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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2010)シンポジウム

セッション 8C  電力管理/制御
日時: 2010年7月9日(金) 10:20 - 12:25
部屋: 倶楽部樹里苑
座長: 新井 イスマイル (立命館大学)

8C-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名スマートスペースにおける省エネ行動支援システムの提案
著者*小倉 和也 (奈良先端科学技術大学院大学), 山本 眞也 (山口東京理科大学), 安本 慶一, 伊藤 実 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 1808 - 1816
Keywordスマートスペース, コンテキストアウェアネス, 情報家電, 省エネルギー, 行動支援
Abstract近年,エネルギー問題および環境問題に対する人々の関心が高まっている.各家庭において省エネを達成しようとした場合,設定した省エネ目標に対して,どのデバイスをどれだけ節電すれば目標を達成できるのか,複数のデバイスが稼働している際には,どれを優先的に節電することでユーザの快適性を高く保つことができるのか,などをユーザに具体的に示すことが必要不可欠である.本稿では,ユビキタスシステムを活用した,省エネ行動支援手法を提案する.本稿で取り扱う問題では,供給電力量を減らすことによるユーザの快適度の低下度合いが,各デバイスに対して与えられると仮定する.その上で,快適度が最大になり,ユーザの設定した省エネ目標を達成するような,各デバイスの設定値を決定する問題を定式化する.定式化した問題に対して,ユーザの置かれたシチュエーションとデバイスそれぞれに対する単位消費電力当たりの快適度の低下度合いを重みとして,重みの小さいシチュエーションおよびデバイスほど消費電力の削減量を大きくする.これによって,快適性を大きく保持しながら省エネ目標を達成する.また,ユーザがシステムの提案した行動プランに無理に従わなくてもよくするため,各シチュエーションでいくつかの選択肢から行動プランを選ぶだけで,省エネ目標に誘導するユーザインタフェースを提案する.さらに,典型 的な適用例を通して,本手法の有効性を示す.

8C-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名細粒度電力センシングによる浪費電力の検出
著者*上田 泰嵩 (名古屋大学大学院 工学研究科 計算理工学専攻), 梶 克彦, 河口 信夫 (名古屋大学大学院 工学研究科)
Pagepp. 1817 - 1821
Keyword電力センサ, 細粒度計測, 省エネ
Abstract近年, 省エネルギーへの関心が高まってきているが, 実際に省エネ活動が盛んに行われているとは言い難い. 省エネ行動を継続してもらう方法の一つとして電力可視化が行われているが, 削減可能な電力を示さなければどこを削減すれば良いのか分からず, 省エネをするのは難しいと考えられる. 本論文では, 個別の電気機器用の小型電力センサを用いて機器の消費電力を計測することにより, 機器の消費電力量の内訳を明確にし, 削減可能な浪費の発生箇所を把握出来る様にすることを目的とする. 実験として, 機器の浪費電力を検出・生じた原因ごとに分類するために, どのような方法や特徴量を使用すれば良いのか調査した. 浪費電力の検出と分類によって削減可能な浪費電力を明確に示すことで, 無駄を削減できる箇所と方法を機器使用者に認識してもらうことができ, 長期間省エネ行動を実行してもらうことを図る.

