題名 | パノラマビューアにおける大量コンテンツの効果的な表示方法の提案 |
著者 | 中島 弘貴, *安部 陽平 (立命館大学情報理工学部), 新井 イスマイル (立命館大学総合理工学部研究機構), 西尾 信彦 (立命館大学情報理工学部) |
Page | pp. 783 - 790 |
Keyword | CMS, フィルタリング |
Abstract | 実世界上の物や場所に関するコンテンツを管理するシステムとして,実世界指向CMS(Contents Management System)と呼ばれるユーザがより直感的にコンテンツの位置や意味を理解できるような情報提供システムが提案されている. その内の一つであるGooraffitiは,全方位カメラで撮影されたパノラマ写真を3次元空間に形成した球面上に展開したパノラマビューアに,コンテンツのリンクをマッシュアップしたものをクライアントとしている. これにより,まるでその場所に居るかのような臨場感で情報を取得することができる. Gooraffitiでは,パノラマ写真を撮影した地点の周辺に実際に存在する物や場所に関するコンテンツ(店舗名,住所,コメント等)へリンクさせるアイコンを,パノラマ写真上に重量表示している. しかし,建物に隠れて本来見えないはずのコンテンツもそのまま表示されており,正しい実空間表現ができていないという問題が存在する. また,Gooraffitiではコンテンツの奥行きをアイコンの大きさによって表現しているが,それだけでは3次元空間におけるコンテンツの正しい位置をユーザが認識することは難しいといった問題も存在する. そこで本論文ではパノラマビューア上におけるコンテンツ描画に対し,表示するコンテンツの選定方法とコンテンツアイコンの描画方法の両面から検証し,より直感的にコンテンツを理解できる新しいインタフェースを提案する. 表示コンテンツの選定方法は,コンテンツの紐付いた場所が道路周辺か否かという位置関係をもとに,本来ユーザから見えるはずのコンテンツと見えないはずのコンテンツを区別し,それぞれのコンテンツに対しパノラマビューア上に表示するか否かの選択を可能とした. コンテンツアイコンの描画方法は,ユーザがコンテンツの位置関係を把握し易いように3次元空間に新たな道路とコンテンツアイコンを描画し,俯瞰的な表示を選択可能とした. また,コンテンツアイコンから道路に対する垂線を描画し,表示コンテンツの奥行きについての位置関係を把握可能とした. 評価として,従来のコンテンツの選定手法と本論文の提案する選定手法について,表示コンテンツの妥当性,理解の容易さに関してそれぞれ比較を行ったところ,パノラマビューの視点が存在する道路に紐付けられたコンテンツを区別して表示する方法では,本来見えないはずのコンテンツ表示数の大幅な削減に成功した. また,視覚的には位置の認識が困難となる同様の大きさの複数のコンテンツアイコンから,道路に対する垂線の描画を行い評価したところ,3次元空間における表示コンテンツの正確な位置を認識可能としたことによりビューへの理解度の向上が見受けられた. その他に,利用したシステムの実現性を確認するために,単純な範囲検索時のコンテンツ,パノラマビューの視点が存在する道路周辺に紐付けられたコンテンツ,コンテンツアイコンから道路に対する垂線に関して,それぞれ表示コンテンツ数を変化させ描画時間の計測を行ったところ,表示コンテンツの数が増加しても実利用に問題のない描画時間であることを確認した. よって,本論文の提案手法によってパノラマビューア上のコンテンツ表示性能は向上したことが分かった。 |
題名 | 多義性がある危険情報の提示による化学実験の安全技能向上支援システム |
著者 | *宗官 祥史, 稲川 暢浩, 西條 洸介 (東京農工大学 工学府 情報工学専攻), 江木 啓訓 (東京農工大学 総合情報メディアセンター), 品川 徳秀, 藤波 香織 (東京農工大学 工学府 情報工学専攻) |
Page | pp. 791 - 800 |
Keyword | 多義性がある情報提示, その場作業の安全訓練, ユーザの独立促進支援, テーブルトップアプリケーション, コンテクストアウェアネス |
Abstract | 本論文では,化学実験初心者のための安全技能支援のために3種の多義性(意味的多義性,空間的多義性,時間的多義性)を用いた危険情報の提示を行うタンジブルなテーブルトップアプリケーションを提案し,多義性を実現することができるプロトタイプシステムであるA3(エーキューブ:Alerting Accidents with Ambiguity)を開発し,評価実験を行った.評価実験では,被験者8名にA3を使用してもらい,SUS(System Usability Scale)と独自アンケートによってシステムユーザビリティ評価を行った.結果として,A3は被験者に対して複雑に動作しているように感じさせず,また機能が一貫している印象を与えたことによって被験者は使い勝手について悪い印象を抱かなかった.一方,卓上認識の誤動作によって被験者に同じ作業を繰り返し求めることがあったため,たびたびシステムを使いたいと思わせる点においては十分な評価を得ることができなかった.今後の方針としては,3種の多義性の定義と設計を盤石なものにして行き,それと同時に上質な状況認識方法を検討しつつA3の改良を進めていく. |
