, Android, AspectJ
Abstract本論文はAndroid端末上で動作するアプリケーションの省電力化のための分析に必要なデータ収集手法を提案する.従来の消費電力分析技術は開発者が与えるテストケースを基にプロファイリングを行うので,様々な利用形態を想定したプロファイリングを行うことが難しかった.提案手法は,ユーザがアプリケーションを実際に利用している時に,消費電力推定に必要なログを収集し,プロファイリングを行う.ログの取得コードはアプリケーションに自動的に埋め込まれる.そのアプリケーションを配布することで複数の端末から様々な利用形態のデータを収集する.本論文ではAndroidアプリケーションをアクティビティ毎に分析するための方法を示す.さらに,精度とオーバーヘッドの評価を行い,10ms程度と比較的祖粒度にログを取得するためには十分な性能でログ取得が行えることを明らかにした