8C-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名複数台ノートPCのバッテリ充放電制御による供給電力最適平準化
著者*角田 忠信, 大島 弘敬, 山本 寛, 原 政博, 藤野 信次 (富士通研究所)
Pagepp. 1822 - 1831
Keyword電力平準化, バッテリ, スマートグリッド, PSO, 最適化問題
Abstractバッテリの充放電の制御により,商用電源からの総供給電力の時間変動を抑制する電力平準化は,電力消費者の生産活動を低下させずに電気料金削減やCO2削減が実現可能な技術として注目されている.単一の大容量バッテリを用いた電力平準化は,バッテリの設置にコストがかかるため,本研究はノートPCのような小容量で安価なバッテリを複数台用いたスケーラビリティの高い電力平準化システムの構築を目指している.複数台のバッテリを用いる場合,各バッテリの充放電を個別に制御して電力平準化を行っても,総供給電力のピーク値を単一の大容量バッテリを用いた平準化ほど下げることはできない.そこで,本論文は,制御サーバが通信ネットワークを通じて各バッテリと負荷の状態を監視し,各装置に設置されたスイッチを制御することにより最適電力平準化を実現するシステムにおける,各スイッチのON/OFF制御の実用的アルゴリズムを提案する.本手法では,過去のデータを用いた統計分析よりシステムの総供給可能電力量を算出し,この値を各装置に対して,各バッテリ残り時間がなるべく均一になるように 振り分ける.これにより,単一の大容量バッテリを利用した電力平準化と同等の効果が得られる.シミュレーションにより評価を行った結果,本手法は複数のバッテリを個別に制御するよりもピーク電力を削減可能で,理論限界に近い効果を示すことを確認した.

8C-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名有線/無線相互補完通信を用いたエネルギー管理システムの評価
著者*安部 惠一 (静岡大学創造科学技術大学院), 澤田 尚志, 増井 崇裕 (静岡大学情報学研究科), 峰野 博史 (静岡大学情報学部), 水野 忠則 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 1832 - 1843
Keyword無線センサネットワーク, 省エネルギー, 消費電力, HEMS, PLC通信
Abstract地球温暖化防止のため,工場及びオフィスだけでなく,家庭においても省エネルギー対策が益々重要となってくるものと考えられる.現在,研究ではHEMS(Home Energy Management System)技術が注目を浴びているが,HEMS技術の普及にはいくつかの課題がある. 本稿では,HEMS技術の課題を解決する技術として,有線PLC/無線ZigBee相互補完通信ネットワークにより既存建造物並びに既存家電に一切の改変を行わずに,建物内の住環境情報並びに家電などの電気機器のエネルギー消費量を可視化できるEMSについて提案する.建物内の住環境情報及び電気エネルギーの消費量の可視化を行うことで,これまでに気づくことがなかった電気エネルギーの無駄使いの発見や,各種センサによる住環境情報との併用取得により建物内の人の生活習慣における電気エネルギーの消費量の関係がどの程度把握できるか調査する目的で,今回PLC/ZigBee通信相互補完通信機能を除いたEMSのプロトタイプを開発し,実証実験により評価を行ったので報告する.

8C-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名磁界共振結合式マルチホップ無線電力伝送方式の解析と評価
著者*澤上 佳希, 宮坂 拓也, 川原 圭博, 浅見 徹 (東京大学大学院情報理工学系研究科)
Pagepp. 1844 - 1850
Keywordスマート環境, ユビキタス情報処理, 情報家電, 無線電力伝送, 磁界共振結合
Abstractユビキタスコンピューティング環境では室内に大量に情報通信機器を取り付けるた め,給電方式が設置と運用の大きな課題になる.我々は,磁界共振結合を利用した無 線電力伝送技術に着目し,非放射,高効率でありながら,面的な給電を可能にする無 線電力伝送システムの実現を目指している.本方式の特徴は,アンテナを格子状に多 数配置しマルチホップさせる点にある.従来の電磁界共振結合方式に関する研究報告 は,二つの送受信アンテナ間の伝送特性を論じたものに限られていた.本稿ではマル チホップにおける伝送効率について報告し,提案システムの実現可能性を論ずる.具 体的には,半径 15cm のヘリカルアンテナを 9 個使った直線状のマルチホップにおい て,2m40cm の伝送距離で 70%以上の高い効率を測定することに成功した.また,今 度はそれらアンテナを 3×3 の格子状に並べ,給電アンテナからその他の 8 個のアン テナへの伝送効率を測定した結果,4 ホップ離れた最も遠いところの効率は 84.1%で あったことを報告する.