題名 | 暗号LSIの電源ノイズシミュレーションによるサイドチャネル解析 |
著者 | *片下 敏宏, 佐藤 証 (産業技術総合研究所), 藤本 大介, 永田 真 (神戸大学大学院システム情報学研究科) |
Page | pp. 1666 - 1672 |
Keyword | サイドチャネル攻撃, 電力解析, シミュレーションモデル, 標準評価ボード |
Abstract | 現代の暗号技術では,アルゴリズムの安全性は理論的に検証されているが実装の不備などを悪用する物理的な攻撃にさらされる危険性がある.物理的な攻撃の1つであるサイドチャネル攻撃は,暗号モジュールの消費電力や放射電磁波などの物理量を計測・解析することで非破壊的に内部情報を暴露する手法であり,様々な解析手法や対策の研究が進められている.また,対策手法をLSIに施し効果を実装後に検証するには莫大な製造コストが必要とされるため,暗号モジュールの実装前に実装安全性をシミュレーションなどによって評価する研究もなされている.しかし,各々の研究では独自の実装環境からデバイスの近似モデルを構築しており,そのモデルを用いたシミュレーションにより物理的な特性を正しく近似できているか検証を行うことが困難であった.このような理由から,我々は暗号LSIを製造し実際の物理的なパラメータから近似モデルを構築することにより,サイドチャネル攻撃向けの標準シミュレーション評価環境の構築を進めている.本研究ではシミュレーション評価環境の構築に向け,暗号アルゴリズムのAES回路を65 nmテクノロジのASICに実装したモジュールの近似モデルを生成し,シミュレーションにより得られる電力波形の検証を行った.その結果,モジュールの寄生容量を1つのキャパシタとして近似するモデルを用いたシミュレーションの波形によりサイドチャネル解析が可能であることを確認できた.また,AES回路のS-box構成を4種実装して電力解析を行った結果,回路構成の違いによる解析結果への影響が表れることを確認できた. |