題名 | Light footprint:時間的・空間的位置情報を考慮したオンラインのつながり提示システム |
著者 | *綾木 良太 (同志社大学大学院工学研究科情報工学専攻), 島田 秀輝 (同志社大学理工学部), 佐藤 健哉 (同志社大学大学院工学研究科情報工学専攻) |
Page | pp. 801 - 807 |
Keyword | 位置情報システム, モバイルコンピューティング |
Abstract | 近年,インターネットへの接続環境の増加とともに,インターネット上での交友関係であるオンラインのつながりを持つ機会が増加しており,現実空間における交友関係であるオフラインのつながりが希薄になってきている.位置情報サービスは,現実空間と強い関係性を持つため,オンラインのつながりをオフラインのつながりに発展させる可能性を持つ.しかし,位置情報サービスでは,主にユーザの過去の行動履歴に注目してサービスを提供していることと,個人を特定できないことが問題となり,オフラインのつながりを持つことは困難である.本研究では,ユーザのオンラインのつながりをオフラインのつながりに発展させるために,過去,現在,未来におけるユーザの位置情報を一元的に管理し,足跡メタファを用いて現実空間に提示するLight footprintを提案する.本稿では,提案方式のソフトウェア構成とデータベース設計を示し,プロトタイプ実装と評価を行った.評価では,システムの一連の動作であるユーザがLight footprintを利用してから,そのユーザのオンラインのつながりを提示するまでの応答時間を計測し,実運用上問題がないことを確認した. |
題名 | 属性付き位置情報ログが示す行動特性と消費傾向の関係 |
著者 | *飯尾 淳, 吉田 圭吾, 小池 亜弥, 清水 浩行, 白井 康之 (株式会社三菱総合研究所), 桑山 晃一, 栗山 桂一 (株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ), 小浪 宏信, 高山 隼佑 (株式会社電通イーマーケティングワン) |
Page | pp. 808 - 815 |
Keyword | 位置情報, 行動特性, GPS, 携帯電話 |
Abstract | GPS機能を内蔵したモバイル機器の普及により,属性情報付きの 位置データを大規模に収集することが容易になった.オンライン アンケートで消費者の消費傾向や属性を取得し,個人情報保護に 配慮したうえでアンケート結果と位置情報ログを結びつけること によって,実際の行動と消費意欲の関係を分析することができる. 今回,首都圏において約1,800名の参加者を募って1ヶ月弱にわた り実験を実施した.その結果,参加者の意識は実際の行動に反映 されていることが明らかとなった. |
題名 | センサデータと画像ストリームによるライフログのアプリケーションを用いたデータ品質の評価 |
著者 | *岩木 紗恵子 (お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科理学専攻情報科学コース), 村瀬 勉 (NECプラットフォーム研究所), 小口 正人 (お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科) |
Page | pp. 816 - 823 |
Keyword | ライフログ, センサネットワーク, 画像ストリーム, ミドルウェア, 品質評価 |
Abstract | 近年, ライフログが注目を集めている. デバイスやネットワーク技術の発展により,ライフログのような大量のデータを収集することは比較的容易になったが, 蓄積されたデータを有効に活用することが出来ていないのが現状である. そこで, 本研究では, ライフログのデータを活用するために, アプリケーションが必要とするデバイスと品質を指定してライフログのデータを利用することができるミドルウェア環境の構築を行う. 本論文では, ライフログから情報抽出を行うアプリケーションの例として, 現在開発が行われているセンサデータや画像ストリームなどの収集したデータから人間の行動を言語化するアプリケーションを取り上げた. ライフログを高度なデータ処理を 行うアプリケーションに適用するためには, データを収集や蓄積する際の品質の管理が重要になるため, アプリケーションが必要とするデータの品質を見極める評価を行い, その結果を報告する. |