題名 | ストリームデータの時系列予測のためのセンサデータベースシステム |
著者 | *荒井 健次, 白石 陽, 高橋 修 (公立はこだて未来大学 システム情報科学部) |
Page | pp. 65 - 75 |
Keyword | センサネットワーク, データストリーム, センサデータベース, トレンド検出, ストリーム予測 |
Abstract | センサネットワーク技術などの発展によって,データストリームに対する注目が高まり,ストリームマイニング研究に対する期待が高まってきている.ストリームマイニング研究にはデータストリームの過去のデータの周期性を分析し,その結果から未来のデータを予測するストリーム予測技術が存在する.しかし,実際のセンサ環境を想定する場合,センサがもたらす複数のデータストリーム間には変化の相関が存在する可能性があり,相関を考慮した予測を行うことで精度の向上が見込まれる.本稿は相関を考慮したデータストリーム予測手法について提案し,それを実現するシステムの概形を設計する.また,複数のデータストリーム間の相関が存在すると考えられる実環境について調査し,提案システムの有効性を検討する. |
題名 | 大量スキーマレスデータの蓄積・検索を実現する新しいuTupleSpaceの設計と実装 |
著者 | 柏木 啓一郎, *荒川 豊, 中村 隆幸, 中村 元紀, 松尾 真人 (NTT未来ねっと研究所) |
Page | pp. 76 - 82 |
Keyword | ユビキタス, スキーマレス, データベース, uTupleSpace |
Abstract | 我々はセンサ等デバイスへのデータ送受信を抽象化してアプリケーション構築を支援する実世界データ共有機構uTupleSpaceの研究開発を進めている。uTupleSpaceは、過去データの蓄積検索と未来データの待ち受け通知との統合などを特徴とする。従来のuTupleSpaceには、検索条件記述の自由度の低さと大量データ読み出しの遅さという2つの課題があったが、これらをそれぞれ解決するスキーマレスマッチング方式とチャンク化方式という2つの方式を提案する。また性能改善方式である後者については、性能評価により有効性を確認した。 |
題名 | センサ特性を考慮したデータ管理機構をもつユビキタスデータロガーの設計と実装 |
著者 | *小野 健児 (神戸大学工学部電気電子工学科), 小林 泰貴 (神戸大学大学院工学研究科), 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科電気電子工学専攻) |
Page | pp. 83 - 91 |
Keyword | ユビキタスコンピューティング, データ圧縮, センサ特性, データロガー |
Abstract | 近年の半導体部品の小型化により,ユビキタスコンピューティングへの関心が高まっている. ユビキタスコンピューティング環境ではセンサデータを収集する際に一般にネットワークに接続されたセンサノードが用いられるが,ネットワーク構築コストなどの問題から,アドホックでユーザにデータを直接提供するデータロガーに注目が集まっている. 本研究では,センサ特性を考慮したデータ圧縮機構をもつユビキタスデータロガーを提案する. 本論文では特に緩やかに変化する特性をもつセンサデータに適した近似に基づく圧縮アルゴリズムを提案する. 実際に提案機構をもつデバイスを実装し,またシュミレーション評価により 提案するデータ圧縮アルゴリズムの有用性を確認した. |
題名 | I-Tree: 異種センサデータの統合利用を支援する複合型索引機構 |
著者 | *木實 新一 (東京電機大学), 石塚 宏紀, 岩井 将行 (東京大学), 宮崎 純 (奈良先端科学技術大学院大学), 戸辺 義人 (東京電機大学) |
Page | pp. 92 - 99 |
Keyword | センサネットワーク, データ統合, データ分析, 時系列類似検索, 時空間索引 |
