題名 | P2P ネットワークにおけるクエリの発生特性を用いた動的なクラスタリング手法 |
著者 | *小林 由依, 渡辺 俊貴 (大阪大学 大学院 情報科学研究科 マルチメディア工学専攻), 義久 智樹 (大阪大学 大学院 サイバーメディアセンター), 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学 大学院 情報科学研究科 マルチメディア工学専攻) |
Page | pp. 2001 - 2008 |
Keyword | P2P, 検索, クラスタ生成, クエリ発生数 |
Abstract | P2P ネットワークで情報検索の効率を向上させるために,内容が類似したデータをまとめ,それらを所持するピアをクラスタ化する研究が行われている.これらの研究の多くは,クラスタが予め設定されており,動的に変更できない.このため,ある話題のもとで関連するデータ群が複数のクラスタに配置されてしまい,検索に必要なメッセージ数が増えるという問題が発生する.筆者らはこれまでに,予め設定されたクラスタに適合しないデータ群へのクエリ数が一定の閾値を越えた場合に新たなクラスタを生成する手法を提案してきた.しかし,急激にクエリが発生した場合など,クエリ数が少なくてもクラスタを作成する方がメッセージ数を削減できる場合がある.そこで本稿では,クエリの発生特性も考慮することにより,適切な時点で動的クラスタを生成する手法を提案する. |
題名 | コンテンツ類似度に基づくP2Pネットワークの動的再構成 |
著者 | *山口 拓也, 松本 倫子 (埼玉大学大学院理工学研究科), 吉田 紀彦 (埼玉大学情報メディア基盤センター) |
Page | pp. 2009 - 2014 |
Keyword | P2P, ネットワーク再構成, フォークソノミー |
Abstract | Pure P2P では,検索をパケット転送方式で行っているが,この検索方式はネットワークの構成に影響されやすいためにヒット率が低くなる場合があり,またネットワーク内にパケットが充満する問題がある.一方でネットワークを意図的に構造化させる分散ハッシュテーブルなどの手法は,検索効率の向上と引き換えに構造の維持コストや検索制約がある.そこで本研究では,Pure P2P の持つネットワーク柔軟性と構造化手法の検索効率性の両立を目指し,ネットワーク再構成機能を持つP2Pネットワークを提案する.具体的には一般社会で散見される同一興味のグルーピングに着眼し,コンテンツの類似度に基づいてリンクの張り替えを行うことによるネットワークの動的な再構成手法を提案する.提案手法を用いたP2PネットワークをPC上でシミュレーションを行い,検索ヒット数の増加を確認した. |
題名 | 要求度の変化を考慮した普及度ベースP2P複合型検索手法 |
著者 | *遠藤 伶, 松本 敬, 藤本 貴也 (慶應義塾大学大学院理工学研究科), 重野 寛 (慶應義塾大学理工学部) |
Page | pp. 2015 - 2022 |
Keyword | P2P, 複合型検索, 人気 |
Abstract | 複合型検索は,オブジェクトの人気により効率が変化する2種の検索手法を,人気に応じて使い分ける事で検索の効率を高めている。 既存手法ではオブジェクトの要求度を人気として定義しているが,検索効率には普及度の方がより大きな影響を与える。 そのため、要求度が急激に変化し,要求度と普及度に大きな差が出る状況では検索の有用性が低下する. そこで本論文では,オブジェクトの要求度が急激に変化しても有用性が低下しない,普及度ベースの複合型検索手法を提案する. 本手法では,各スーパーノードが周囲のオブジェクト情報を元にグローバル普及度を推定し、検索手法の選択に使用する事で,選択ミスによる有用性低下を抑える. また、シミュレーションを行い,提案手法の有用性を効用関数を用いて示す. |
題名 | 構造型Bloomフィルタにおける類似性に基づく集約コスト削減方式の提案 |
著者 | *佐久間 洋 (東邦大学大学院理学研究科情報科学専攻), 佐藤 文明 (東邦大学) |
Page | pp. 2023 - 2031 |
Keyword | P2P, 分散処理, Bloomフィルタ, 分散ハッシュテーブル, B木 |
