(セッション表へ)

マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2010)シンポジウム

セッション 1D  コミュニケーション支援と機械翻訳
日時: 2010年7月7日(水) 12:45 - 14:50
部屋: 如月
座長: 葛岡 英明 (筑波大学)

1D-1 (時間: 12:45 - 13:10)
題名遠隔会議における話者交替円滑化手法
著者玉木 秀和, *中茂 睦裕, 東野 豪, 小林 稔 (NTTサイバーソリューション研究所)
Pagepp. 108 - 116
Keyword遠隔会議, Web会議, 話者交替, 発話の衝突
AbstractWeb会議システムは利用や導入の手軽さがあるが,個々の参加者の映像が小さく,映像品質に制限があるため,誰がいつ発話し始めるのかを判断しにくく,発話が衝突してしまうことが多い.このため,発話の意欲が低下し,時間効率が悪くなり,生産性の低い会議になりかねない.人は普段,対面したコミュニケーションではノンバーバル情報をうまく利用して発話の衝突を避け,円滑に話者交替しているが,Web会議ではこれを行うことが難しい.そこで本研究では,Web会議において,人が発話の前に行う特徴的な動作を検知して最も次に発話しそうな参加者を決定し,全参加者へ示すことで話者交代を円滑化する手法を提案する.提案概念を実現するプロトタイプを実装し,会話実験を行ったところ,通常のWeb会議システムと比較し発話の衝突確率が減少することが分かった.

1D-2 (時間: 13:10 - 13:35)
題名機械翻訳を介したテキストコミュニケーションのための翻訳精度表示の影響
著者*宮部 真衣 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 117 - 125
Keywordテキストコミュニケーション, 機械翻訳, 多言語コミュニケーション
Abstract機械翻訳を介したコミュニケーションにおいて,翻訳精度は話者間の相互理解に影響する.翻訳リペアを行うことで,ユーザは翻訳精度を向上することができる.しかし,翻訳リペアは,ユーザが文章の精度が低いと判断した段階で,初めて行われる作業であるため,ユーザの不正確な判定により,翻訳リペアの効果が得られない場合がある.この問題を解決するために,本稿では翻訳リペアにおける翻訳精度表示を提案する.翻訳自動評価手法を用いて精度を測定し,精度を3種類の手法(%表示,5段階表示,3段階表示)によって表示する.それぞれの翻訳精度表示を行うことによる,ユーザの不正確判定に対する効果を検証するために,テキスト修正実験を行った.実験の結果,以下の知見を得た.(1)今回の実験においては,精度表示を行うことによる不正確判定の減少効果は見られなかった.ただし,自動評価を用いたため,自動評価の失敗により不正確判定につながった場合もあると考えられる.今後自動評価の精度が向上することにより,不正確判定の減少効果につながる可能性があると考えられる.(2)実験の結果,3つの手法では,「5段階表示」が最も高い評価を,「%表示」が2番目に高い評価を得た.「%表示」は「5段階表示」のデメリットを補うことができると考えられ,2つの手法を併用することによってより判断しやすい表示となる可能性がある.

1D-3 (時間: 13:35 - 14:00)
題名多言語用例対訳共有システムにおけるプロジェクト型用例収集支援機能の設計と評価
著者*福島 拓 (和歌山大学大学院 システム工学研究科), 吉野 孝 (和歌山大学 システム工学部), 重野 亜久里 (多文化共生センターきょうと)
Pagepp. 126 - 132
Keyword用例対訳, 収集支援, 多言語, Webサービス
Abstract現在,在日外国人数や訪日外国人数は増加傾向にあり,多言語によるコミュニケーションの機会が増加している.多言語環境支援の一方法として,用例を正確に多言語に翻訳した用例対訳が用いられている.用例対訳は正確な多言語コミュニケーション支援が可能なため,医療分野などの正確性が求められる分野で多く利用されており,コミュニティを利用した用例対訳の収集も行われている.しかし,用例登録におけるモチベーション維持が十分に行われているとは言えない.特に,用例対訳の登録時には用例の利用場面を考えてから用例を登録する必要があるが,このことは用例作成者にとって負担であり,用例対訳収集の障害となっている.そこで本稿では,登録対象用例のカテゴリを明示することで用例対訳の円滑な収集を目指した,プロジェクト型用例収集支援機能を設計し,実験から以下の知見を得た.(1)プロジェクト型用例収集支援機能は,用例対訳の登録促進に一定の効果が見られた.(2)用例登録ランキングによるインセンティブは,用例対訳の登録促進に一定の効果が見られた.

1D-4 (時間: 14:00 - 14:25)
題名Let's Get Together: 食材持ち寄りによる近隣生活者コミュニケーション活性化支援
著者*金井 秀明 (北陸先端科学技術大学院大学知識科学教育研究センター), 北原 圭 (日立製作所 システム開発研究所)
Pagepp. 133 - 139
KeywordFood communication, social interaction, face-to-face interaction, community organisation
Abstract近年,Web上で様々なソーシャルネットワークサービス(SNS)によって共通の興味・趣味をもとに居住地域・国に関わらずコミュニケーションの活性化,新たなコミュニティの形成が進んでいる.一方,近くに住む者同士のつながりは希薄化が進み,その希薄化が「社会的孤立」の1つの要因であると指摘されている. 本研究では,近隣生活者を対象とし,人にとって必須要素である「食」を媒介にして直接出会うことのできるきっかけを提供する.各近隣生活者が所有する食材を相互提供/持ち寄りをし,それらの食材を使って共同で料理を作り,食事をする行為を通して,近隣生活者同士のつながりを深めるように試みる.このような行為を支援するために,各近隣生活者が所有する食材を利用する献立作成支援システムを構築した.近隣生活者として大学学生寮やアパートに住んでいる学生を対象に,提案システムの評価実験を行った.その結果,提案システムは多くの食材を使った多くの料理を提供できた.また被験者間の関係がより深まり,被験者間の友人関係が広がるなどコミュニケーションの活性化ができた.

1D-5 (時間: 14:25 - 14:50)
題名GAZO GAZO KUN:コミュニケーション支援のためのキャラクタ化した写真を用いた写真共有システム
著者*吉野 孝, 松尾 知哉 (和歌山大学)
Pagepp. 140 - 151
Keyword写真共有サービス, コミュニケーション支援, キャラクタ
Abstract現在,デジタルカメラの普及率は増加しており,大量の写真データを個人が所有するようになった.既存の写真共有システムにおいて,ユーザ間のコミュニケーションを促進させる機能は少ない.写真への閲覧やコメントなどを促進する機能を持つ写真共有システムは,写真を通して知らないユーザ同士のコミュニケーションを支援できるのではないかと考えた.そこで,写真をキャラクタ化し,キャラクタ化された写真(GAZOキャラ)がユーザ間のコミュニケーション支援を行う写真共有システム「GAZO GAZO KUN」を開発した. 開発したシステムと既存の写真共有サイトとの比較実験を行った結果,以下のことが分かった.(1)GAZO GAZO KUNにおける写真の閲覧回数は,既存の写真共有サイトを利用した場合よりも多く,本システムは他のユーザの写真の閲覧を促進させることが分かった.(2) GAZO GAZO KUNにおける写真のコメント投稿数は,既存の写真共有サイトを利用した場合よりも多く,本システムは他のユーザの写真のコメントを促進させることが分かった.(3)写真をキャラクタとして管理するGAZO GAZO KUNの特徴を利用した写真評価方法「なでる機能」は,コメント投稿機能と同様に,他のユーザの写真の評価機能としてユーザに利用された.