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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2012)シンポジウム

セッション 1E  行動認識
日時: 2012年7月4日(水) 12:45 - 14:50
部屋: 剣梅鉢の2
座長: 西尾 信彦 (立命館大学)

1E-1 (時間: 12:45 - 13:10)
題名家庭内電力マネジメントのための加速度センサを用いた家電製品の使用者識別手法
著者*渡辺 亮太, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学)
Pagepp. 140 - 147
Keyword電力マネジメント, 省エネルギー, HEMS, EoD, ジェスチャ認識
Abstract省エネ社会実現に向けた活動は様々な方法によって行われている.本研究では,それらの内の電力マネジメントシステムに着目した.これは,家庭内の電力消費量をリアルタイムに監視するシステム全般を指す.我々は家電製品に加速度センサを取り付け,機器の使用タイミングや使用者を,スイッチが入る直前に識別することを目的とする.これにより現状のマネジメントシステムをさらに効果的に扱うことが可能となる.たとえば,急に大きな電流が流れてブレーカが落ちることを未然に防いだり,使用者によって使用時間が大きく異なる家電製品が使われた際に使用者の特定が可能になると,システム側が,スイッチが入ってからの電力消費プランを立てやすくなるといったメリットが挙げられる.実験にて,被験者に実際に家電製品を使用してもらい,家電製品に取り付けられた加速度センサの値から使用者をジェスチャ認識によって識別し,その識別精度を確認する.

1E-2 (時間: 13:10 - 13:35)
題名圧縮センシングを用いた低消費電力な行動認識手法の実装と評価
著者*明村 大登, 川原 圭博, 浅見 徹 (東京大学)
Pagepp. 148 - 156
Keyword圧縮センシング, スマートフォン, 行動認識
Abstract本研究では,携帯端末を用いた行動データの収集において,圧縮センシングを利用 することで,サーバへのデータ送信のコストを低減し,携帯端末の消費電力を削減す る手法を提案する.スマートフォンをはじめとする近年の携帯端末には,GPS や加 速度センサといった複数のセンサが内蔵されている.そのセンサデータを大人数から ボランティア的に収集,共有すれば,現実世界に起きる様々な出来事を捉えることが できる.こうした参加型のセンシングアプリケーションにおける大きな問題点として,センシングに利用される携帯端末の消費電力の問題がある.圧縮センシングはその圧縮に単純な行列演算しか必要とせず,複雑な復元処理は送信先のサーバに依存することで,携帯端末のCPU に負荷をかけることなく送信コストを低減することができるため,携帯端末の消費電力の削減が可能である.しかしながら,圧縮センシングはその原理上,信号のスパース度合いによって一定の復元誤差が生まれることが避けられない.我々は,90 人の実験協力者から収集された基本的な6 行動を含む実際の加速度データを用いて,圧縮センシングにおける誤差と行動認識への影響を評価した.また,iPhone/iPod 上に実際にセンシングと送信を行うアプリケーションを実装し,その消費電力を評価した.結果として,本手法によって,ZIP による圧縮を用いたときと比較して携帯端末の消費電力を約16%削減できることを示す.また,そのとき復元誤差は10%以内に抑えることができる.

1E-3 (時間: 13:35 - 14:00)
題名超音波を用いたジェスチャ検出と環境音検出を組み合わせた状況認識手法
著者*渡邉 拓貴 (神戸大学), 寺田 努 (神戸大学/JST さきがけ), 塚本 昌彦 (神戸大学)
Pagepp. 157 - 164
Keywordコンテキストアウェアネス, 状況認識, ジェスチャ認識, 環境音認識
Abstractウェアラブルコンピューティング環境において,装着型センサを用いてユーザの状況を認識してサービスを提供する状況依存システムに注目が集まっている.従来の状況認識手法では加速度センサやマイクが用いられるが,前者は身体の各部にセンサを装着する必要があり,オフライン処理を行う場合でも,データ蓄積のためにPC等が必要である.後者は環境音の影響を受けやすく,ユーザの細かな動きが分からない. そこで本研究では,ユーザがライフログサービス等のために音声記録用マイクを装着していると想定し,両手首に装着した小型のスピーカから発生させた超音波の音量によりジェスチャ認識を行い,環境音からの音響特徴量による環境認識と組み合わせて状況認識を行う手法を提案する.提案手法ではマイク一つで環境音,ジェスチャ,ユーザ状況を取得できる.

1E-4 (時間: 14:00 - 14:25)
題名スマートフォンによる歩行動作分析の評価
著者*樫原 裕大, 清水 裕基, 吉永 努, 入江 英嗣 (電気通信大学大学院情報システム学研究科)
Pagepp. 165 - 172
Keywordモバイル端末, 加速度センサ, 健康科学
Abstract我々はスマートフォンに内蔵された加速度センサを用い,健常者が日常生活におい て手軽に歩行動作分析を行い,悪い歩行であった時に警告音が鳴るというアプリケー ションツールを開発した.本論文では,悪い歩行であった時,及び良い歩行であった 時の警告率を求めたことで,このツールの有用性を評価した.また歩行の悪い癖を発 見し,改善方法を指摘するという機能を追加することを目的とし,様々なシチュエー ションを考慮した検証を行った.結果歩行の悪い癖において,重力方向の加速度に特 徴的な様子を捉えることができた.この特徴をもとに,歩行の悪癖を指摘する機能を 追加することが可能となった.

1E-5 (時間: 14:25 - 14:50)
題名スマートフォンによる屋内外生活行動センシング
著者*大内 一成, 土井 美和子 (株式会社東芝)
Pagepp. 173 - 179
Keywordスマートフォン, 加速度センサ, マイク, GPS, 行動認識
Abstractスマートフォンを用いて屋内外の多様な生活行動をリアルタイムにセンシングする屋内外生活行動センシングシステムを開発した.スマートフォン内蔵の加速度センサとマイクを用いて,「静止」「歩行」の移動状況に加えて,「掃除機がけ」「歯磨き」など家庭内の複数の生活行動を推定する屋内生活行動推定エンジンと,加速度センサを用いて,「静止」「歩行」「走行」「乗車中」の屋外の移動状況を推定する屋外移動状況推定エンジンを一つのAndroidTMアプリとして統合した.GPS衛星の捕捉状況に基づいた屋内外判定機能により使用するエンジンを適切に切り替え,屋内外でシームレスな生活行動センシングを可能にした.評価実験により,筆者らがこれまでに取り組んできた専用端末を用いた生活行動センシングと同等レベルの性能が実現できていることを確認した.また,3G回線や,BluetoothTMによりクラウドサーバや外部端末へ認識結果を送信する機能も搭載し,様々な実用サービスへの適用が期待できる.