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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2010)シンポジウム

セッション 4B  アドホックネットワーク(2)
日時: 2010年7月8日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 朝陽の間1
座長: 神崎 映光 (大阪大学)

4B-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名すれ違い通信における複数の移動パターンを考慮した情報伝搬特性の評価
著者*末廣 創, 佐藤 文明 (東邦大学大学院理学研究科情報科学専攻)
Pagepp. 855 - 862
Keywordすれ違い通信, 無線ネットワーク, アドホックネットワーク, DTN, 情報伝搬
Abstract携帯端末同士が近接するたびに情報交換する「すれ違い通信」という通信方式が使われるようになってきた。この通信は、身近にいる端末同士で情報を交換するもので、ゲーム機での地図情報交換や電子チラシの配布などに応用できる。すれ違い通信での通信回数は端末の消費電力に影響するので、より少ない通信回数でより多くの端末に情報を配布できることが望ましい。この論文では、すれ違い通信を利用した環境において、より少ない通信回数で情報を伝搬させる方法を提案する。提案方式では、端末の過去の移動エリアに関する情報を使うことで、できるだけ広い地域に情報を伝搬してくれる端末を選んで情報を送信することとした。シミュレーションの結果、提案方式は端末の情報を用いない方式と比較して、優れた伝搬特性を持つことを確認した。

4B-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名信頼度と端末間の相対位置に関する制約条件を利用したMANETの端末位置推定方式
著者*安原 洸一 (東邦大学大学院理学研究科情報科学専攻), 佐藤 文明 (東邦大学理学部情報科学科)
Pagepp. 863 - 869
Keyword位置推定, 電波強度, MANET, 信頼度, 相対位置関係
Abstract屋内でのノード位置推定のために、無線LANを利用したノードの位置推定方式が提案されている。周囲のノードの位置を使ったレンジベースの推定方式では、周囲のノードが3点以上推定されていないとの位置を推定できなかった。本研究では、端末が存在できない領域を除くことで、2点、あるいは1点から端末の位置を推定する方法を提案する。また、推定された位置情報の信頼度を導入することで、なるべく信頼度の高い隣接ノードの位置情報から位置を推定することができる。シミュレーションによって推定誤差と推定可能なノード数を評価した。その結果、提案方式が推定可能なノード数においてレンジフリー方式と同等であり、推定誤差はレンジフリー方式より優れていることを示した。

4B-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名階層型Network Codingを用いたアドホックネットワークの設計と評価
著者*寺島 美昭, 清原 良三, 河東 晴子 (三菱電機(株)/情報技術総合研究所)
Pagepp. 870 - 878
KeywordNetwork Coding, Sensor Network, Ad-hoc Network
Abstract被災地では障害物や複雑な地形が電波伝搬を妨げるため、限られた無線リンクを効率よく利用できるNetwork Coding(NC)理論を応用した情報伝送が適している.NC理論を現実のネットワークにて実現する場合、受信パケットを符号化する負荷、及び複雑なリンク集合や符号化関数を決定する制御トラフィックが増大するため、パケット欠落が多発してスループットが劣化する問題がある.このスループット劣化は、NC理論による効率的な情報伝送の実現を妨げる原因となる. 本論文では階層型Network Coding方式を用いたアドホックネットワークを提案する.提案方式は災害救助における端末配置が計画的に行われる事を考慮して、全ての端末がTopology情報を共有する事により、リンク集合を決定する手順を単純化して制御トラフィック増加を抑制する.また、端末をグループ単位で管理する階層型のNC情報伝送により、各端末が保持するNC管理情報を軽減する.これらの効果により、パケット欠落を軽減して、NC情報伝送のスループット向上が実現する.提案方式のシミュレーション評価では、提案方式による約25%のスループット向上の実現を確認した.

4B-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名ネットワークコーディングを用いた多対多端末間高信頼・低遅延ブロードキャスト
著者*近藤 良久 (ATR/適応コミュニケーション研究所), 四方 博之 (関西大学 システム理工学部), 三浦 龍, 小花 貞夫 (ATR/適応コミュニケーション研究所)
Pagepp. 879 - 888
Keywordネットワークコーディング, 高信頼ブロードキャスト, リアルタイムアプリケーション
Abstract車車間通信における車同士の位置情報の交換や,携帯ゲーム端末同士のアドホック対戦ゲームなど,無線マルチホップネットワークにおいて,多対多端末間でブロードキャスト通信を行なうアプリケーションが注目されている.これらのアプリケーションにおいて,高い安全性や高い操作性といった性能を実現するためには,通信における高いリアルタイム性と信頼性を実現することが必須である.そこで本稿では,ネットワークコーディングを応用した,多対多端末間の高信頼・低遅延ブロードキャスト方式を提案する.提案方式では,符号化パケットの生成タイミングの調整に加え,隣接端末間相互の保持パケットの監視による,効率的な符号化パケットの生成数の調整により,リアルタイムアプリケーションの許容通信遅延の条件を満たしながら,多くの端末間での高信頼なブロードキャストを実現する.シミュレーションによる提案方式の評価を行ない,提案方式が,フラッディングやMulti point relay(MPR)といった従来のブロードキャスト方式よりも,高いブロードキャスト成功率を達成できることを示す.具体的には,従来方式では端末数5台の時のみでしか達成できい99%以上のブロードキャスト成功率を,パケット生成間隔および許容通信遅延時間が50msの場合で最大35台,20msの場合で最大25台の端末数において達成することを示す.