Abstract | P2Pにおける情報検索では、分散ハッシュテーブルやBloomフィルタなどの様々な検索アルゴリズムが提案されてきた。Bloomフィルタは、情報の特徴をビットパターンによって表現するデータ構造であり、OR演算による情報の結合や、AND演算による情報の検索に用いられる。従来研究では、B木構造を持つBloomフィルタによる情報検索方法があるが、Bloomフィルタの類似性については考慮されなかった。そこで、本研究ではBloomフィルタの類似性に着目して、ノードを木構造に追加削除する際の結合処理を削減する方法を提案する。 |
題名 | クラスタリングを用いたP2P型SIPにおけるDHT参加ノード数の最適値の検討 |
著者 | *澤田 あかね, 鳴海 寛之 (公立はこだて未来大学大学院), 白石 陽, 高橋 修 (公立はこだて未来大学) |
Page | pp. 2032 - 2038 |
Keyword | P2P |
Abstract | SIP (Session Initiation Protocol) はセッションの開始・変更・終了などセッション制御を行う,IETFで標準化された拡張性の高いプロトコルであり,VoIP技術を用いたIP電話において利用されている. SIPではセッションを確立する際に,宛先SIPクライアントの電話番号に相当するSIPアドレスから,それに対応する現在位置(IPアドレス)を求める必要がある.これをアドレス解決という.しかしSIPはクライアント−サーバ型の構成をとり,リクエストのあったSIPクライアントのアドレス解決を SIPサーバが行うため,クライアント数の増加によってサーバに負荷が集中し,ボトルネックが生じる. こうした背景から,近年では,DHT (Distributed Hash Table) を用いてノード同士が対等に通信するP2P (Peer-to-Peer) ネットワークを構成し,SIPサーバの機能をP2Pネットワーク上に分散させることで,高いスケーラビリティと耐故障性を確保するセッション制御の手法が提案されている.SIPサーバの代わりにDHTネットワークを構成し,それぞれのノードがSIPアドレスとそれに対応するIPアドレスを協調して持ち合うことで,クライアント数の増加に伴う負荷の一極集中を防ぐことができる.しかし,セッション確立の際に,SIPクライアントがINVITE(SIPにおける通話開始を要求する)リクエストを出してから宛先のSIPアドレスを解決するためにはDHTによる探索処理を実行する必要がある.そのため,P2P型の SIPはクライアント−サーバ型のSIPよりもセッション確立時の遅延が大きいということが知られており,相手を呼び出し実際に通信を開始するまでに時間がかかるという問題がある. こうしたP2P型SIPにおけるセッション確立時の遅延を解決する代表的な手法として,クラスタリングが用いられる.筆者らは,P2P型SIPにクラスタリングを適用し,階層化したP2PネットワークによるSIPアドレス解決手法を提案する.一般に,ノードをクラスタリングしDHTネットワークのサイズを制御することでDHT探索ステップ数が減少するが,DHTの利点であるスケーラビリティ/耐故障性が損なわれる.これは,DHT参加ノード数がDHTネットワークを左右するためである.DHT参加ノード数が多いとスケーラビリティ/耐故障性に優れるが探索ステップ数が増加し,DHT参加ノード数が少ないと探索ステップ数は減少するがスケーラビリティ/耐故障性が損なわれる.そのため,セッション確立時間とスケーラビリティ/耐故障性はトレードオフの関係にある.よってP2P型SIPにおいて,クライアント−サーバ型のSIPでは得られない高いスケーラビリティや耐故障性を確保するとともに, DHTを利用することにより発生するセッション確立時の遅延を減少させる必要がある. 本稿では,P2P型SIPにおけるDHT参加ノード数に焦点を当て,スケーラビリティと耐故障性を保ちつつ,短い時間でセッション確立を行うDHT参加ノード数の最適値を検討する.計算機シミュレーションによりDHT参加ノード数を変化させ,それぞれのノード数における平均探索ステップ数を測定する.また,全DHT参加ノード数に対する離脱/故障ノードの割合を変化させ,それぞれの割合における探索成功率を求めることでスケーラビリティ/耐故障性を測定する.これらをもとに少ない探索ステップ数と優れたスケーラビリティ/耐故障性を確保するDHT参加ノード数を求め,クラスタリングを用いたP2P型 SIPにおけるDHT参加ノード数の最適値とする. |