Abstract | 様々な場所に設置された多種多様なセンサが生成するデータを用いて,市民や専門家に対して有用な情報を提供するためには,空間的な広がりを持つ時系列データから有意なパタンを高速に検索できなければならない.本稿では,大量の空間時系列データから,問合せ系列に最も近い系列や,特徴のある系列を高速に見つけ出すことを可能にする複合型索引機構I-Tree を提案する.I-Tree は,時系列データの次元削減手法を空間時系列データ向きに拡張し,空間時系列データを階層的な細分化が可能な記号配列表現に変換し,木構造を用いて管理するものである.I-Tree を用いて様々なセンサの空間時系列データを効率的に処理することにより,ある空間領域に設 置されたセンサ群の示す「現象」を容易に分析することができ,複雑な条件に基づいて警報情報を自動発信することもできる. |
題名 | 集合知を用いたパノラマ表示位置誤差の補正手法 |
著者 | *新田 知之, 飯田 裕介 (立命館大学情報理工学部), 新井 イスマイル (立命館大学総合理工学研究機構), 西尾 信彦 (立命館大学情報理工学部) |
Page | pp. 100 - 107 |
Keyword | パノラマビュー, CMS, 位置情報 |
Abstract | Google Street Viewに代表される球状パノラマ写真によって街の景観を閲覧できるシステムが普及している. 我々はこれまで、Google Street Viewのパノラマ写真上に,周辺に存在する建物・店舗へのコメントといったコンテンツにリンクするアイコンをオーバーレイ表示させることによって,ユーザが直観的な視点で,コンテンツを位置に基づいて登録・閲覧できる実世界指向CMSを開発してきた. しかし,Google Street Viewのパノラマ写真は撮影時に記録された緯度経度に誤差があるため,周辺に存在する建物や店舗などのコンテンツの座標とパノラマ写真撮影地点の座標にずれが生じ,パノラマビュー上のアイコンも適切な位置に表示されない問題が存在する. この問題は撮影時の測位精度を上げることで解決するが,測位技術で代表的なGPS による測位の場合は,気象条件や環境条件に左右されやすく,精度向上に限界がある. また,アイコンの表示位置が適切であるか,システム側で判断することは高度な画像認識技術を必要とするため自動的にこの誤差を修正することは困難である. そこで本研究では,ユーザのコンテンツ登録時に,問題となる誤差の修正に必要な情報をユーザに意識させずに取得し,誤差分布を分析することによって,自動的にパノラマ撮影地点の誤差を修正するシステムを構築した. パノラマビューだけを用いた登録インタフェースでは,奥行きの情報が取得できないためユーザが指定したコンテンツの緯度経度を取得することが困難である.そこで本システムでは,パノラマビューの他に二次元地図を併用し,二次元地図からコンテンツの緯度経度を取得する. コンテンツ登録時にユーザは,以下の2つの操作を行う. 1つ目の操作として,二次元地図上で登録したいコンテンツの緯度経度を指定し,パノラマビュー上にアイコンを設置する. 1つ目の操作の結果,前述の誤差の問題からアイコンが適切な表示位置に表示されない場合,2つ目の操作としてパノラマビュー上でアイコンの位置を調整する.2つ目の操作が,同一パノラマビュー上で2つ以上のコンテンツに対して行われた場合,得られた誤差情報から本来の地点を推定し修正する. また,交差点のパノラマ写真は,どのような進路で撮影したか判断が難しいのに対し,隣接する交差点間のパノラマ写真は撮影作業が連続的に行われたと考えられるため,誤差が修正された地点を含む交差点間の他の地点は同様の誤差が含まれている可能性がある.この特徴を利用し,交差点間の誤差修正済みの2地点から交差点間の誤差パターンを「撮影時に一定の速さで移動したことにより修正前と修正後の変位が一定で誤差の方向が同じ場合(パターン1)」「撮影時に加速・減速などを行ったことにより修正前と修正後の変位は異なるが,誤差の方向が同じ場合(パターン2)」「2地点の誤差に関連性がないことにより修正前と修正後の変位も誤差の方向も異なる場合(パターン3)」の3つに分類し,誤差修正が行われていない地点の誤差推定を行った. パターン1は,2地点の誤差が似ているため,2地点の誤差の平均により誤差を推定する.パターン2は,撮影時に加速・減速を行ったことを考慮して,片方の誤差がもう一方の誤差に徐々に近似するように誤差を推定する.パターン3は,2地点間の誤差に関連性がないため安易に誤差平均を行うと誤差が大きくなることも考えられるため誤差推定を行わない.これを京都駅周辺のGoogle Street Viewのパノラマ写真を対象に検証した結果,ランダムで選択した88ヶ所の内の約7割の誤差を軽減することに成功した. |