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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2012)シンポジウム

セッション 6D  P2P
日時: 2012年7月5日(木) 15:25 - 17:30
部屋: 剣梅鉢の1
座長: 井上 亮文 (東京工科大学)

6D-1 (時間: 15:25 - 15:50)
題名P2P VoDにおける配信ノードの負荷低減のためのピース・デポジット方式
著者*遠藤 伶, 高山 和幸, 酒田 良樹, 重野 寛 (慶應義塾大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1543 - 1550
KeywordP2P, VoD, 動機付けアルゴリズム
AbstractP2P VoD ストリーミングでは,ピアに積極的にデータを送信させて配信サーバの送信負荷を下げるために,データ送信量に応じた量だけデータ受信を許可するという,報酬付けアルゴリズムが広く導入されている. しかし,既存のP2P VoD向け報酬付けアルゴリズムでは,サービスに参加直後のピアは送信できるデータがないため,データ送信にすぐには参加できないため,ピアの送信帯域使用率が低い. 本論文では,システムが初期参加ピアにデータの一部を預けて,後から回収するデポジットの仕組みを利用することで,ピアの再生開始遅延を短縮させるピース・デポジット方式を提案する. ピース・デポジット方式では,ピアにとっての報酬をピースの受信ではなく動画の連続再生として考えることで,ピースをピアに預けることを可能にする.

6D-2 (時間: 15:50 - 16:15)
題名エージェント技術を用いた分散バックアップシステムの開発
著者*柴川 元宏, 打矢 隆弘, 内匠 逸 (名古屋工業大学 大学院工学研究科 情報工学専攻), 木下 哲男 (東北大学 電気通信研究所)
Pagepp. 1551 - 1557
Keywordエージェント, 分散バックアップ, マルチエージェントシステム
Abstract本研究の目的は,エージェントフレームワークDASHを用いることで,柔軟性のあるバックアップシステムを構築し,既存バックアップ手法の問題点を解決する事である.既存手法には,RAIDなどのローカルの物理媒体を使う手法や,Dropbox などのオンラインストレージを使う手法である.ローカルの物理媒体を使う場合は,地理的な局所性と作業負担が大きい事が問題である.オンラインストレージでは,金銭的コストと利用形態に制限がある事が問題である.提案システムでは,DASHに機能を追加し,接続している計算機を自動的に取得することで,柔軟性を得ると共に,分散バックアップにより地理的な局所性を低減している.更に,エージェントが自律的に計算機を移動することで利用者への負担を軽減し透過性を高めている.実験では,提案システムの動作を確認し,既存手法との速度の比較を行った.この結果,冗長化とバックアップが正しく動作している事が確認できた.また,既存手法と比較して,エージェントに関する処理が大きなオーバーヘッドであることが判明した.今後はシステムを改良し,より効率的に動作するシステムを構築する.

6D-3 (時間: 16:15 - 16:40)
題名構造化オーバレイにおける経路表構築アルゴリズム拡張のモデル化に関する一検討
著者*長尾 洋也, 宮尾 武裕, 首藤 一幸 (東京工業大学)
Pagepp. 1558 - 1564
Keyword構造化オーバレイ, P2P, オーバレイネットワーク
Abstract構造化オーバレイアルゴリズムの拡張を統一的に記述する手法を提案する.提案手法は構造化オーバレイアルゴリズムの設計手法 flexible routing tables(FRT)をベースにしており,経路表構築アルゴリズムを拡張する操作を,特定の経路表エントリsticky entry set (SES)の定義を追加する操作と見なすことで,拡張前後のアルゴリズムの統一的な記述を実現する. また,アルゴリズムの拡張同士を機械的に組み合わせて新しいアルゴリズムを設計することが可能となり,アルゴリズムの設計・検証・実装が容易になる効果が期待される. 代表的なDHTアルゴリズムであるFRT-Chordおよび,その拡張アルゴリズムであるGFRT-Chord,PFRT-ChordをSESを用いて記述した.また,実際にGFRT-ChordとPFRT-Chordとを合成したアルゴリズムを設計し,実際に合成アルゴリズムを作成可能であることを明らかにした.

6D-4 (時間: 16:40 - 17:05)
題名動的負荷分散特性に基づく構造化P2Pネットワークの構築
著者*生出 拓馬 (仙台高等専門学校), 武田 敦志 (東北学院大学), 高橋 晶子 (仙台高等専門学校)
Pagepp. 1565 - 1572
Keyword構造化P2Pネットワーク, オーバレイネットワーク, 動的負荷分散
Abstract構造化P2Pネットワークは,ネットワーク上に存在するオブジェクトを確実に検索することが可能なオーバーレイネットワークであり,DHTやMercuryなどの構造化P2Pネットワークが提案されている.しかし,DHTでは,過負荷となっているノードへのオブジェクトの割り当てを避けるといった,動的な負荷分散を行うことが困難である.一方,Mercuryでは,動的な負荷分散と柔軟な範囲検索が可能であるが,各ノードがネットワーク上で離脱と参加を繰り返すため,ノード間の物理的な近傍性を考慮したネットワークを構築することが困難である. そこで我々は,これらの問題を克服する新たな構造化P2PネットワークとしてWaonを提案してきた.Waonでは,ノードのネットワーク上での位置を変更することで,動的な負荷分散を行うことが可能である.また,オブジェクト間の大小関係を保ったままノードへの割り当てを行うことで,柔軟な範囲検索が可能である.さらに,ネットワーク上のノード間の前後関係は変化しないため,ノード間の物理的な近傍性を考慮したネットワークを構築することが可能である. 本稿では,Waonの動的負荷分散アルゴリズムについて述べ,その問題点を明らかにし,改良を加えた新規アルゴリズムの提案を行う.その後,評価実験を通じて新規アルゴリズムの性能評価を行い,今後の課題について述べる.