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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2012)シンポジウム

セッション 1F  認証
日時: 2012年7月4日(水) 12:45 - 14:50
部屋: 黒百合の2
座長: 渡辺 龍 (KDDI研究所)

1F-1 (時間: 12:45 - 13:10)
題名指静脈認証における指の認証適性評価手法
著者*清水 春美, 長坂 晃朗, 宮武 孝文, 三浦 直人, 松田 友輔 (日立製作所 中央研究所)
Pagepp. 180 - 187
Keyword生体認証, 指静脈, 画質評価
Abstract本研究では,指静脈認証システムのさらなる高精度化のために,誤認証が発生しにくい指を選別できる指標を提案する。指静脈認証では,血管収縮や指表面の変化などが原因で本来撮影できるはずの血管パターンが欠落すると,本人であるにも関わらず誤って他人と判定される本人拒否が発生する。そこで,本研究では撮像画像に写る全ての血管の血管幅を算出し,それらの合計値を指標として用いることで,血管パターンの欠落が起こりにくい指の選別を可能にする。人工的に血管収縮や指表面の変化を起こして撮影した画像を用いた評価の結果,提案指標と状態変化前後の画像間の一致率との間に正の相関があることが確認できた。これにより,提案指標が認証に適した指の選別に利用可能であることが示唆された。

1F-2 (時間: 13:10 - 13:35)
題名行動的特徴量としてのマルチタッチを用いたキーストローク認証手法〜デバイスの違いによる比較検証〜
著者*山田 健一朗, 野口 敦弘, 納富 一宏 (神奈川工科大学大学院工学研究科情報工学専攻), 斎藤 恵一 (国際医療福祉大学情報教育センター)
Pagepp. 188 - 191
Keywordキーストローク認証, 打鍵認証, 自己組織化マップ, マルチタッチ, バイオメトリクス認証
Abstract近年,スマートフォンやタブレット端末といった,スマートデバイスの普及が進んでいる.それらを用いることにより,高度な情報を外部へ持ち出すことが容易になった.そのため,スマートデバイスにおけるセキュリティの重要性は高まっている.盗難,紛失の対策としてロック画面にパスワードをかけることができるが,タッチパネルでは,パスワードや軌跡パターンといったロック画面の解除に必要な入力情報を他人に覗き見されやすい点が問題となっている. 本研究では,強固なセキュリティ対策として,パスワードの入力動作にマルチタッチを使用し,タッチパネルから入力された特徴を,自己組織化マップにより学習・分析し,その類似度に応じて個人認証を行う,キーストローク認証手法について提案する. これまで行ってきた実験では,タブレット端末を使用していた.しかし,タブレット端末よりもスマートフォンの普及率が高いため,スマートフォンで検証実験を行う必要があると考えられる.スマートフォンはタブレット端末と比べ,画面サイズが大幅に小さくなるため,それに伴いボタンサイズも小さくなる.そのため,入力動作の煩わしさが増えると推測される.本稿では,タブレット端末を使用した場合とスマートフォンを使用した場合のキーストローク認証実験を行い,認証精度を算出する.また,被験者アンケートから,本手法のセキュリティ度合いと使いやすさについて,比較検証する.

1F-3 (時間: 13:35 - 14:00)
題名ボタンレスで行うリズム認証手法〜ピアノ経験者との比較によるリズムの個人差検証〜
著者*野口 敦弘, 納富 一宏 (神奈川工科大学大学院情報工学専攻), 斎藤 恵一 (国際医療福祉大学情報教育センター)
Pagepp. 192 - 196
Keyword認証, バイオメトリクス認証, リズム, 自己組織化マップ, ボタンレス
Abstract現代社会において,暗証番号やパスワードの不正利用による被害が大きな社会問題となっている.被害の実例として,銀行ATMにおける背後からの覗き見による暗証番号の盗難が挙げられる.銀行ATM操作時に背後から入力情報を覗き見することで暗証番号を盗み,かばんのひったくりや,住居侵入などをしてキャッシュカードを盗むことで不正な現金引き出しが行われている.この被害の本質は,暗証番号が分かればキャッシュカードの所有者以外でも現金引き出しが行える点にある.また,近年では,タブレットPCやスマートフォンが急速に普及したことに伴い,タッチスクリーン上での入力情報が他人にのぞき見られやすくなっている.そのため,電車やバスの車内などの周囲に人がいる環境でスマートフォンを操作する場合,端末を操作している間に周囲の人に暗証番号やパスワードなどを含む個人情報を見られてしまう恐れがある.そこで,本研究では,暗証番号やパスワードなどが容易に盗まれる現状を改善するために,暗証番号をなくし,タッチスクリーン押下時に取得可能な特徴を自己組織化マップにより学習・分類し,その類似度から本人の識別を行うリズム認証手法について提案する.リズム認証は,バイオメトリクス(生体)認証の行動的特徴に該当する.本稿では,各被験者におけるリズムの個人差を検証することを目的として,ピアノ経験者,本学情報学部または情報工学専攻の学生,先の2つに該当しない人に対して,実験を行った.

1F-4 (時間: 14:00 - 14:25)
題名同時押し認証: 暗証番号認証の改善を目指した一つの試み
著者国分 佑樹, *高田 哲司 (電気通信大学)
Pagepp. 197 - 204
Keyword個人認証, 暗証番号, スマートフォン
Abstract情報セキュリティにおいては,より安全性の高いシステムの実現も重要だが,既存 のシステムの安全性を向上していくことも全体的な安全性を向上させるという観点か らは重要である.これは最弱環理論と呼ばれ,特に最も脆弱なシステムの改善はシス テム全体の安全性を底上げするという意味で重要である.これを個人認証手法の分野 で考え,本研究では暗証番号認証の改善に取り組んだ. そこで我々は,暗証番号の入力方法において数字を1つずつ入力することに着目し, 1つずつの入力だけでなく複数の数字を同時に入力することも可能な認証手法を「同 時押し認証」として考案した.この方法を用いることで,秘密情報の種類数を増加さ せることができ,結果として安全性を向上させることが可能になる.また提案手法に 基づくプロトタイプを実装し,被験者による被験者実験を実施したところ,既存の暗 証番号認証と同程度の負担で使用できる可能性があることを明らかにした.

1F-5 (時間: 14:25 - 14:50)
題名マルコフ連鎖による合成文章の不自然さを用いたCAPTCHAの安全性評価と改良について
著者*鴨志田 芳典, 菊池 浩明 (東海大学)
Pagepp. 205 - 212
Keywordセキュリティ, WEBサービス, 自然言語処理, CAPTCHA, マルコフ連鎖
Abstractボットによるアカウントの大量取得や,それに伴う不正行為への対策として広く用いられているCAPTCHAと呼ばれる機械判別方式は,コンピュータには判別が困難だが人間には容易である問題を利用する事でプログラムによる入力と人による入力 とを識別する.我々はOCR 機能を持ったマルウェアやリレーアタックに耐性を持つCAPTCHA として,ワードサラダと呼ばれるマルコフ連鎖による文章合成の不自然さを用いたCAPTCHA を提案している. 本稿では提案手法への文章公正ツールを用いた攻撃に対する耐性の評価を行い,それに基づき提案手法の改良を行う.また提案 手法が日本語以外の言語にも適用可能であるかを実験により評価し,その条件を考察する.